0083からZガンダムへ繋がるストーリーを考えました。
【ガンプラ解説】
HGUCザクⅡF2型(連邦軍仕様)と、オリジン版高機動型ザク(ガイア/マッシュ専用機)のミキシングです。
モノアイをクリアパーツに換装、左手を銃持ち手にしてマシンガン2丁装備にしてあります。
全身にヤスリがけ(600→1000→1500)、エッジ出しとアンテナシャープ化、モールド掘り直しを行っています。
左肩アーマー、武装は合わせ目消しをしましたが、両下腿横の合わせ目は段落ちモールドとして処理してあります。
中性洗剤で洗浄後、エアブラシでサーフェイサーを吹いてから全塗装しました。
ザク系の基本色である2種類の緑と、エナメルの赤をワンポイントで入れてあります。
墨入れにはエナメルを使用、RG高機動型ザク用などの水転写デカールを貼り付け、半光沢トップコートで仕上げてあります。
バックパックは、F2型の物にR型の物を直結したという設定で、2つとも背負わせてあります。ネオジム磁石で固定、脱着可能です。
R型の機動性と、F2型の堅牢さ、操作性などが加われば強いのではないかと考えて作りました。
R型開発者のエリオット・レムとF2型を含む統合整備計画を推進したマ・クベは対立関係にあったとされているので、この組み合わせは戦中のジオンでは有り得ません。
この機体が生まれるなら戦後、それもジオン以外の人間の発想で作られたであろうと考えた時に浮かんだのが、星の屑作戦から脱出したカリウス・オットーとニナ・パープルトンです。
アナハイムの人間であれば、自由な発想でこのような機体の組み合わせを思いついたかもしれない。アクシズになら、数少ないR-1Aのストックがあったかもしれない。
その着想から、星の屑作戦のその後を描いてみました。
「昇進…でありますか⁈」
厳かさと物々しさを演出された空間におよそ似つかわしくない声をあげて、カリウス・オットーは狼狽した。跪いた姿勢こそ崩さなかったが、内心飛び上がる程驚いていた。
宇宙要塞アクシズ、謁見の間。
目の前に立つ女性は若いが幼さを微塵も感じさせないず、『寄らば切る』と言わんばかりの緊張感を周囲に放って憚らない。
その後ろは一段高くなっており、閉ざされた御簾の向こうにはジオン残党の旗印であるザビ家の遺児、ミネバ・ザビが鎮座していると言われている。もっとも、いかに高貴な出自とはいえ3〜4歳の子供が長時間じっと座っているなどとは思えず、これは事実ではなく演出の類いと思われる。
高い天井や装飾、並み居る武官、文官の表情一つひとつがまでもが、この場の雰囲気に荘厳さを付け加えている。
にも関わらず、カリウスは思わず間の抜けた大声をあげてしまい、慌てて顔を伏せ恥じ入った。
「少尉任官だ。不服か?」
目の前の若い女性、ハマーン・カーンのよく通る声が響く。トゲのある言い方ではないが、強烈な威圧感がある。
カリウスは跪いたまま答えた。
「滅相もございません。有り難きお話…なれどこちらに到着した際に、星の屑作戦での働きを評して頂いて昇進したばかりで…」
星の屑作戦。それはエギーユ・デラーズ中将率いるジオン残党軍『デラーズフリート』による一大反抗作戦であった。
宇宙移民(スペーノイド)が地球連邦政府に対し独立自治権を要求した、いわゆる1年戦争の敗北から3年。連邦軍の戦術核搭載モビルスーツの奪取に始まり、連邦宇宙艦隊への核攻撃を経て、北米大陸穀倉地帯へのコロニー落としを成功させた。これにより地球とコロニーの食料供給バランスは大きくコロニー側有利に傾き、今後スペーノイドは連邦政府に対して優位に立てる事となった。
その代償として、デラーズフリートはほぼ壊滅。カリウスに脱出を命じた直属の上官『ソロモンの悪夢』アナベル・ガトー少佐も戦死し、原隊復帰は事実上不可能となった。
アクシズ先遣艦隊に逃げ延びて1週間ほど。軍曹から曹長への昇進だけを告げられ、その後の配属も決まっていないカリウスには、更に昇進する功績など無いはずであった。
「操縦は堅実、性格は実直。デラーズフリートからの資料通りの男のようだな、貴官は」
「恐縮です、ハマーン閣下」
ハマーン・カーン。将官ではない彼女を閣下と呼んで良いものかどうか、カリウスには一瞬の躊躇があった。しかし、父マハラジャ・カーンの死去に伴ってミネバ・ザビの摂政となったこの女性が、現在アクシズの最高指導者であるのは事実である。
(まだティーンエイジャーの筈だが、何というプレッシャーか…)
カリウスは脇に汗が流れるのを感じた。
「…貴様の連れ帰ったアナハイムのエンジニア、ニナ・パープルトンと言ったか。あの者の返還が決まった。ひと月後の連絡船で、フォン・ブラウンに送還する」
カリウスは成る程と納得した。
ニナ・パープルトン。モビルスーツ開発を手掛ける軍産複合体(コングロマリット)、アナハイム・エレクトロニクスのシステムエンジニア。
アナハイムは月に本拠を構え、連邦ともジオンとも取り引きし『死の商人』とも揶揄される企業だが、その資金力、影響力は強大である。
ニナ・パープルトンの身柄引き渡しの交換条件として、資金や物資など破格の申し出があったという事だろうとカリウスは想像した。
それだけの価値が彼女にはあったのだ。
ニナは連邦軍の最新鋭試作機ガンダム開発計画の担当者として強襲揚陸艦『アルビオン』に乗艦していた。3機とも4機とも言われる新型試作ガンダムのうち、戦術核搭載の2号機をガトーが奪取した事に端を発し、アルビオンはコロニー落としの瞬間まで星の屑作戦を追い続けた。その間の情報を持つニナをアナハイムが欲しがったのだろうとカリウスは想像したが、事実はもう少し複雑だった。
連邦製の核で連邦艦隊が攻撃されたという不名誉な事実を隠蔽する為に、連邦軍はガンダム開発計画そのものを凍結、封印する事に決めたのだ。慌てたのはアナハイムである。多くの時間と人材、そして資金を投入した計画の資料は全て軍に没収され、投資が全く回収出来なくなってしまったのだ。
結果、ニナ・パープルトンは唯一のリターン、文字通り『生きたデータ』となったのだ。ガンダム1号機と3号機の運用に直接関わり、2号機との戦闘データにも触れた彼女の身柄を、アナハイムは喉から手が出るほど欲した。
見返りにジオン残党軍へ多少の利益供与する事など、巨大企業にとっては蚊に刺されたようなものであった。
事実上の2階級特進ですら釣り合わない程の功績をアクシズにもたらしたカリウスだったが、そんな事情は知る由も無かった。
ただ、自分にニナを連れて脱出するよう命じたガトーからの話と、塞ぎ込みながらもポツリポツリと語り出した彼女自身の言葉から、個人的な事情は想像出来るものがあった。
終戦後月に潜伏していたガトーと、ニナが恋仲だった事。
星の屑作戦の為何も言わず去ったガトーを忘れ、連邦のガンダムパイロットと新たな恋に落ちた事。
その2人が敵として出会い、自分の目の前で殺し合うという現実に耐え切れなくなった事。
結果、生身で向き合った2人の間に割って入り、手負いのガトーを庇って現在の恋人に銃を向けてしまった事。
(全く、何の因果か…)
従軍していたとは言え、ニナは軍人ではない。ましてや連邦ともジオンとも交わる立場の月面生活者であり、イデオロギー的には中立とも言えるアナハイムの社員である。
戦場で一時的に感情の制御を欠き、敵味方という括りの埒外の行動をした事を誰が責められようか。
無事戦場を脱出し命は助かったものの、後悔と自己嫌悪に苛まれながら感情の混乱に蝕まれている彼女を案じ、カリウスも幾度か顔を見せたりはした。
しかし、その心を癒す術など、無骨な軍人の持ち合わせる物ではなかった。
「命の恩人」とは呼んでくれるものの、今はガトーと関わりのある自分と接するのも辛いのかもしれない。
それでも。
そんなニナの表情に、僅かに精気が戻った瞬間があった。
2日前。
気晴らしにとニナを散策に誘ったカリウスは、彼女をアクシズの格納庫へ連れて行った。モビルスーツのエンジニアなら、その様な場所も嫌いではあるまいと考えたのだ。
アクシズ側から機密故不許可と言われる気もしたが、アナハイムの人間に台所事情を知られても問題ないという事なのだろう、担当者からあっさり許可が降りてかえって拍子抜けした程だった。
格納庫にはデラーズフリートでもお馴染みのザクⅡF2やリックドムⅡ(ツヴァイ)が並んでおり、特に真新しい物は無さそうに見えた。
「連邦軍に接収された機体も多いと聞きます。貴女もこのあたりのモビルスーツは直接触った事があるのでは?」
問いかけた時、周囲を眺めていた彼女の視線がある一点で止まった事に気付いた。
「あれは…R-1A型?」
「え…あぁ、本当ですね。珍しい機体があったものだ」
彼女の目線の先には、黒く塗装された高機動型ザク、 MS-06R1-Aが3体並んでいた。
「黒い三連星仕様ですね。ミネバ様がいらっしゃるので、お父上のドズル閣下の派閥も大勢合流しているとは聞いていましたが。パイロットは地球に降りてホワイトベースのガンダムにやられたそうですが、こいつらは健在だったのですね」
只でさえ生産数の少ないR型が、無傷で3体も格納庫に並んでいるなんて。人が集まれば物も集まるということか。
その光景にただ感心しているカリウスの横で、ニナは携帯端末を取り出して何やらデータを呼び出し始めた。
「どうかしましたか?」
「…現地改修で、違うモビルスーツの部品を組み合わせるケースがあるでしょう?」
確かに、デラーズフリートの『ドラッツェ』も正にその類いだ。
慣れた手つきで端末を操作しながら、ニナは言葉を続けた。
「異なるモビルスーツ同士を組み合わせて、本来の性能を凌駕する機体を生み出せないかという実験を、アナハイムで試みた事があるんです。
データを組み合わせただけの机上の空論というか、お遊び要素の強い実験だったのですけど…」
言いながら彼女が示した端末の画面を見たカリウスは驚きの声を上げた。
「F2とR型ザクの組み合わせ、ですか…これは…海兵隊仕様のゲルググよりも出力があるじゃないですか!F2にR型の脚部を換装するのはまだしも理解出来るが、2機のバックパックを直結⁈」
「F2のバックパックで発生した流体パルスを、バイパスでR1のバックパックに直接流し込んで増幅させてしまうんです。素性の良いF2のシステムと、キャパシティの大きなR型の組み合わせだからこそ出来る設計で、理論上は出力が3倍以上になる筈なんです。本来これだけ出力が上がると操縦に問題が出る物なのですが、F2の優れた操作性でR型の機動力を制御しきれてしまうようで。R型の弱点だったコクピット周りの防弾製もF2では克服されてますし、索敵能力も…」
「戦時中の機体としては規格外…現在でも通用するスペックに見えますが」
「そうなんです。私もこの実験には参加していたのですが、なぜ当時のジオン軍がこの試みをしなかったのか不思議で仕方なかったのです。連邦のフィールドモーター技術を組み合わせれば、この数値よりさらに安定性が増すんですよ。もっとも、これはデータ上の実験のみですので、ジオンでは実際に試されて却下されたのかもしれませんが…なにせアナハイムでは戦後R型の実物が手に入らなかったので実証までは…」
違う。カリウスには分かっていた。
R型の開発者エリオット・レムと、F2型を含む統合整備計画の担当者マ・クベは長く対立関係にあり、両者の掛け合わせなどジオン内部では考えもつかない発想だったのだ。
国力で劣るジオンが、派閥抗争で可能性の芽を摘んでいたのかと、カリウスは暗澹とした気持ちを抱かずにはいられなかった。
だが、そんな自分に向けられたニナの眼差しは、ここに来てから初めて見るような、少し生き生きとした感情を覗かせている事にも、カリウスはまた気付いていた。
(ああ、本当にモビルスーツが好きな人なのだな…)
「ハマーン閣下に、お願いしたき議がございます」
「なにか」
我ながら、かなり思い切った行動に出たものだ。冷や汗が止まらない。
しかし。
折角連れ帰った命。
ガトー少佐が守れと言った命。
自分の今後が生き恥ではなく、何かしら意味を持つように。
彼女、ニナ・パープルトンには、自分らしく生きる道を取り戻して貰わなくてはならない。
愚直な人間の拙い言葉で、カリウスは彼女とのやり取りを語った。
「アナハイムの実験データを、実証させて頂きたく存じます」
出過ぎた発言、という空気が謁見の間全体を支配するのをヒシヒシと感じたが、意外にもあっさりとハマーンは「良かろう」と言葉を投げた。
「格納庫のお飾りになっている旧式で賓客の気が紛れるのであれば、幾らでも供出しよう。実証実験の際に、アナハイムの最新技術や先のガンダムタイプの運用データが反映されぬとも限らん。ちょうど所属の決まっておらぬ士官が目の前におる。人手は付けてやる。ニナ・パープルトン返還後も実験を続けられるよう、新型機開発プロジェクトとして道筋を付けて見せよ」
「御意!」
こうして開発された機体、MS-06R1-A『カリウス・オットー専用ザク』は、0083年当時の最新鋭機に勝るとも劣らぬ性能を発揮した。
このプロジェクトを通じ、本来の自分を取り戻したニナは、過去との決着をつける為に地球に降りると言い残し、月へと帰って行った。ニナがアナハイムに持ち帰った新型ザクのデータは、後にハイザックの開発に活かされたという。
ニナの乗った月への定期連絡船を見送ったカリウスは、彼女と会う事はもうあるまいと思っていた。
しかし…
「アナハイムに縁故のあるパイロットというのは貴様か?」
サングラスをかけた金髪の男が、カリウスに声をかけた。
「私はシャア・アズナブル。連邦の専横を阻止し、地球を本来の自然に返す為の新組織をアナハイムと共に立ち上げる。貴官には、アクシズを抜けてそちらで手腕を奮って貰いたい。ジオン出身でもアナハイムのコネでテストパイロットの肩書きでも得られれば、連邦の国籍を偽造せずとも活動が可能になる。手筈はこちらで整える。手伝って貰いたいものだな。新たな時代をもたらす組織、エゥーゴの旗揚げを」
後にカリウスはニナと再会し、同じくアナハイムのテストパイロットとなった元連邦軍のガンダムパイロット『コウ・ウラキ』と邂逅。シャアに導かれて参加したエゥーゴで自分と声のよく似たニュータイプ少年『カミーユ・ビダン』と出会う事になるが、それはまたの別の機会に…