鬼滅の刃~蒸の呼吸~【完結】   作:木入香

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 主人公かな?(錯乱)
 そして遅々として物語が進まないw
 あれです。引き延ばし作戦とかではないです。
 主人公が黒死牟と戦うイメージがまだ出来ていないだけです。


第弐拾肆話 餞別と選別

 三年以上が経過した。

 現在創里(つくり)は数えで二二歳になっていた。ゆきも一五歳、太郎(たろう)が一六歳で(うめ)も一三歳になっていた。

 創里は特に見た目に変化はないが、子供の成長は早い。

 ゆきは身長を伸ばして五尺(約150cm)となり、身体付きが女性らしいものへとなっていた。前髪で隠れているものの、元々見目は良く可愛らしいものであったが、それも多少幼さが残ってはいるが十分美人と言える。髪は黒のストレートが腰を超えた辺りでキープし、毛先を整えている。前髪も相変わらず長く、盲目で閉じられた目を完全に隠すように鼻を超える程の長さがある。鍛えていることもあって腕や脚はしっかりと引き締まり、しかし女性らしい柔らかくしなやかさを持った、とても荒事をするような身体には見えない。

 梅は四尺五寸(約135cm)と小柄ながら、ゆきよりも身体のメリハリが出ている。よくゆきと一緒にお風呂に入っているが、その度に「負けた……」という言葉を創里は耳にしているが、聞き流すようにしている。髪はゆきと同じように伸ばしているが、前髪はしっかりと切り揃えられていて、その喜怒哀楽がハッキリした表情を惜しみなく(さら)け出している。こちらも相変わらず幼い部分がまだまだ目立つが、少し化粧を(ほどこ)すだけで化ける程の美人に成長している。そんな妹に変な虫が寄り付かないかと、兄の太郎は日々心配している。

 その太郎だが、身長は大きく伸び、身体もガッチリとした男性らしいものへと変貌(へんぼう)していた。遊郭(ゆうかく)での過酷な生活から解放され、かつ屋敷での栄養豊富な食事を沢山食べ、しっかり動き、その後は爆睡するを繰り返した結果、身長は五尺三寸(約160cm)の創里を大きく超えて六尺(約180cm)に迫るのではないかと思える程の高身長になっていた。髪は整えるつもりがないのか短く切られているが相変わらずボサボサである。目付きが鋭く、鼻を中心とした顔の大部分に広がる先天性の(あざ)のせいもあって、初対面の人は彼を見て恐怖を(いだ)いてしまうこともあるという。

 三人とも長く屋敷に住んでいるが、何もずっと屋敷にいる訳でもなく、時々気分転換に街へ出掛けることもある。その時は創里が付き添うことがあったりなかったりするが、大体のことは太郎が一緒にいれば問題なかった。親馬鹿が発動して念の為にと(かくし)を一人ないし二人を派遣し、隠れて見守らせていることはゆき以外気付いていない(ゆきは知らない振りをしている)。

 街へ出ると、美人の女性が二人並んではしゃぎながら買い物をしていることもあり、時折ナンパに遭遇(そうぐう)した。しかしそれは太郎がいることが抑止力となって、その数はさほど多くない。創里から見ても、怒りの形相を浮かべた太郎は、(まさ)に鬼と言えるような恐ろしいものである。

 そして、いつの間にか遊郭兄妹も呼吸と刀の練習を始めていた。

 鬼殺隊(きさつたい)に入ることを目指すのかは未定らしいが、とりあえず身を守る力が欲しいと、守られるだけは嫌だと始めたらしい。らしいというのは、この件に創里は関与しておらず、二人の話を聞いたゆきが勝手に教えていたようなのだ。特に何もするなとは言っていなかったので、完全に失念していた形となる。本来ならゆきにしたように覚悟の試験を受けさせるつもりだったが、そこはまた今度、本格的に鬼殺隊を目指すようになったら改めてすることに決めたのであった。

 そして本日。いよいよゆきが最終選別へ出発する日である。

 

「良く似合っているぞ」

「本当?」

「おう」

「うれしい」

 

 彼女へは餞別(せんべつ)代わりに着物を新調させた。空色の生地(きじ)と白色の生地を、太もも辺りから足首より上にある(すそ)へ向かって空色から白色へ変わるようなグラデーション(濃淡変化)になるようにデザインした。そして、水色の生地には、白色の小さな菱形(ひしがた)模様が散りばめられており、それはまるで雪が舞う空と降り積もった雪を表すかのようなものであった。帯は、創里とおそろいの紺色のものを使用している。履物(はきもの)は、下駄(げた)。歩く(たび)にカランコロンと木の音色(ねいろ)が響く。

 隠密性を求めるなら地下足袋(じかたび)か、妥協しても藁草履(わらぞうり)なのだが、ゆきが下駄の音を気に入っているので親馬鹿創里は強く言えず、そんな柱が上司であり家主である為、使用人達も何も言わない。

 そして「これも」と一本の細長い白い木の棒を差し出した。

 

「何とか間に合って良かったな」

「うん」

 

 ゆきに通常の刀の形をした日輪刀(にちりんとう)を扱うことは出来ない。元々木刀を長いこと素振りさせていたので心得がないということはないが、本格的な戦闘訓練で用いたことがなかったので最終選別へ持たせる日輪刀に迷っていたのだ。

 そもそも創里は予備の日輪刀を持っていないので、貸し出すことも出来ない。そこで、半年前に創里の日輪刀(バスターソード)を打った鍛冶師の鉄仞(てつじん)(ふみ)(手紙)を飛ばし、事情を説明。以前、ゆきの模擬刀を打ってくれた腕を買って、是非、特例であるがゆき専用の日輪刀を打ってくれと頼んだのだ。

 

「どの程度の腕かを見定める。それによっては例え柱である(わっぱ)の願いとはいえ、断ることにする」

 

 と、いつもの能面のような仮面を被った年配の男性が屋敷までやってきた。

 そして庭で披露(ひろう)されたゆきの舞いを見て、その実力の高さに驚いた彼は、早速取り掛かると言って里へ帰っていった。

 それから五ヶ月。強度としなやかさを高水準で両立させ、細さ鋭さも一級品の、しかし刀とは言えない、ゆき専用の日輪刀が届いた。時間が掛かったのはやはり、細さを維持したままの強度の調整だったらしい。そして刀身、ゆきはこれを(げん)と呼んでいるが、それの長さが七尺(約2m)と非常に長く、鞘に納めることが難しいとされていた。それを途中で折り曲げることで長さ三尺(約1m)の鞘に入るようにした。折り曲げても決して折れることなく、鞘から引き抜けば、折りたたまれていたとは思えないくらいに綺麗な線を描く。

 鞘に納められた状態の刀は一直線の棒のようになっており、継ぎ目は見えない。長さは三尺(約120cm)(つば)はなく、また余分な装飾もないシンプルなものとなっている。

 刀を納める時には手首のスナップでばらけた刀身をまとめ、穴に通すらしいが、創里にはその原理は分かっていない。使用者の微妙な手首、指の動き等に合わせて、自由自在に動くが、一歩間違えれば自身へと牙を()くので注意が必要と念を押された。しかし、早速試し斬りをしたゆきは迷いなく振るい、すぐさま自身の手足のように扱ってみせた。

 これには鉄仞も驚きを隠せないでいたが、これなら最終選別は問題ない。それ所かあっという間に柱候補だと言って、満足そうに帰って行った。

 最終選別まで一ヶ月を切っていた。

 そして刀を完全に自身のものにすべく鍛錬(たんれん)を行う内にあっという間に時は過ぎ、出発日となったのである。

 

「もし日輪刀がなければ、更に伸ばしていたが、何とか今回のに間に合った」

「別になくても良い」

「駄目だぞ?」

「生き残るだけなら出来る」

「それでも、万が一というのがあるからな。攻撃力を持たない女子(おなご)等、鬼達はこぞって襲い来るに違いない」

「大丈夫。私は死なない。だって、つくりの継子(つぐこ)だから」

「実力は確かに十分ある。ただ、最終選別は力だけを示す場ではない」

「?」

 

 そこで彼女は首を(かし)げる。

 

「最終選別に参加する者達は皆、鬼と戦うのは初めてな連中だ。それはゆき、お前も変わらない」

「うん」

「その時に、本物の死への恐怖というものと戦わなければならない」

「うん」

「詳細を語ることは出来ない。ただ、あの試験は参加者の心が試される」

「うん」

 

 同じ返事を繰り返しているが、ゆきは真剣に師匠の話を聞いている。

 

「まぁ生半可な(きた)え方はしていないが、それでもやはり武器は必要だと思うぞ?」

「うん」

「それと、俺の権三郎(ごんざぶろう)を貸してやる。権三郎、ゆきの案内を頼んだぞ?」

「カー」

 

 目が見えなくても移動は問題ないが、場所が分からなければ行きようがない。そこで創里は自身の相棒の鎹鴉(かすがいがらす)を貸し出すことで解決した。到着したら戻ってくる手はずになっているので、仮に任務を与えられたとしても支障はないと考えている。

 

「行ってきます」

「生きて、帰ってこいよ?」

「うん」

「応援してるぞ。頑張るんだなあ!」

「うん」

「おゆきちゃん、頑張って!」

「うん」

 

 それからも屋敷の住人の皆で見送られて、ゆきは初めて一人で外の世界への一歩を踏み出した。

 

「カー」

 

 否、一人と一羽である。

 道中、余計な会話はなく、時折分かれ道で方向を示す程度。それ以外は、どこかへ飛んでいってしまう等、道案内として正しいのだろうかと疑問に思うくらいに奔放(ほんぽう)であった。

 それから半日以上、時折休憩を挟みつつも歩き続けた結果。無事に最終選別の舞台となる藤襲山(ふじかさねやま)(ふもと)に到着することが出来た。そして、役目を終えた権三郎は「カー」と一鳴きして帰って行ってしまった。

 本格的に一人になってしまったことに若干の心細さを感じるが、そんな弱い心には負けないと一人「よしっ」と気合いを入れて前に進む。

 

(この階段の先がそうなのかな?)

 

 長い長い階段。そしてその脇から漂うのは、時折屋敷で()いだことのある匂い。それは鬼避けとして用いられるお香と同じ香り。

 

(藤の花の濃い匂い……優しいけど、悪いものを嫌がっ(拒絶し)ている感じ。これがずっと続いている)

 

 一段ずつ上がる(ごと)に響く、木と石がぶつかる音。

 日が沈み、月昇る。

 その場面だけを切り取れば、彼女の(たたず)まいはとても幻想的で、時折吹く風によって前髪が撫でられ(あら)わになる素顔は、とても美しい女性像を(かたど)っていた。素顔を見てしまったのならば、普段の顔の半分が前髪で(おお)われている不気味さなど全く気にならない。むしろ、奥ゆかしさが出ていて、この時代でなくてもそれが良いと言う男性は多いと思われる。

 

(階段の終わり。ここかな?)

 

 どうやら広い空間に出たようだ。周囲の気配を探ると、若い男女が合わせて二〇名程度。皆、緊張した様子で、張り詰めた空気を感じる。

 そんな中で、下駄の音を鳴らして現れた女性に、一同は驚く。

 

(何だこの(あま)? 鬼を狩るのに下駄だと?)

巫山戯(ふざけ)ているのだろうか?)

(あの者もこの最終選別の参加者なのか?)

(手にある細長い得物は、日輪刀か? しかし鍔がなければ()ってもいないぞ?)

(何か、美人じゃね?)

(前髪で分からないけど、多分美人だな)

 

 様々な思いがあることなど(つゆ)知らず、迷いなくゆっくりと真っ直ぐ歩く。そしてある地点まで来た所で立ち止まると、口を開く。

 

「あなたが、ここの偉い人?」

 

 その鈴が鳴るかのような可愛らしい声に聞き惚れるよりも、彼女が話し掛けた相手にまたも周囲は驚愕した。

 

「おや、私から話し掛けるつもりでしたが、気付かれていましたか?」

「? うん。最初からいたでしょ?」

「そうですね。あぁ、皆様、本日は最終選別へのご参加ありがとうございます。本来ならば当主様自らが訪れて挨拶を行う予定でしたが、生憎(あいにく)体調が(すぐ)れず、代理として私、産屋敷輝正(うぶやしきてるまさ)が、恐縮ですがこの場を取り仕切らせて頂きます」

 

(お館様は守通(もりみち)って名前ってつくり言ってたから、その子供?)

 

 そこには、梅と同世代だろうと思われる少年がいた。しかしただの少年にしてはその身にまとう雰囲気は明らかに自然そのものと同一であり、つまりは異常であった。

 

(気配もなく自然に溶け込む能力(ちから)……だっけ?)

 

 確かそんな話を創里がしていた気がすると、記憶の隅を(つつ)いている間にも話は進む。思考の波を漂いながらも、しっかりと話は聞いていたので問題ない。

 七日間をこの山の中で過ごす。山の中では鬼が出てくる。生き残った者だけが合格者だと告げられる。

 いよいよかと気を(たか)ぶらせ、各々(おのおの)別れて開始地点へと移動する。

 そして、藤の花で覆われた結界を通り抜け、未知なる弱肉強食の世界へと足を踏み入れた。




 江戸コソコソ話

 ゆきちゃんは寸胴ではありません。ちゃんとそれなりに出るとこ出て引っ込むとこは引っ込んでいます。江戸時代だからそんな体格にメリハリがあるとは思いませんが、一応二次元のスタイルはファンタジーですので問題ありません。
 二つ下の梅ちゃんはもっとスタイルが良いです。(今は身長が低いことも相まって)ロリ巨乳です。今後の成長でスリーサイズに合った身長になっていくので問題ありません。イメージされる程巨乳でもないですけど、一応補足です。
 次回はいよいよ奏の呼吸のお披露目です。
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