念能力者(?)なひかりちゃん(?)   作:シチシチ

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素敵な支援イラストをいただいてしまったのでマッハで書き上げました。





ところでこの作品 アニメ版漫画版出撃します!公式コミックアラカルトprequelなど詰め込めるものは全部詰め込んでいく姿勢で行きます


原作第2話から、出航欧州へ! ~前回のサブタイこっちで回収しちゃったよ~

 欧州行まではおよそ2週間あるらしくその間に、準備を進めろということらしい。

 

 「というわけで、いろいろ伝手のある校長にご協力をお願いしたく」

 「身近な人間を頼る。というのは正しいことだと思うが、そんなの頼んできたのはお前が初めてだな…」

 

 平日で、本来なら講義を行っている時間。欧州行で校長に相談があるということで今日一日公休をもらっている。

 

 「で?私を頼りたいというのは何だ」

 「いろいろありますが、特に、欧州はスオムスのカウハバはとても寒いと聞きますからその対策をと思いまして」 

 「ああ、今の時期佐世保では防寒具などそろえようもないか…かといって官給品ではな」

 

 校長も満州では苦労したという話を聞いていたのでここはスムーズに進んだ。

 

 「親も姉も金は出してくれるというので」

 「そうだな、毛布や靴下、寝間着も温かいものがいいだろう。ウィッチといえど魔力を常に維持するのは難しいからな」

 

 (あれ、それができる私はもしかして防寒具いらない…?)

 

 衝撃の事実に気づきつつ、もらえるもんは欲しいので話を続ける。

 

 「それとは別にですねぇ…、欲しいものがありまして」

 「察するに本来なら軍人として持ち込まないようなものだな…?言ってみろ」

 

 「北陸のほうでですね、ある程度持ち運び可能なこたつがあるらしくて…」

 「そう来たか…確かに欲しいのは認めるが…」

 

 「安全反射コタツって言うらしいんですよ」

 「まぁ、探しておこう持ち込めるかどうかはわからんが、艦隊勤務ではないのなら荷物扱いで送れるかもしれん」

 

 とんとん拍子で話は進み、補給の問題から缶詰や嗜好品など"いろいろ"と伝えて用意をお願いする。

 

 「ま、2週間あればなんとかなるだろう。気長に待て」

 

 

 

 

 「雁淵ィ…、とんでもないもの注文してくれたな…。例のこたつ、北陸で10年前に出た代物で北陸にしか流通していないとか、最近のは電熱線だからスオムスでは使えるかわからないから炭を使う古い奴じゃないとだめだとか、面倒な物を…」

 「いやぁ、ありがとうございます!これで凍えることはなさそうです!」

 

 欧州行の前日になってそんなことを伝えられ、謝っておく。

 

 「まぁいい…その代わり、欧州行の貨物便に乗せることができなかったから、翔鶴に自分で積み込め」

 「うわぁ、机の天板と足をもって乗り込むウィッチは前代未聞でしょうね…」

 

 などと軽口を交わしていたら、突然校長が姿勢を正しこちらを見据えてくる。つられてこちらも背筋を伸ばし、膝に手を載せる。

 

 「いろいろ用意してやったが、教え子が戦場に行くんだ。私からも何か餞別を送るべきだと思ってな」

 

 「餞別ですか?」

 「ああ、受け取れ」

 

 そういって後ろ手に取り出されたのは二つの刀袋。

 

 「白地に黒の波模様のほうは"津田越前守助広"」

 「黒字に金の菊が描かれているほうが"井上和泉守国貞"」

 

 「どちらも江戸時代に活躍した刀工の業物だ。といってもお前にはわからないか」

 「なっ」

 

 校長の剣術は二刀流でどちらも打刀以上の長さのものを扱う。現役時代には"虎徹"と""同田貫正国"の二本を振るい、どちらも弟子に渡したという。

 

 「餞別にしちゃ、高価すぎやしませんかね!?」

 「これぐらいの"箔"はあっても構わんだろう。それに、私のコレクションの中ではそこまで惜しくない」

 

 業物とか言っていたのはどうしたのだろうか。

 

 「いや、助広のほうはたしかに惜しいんだが、国貞のほうがなぁ…」

 

 といった校長は慣れた手つきで茎を見せてくれる。

 

 「見えるか?」

 「あとから付け足した感のすごい"真改"の字が」

 「だろう?この刀を打った刀匠は確かに"真改"の字も持つんだがなぁ…」

 

 「私の二つ前の所有者が真改の銘の入っていたころのを探していたんだが手に入らなかったらしくて同じ刀工の作だからと勝手に刻んでしまってな…」

 

 「まぁ、物はいい。それは間違いないからお前にくれてやる」

 「あ、ありがたく」

 

 ようはケチのついた名品。そんなところだろうか。

 

 「ま、これで私の用事はすべてだ。気を付けていけよ、実戦のネウロイの光線はじかに目で見ないとその怖さがわからないものだ。まして、ネウロイ自体が交戦するまでわからん能力をもった個体ということもある」

 

 「 薫陶、確かに賜りました 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「いってきまーす!」

 

 欧州行第3航空戦隊、その出航には同期の学生たちやお世話になった教官、校長がそろって見送りに来てくれた。

 三隅さんが埠頭ギリギリまで走ってきて「次は負けないんだからー!」と叫んで伝えてきたので腕を組んで胸を張ることで応えた。

 

 それから三週間、すでに艦隊は北極海へと入っている。

 

 「軍曹は、中尉と同じ部隊へ配属されるので?」

 「いや、わたしはスオムスのカウハバ基地での勤務で、中尉はオラーシャのサンクトペテルブルグだ」

 「隣の国ですね、だいぶ離れてしまいます」

 「ま、徴用した学生を最前線へ送られても困るしね」

 

 艦の人員とも交流が増え、ちょっとしたおしゃべりぐらいはするようになった。

 

 ≪甲板要員は至急退避!雁淵中尉が訓練飛行を行われる!≫

 

 アナウンスがあったかと思えばエレベーターが上がり、紫電改を履いた姉が勢いよく発艦していく。

 

 「おぉ、いつ見ても惚れ惚れしますな」

 「そろそろ、わたしも一回飛んでおきたいんだけどねぇ」

 「そういえば軍曹が飛んでいるところを見ていませんな」

 「陸上基地勤務だからね。発着艦訓練はしているんだけど、学生ってこともあって」

 

 艦内に自分用の"零式二二型甲"と"零式練戦"を積み込んではあるが、整備はしてあっても飛んではいない。

 

 

 

 「お疲れさまでした!」

 

 帰還した孝美は格納庫で整備の人たちとの会話を終わらせたところだった。

 

 「これが新型…」

 「えぇ、紫電四二型。と言っても試作機で、これ一機だけなんだけどね」

 「テストパイロットしてるんだっけ」

 「うん、量産型ができるのもそう遠くないはずだからひかりのところにもきっとくるよ」

 

 扶桑において零式はすでに旧式であり、紫電シリーズが次期主力戦闘脚として決定している。

 

 「どう、乗ってみる?」

 「!乗れるの?」

 「まぁ、お願いしてみてだけど」

 「…それだったらむしろ一緒に飛んでみたいな"おねえちゃん"と」

 

 「!?わかったわ!艦長とお話ししてくる!」

 (これ便利だな…)

 

 

 

 

 

 

 ≪ウゥ~≫

 

 「警報!?」

 「んぁ、あれ、なんでおねえちゃん一緒のベッドに居んの…」

 

 自分と姉の船室。二段ベッドのうち下を自分が上を姉が使うことで決めたはずだが、警報に起きてみればなぜか隣で姉が体を起こしていた。

 

 ≪方位190にネウロイ反応!距離3万!≫

 ≪航空隊発艦作業はじめ!対空戦闘用意!≫

 

 孝美は身支度を整え、部屋を飛び出していった。おそらくは甲板へストライカーを装備しに行ったのだろう。なぜベッドにいたのかははぐらかされてしまった。

 

 

 

 ≪電探室より報告 中型10、小型30≫

 ≪回避!取り舵いっぱい!≫

 

 本来群れないはずのネウロイが集団で現れたことに、艦内では混乱が見られたがアフリカや欧州戦線序盤はいくらでも群れていたような気がするのだが気のせいだろうか。

 

 「雁淵中尉が中型を墜としているそうだ」

 「第二派発艦の用意を急げ!」

 

 ≪岸波被弾!1番砲塔炎上中!≫

 

 格納庫で発進準備を進める。本来なら、ここには零式練戦しかないはずだったが、姉との飛行を行うということで梱包されていた二二型を出してもらったのだ。

 

 「よろしいのですか軍曹!出撃許可は!」

 「取ってから用意してたら間に合わないさ!、 !おっちゃん、こっちへ!」

 

 すぐ目の前のエレベーター部分が吹き飛ばされ、鉄骨や飛行甲板の部品が落ちてくる。

それをシールドで受け止め、除ける。

 

 吹き飛ばされた甲板は大穴が開き、青空とそこに広がるシミのようなネウロイが見える。

 加えて、

 

 

 

 「すげぇ…」「あれだけのネウロイを一掃した!」「あれが中尉の"絶対魔眼"!」

 

 

 髪が深紅に染まった姉が連続で中型ネウロイを撃墜していた。

 

 姉、孝美の固有魔法"絶対魔眼"は同時に複数のコアの位置を特定し、そこに正確に弾丸を叩き込むというもの。その発動中は髪が赤く染まる。

 強力だが、同時にコアの特定までに時間がかかるうえ、その間無防備であるという弱点があり、援護の要員が必要な能力と言える。

 

 

 

 ゆえに、

 

 

 

 「…?中尉が!」

 

 

 

 無防備な状態で立ち尽くしていたために、シールドでは防ぎきれなかった光線がよりにもよって古傷の近くをえぐり、出血と痛みで気絶してしまったのだ。

 

 

 

 「おっちゃん離れて!いきます!」

 

 

 

 甲板に空いた穴から直接飛び出し受け止める。すぐにエレベーターから艦内に入り衛生兵に引き渡す。

 

 

 

 ≪北海沿岸に未確認のネウロイの巣を確認!≫

 

 

 後にグレゴーリと名付けられる最新のネウロイの巣。艦隊の航路のすぐそばに出現したその巣より現れたネウロイに我々は襲われていた。

 

 「おっちゃん!九九式!弾もありったけ頂戴!」

 「そ、それは構いませんが…。よろしいのですか中尉のところに」

 「"おねえちゃん"ならあの程度で死なない!それより早く!」

 「あ、ああ、いや!わかりました!」

 

 

 

 

 「艦長!雁淵ひかりは艦隊直掩に回ります!」

 

 「ん!?誰だあのウィッチは!」

 「中尉の妹のほうです!」

 「あの子は学生だろう!」

 

 「行きます!」

 

 艦橋要員たちの声を無視して勝手に発艦する。姉の撃ち漏らしだけじゃなく、巣からも追加でネウロイが来ている以上時間に余裕はない。

 

 

 目標は先頭で突っ込んできている二機。

 

 「"円"!」

 

 半径20mを超えた"円"は、それでも空中戦で使うには射程が短い。光線を発するパネル部分を"写輪眼"で見切り、九九式二十粍をばらまいて破壊し、攻撃を封じる。

 

 「見えたぞコアがァ!」

 

 そのまま接近してコアを撃ちぬく。手早く処理したつもりだが、艦隊の周囲には水柱が立っている。撃墜するまでの短い間だけでもそれだけの攻撃が艦隊を襲っていたということだ。

 

 このままでは艦隊が危ない。いまから退避するよう進言したところで艦の速度ではにげきれないだろう。

 

 (ならこっちから突っ込んで足止めするしかねぇ!)

 

 そう考え、吶喊しようとしたところで、比較的近くまで接近していた小型個体が撃墜される。

 火箭の方向を見れば、6つの人型。

 

 

 「ウィッチだ!ウィッチの増援だ!」「オラーシャの502部隊だ!」

 

 (あれ、こんなに早く来たんだっけ…)

 

 そんなことを考えながら、502の隊員がネウロイを攻撃するのを見ていた。

 

 (残りは来てないのかな、隊長は腰の問題もあってあんまりでないんだったか)

 

 502は連携をとりつつ攻撃しており、"扶桑海事変"ごろの単騎駆けばかりしていたころの"巴御前"がもとになっている自分は邪魔になるだろうと、艦隊直掩として下がっていた。

 

 艦隊も十分に離れ、最後のネウロイが墜とされたころ、一人のウィッチがこちらへと近づき、つられるように他のウィッチもやってくる。

 

 「孝美!やっぱり孝美が墜ちるわけ、なん…、」

 

 「誰だテメェ」

 

 

  カチンときた。

 

 「扶桑皇国海軍第327海軍航空隊欧州派遣支隊"雁淵"ひかり軍曹です」

 

 "雁淵"の部分に力を籠め、真正面から言い放つ。

 

 「ああ!?雁淵!?テメェ孝美のなんだ!」

 「妹ですが!そういう貴殿はどこのどなた様でしょう!」

 「海軍343空"管野直枝"少尉様だコノヤロウ!陸の連中みたいに言いやがって!」

 「そうですか少尉殿!…あぁ、姉、孝美中尉は負傷で翔鶴の医務室です」

 「な!」

 

 そう言った少尉は途端に顔をクシャっとさせて、聞いてきた。

 

 「おい、孝美が戦闘不能ってのは本当なのか」

 「…はい。リバウでの古傷のすぐ傍を抉られました」

 「そんな、じゃあ、孝美は何のために…」

 

 「ひとまずは、翔鶴の上に降りさせてもらってノヴォホルノゴルイまで行きましょう。隊長の指示を仰がないと」

 

 

 "ポクルイーシキン大尉"だろう人物がそう言い、翔鶴へと降り立つ。"ルマール少尉"と呼ばれていた人物を医務室へと案内し、ようやく姉の姿を見ることができた。

 

 傷自体はわき腹のみだが、第二種軍装には血が滲み、破れた生地からは抉れた肉が見える。

 

 (うっ…)

 

 初めて見る生々しい傷にこみ上げる吐き気を抑え込み、姉の顔を見る。顔だけ見れば眠っているかのようだ。

 

 「中尉は、気を失うまでずっと軍曹の居場所と無事を案じていた。こちらの判断で勝手に無事だと伝えてしまったがね」

 「いえ、ありがとうございます…」

 

 「わ、私の力では傷をふさぐのが精一杯です…」

 「…体温22度、脈拍10、これではまるで冬眠じゃないか…」

 「戦闘で絞り切った後の残り僅かな魔力で何とか生きているんです…」

 

 「"おねえちゃん"…」

 

 強い不安に襲われる。失うかもしれないと。たとえ先を知っていてもその通りになるかはわからない。

 

 (…)

 

 

 

 ノヴォホルノゴルイの艦隊司令部にて、

 

 「では、孝美は艦隊の補給が終わり次第一緒に扶桑へ」 

 「あぁ、途中輸送機に乗り換えても半月かかる、保てばいいがな…」

 「…あまり聞きたくはないが扶桑からの増援は?」

 「絶望的だろう、な。北方航路の閉鎖もあるが何より自由に動かせるエース級のウィッチなど…」

 「そうですか」

 

 

 ドンドンドンッ!と力強くノックする。

 

 「ん?誰か!今は応対中だ!」

 「その応対相手についてです」

 

 そう言って許可も得ずに中へ入る。ウィッチであることを示すために耳と尻尾を出しながら。

 

 「海軍327航空隊欧州支隊の"雁淵"ひかり軍曹です!」

 

 また"雁淵"の部分に力を入れる。姉の名声を利用するようで気が引けるがこちらもなりふり構っていられない。

 

 「"雁淵"?孝美中尉の…」

 「孝美は姉です!」

 

 扶桑艦隊スオムス駐留基地の指令にそう言い放つ。

 

 「で、その軍曹が何の用だ」

 

 カールスラントの軍服。少佐の階級章。この人が"グンドュラ・ラル少佐"

 

 「お願いがあります」

 「ほう、なんだ」

 

 「"私を502部隊に配属させてください"」

 

 正面から、相手の眼を見返す。"纏"が乱れて魔力が漏れ出す。

 

 「ほう...、しかし、君は軍曹だろう?それになぜ欧州まで来た?」

 「カウハバ基地への増援としてです」

 

 「学生を徴用して送るとは聞いていたが」

 「学生?学生が最前線の502に入りたいと。君にその資格があるのか?」

 

 「初陣で2機撃墜!腕は"軍神"のお墨付き!それでだめなら一度実戦で使って判断してください!」

 

 「ほう...、初陣で二機か」

 「ああ、報告にもあるな。孝美中尉が倒れた後の艦隊直掩として戦闘。二機撃墜ののちは502が来たことにより艦隊直掩に注力した、と」

 

 少佐は考えるそぶりを見せ、

 

 「ふむ、良いだろう。502へ来い」

 「!、ありがとうございます!」

 

 「ただし、君がどんな思惑で502に入ろうとしているかは知らんが、弱ければ死ぬぞ?」

 「死ぬまででいいので入れてくだされば!」

 

 少佐は少し笑うそぶりを見せ、「ついてこい」といって部屋を出た。




実は3航戦周りの設定ミスってるけどめんどくさいからそのままにしてる

 普通に考えて欧州に送るのに練戦しか積んでないなんてことはあり得ないよね。

 アニメ版だと翔鶴型1高雄型1駆逐艦4でうち2隻は岸波と沖波でどちらも沈んでます。そのわりに、襲撃直後のシーンで全艦いるんだよなぁ…?

 艦これやってるとキャラの顔がちらついてアニメ見るのがつらくなりました。テレビ放映中は実装してなかったからさ…

 ところで3航戦って扶桑に戻った時点だとウィッチ5人飛んでるんだけど欧州行くのに4人へらすってやばくない
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