最後の場面、あれが書きたいが為に頑張っただけです。はい。
追記:水柱の名前がとあるキャラと被っていることに気付きましたので、修正しました。
多少の
「面白い評価を下しますね。まるで、その程度の存在だとでも言うかのようですね」
その中で、
「あの男は、確かに力があります。知恵も知識もあります。物事を冷静に見る目もありますし、何より長年存在してきたという経験があります。しかし、それはあくまで
それなりに
恐らく、
人は分からない物事を怖がる。だから、何かしらの理由などを付けて、分からないなりに分かったことにしてきた。時代が進めばそういった疑問の多くは化学や科学が解決してくれるだろうが、この時代では、まだまだ亡霊や妖怪といった
よって、周りの柱から創里へ向けられた視線は、決して彼を
知らないことが恐怖へ繋がるなら、知ってしまえば良い。だから創里は、必要以上に
そう言った意味も込めて簡潔に補足すると、一部を除き、多くの柱が
「容姿は分かりますか?」
「私が見た時の姿形で良ければですが」
「なるほど。確かに鬼の中には
「はい。私が見た時は細身の男性の姿でしたが、もしかしたら女性に
「性別まで変えますか」
「あくまで可能性ですが」
「いえ、信じましょう。何より、実際に戦った
「感謝
それからも、守通だけでなく各柱からも、無惨が使ってきた技や
創里の使用する
元々
勿論、単純な技術のみで戦えるのかと疑問に思う者もいたが、しかし自身が敬愛するお館様が何も言わないのであればと、口に出さないことにしたのだ。
そして、無惨の情報を
「今回の柱就任に関してですが、
「
「よろしくお願いしますね。虎恭、この後少々よろしいですか?」
「は!」
「他の皆さんは、各自で交流して下さい。この機会です。それぞれ自己紹介をして、お互いの理解を深めましょう」
「「「「「「「「「
そうして始まった交流会。当たり前だが、新人の柱である創里の周囲には人が集まり、それぞれ言葉を
「先程は失礼しました。わたくしの名は
「この
先程、宗教対立していた二人だ。二人共
(この二人が仲悪いのって、
見た目の違いで言えば、釋縁連は坊主頭で細目をしており、作吉は、髪は黒く短く切り
「この二人はいつものことじゃ。放っておけ。
「はい」
創里よりも少し低い身長の、見た目四〇代後半の男性。しっかりと
「私達も紹介良いかな?」
次に話し掛けてきたのは、後ろに二人を置く女性だ。恐らく虎恭と同年代のベテランの風格を
「私の名前は、
唄の言葉を受けて二人の男女が前に出る。どちらも二〇代前半か一〇代後半といった所だろう。
「
「
「え、は、はい。よろしくお願いします」
(やっぱ柱ってキャラ濃いのばっかだなぁ……九十九さんのは、まぁ何となく分かるとして、たえさんのは
と、安心したのも
「二人共自慢の弟子だよ。だけどねだけどね。私は二人のどちらかに水柱を継いでもらいたかったのさ。それなのに何で二人共独自の呼吸を見つけちゃうかね。私は早く隠居してのんびりまったり
(この人もこの人で濃いな! というか、のんびりまったり辞世の句を読み続けるって何だよ! 死ぬのか? 死ぬ気なのか? 隠居するのに死ぬつもりなのか? のんびりまったりはどこ行ったよ! それともあれか、遺書を書くのが趣味とか、そういうのか。それなら理解は出来ないが、そういうのもあるのかと分からなくもない気がする。俺は分からん!)
宗教家の二人に言動がおかしい水関連の三人。直情的だが割とまともな理太郎は引退してしまったので、残るまとも枠は創里本人を除けば師匠である炎柱のみ。となると、残すは二人。この二人がどちらに転ぶかで、柱の異常性が決定する。
「
「ぐひひひひ……
「岩さん! 違う! 三助! コイツ!
「ぐひひ? よろしく、ぐひひひひひひひひ」
(こええよ! これ、二人共コミュニケーション能力というか言語能力
結論、柱は異常者だった。
それからは、思い思いに交流し、その際に何故か筆と
(この人、隠居するまでもなく辞世の句書いてるんじゃね?)
そんな疑いを残しつつ、創里は受け取った短冊とそれを書いた人の顔を見比べて、出来るだけ覚えられるようにする。理太郎は、既に柱ではないからという理由で書くことを
「
「打ち解けているように見えますか?」
「うむ。これで私が、彼等の相手をする機会が減ってくれるとありがたい」
「やはり、師匠もあの人達の相手は大変なのですね」
「うむ。そうなるな」
守通との話を終えたのか、虎恭が創里の
「さて」
それを合図に、二人は揃って守通の所まで移動する。
「話とは何でしょうか?」
「虎恭は何と?」
「何も。ただ、先程の流れから、私に何か聞きたいこと、もしくは確認したいことがあるのだと思っただけです」
「
「
「では、上がって下さい。誰もいないとはいえ、外で出来る話でもありません」
「「は! 失礼します」」
広い屋敷である為、部屋の一つ一つがとても広いのだが、創里達が通されたのは、僅か六
(一般庶民からしたら十分な広さなんだけど、何というかさっきからスケールの違いを見せ付けられていたから、
守通が正座をし、その正面に二人並んで同じように座る。
話の内容は、先程の会議で触れなかった痣に関することである。ただ、そのことは一年以上前、まだ最終選別を受ける更に前に既に伝えているはずである。そして、痣のことは産屋敷家の
だが、透き通る世界。これに関しては虎恭にも伝えていない。目で見て分かりやすい痣や赫刀と違い、透き通る世界は見た目では分からない上に、言葉で説明することも難しい。医術、特に
そして何より、痣が寿命を縮めることは過去の文献で証明されているとしても、それを透き通る世界で取り戻せるというのはどこにもない。つまり、ここで透き通る世界が見えると証明出来たとしても、それで何故短命ではなくなるのかを説明することが出来ないのだ。創里の想像はあくまで想像でしかなく、持論、仮説の域を出ない。
だがそれも、仮に相手が納得したとしよう。そうすると、今度は“どうやって”その知識を得たのかということになる。
痣を発現した者は例外なく二五歳で死ぬ。その前例を
「先程の柱合会議では出しませんでしたが、創里の身体に関わることです。痣が発現し、戦闘能力が
「は」
静かに頭を下げる。
「しかし、忠告しなければならないことがあります」
「はい」
「痣を発現した者は、確かに戦闘能力が上昇します。これは、産屋敷家に代々伝わる書物にも
「何ですと。やはり、創里のこれは意味があったということですか」
「そうですね。実際に彼の力は
「では、我々もその痣を出すことが出来れば、更なる強敵にも対抗出来るということですか。ならば、私含めて他の柱にも創里の蒸の呼吸を身に付けさせれば……」
「それが、そういう訳にもいかないのですよ」
虎恭の言葉を
「痣が浮き出た者は、例外なく二五歳で死に至ります」
「なっ……」
創里は当然知っていたが、鬼のような痣が浮き出た、刀が熱を帯びたかのように赤くなった、という現象しか知らなかった虎恭は、そのメリット、デメリットを聞き絶句した。
「では、創里は……」
「残念ながら……」
二人して沈んだ空気となっているが、創里本人としては恐らくであるが、解決出来ていることである為、割と
「私は、二五では死にません。とはいえ、何も
「創里。私達のことを思ってか知らんが、お館様の前であまり
「出鱈目ではありません」
そうして、彼は、透き通る世界について語る。その内容は二人を驚かせるには十分なものであった。創里が話せる範囲のことを話し終えた時に、沈黙が辺りを
二人共、信じて良い話なのか判断しかねている様子であったが、いち早く再起動した守通が正面から創里の目をジッと見つめて言った。
「その知識はどこで得ましたか? 痣や赫刀については確かに書物にはありますが、
言葉だけ見ると
「言えません」
であった。
「なっ!」
「なるほど」
虎恭は、戸惑いと怒りと疑問とがごちゃ混ぜになった表情を見せる。しかし、守通はどこか納得したかのような穏やかな笑みを浮かべていた。
「分かりました。信じましょう」
「お、お館様っ?」
「え、えぇと……お館様? よろしいのですか?」
思わず創里も師匠に続いて聞いてしまった。いくつかの押し問答をし、最悪信用を失う覚悟も持っていた。だが、結果はあっさりと信じられてしまった。
「ふふ、では、話して頂けるのですか?」
「そ、それは、申し訳ないですが、出来ません」
「でしたら仕方ないですね」
(えー……どういうことなの?)
「二人共、面白い顔をしていますよ? 流石師弟ですね。似てないようで似ています」
「む」
「え……?」
「安心して下さい。私は創里の言葉を全て信じた訳ではありません」
そこで一旦言葉を切り、笑みを消す。そして、真剣な眼差しで真っ直ぐに創里を見つめる。
「ですが、貴方の覚悟を信じています。その目の奥にある、強い想い。それはどれだけ言葉を重ねるよりも分かりやすく、相手を判断する材料になり得ます」
その雰囲気と言葉に、創里も虎恭も何も言えなかった。
「もしかしたら、貴方は鬼殺隊に新たな歴史を
その言葉を最後に、守通が立ち上がったことで話し合いは終了となった。
その後は、来た時と同じように
「私は、お前の言葉を信じたいが、如何せん材料が少なすぎる」
「はい」
「だが、お館様が信じると言った。ならば、私も信じよう。何より、お前は私の
「師匠……ありがとうございます」
「良い」
こうして、創里の初めての柱合会議は終わりを迎えた。しかし、
「つくりー! つくりー!」
「あらあら……」
目が覚めたら創里の姿がどこにもなく、また耳に届くのは知らない場所の音、知らない人の声、そして見知った気配が近くにいないことを察した彼女は、泣きじゃくりながら創里の名を呼ぶゆきの姿があった。
すぐさま、創里はあやすが知らずに置き去りにされていたゆきの機嫌は直らず、一緒の布団で寝るという彼女の要望を渋々受け入れることで、一応の仲直りとなった。
これにて、ようやく一連の騒動は
江戸コソコソ話
当初の予定では、水の一門は割と普通に書いていました。ですが、やはり柱はぶっ飛ばなきゃ駄目だと謎の信号をキャッチしましたので、こんな変人共になりました。変人ですが、見た目は良い(特に波柱と雫柱)ので、それぞれ異性の隊士からは人気があります。