俺は狂犬という異名を持つ高校生。そんな俺は片思いの相手である満里に鬼夜叉という伝説の妖怪がいたという島にある別荘に招待される。
鬼夜叉。その言葉に妙な胸騒ぎを覚えた俺は……。

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現在カプコンの逆転裁判がマイブームになっている作者です。
皆様にあの謎を解明する快感を味わえて貰えれば幸いです。


鬼夜叉伝説殺人事件~迷宮入り~

「ねえねえ、一緒に別荘に行かない?」

 俺は親友にして幼馴染、そして片思いの相手である満里(まり)にそのように誘われた。

「でもいいのか? 俺みたいなやつを誘って」

 そう言って俺は尋ねる。お世辞にも俺の家は満里の家と違って裕福と言えず、また俺自身もお世辞にも頭も素行も良いとは言えない。

 自分から喧嘩を吹っかけることはないが売られた喧嘩は買う主義で、売ってきた相手をボコボコに殴り返してきた。

 そのため周りからは『狂犬』と恐れられ、教師や保護者達からは不良、問題児として危険視されていた。

 そんな俺を満里は同情や自尊心を満たすための道具としてではなく、一人の人間として付き合ってくれている。周りの悪評にも『そんな人じゃない!』と何度も否定してくれる。

 そんな彼女に俺は心惹かれた。

「うん。もちろんだよ! 昔、鬼夜叉という伝説の妖怪がいたという島なんだけど。そこの島から見える景色がすごく綺麗なの!」

 俺が見とれている事に気付かず、満里は満面の笑みで答える。

「それじゃあ私用があるから、じゃあ」

 そう言って俺に背を向けた矢先、彼女は「あっ」と言って再び俺の方へ振り返る。

「そうだ忘れてた。人数はまだ4人ぐらい余裕があるから、もしいたら誘ってね」

 そう言うと彼女は狙い澄ましたかのように現れた黒い豪華な車へと乗った。

 遠ざかる黒い車を見送りながら、俺はふと考える。

 

 鬼夜叉。

 

 この言葉が脳裏から離れなくなっていた。

「もしかしたら何か嫌な出来事が起こるのかもしれない……」

 そう思った俺はすぐに行動を開始した。

 近所に住む、数々のプロレスラーを育て上げた、迷彩柄のマスクを被ったトレーナーのところに足を運んだ。

 俺が事情を話すと、トレーナーはあっさりと俺を鍛えてくれることを承諾してくれた。

 満里の別荘に行くまで1ヶ月。トレーニングは熾烈(しれつ)を極めた。

 遊ぶことはもちろんのことテレビや新聞、読書も許されず、更には食事や入浴時間も満足に取れないほどの厳しいスパルタ教育だった。

 そんなスパルタに耐え切れなくなり、逃げ出した時に扉に左腕をぶつけて負傷し、以後古傷として残るほどに。翌日には考えを改めて再び頭を下げて戻ったが。

 その後は相手をカンパーナ(釣鐘固め)の体勢に捕らえ、回転しながら空高く上昇した後急降下し、相手の胸部をキャンバスに激突させる技や、

 右脚で相手の首、左脚で左の太股を絡めて上昇し、空中で相手と背中合わせで覆いかぶさるようなブリッジの体勢となり、相手の両手をチキンウイングに捕らえ、相手の両足に自分の両足を絡ませた状態で落下しマットに激突させる技を修得。

 防御法として、貝が殻を閉じるかのように両腕で自分の頭と身体をガードするディフェンステクニックを叩き込まれた。

 熾烈を極めた、超過酷なスパルタトレーニングのおかげか。俺の体は身長197㎝。体重102kgバスト129、ウエスト76、ヒップ93というバキバキの肉体へと変貌を遂げた。

 そして「もう自分が教えることはない。その証として」と、俺は防塵、防音、透視など様々な機能を備えた、トレーナーとお揃いの迷彩柄のマスクをプレゼントされた。

 このマスクをつけると、自然と力と自信がみなぎってくる気がした。

 しかしここで俺にある疑問が浮かぶ。

 

 俺の嫌な予感がもし当たったら……。俺一人で満里を助けることが出来るのか。

 

 と。

 答えはノーだった。

 いくら肉体は正々堂々戦えば頭脳派レスラーにも負けないといっても相手がどんな者かわからない以上は過信は禁物だ。

 鬼夜叉というのがどんなのか分からない以上、情報収集は不可欠だ。

 

 情報と言えば忍者だ。

 

 そう思った俺は学校の忍者研究部部長に連絡を入れた。甲賀流の流れを汲むそいつは二つ返事で承諾してくれた。

 安心した矢先。俺の脳裏にある想像がかすめる。

 

 もし鬼夜叉というのが人型寄生虫と本体とが合体した異形の者かもしれない。

 

 と。

 そこで俺は考えた。

 

 相手が異形ならこちらも異形で勝負をかけるしかない! 

 

 そう思った俺は学校で唯一顔を三つ持ち六つの腕を持つ特異体質の男子高校生に同行するように頼み込んだ。こちらはなかなか渋ったが、「そこまで言うのなら」と了承してくれた。

 これで大丈夫だ。そう思った矢先、再び俺の脳裏にある考えがよぎる。

 

 もし鬼夜叉が、自らの肉体に太陽光線を取り込み、害を及ぼす熱線を照射する持ち主だとしたら。

 

 そうなるとこちらも対応できる人物を用意しなければならない。そう、たとえば軍人のように冷静な判断と戦闘能力を持った者が。

 そのような結論に至った俺はミリタリー格闘家の後輩に頭を下げた。後輩は「せ、先輩の頼みでしたら」と一応了承してくれた。

 もう大丈夫だ。そう思った俺にまたまた嫌な想像が頭をよぎる。

 

 鬼夜叉が変身や硬度調節といった特殊能力に頼らない、単純にひたすら強いというファイトスタイルを持った相手だとしたら。

 

 そんな小細工した相手にはこちらも小細工無しのファイトスタイルをぶつけるしかない。

 

 そう思った俺は畜産部の野牛(バッファロー)の異名を持つ顧問に同行を依頼した。

 顧問は「うまい飯を食わせてくれるなら」と同行してくれることになった。

 

 

 

 当日。

 俺たちは満里の別荘に向かうため、指定された港に来ていた。だが

「帰って」

「え?」

 満里の冷たい笑顔で、俺たちは船に乗れず見送る形になってしまった。

 

 満里……どうして…………

 

 俺はなぜ満里が乗船拒否したのかわからず、ただ静かに涙を流すしかなかった。




なぜ満里は主人公達を乗船拒否したか?この謎が貴方には解けるか!?(棒読み)

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