いぬの生活   作:アスラン

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いぬの生活
一話:犬になっちゃった・・・


なんとかは小説より奇なりとか言うけど

 

あれは本当なんだね

皆覚えておくと咄嗟の時に慌てなくてすむよ

僕みたいに慌てると犬にリードひっぱられることになるから

 

あれ、本当に苦しいから

 

繰り返せば犬も急ダッシュしなくなるな

 

僕は学んだからもうしない、苦しいから

 

でも人と違うからすごく痛いわけじゃないのはわかった

飼い主が慌ててペースを合わせるから思わず嬉しくて調子にのっちゃうんだね

 

うん、よくわかった

 

という事で

何故か

なんで?

なんでさーーーー

 

犬になっている。

 

それもリード引いてるのは

 

どういうこと?

なんなの?

なんでさーーーーーー

 

「そろそろ落ちつきましたか?」

 

僕の姿でなんか大人っぽい話口調の僕が声をかけてきた

 

「わう。わわう(何が落ち着くの)」

「ふつうそうですよね、私も驚いていますから」

「がうっ!(どこがだよっ)」

 

あれ?会話成立してる??

 

「そうですね、人間になっても言葉が通じるし、人の言葉も話せるとか驚きばかりですよ」

 

へ?

 

「あ、挨拶どころではなかったですけど、私白鷺レオンと申します」

 

「わうっ(ご丁寧にありがとうございます)」

 

って、頭の中で色々と記憶がつながっていくんだけど??

え?これって

 

「わう?(あなたの記憶?)」

「名前で記憶がつながったみたいですね」

 

なんかこの人僕の姿なのに格好いい・・・

 

 

そういえばこんなことになってるのに凄く落ち着いてるなぁ

 

「この歳になるとなにがあってもあまり驚かないんですよ」

「わわぅ?(ん?その割には熱いじゃないですか、溺れた子供を助けようとするなんて)」

「それを言ったらあなたもですよね?」

 

そう、川?用水路?で溺れる子供を助けようと吠えて飛び込んだ格好いい犬がいたんだよね。

溺れる人って子供でも危なくて、助けに来たものまで道連れにしかねない、例にもれず一緒に溺れそうになってたのを

 

「少し乱暴でしたけど、的確でした」

 

そう、子供に抱き着かれて動けない犬(レオン)を引きはがし岸に押しやり、溺れる子供を沈めて少し弱らせてから岸に引っ張っていったのだ

 

「映像で見ただけのものを実践できるのは素晴らしいですね」

 

あ、そうか向こうも僕の記憶見れるのは当たり前か

 

「私は年齢と環境で受け入れが早かったですけど、柴田さんも順応が早いですね」

 

僕の姿をしたレオンさんに褒められすこし面がゆくなる、自然と尻尾が振れてるのに驚いた、自分の意志じゃないのか・・・

 

「それにしても、柴田さんと私が入れ替わってるのか記憶が混同してるのか困った状態なのは変わりませんね」

 

ですよねー

僕、柴田賢人(まさと)と白鷺レオンさんはなぜか入れ替わっていた

子供を助けて、レオンさんの飼い主さんが何か言っていたけど

気づいたらこうなっていた

 

「わぅ(ん?ちょ、白鷺って・・・)」

 

レオンさん(犬換算だと僕より全然歳上だし)の記憶が流れてくる

なんか見たことある女性だとは思ってたけど千聖さんだったとは・・・

 

まてよ、ちょっとこれは

 

「元に戻るまでの間お嬢をよろしくお願いしますね」

 

そんな余裕のある顔僕はできないよぉ

 

しかし元に戻る方法も、原因も、何もわからなく

 

唯一助かってるのは

 

「お互い意思疎通が可能なのは僥倖ですね」

 

そう、それもあるけど

 

「大丈夫ですよ、あなたの記憶もありますけど、お嬢と長く過ごしたおかげで人の在り方は理解しているつもりです」

 

先に言われてしまった

 

よく動物と中身が入れ替わると動物の本能?に人の姿で行動されてひどい目に合う話が多いよね

レオンさんに限ってはその心配はなさそうだった、千聖さんの家はしっかりしてるんだろうね

 

「くぅん(逆に僕の方が心配になってきました)」

 

レオンさんは僕の頭をなでながら

 

「こうされても大丈夫なようですし、体の習慣的なものはそのままなのかもしれませんね」

 

いや頭をなでられるのは犬も人も関係ないみたいだと思うけど、レオンさんの体だからかもしれないと思ってると

耳慣れた足音が聞こえて、尻尾が大きく振られる

 

なんだ?と思ったら千聖さんの姿が頭に浮かぶ

 

「待たせたわね、溺れた子はどこも異常かったから、うちの方に迎えに来てもらったわ」

 

金色の髪で、その意志の強さをそのまま表したかのような瞳を持った女性、レオンさんの飼い主である白鷺千聖さんが

最低限必要事項だけを業務連絡のように、僕の姿をしたレオンさんにそう告げると、僕の前でひざを折り

 

「偉かったわねレオン」

 

テレビでも見たことのない優しい笑顔を向けて頭をなでてくれる。この人こんな顔もできるんだと驚いた

 

なぜか僕に好意を寄せてくれてる女性の妹さんの友達だったりする

 

「ケ、柴田さんもぶ・・・・・・、もう少し体力をつけた方がいいんじゃない?」

 

助けて安心して寝ちゃったからね、面目ないのは僕なのにレオンさんにそうやっていつもの営業用の笑顔で告げてる

何故愛称をいいかけて苗字で呼んだんだろう?

 

僕の代わりに言われてしまったレオンさんに申し訳なく見上げると、落ち着いた穏やかな笑みを返していた

僕の顔なのに全然印象が変わっちゃうなぁと感心してみてたら

 

「・・・大丈夫なの?やっぱり病院に行った方が?」

 

なんか凄く心配されてる

 

「大丈夫、まだ少し体がだるいだけだから」

 

あ、なんか僕っぽい、レオンさん凄い

 

「・・・一応レオンの恩人だから、何かあったら困るのよ。花音の先生なんだし」

 

そう、僕とこの白鷺千聖さんは一応面識がある。

 

彼女の親友である松原花音ちゃんを通じてだけど一応知り合い程度だと僕は思ってる

 

「ありがとう、でも大丈夫だし、まぁ大事をとって今日の家庭教師はお休みにしてもらうよ」

 

レオンさんの僕の振り凄いなぁと感心してると

 

「本当に大丈夫なの?」

 

千聖さんはまだ心配してくれている、顔を合わせるとお小言をもらう彼女に心配させてしまって申し訳なく思う。

そう思ったらなんかうつむいてしまっていたらしい

 

「レオン?大丈夫レオン?」

 

両手で顔を挟まれ顔を覗き込まれる

 

凄く心配させてしまってる、いいひとなんだと印象を改めていたら

 

「えーと、レオン君であってるのかな?多分疲れてるから早く休ませてあげた方が良いですよ」

 

・・・レオンさん、それ僕っぽくないです。

 

そうか・・・僕もレオンさんぽくしなくちゃいけないのか、大変な事になったと今更思い至ったときには

 

「そ、そうね。そうするわ、このお礼はまたにでもするから。レオン家まで歩ける?車呼んだ方が良いかしら?そうね柴田さんおくる・・・」

 

いつもならもっとしっかりしている千聖さんが、私は何を今頃気づいてるのという顔で僕の体なレオンさんに話をもちかけようとしたら

 

「またね」

 

レオンさんが穏やかな笑顔を見せてその場を離れていく

 

え?いっちゃうの??

 

「わうっわうぅ(ちょ、レオンさん大丈夫?行っちゃうの??)」

「レオン君もまたね」

 

えー、帰っちゃったよあの人、それが最善だったのかな??

 

なんて考えていたら

 

「・・・あれ本当にケントさんなの?」

 

千聖さんが僕の頭を撫でながら愛称を呟く

 

ケントじゃなくてマサトなんだけどね

 

更にいうなら

 

苗字と合わせて、シバケンと言われてるよ

間違ってるよ、柴犬はシバイヌだし

僕はケントじゃなくてマサトなんだよね

 

レオンさんと入れ替わってしまった

僕、柴田賢人(しばたまさと)の少し変わった話はここから始まった。

 

あれ?そういえばなんでレオンさん僕の記憶みれてるんだ?

千聖さん、僕の事ケントって言ってたから、本名知らないはずだよね??

 

あれ?

まぁ今度会って聞いてみればいいか

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