東方魔導伝   作:宵闇の魔神ゼノン

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魔導王と古代都市編
魔導王の目覚め


 ここは⋯⋯⋯⋯どこだ? 俺は、誰だ? 何故俺は寝転がっている?

 

 

 いや、俺の名前は憶えている。私はアヴェルダ・ラフォード。それ以外で覚えいる事と言ったら、すべての魔法を極め、それを魔導書に残したぐらい。

 

 

 まぁ、そんなことは今はどうでもいい。今はここがどこなのかを考える必要がある。

 

 

 仕方なく起き上がった俺は、キョロキョロと周りを見てここが荒野だということに気づく。

 

 

「ふむ。本当にどこだここは? とりあえず俺の姿を確認しておくか」

 

 

 魔法で作り出した大鏡で自分の姿を見る。

 

 

 腰まで届く手入れのされていないぼさぼさの黒髪、月の光のような黄金の瞳、十歳くらいの肉体のくせに妙についた筋肉、日に焼けていない白い肌。

 

 

 うん。ひとこと言わせて? なにこれぇ?

 

 

 いやまあさぁ、俺は起きる前の事は憶えてないからなんも言えないけど、さすがになぜ子供の姿なの?

 

 

 俺が子供だったのか大人だったのかは知らんけど。

 

 

 もともとこんな姿だった覚えもあるようなないような。

 

 

 何言っているのか自分でもわかんないけど、とりあえずこの荒野を抜けるか。

 

 

 あっちには森があるのか。少し腹も空いたし、何か探しに行くか。

 

 

 

 

  ~少年移動中~

 

 

 

 

 さて、森に来たのはいいものの、たいしてめぼしいものは何もないな。

 

 

「どうしたものかぁ」

 

 

 最悪果実だけでなんとかしようとも考えたが、さすがに何もないと困る。

 

 

 なぜか薬草とかはあるんだけどな。

 

 

 なんか疲れた。

 

 

 そんなことを考えていたら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「きゃあああああああああああああああっ!」

 

 

 

 

 

 

 俺の入ってきた反対の場所からまだ幼い女の声が響いた。

 

 

 声の感じから何かに襲われているのだろう。

 

 

「向かったほうがいいな」

 

 

 そう呟きながら風魔法を使用する。

 

 

 

 

 

 

   ~急いで移動中~

 

 

 

 

 さて、急いできたのはいいものの、俺が向かった先では、恐らく十六歳ぐらいの女の子が熊と狼を混ぜ合わしたような妖怪に襲われている所だった。

 

 

 妖怪は木に縋り付く女の子にジリジリと近づき、口元からだらだらと涎を垂らしている。

 

 

「創造錬成魔法⋯⋯⋯⋯天衝剣!」

 

 

 最後の空間にいくつもの魔方陣を描き出した俺は、魔法陣から剣を投影して妖怪に向かって放つ。

 

 

 俺の魔力に気づいた妖怪が後ろに飛ぶけど、ばかだなぁ。

 

 

 なにせ、俺は妖怪の後ろのほうから魔法を使っているのだから、後ろに富んだらどうなるのか魔力の方角で分かりそうなのに。

 

 

 それとも、こいつは魔力氏言う存在を知らないのか?

 

 

 それは別にどうでもいいとして、俺はどうして魔法の使い方がわかるんだろうか?

 

 

「グウウウゥゥ⋯⋯⋯⋯」

 

 

 あっ、すっかり忘れていたけど、妖怪に向かって投影した剣で何本も刺したんだった。

 

 

 妖怪は絶命しかけで体をピクピクしていた。

 

 

「ま、いっか」

 

 

 妖怪の事を早々に切り捨てた俺は、いまだに木に縋りついている少女のもとによる。

 

 

「お前、大丈夫か?」

 

 

「もういやああぁぁ」

 

 

 だめだこれは。恐怖で心が安定していない。仕方ない。

 

 

「回復魔法⋯⋯⋯⋯精神回復(スピリットヒール)

 

 

 手のひらを少女に向けて魔法を使う。すると、俺の手のひらから暖かい光が放たれ、少女の体を包み込む。

 

 

「あ、あれ? ボク、確か妖怪に襲われて⋯⋯⋯⋯貴方誰っ!?」

 

 

 怖がったりキョロキョロしたり驚いたりと、ずいぶんと忙しい人だなぁ。

 

 

 俺? 人のこと言えない自覚はちゃんとあるよ? そう言ったことはすべて無視しているだけで。

 

 

「あの妖なら俺が殺した」

 

 

 投影剣は魔力が尽きない限り何本でも作り出せるから便利な魔法だな。

 

 

「俺はアヴェルダ・ラフォードという。もし言いにくい場合は、アヴェルとでも呼んでくれ」

 

 

「は、はぁ。ボクは黒木環奈(くろきかんな)で、です」

 

 

 今更だけどこいつボクっ娘だったんだな。

 

 

 そんなすごくどうでもいいことを考えながら、環奈の手を取って立たせる。

 

 

 ずっと座り込んだままだったから。

 

 

「ところで、お前はどうしてあのような場所に?」

 

 

「お前じゃなく環奈です。ここにきていたのは、八意様の命で薬の材料を探しに」

 

 

 なるほど。察した。

 

 

「その最中にあのような妖に襲われたということか。なんともまあ、面倒なことを」

 

 

「そう思うかもしれませんが、ボクにとって八意様は命の恩人なんです。身寄りのないボクを助手として拾ってくれたから」

 

 

「だから多少の無茶は聞いている、そういうわけだな?」

 

 

 環奈は小さく頷く。

 

 

「とにかく、いつまでもここにいるのは危険だ。その八意というものの場所まで案内してくれ」

 

 

 妖がまた来ないとも限らないしな、そう付け加えた俺は、魔法で投影した剣を右手に持つ。

 

 

「ボディーガードしてやる。だから案内してくれ」

 

 

「わかりました」

 

 

 環奈は頷く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    ~少年少女移動中~

 

 

 

 

 

 環奈の案内によってやってきた俺は、今とても驚愕した顔をしていたかもしれない。

 

 

 それはなぜか?

 

 

 そんなの簡単だ。なぜなら、

 

 

「すごい大きな家だな」

 

 

「家ではなく、都市ですよ」

 

 

 わーお。でっかい家かと思ったけど、そんなわけないよねー。

 

 

 環奈はクスクスと笑いを噛み締めているが、普通こんな大きい都市を見たら驚くのは仕方ないと思われます。

 

 

「取り合えず行きましょう」

 

 

 環奈に笑われたことが妙に恥ずかしかった俺は、顔を赤くしながらも後ろをついていく。

 

 

 だけど。

 

 

「ふむ、環奈殿ですか。おかえりなさい。時間を過ぎていたので八意様が心配されておらましたぞ」

 

 

 おそらく門番であろう男性は、環奈に挨拶を済ますとジロッと俺のほうを見てきた。

 

 

「それで、この都市で一、二を争う可憐さを秘める環奈殿についてきた貴殿は何者だ」

 

 

「そのセリフ、良く本人がいる前で言えるな」

 

 

「フ、当たり前だ」

 

 

 知らんがな。

 

 

 こいつ一発殴りたいけど、とりあえず我慢だ。

 

 

 このにやけ顔がうざいからって無闇に殴ってはいけない。

 

 

「この人はアヴェルダ・ラフェ、ラフォ、ラフォードさんです。ボクの命の恩人さんですよ」

 

 

「おい、本人の目の前で名前噛むってどういう了見だこの野郎」

 

 

 全く失礼にもほどがある。

 

 

 おいそこの門番。コソコソ笑ってんじゃねー。

 

 

「まあ、いい。環奈殿が恩人だというのであれば事実なのだろう。通っていいぞ」

 

 

 なんか、ものすごく遠回りした感があるけど、ようやくこのバカでかい都市の中に入れるみたいだ。

 

 

 さてさて、楽しみとさせていただくとしようか?

 

 

 この世界は、俺を満足させられるかどうか、な。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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