キャラ崩壊がひどくなってしまったので気を付けてください
なお、原作4話要素は薄いです。
ペテルブルグの朝は秋でもかなり寒く、佐世保で8年育った身としては魔力なしでは正直定住したくないレベルだ。
朝食よりも大分はやくに起きてしまい、手持無沙汰だったことから基地の外周を特に目的もなく歩いていた。
基地は川に囲まれていて、一部に河原があった。河原というよりかは瓦礫や破片といったものも混ざっていることからなんらかの建造物が破壊された後の破片をまとめておいた感じだろうか。
川辺に石や岩が転がっている風景は佐世保で修行していた河口近くの川べりを思い出す。
「1、2、3…」
ふと懐かしくなり、時間も余ったことから懐かしの"石割"などやってみた。既にこなした修行な上、終えてからも修行を続けていた成果か、さして苦労することもなく1000個割り切った。
「へぇ、面白いじゃない」
"石割"に夢中になってる間に近づかれたらしく、声をかけられると同時に肩に手を置かれるまで気づかなかった。
「うひゃ!あ、ロスマン曹長、えと、おはようございます」
「はい。おはようございます。それで?今何をしていたのです?」
そう問いかけてくるロスマン曹長の目は細く、口元はうっすら弧を描いている。
「あははは、子供の手慰みですって」
「扶桑の子供はそんなに精密な魔力操作で石を割り続けるの?それはぜひともカールスラントにも広めないといけないわねぇ」
「いやぁ、そうですかね?」
目はさらに細められ、口角がさらに吊り上がる。
これは完全に返答を間違えたな。下手なごまかしをしたせいで怪しまれている。
この世界、魔力はほとんど何となくで使っているようなもので、わざわざ石を割るのに適した魔力操作を鍛えたりはしない。なのにそんなことをしてる奴がいて、おまけにごまかしてきたのだ、そりゃあ疑うだろう。
「"どうやって扶桑の子供はそんな魔力制御を身に着けるの?"」
これで下手なごまかしをして、あとで他の扶桑ウィッチに確認されたら、とそこまで考え付いたところで、
「でも、管野さんや下原さんはそんなことしたことないし多分できないでしょうね?」
こちらが判断に迷っている間に畳みかけられてしまった。同時に逃げ場が封じられかけていることにも気づいた。
「扶桑のウィッチの中でもごく少数…どころかあなたしかできないんじゃない?」
「今までに見た扶桑のウィッチの中でそんな馬鹿げた魔力制御してる子見たことないもの」
「なのに、目の前で学生徴用の子がそんな馬鹿げたことをしている」
「あとね?自分でもなんで思い出したのかわからないのだけどあなた、シールドを張るのが苦手だって言ってたわね」
「あの時は単純な訓練と経験の問題だろうと思っていたのだけど、今の魔力制御を見せてもらったら変だなって思ったの」
「それだけ操れるのなら十分にシールドに魔力を集中できたはず。ましてニパさんを捜索に出た時の交戦で、あなたたちはほとんど動かなくってシールドと魔力消費の少ない零戦にだけ魔力を振り割ればよかった」
「なのに、あなたはあの作戦においてシールド役をニパさんに任せてあなたは魔力を消費しない射撃に回った」
「あの作戦を考えたのはあなたでしょう?」
「あなた、魔力自体はあまり多くないのではなくて?」
図星だった。
実は、"念"の修行で増えた魔力自体は実はそこまで多くない。航空学校に入学した時点で周囲の子たちよりもいくらか多いくらいまでだった。いわゆるエースと呼ばれる人種たちや宮藤主人公様には到底かなわない。"念"の修行を始めたばかりのころは原作通りの魔力だったのを8年に及ぶ"念"の修行で平均ちょっと上まで増やしたのだ。H×H原作に登場したモラウやノブのような実力者たちの"発"のような大規模なものは行使できるようになれる気がしない。
長時間の"練"や"堅"、"円"ができるようになったのは"纏"と"流"の習熟にともなって、余すことなく魔力の全てを用いることができるようになった事と、より絞り出す方法を身に着けただけ。
ようは原作と何も変わらない。
原作よりも少し増えた魔力を原作以上の精度で制御する。そこに、"練"という奥底から魔力を掻き出す方法を知っただけ。
細胞の一つ一つから絞り出しきる"練"は気絶すれば2、3日起きれなくなる。ただ魔力を消費しきっただけではこうはならない。
「…そうなんですよ!魔力が発現した時から少なくて、それでもお姉ちゃんと一緒に飛びたくて、」
「えぇ、だから。あなたのその魔力制御。どうやって身に着けたのか教えて?」
できない。教えられない。魔力の制御は"念"そのもので、"念"を学べば自ずと魔力の使用に年齢制限も、男女の違いもないことがわかる。そうなれば、その方法を、具体的な修行方法を知る自分は周囲からどう扱われるかわからない。それこそ、"念"をどこから学んだのかを問われうっかり前世のことなど話したら間違いなく日を拝むことのできない生活だろう。
「…」
だが、この場でごまかす方法も知らない。
頭がいっぱいになってグルグルして、
「用事を思い出したのでまたいつ「逃がすわけないでしょう!」ぐぇっ」
だからその場から逃げ出した。 逃がしてくれるはずもなかったが。
「曹長も雁淵もいないとはどういうことだ」
「まさかと思ってお部屋にもいったんですけどいなくて」
「…で、朝食の場にも現れずに呼び出したかと思えばどういう状況だこれは」
「わ、私は悪くないんですよ。雁淵さんが抵抗するから」
「あぁ、たんこぶが。これはジョゼさんに診てもらわないと」
全力で念を使ってでも逃げてやろうと思った矢先、石で思いっきり殴られ気づけば知らない部屋で少佐、大尉、曹長に囲まれていた。
「し、少佐、助けてください!ラル少佐!曹長が石で殴ってきて目が覚めたら知らない部屋に監禁されてたんです!」
少佐に助けを乞い、その場をやり過ごすことを考える。うまくうやむやにできれば、と。
「状況証拠含めて言い訳できないだろうこれは…。私たちを呼んだのは何だ?自首でもしたかったのか?」
「曹長…、どうしてこんな…」
「ま、待ってください!せめて話を聞いてください!私だってこんな真似はしたくなかったんですよ!雁淵さんが逃げようとするから!」
「襲われたら逃げますよ!クルピンスキー中尉だけじゃ満足できなかったんですか!」
「伯爵と私がなんだと!?」
「双方落ち着け」
その場を混乱させ、曹長の発言を封じにかかる。この場を切り抜け、何とか口封じできればまだ何とかなると信じて。
「このままでは埒が明かないな…。大尉、両方の口を縛ってしまえ」
「…そうですね。どのみち両方から話を聞く必要があるんです、片方ずつ聞いていきましょうか」
「「ムームー!」」
が、冷静沈着な隊長の判断はこちらの策を台無しにするものだった。
「ふむ…」
「どうしました?隊長。既に縛って5分は経過していますが」
「いやなに、5分経ったらロスマンのほうは落ち着いているのに雁淵のほうが興奮しっぱなしだと思ってな」
「確かに…。もしかして何か後ろ暗いことがあるのは雁淵さんの方なんでしょうか」
「さぁな、それは今から聞いて確かめることだ。曹長の布を外してやれ大尉」
「で?」
「…私は、ひかりさんがやっていた魔力操作訓練について聞きたかったんです」
「魔力操作訓練?」
「隊長や大尉は魔力を石にまとわせて千個の石をそれで割れますか?」
「いや、おそらくは集中がもたん」「私もです」
「ひかりさんはそれをやって、平然としていました。明らかになれた動作です」
「それで?それを知ってどうしたかったんだ」
「あれだけ精密かつ長時間の間魔力を操作する技術、新兵に仕込めればそれだけで生存率は段違いです。より強いシールドや必要魔力量の多い強力なストライカーを履けるようになります」
「なるほど。教育者として見過ごせなかったわけか。で、頭部を石で殴打し、使われてない倉庫にふん縛る理由は?」
「それは、ひかりさんが逃げようとするから…」
「いや駄目だろう」「駄目ですよ」
曹長は顔を背けて黙り込む。大尉は、今度はこちらへと近づき今度はこちらの布を外す。
「で、逃げた理由を聞かせてもらおうか」
「…」
言い訳が思いつかない、逃げることもできない。ただ、口をつぐむことしかできない状況。
「…言いたくないらしいことはわかった。少し聞くが言いたくないのは自分のためか?それとも迷惑がかかる相手がいるのか?」
「…自分です」
「言った瞬間にまずいのか?」
「…えっと、言った瞬間は大丈夫でもいずれ気づきます」
「そうか で、それを言った時点で自分が今危ないということには気づいているか?」
「えっ」
「お前は危機感がなさすぎるな…。今の会話だけでもお前ひとりを適当な理由で拘束し、尋問で少しずつでも情報を得ればいずれ真実にたどり着けてしまうことになる」
「な!」
「本当にそうでしょうか」「いつもの言いくるめね」ヒソヒソ
「で、だ。お前はこの場の人間が信じられないか?お前を売って利益を得るような人間だと思うか?お前とも一緒に戦った人間を信じられないか?」
次々と声をかけられる。よく聞き取れないが502の人たちがそんなことするわけないそう思った。
「言ってみろ雁淵。一人で抱えるな。お前の持つ情報が本当に危ないのなら私たちが守ってやるさ」
「少佐…」
「隊長のほうが一枚も二枚も上手ね」ヒソヒソ
「本気出せば波風立てずに言いくるめられるのに
どうしていつもはああも…」ヒソヒソ
「あぁ、私の時みたいな」ヒソヒソ
4人で普段は使われない会議室へ行く。基地のはずれにあることから誰も近づかないらしい。話しにくいことを言うのならそのほうがいいだろうという気づかいだそうだ。
先ほどから、なんだか胸がすくような気持ちでいる。秘密を隠さないで済むことがこんなにも気を楽にさせるなんて。
会議室にて、3人が席に着き、"俺"は前に出る。
「口で説明するよりも見てもらったほうが早いですかね」
そういって使い魔なしで魔力を扱う。置いてあったメモ用と思わしき紙に魔力を通し、壁へと投げる。手前にあった花瓶をすり抜け石壁に半ばまで突き刺さった。ちょっとしたデモンストレーションだ。
「!? 使い魔はどうした!」
「これが私の隠していたもの、つまり、"使い魔なしで魔力が使えるようになってしまう方法"」
とたん、隊長の顔がこわばる。
「それは、"誰でも"か?」
「それは"イエス"でもあり"ノー"でもあります。私は、使い魔との契約があったから苦労なく使えましたがそうでないならどうすればいいかはわかりません」
「方法は?」「修行するしかありません。"念"の修行を」 「"念"?」
「私が勝手にそう呼んでいる魔力を操作する技術のことです」
「魔力を操作する技術!」
曹長が反応する。
「それは私たちにも使えるものか?」
次の少佐の質問は、必ず来るとそう思っていた質問だった。
「できます。だって私ができたから」
ひかりちゃんの中の人は前世補正で頭がいいと思い込んでる強化系なので、当然経験積みまくった人間に勝てるわけがないのです