追記:誤字報告ありがとうございます。
「う、うーん……?」
幼女は目を覚ます。しかし
「
「大丈夫か?」
「ひっ!」
聞き慣れない男の声にビクリと肩を
「怖い思いをしたな。どこか痛い所はないか?」
その声は、荒っぽく乱暴な感じがする。それ
「だ、いじょう、ぶ……」
「そうか」
「うん……」
話が続かない。
どうしたものかと、創里は自身のボサボサ頭を
屋敷にいた人は、この幼女を除いて全員の死亡を確認。あれだけ派手に
女は鬼にとって栄養価が高く、手っ取り早く力を付けるのに良いらしく、更にそれが若い女ともなればご
昨夜、この屋敷をターゲットにしたのは、若い女性が多くいるから食べる為に来たのか。それとも、一部の死体は体内から食い破られ、そのまま食い散らかされたかのようにバラバラになっていたことから、戦力集めも兼ねて鬼を増やそうとしていたのかもしれない。ただ、全ての人間が無惨の血に耐えられる訳ではなく、適合者でなければ鬼になることすら出来ず、その命を終える。
すっかり日が高くなり、屋敷の中は
戦闘後、創里は幼女を
幼女を救出した後は、目の届く位置に寝かせ、自身は隠が到着するまでの間、出来るだけ多くの死体を見つけて上げようと
(落ち着け。怒りで我を忘れては駄目だ。平常心で、呼吸を整えるんだ)
戦闘時は創里独自の呼吸法である、全身の細胞一つ一つから直接酸素を取り込む
「あー、そうだ。まだ名前を名乗っていなかったな。俺は創里って言うんだ」
「……え?」
「名前だよ。俺の名前」
「つく……り?」
「おう」
「つくり?」
「そうだ」
「えへへぇ、つくり!」
(何だこれ、可愛いな。はっ、いかんいかん。俺はロリコンじゃない!)
気を取り直して、今度は幼女の名前を聞く。
「俺は名乗った。じゃあ次はお前さんの番だ」
「私?」
「そうだ。いつまでもお前さんや女じゃ味気ないだろ? 聞かせてもらえないか?」
「……すず、むし」
「お前さんそりゃ
「ひぅ……」
「あー悪い悪い」
(まだ数えで一〇歳か、それに満たないくらいの見た目だ。ともなれば、良くて見習い。あるいは見習いの見習いか。その状態ではまだ源氏名はもらえないはずだが……)
そう思いながらも幼女を観察する。しかし目が覚めてから本当によく泣く。
(
昨夜の出来事について、幼女の記憶から抜け落ちていることを知らない創里は「無惨の野郎め」と
(
確かに、屋敷の奥の
(ということは、無惨はこの
静かに息を吐き、もう一度ゆっくり、出来るだけ優しく問い掛ける。
「お前さん、本名は?」
「……ゆき」
「ゆきか。何だ。ちゃんと良い名があるじゃないか。うん、そうだな、ゆき」
「え?」
「俺と一緒に来るか? それで一緒にゆきの両親を探そう」
「いいの?」
「おうよ」
「……行く。一緒に行く」
そこには、先程まで泣き続けていた幼女の姿はなく、しっかりとした意志を感じた。
「分かった。じゃあ、まずは……飯を食おう」
その後、残りの事後処理を隠と、引き継ぎに来た先輩だけど階級が下の隊士に後を
街で遅めの
藤の
鬼殺隊の最高戦力を表す称号、柱。柱は九人で構成されており、それぞれ呼吸法と柱を合わせて呼ばれていたりする。虎恭は、炎の呼吸の柱であることから、炎柱としての出席だ。りよから話を聞くと、臨時の
話し合いの内容はおおよその
(俺ももしかしたら
「所で、そちらの子は?」
「あ、忘れていました。今回、鬼の被害に遭った子供で、助けたは良いのですが身寄りがないので、引き取ってしまったのです。申し訳ないのですが、しばらく屋敷に置いてもらえないでしょうか? もし部屋が埋まっているようでしたら、俺の部屋を使ってもらって構いません。俺は外で寝ますので」
ゆきは、創里の腕の中で「スースー」と気持ち良さそうに寝息を立てていた。結構競歩も顔負けの早足での移動だったにも関わらず、適度な
「私は構いませんよ。主人もきっと
「いや、その必要はない」
「え?」
「あら、お帰りなさい」
振り返ると、柱合会議に出席していたはずの虎恭が立っていた。
「あの、必要はないって……」
「うむ。その娘と同じ部屋で過ごせば良いのではということだ」
「え、ですが」
「それに、いきなり知らぬ土地だ。
「分かりました」
(そうだよな。こんな幼い子供が一人で部屋にいるって、それじゃあ、あの屋敷と変わらないもんな)
創里が一人納得していると、虎恭がアゴに手を当てて「ふむ」と言った後に話を続ける。
「だが、もうすぐお前にはこの屋敷を出て行ってもらうことになると思う」
「え」
(お、追い出されるんですか! 何で? 異性を連れ込んだから? でも子供だし、それに同じ部屋で過ごすことは了承したじゃないですか!)
そんな創里の
「いや、そういうことではない。丁度お前が帰ってきたことだし、もう一度招集を掛けると思うが……創里」
「はい」
「お前に柱就任の打診が来ている」
「へ?」
「時間が惜しいからすぐに移動するぞ」
「え、ど、どこにです?」
「お
「えー……」
その後は、いつの間にか現れた隠の集団に目隠しをされ、念の為と手足も
創里が会議に出席している間は、りよにゆきの面倒を見てもらうこととなり、早速移動を開始する。
どれくらいの時間そうしていただろうか。恐らく、もっと近い距離にあるのだろうが、場所を特定させづらくする為か、
「到着しました。拘束具を外させて頂きます」
まずは目隠しが外され、その次にカチャカチャと手足の
「ここが……」
「そうだ。ここがお館様の
古き良き日本庭園のような整えられた庭。常に手入れを欠かしていないのだろう。余分な落ち葉はみられず、少々残っている落ち葉も、季節の変わり目を
(横ではなく縦にコートを並べる形になるから、プレイしづらいだろうな。というか俺テニス経験ないし)
と、的外れのことを考えると、虎恭に
庭が立派ならば屋敷も立派だ。年季の入った木造建築であるが、古臭いなどの印象を与えない、落ち着いた
これでも大工の次男である。精神こそ転生者のものとなっているが、その歴史が消える訳ではない。それ故か、ふとした拍子についつい建物の造りなどを眺めてしまうことがある。
そうやって、ぼんやりと立ち尽くしていると、いつの間にか他の柱と思われる人達が集まりだした。創里含めて一〇人。柱は九人である為、
そんな疑問を口にする直前。以前に感じた自然の中にあって当たり前というような気配を感じ、慌てて
その並びは、創里がほぼ中心となって左に虎恭を初めとした五人。右には創里よりも年上だろうが、若い女性を初めとした四人の計一〇人である。
「本日二度目の、突然の招集に集まって下さり、ありがとうございます。そして創里、最終選別以来ですね。お元気そうでなによりです」
産屋敷家当主、
江戸コソコソ話
炎の呼吸 漆ノ型 星火燎原
星火燎原とは、最初は小さい力のものが、成長して強大になり手に負えなくなること。「星火」は星の光のように小さなもの。「燎原」は広野を焼き払うこと。反乱や一揆が次第に大きくなっていき、防げなくなることをたとえたもの。だそうです(辞書片手)。
まさに生生流転の炎版としてピッタリの熟語ですね。