鬼と戦うパートとほのぼのパートのどちらかになってきました。
ほのぼのパートは、ただひたすらゆきちゃんの可愛い様子が書きたい。遊郭兄妹の成長も描きたい。
どんどんと捨て子や孤児を拾って、屋敷を孤児院か幼稚園にしたい。年齢的には小学生ですが。
あくまでただの願望なので、書くとは限りません。
「みいつけた」
「みつかっちゃった」
「というか、おゆきはズルいんだなあ。最初から見えていないから、隠れてもむだだよなあ」
現在、ゆき、
創里に拾われてから約一年半。そして彼の
とはいえ、修行をサボっているということもない。修行に当てる時間が減ったことは確かだが、心のゆとりと絆作りも必要だと創里の判断で、こうして遊ぶことが出来ている。しかし、修行時間が減ったからといって
山での鬼ごっこと、呼吸の練習の時間を削った分、最近は奇妙な訓練が追加された。
大工の次男である創里の手作りで用意されたもの。それは、
疑問に思ったゆきは、理由を問うた。すると……
「ゆきは小さい。まだ成長する余地があるとしても、今のままではまともに刀を振ることは出来ない。そこでそれを使って、身体に合わせた訓練をする」
ゆきはまだ幼い。数えで一一。実質一〇歳である。何歳に最終選別へ出すという明確に創里の中で決めている訳ではないが、ある程度身体が出来上がってからにするつもりである。それを受け入れたゆきは、以来、暇さえあれば庭でその奇妙な棒と紐を振り回すようになった。
紐は軽く、風で
「俺も負けないんだなあ」
そうしてゆきが修行を始めると、決まって張り合うように太郎も木刀を持って参加する。それを梅が縁側に腰掛けて眺めるのが日課となっている。
いずれは鬼殺隊に入るという目標を掲げているゆきに対して、太郎のそれは特に目的等がある訳でもなく誰かから強要されていることもない。
縁側で眺めているだけの梅の横には、いつの間にか使用人が現れて、一緒にあやとりをして遊び始める。
そこでふと、ゆきが屋敷の門へと振り向く。そしてトテトテを走り出した。屋敷に来て日が浅い兄妹はそれを見て首を
「つくり! おかえりなさい!」
「おう、ただいま」
屋敷の
今回、
「それの訓練は慣れたか?」
「まだむずかしい」
「そうか。まぁそうだろうな。だが、きっと必要になる。頑張れよ」
「うん!」
ゆきにとって、創里は命を救ってくれた恩人であると同時に、大切な家族である。元々の家族と仲が悪かったということはないが、自身を捨てたということは幼い彼女の心に傷を付けた。目が見えないこともあって、余計に知らない世界は不安で恐怖で、心細かった。いつか迎えに来てくれると信じていたが、それは叶わず、また別の場所へ引き取られた。そこでは直接の暴力こそなかったものの、暴言等の虐めに
そしてあの夜。
光を映さない自身の目であるが、彼の存在は不思議と眩しく、閉じられたままであるはずの
最初、その気持ちが分からなかった。
父親を彼の中に見ていたのか、自身の知らない兄という存在を見ていたのか、あるいはいたこともない友人か。
彼女の中で両親の存在は、苦い記憶で終わっている為、そうでないと首を振る。しかしその他のことは経験がないから分からない。彼女は、その分からない気持ちを
一年前の覚悟を表明し
「創里さんお帰りだな」
「つくり。お帰り!」
「おう、ただいま」
ゆきに遅れて兄妹が笑顔で創里を迎え入れる。
「お土産買ってきたから、
「「わーい!」」
「分かったんだな」
諸手を挙げて喜ぶ妹と義妹に呆れつつも、太郎も楽しみにしていたようで包みを受け取る。
「それと、ゆき、後で話したいことがある。まだ早いかもしれないが、善は急げとも言う。呼吸と型に関することだ」
「うん、分かった」
身体の小さいゆきには炎の呼吸は難しいと言われ、かといって
(私、今よりもずっとつよくなれる!)
今の彼女の目標は鬼殺隊へ入り、創里の隣で刀を振ること。そして創里とその家族、家を守ることである。それに少しでも近付けるのであれば大歓迎である。
話は報告書をまとめてからということで、それまでの間は素振りを再開することにした。未来の人が見れば、それはまるで新体操のリボンのように舞うような動きとなっていた。最も、長さ太さに大きすぎる違いがあるが。しかし、まるで舞踊のような一連の流れは、見る人を惹き付けるような何かがあった。
しばらく訓練を行っていたら、創里が仕事を一段落させて庭に現れた。ゆきの動きを見て小さく頷く。それから彼女を自室へ呼び、話を始める。
「ゆき」
「うん」
「色々考えたが、盲目の
そう告げられ、ゆきは身体がピクリと反応する。だが、声を上げたり動揺したりするような様子もなく、黙って続くであろう言葉をジッと待つ。創里はその反応に対して特に何も言うことなくそのまま続けた。
「だから独自に作ろうと思う」
「作る?」
「そうだ。元々は一つの呼吸が、使い手の身体能力、体格、性別、性格、武器等によって枝分かれして、今のように細分化されている。ならばゆき、お前もお前に合った呼吸を作るべきだ」
「私に合った……」
呆然と呟く。
一瞬、自分には鬼殺隊は無理だと告げられるのかと不安に思ったが、すぐにそれはないと否定されたことが嬉しく、しかしその意味がよく分からず言葉を繰り返してしまう。
「どうやって?」
一拍開けて出て来たのは疑問の言葉。
「大丈夫だ。俺だって独自に呼吸を生み出したんだ。参考に出来る部分は少ないだろうが、俺の経験をお前に教える」
「……分かった」
「それを身に付ける為に、これまでの体力強化、筋力強化に加えて、身体の柔軟性も念入りに伸ばしていくぞ」
「じゅうなんせい?」
「あぁ、肩や股関節等といった関節部の可動域を増やすことで、より複雑な動きが出来るようになるし、怪我もしにくくなる」
「うーん……?」
ゆきに理解出来たのは、怪我をしにくくなるということだけ。それより前の部分、複雑な動きというのは想像も出来ないし、更に前の間接
その様子に、創里の表情に小さく笑みが浮かぶ。
「いつも身体を動かした後に、体操をしていただろ? あれだよ。あれを更に時間を掛けてゆっくりやることで、柔らかくしなやかな身体になる」
「つよくなる?」
「なる。絶対に」
「分かった!」
創里が彼女に身に付けさせようとしているのは、原作に登場する柱の一人、
過去にある呼吸を派生させるならともかく、未来の呼吸を派生させるなど
最初から教えなかったのは、迷いがあったからだ。炎の呼吸の適正がなければ、他の呼吸の使い手へ継子を渡す必要が出てくるかもしれない。それはこの子の面倒を最後まで見ると覚悟を決めた創里もだし、何より彼の側を離れたくないというゆきの思いも一致している。
恋の呼吸の派生。正しく言えば、技等を参考にするというもの。炎の剣技も取り入れるし、またこの時の為に元
これで準備は整った。
「ゆきの今後の身体の成長次第だが、少なくとも俺より大きくなることは難しいと思う。やはり、身体が大きいというのはそれだけ刀を振る時に力を入れられるし、そうすることで鬼の
「えぇと、ぶき……刀?」
「そうでもあるが、もっと根本的なものだ」
「あ、からだ」
「そうだ。そして身体だけでなく心、技術も必要だ。心技体。これらが合わさることで、本物の力となり、鬼の頸へ刃が届くようになる。まぁ、そのままではまともに刀は振れないから、そちらも改良するが……ここまで分かったか?」
「何となくだけど分かった」
「何となくかー……」
言葉では突っ込むが、そこに呆れはない。彼女なりに今、そして後に必要なことを大体理解して、自分のものにしようとしているのが分かるからだ。
恋の呼吸……ではなく、あくまで炎の呼吸を派生させる形で新しい呼吸を生み出す。流石に蜜璃のような、筋肉が凝縮されて常人を遙かに超える筋肉量を持つ
これで、ゆきの覚悟良し。修行内容も良し。刀も多分良し。技も、今ある知識、特に前世のものを参考に、原作の『鬼滅の刃』だけでなく他の作品からも取り入れたりして、彼女に合ったものを作り上げるから良し。
そこまで考えた所で、創里は「あ」と声を上げた。
「呼吸の名前、決めていないな。ゆき、何か良い名前あるか?」
「私がきめていいの?」
「当たり前だろ? 何せ、お前の、お前だけの呼吸だ」
「私だけの……」
「今すぐに決めなくても良い。じっくり考えて答えを出せば良い」
そう助言するも、ゆきは首をフルフルと振った。
「決めた」
「早いな。最初から決めていたのか?」
「少しちがう」
「少し?」
「炎の呼吸も蒸の呼吸もむりって言われたから、じゃあどんな呼吸があるかなって、考えてた」
「なるほどな」
それは漫画やアニメを観て、独自の呼吸を作るちょっとアレな病気的なものだろうかと脳裏を
「それで、何て名前だ?」
「
ここに、ゆきのオリジナルの呼吸が誕生した瞬間であった。
江戸コソコソ話
ゆきの会話の中で、漢字表記だったり平仮名表記だったりしますが、これはゆきは目が見えないので漢字、文字が分からないことから来ています。
ただ、全てを平仮名にするとややこしいし面倒くさいので、必要な部分と、簡単な部分だけは漢字にしています。
梅は、まだ幼いので(ゆきの一個下だが)漢字能力はまだまだですが、今後の成長でちゃんと覚えます。