いぬの生活 作:アスラン
日菜ちゃんにガレージ隣の赤いドアをノックしてもらうと予想通り
レオンさんがすぐドアを開けてくれた、待ち遠しいもんね
「お待ちしていました!」
尻尾があったら全開で振ってたのが見えたね
「本当に中身レオンくんなんだね♪」
その様に日菜ちゃんが面白そうに言う
そして中に入ると…
「ガレージ広いね?」
中は収納の他には車が1台と、サイドカーが1台と・・・
「け、ケントくん!!あれ携帯の
流石日菜ちゃんすぐ気づいた、オフシルバーのバイクに走り寄って
「なにこれるんっ♪てくる~~~♪」
おねーちゃんにも見せたい~~って写メ撮りだしたんだけど
JKにウケるとは思わなかった
「ねぇねぇハードボイルダーとかないの?」
紗夜さんの好みを先に訊く事に正直驚いたけど…本当お姉さん大好きっ子だよね
「
そこまで揃えられる経済力を持ちたいよね~
それに携帯の
「ケントくんでも好き嫌いあるんだ?」
そんな意外な顔をされても困る
そしてそわそわしてるレオンさん
はいはいわかってますよ~
反対側に鎮座している、屋根のない車…日菜ちゃん的にはそこじゃなくて
「これヘッドライトないんだね?るんっ♪てくる~」
車好き女子はポイント高いんだよ?僕的には特に…ってまた写メ撮ってるし
「聞いてませんね?」
なぜホッとするのレオンさん?
しかし2シーターだからどうしよう?
「私がケントくん抱っこするよ?」
足元は危ないもんね…日菜ちゃんスカートだし
「留守番してもらうとかでは?」
何かあった時の為に来てもらってるんだよ?
暗くならないうちにいこうか~
運転席を開けてもらいシートに乗る
…すっごく変な気分
レオンさんには僕の記憶とのすり合わせをしてもらうように説明をしていく
本当はATで練習させてあげたいけど、生憎ないので僕の体に残ってる感覚と上手く同調してもらうしかないね
感覚的な教え方と、勝手に読み取って理解してる日菜ちゃんの感覚講義という地獄に耐え切ったレオンさんが
「これが運転するという感覚なんですね」
感動していた…
ちなみに…
「………」
日菜ちゃんは車酔いをしていた、うん、荷重移動が独特なんだよね
犬の感覚だと平気なんだねー今だけ犬で良かったよ
「人を乗せるにはまだまだですね」
無口になってる日菜ちゃんを見て少し悔しそうなレオンさん
もう少しくらいかな~
「もう少し頑張っていいですか?」
ちょっとだけそこの公園の駐車場で休憩してからね
「…ありがと」
日菜ちゃんはしばらく公園で休ませておくことにした
天才でも耐えられなかったか…
日菜ちゃんが公園で休んでる間に
レオンさんには僕流感覚修正術を伝授してみた
「そういえば
ありがたい事に公園の広い駐車場は第二・第三と有り、舗装がどんどん悪くなっていく…つまり人気もなく滑らせやすくなる
「どれくらい踏み込めるか…どれくらいで曲がれるか…どれくらい急制動がかかるか…」
全部やってみてもらった♪
やりすぎると近所の人に通報されちゃうから注意が必要だけどね
試しに乗ってみたターボ付きの軽自動車のFRでねずみ花火してたら通報されて怒られたんだよね
…逃げないのは偉いけど、近所の人に通報されるまでやるのは控えるようにね
いい人だったなぁ、僕は基本公僕に協力的な偽善者だからね?
おっと片側が上がったね…うんこれドキドキするけど、どうすればどう動くか
どこまでやらかすとやばいかを覚えるにはいいんだよね
広いとこが必要なんだけどね~
暗くなってきたしそろそろご近所さんも寛容じゃなくなるかな?という頃にレオンさんが運転をやめた
「暗くなってきたので戻りましょう」
公園についたころとは段違いに安定した感じで日菜ちゃんを迎えにいけた
僕の身体を使っての運転と車の挙動感覚が擦り合ってきたかな?
帰りは日菜ちゃんも饒舌になっていたしね
時間的な問題と言うか…紗夜さんの練習が終わるから、帰り道なので降ろしてもらうことに
慣れてきたおかげかスムーズについたので時間が余った、少し離れたコンビニの駐車場に停めると
「水買ってきてあげるよ」
ドリンクホルダーのペットボトルの水がなくなっていたのを目ざとく見つけてる
まだ緊張するもんね~
「えぇ」
でもその緊張は無くしちゃダメだからね
「わかりました、それにしても人は便利なものを使える代わりに苦労しているのですね」
そう見えるかもね
「私も人であればなんて思っていましたけど…やはり
だよねー
「柴田様は戻りたいですか?」
そりゃ、そろそろ
戻ったら杏子に練習付き合わせるのは確定事項…あとPastel✽Palettesの曲も弾きたいんだよね
「そうですね、やはり私も元の姿で…」
レオンさんがしみじみといった感じで言う
…きた!
これだね、日菜ちゃん任せたからね…
急に来た眠気にも似た意識の途切れ…
…どういう理屈かは後々考えていこう
コンビニから出たら
駐車場で車のクラクションが鳴っている
近所迷惑だよね~…って、ケントくんの車だよね?
「なんかるんっ♪てきた~~~~」
ケントくんの言っていた「戻れる」が関係してるんだよね
慌てて車に向かうと…予想通りだった
まずクラクション止めないと人が来ちゃうよね
ハンドルに突っ伏しているケントくんの身体を引き剥がして…
なんでこの車シート倒せないの!とおねーちゃんみたいに怒っちゃったけど
ケントくん起きてたら似てるって笑ってくれたよね?
それももう叶うんだよね、るんっ♪ってくるよ
今回の事であたしは決めたんだよ色々
おねーちゃんの為にもあたしは頑張るんだ、この本心を全く見せない天才に挑むことにしたんだ
おねーちゃんは自分も十分天才なのにどこか気後れしたみたいに踏みとどまってる
なら私が押していこう引っ張っていこう三人で笑っていたいんだ、それが一番るんっ♪くるからね
「日菜はまだみたいね」
練習が終わり、日菜が待っていると悪いからと少し早めにライブハウス兼スタジオである【CiRCLE】の入口に行く
カフェは閉店準備をしている
日菜はまだみたい、レオンさんを連れてるらしいから散歩がてら白鷺さんの家に送る感じね
入口のセンサーに感知させてしまい扉が開くと…
-!!!
どこかでクラクションが鳴っている
なんかまさとさんとの出会いを思い起こされる
なぜかしら?クラクションの音にホッとする
「紗夜~どうしたの?」
次の予約を入れていた今井さんが声をかけてくる
「いえ、クラクションが…収まったわね」
「めずらしいね~この辺りでクラクションなんて?」
あの時もスタジオまで届いたのかしら?
「日菜が近くまで来てるみたいなのでそのまま帰ります」
なんとなくそんな気がしたからという…日菜みたいな感じね
「中途半端に暗いから気をつけてね✩」
今井さんが何時も通り手を振って送り出してくれる
あの頃とは何かが明らかに違う
私の周り…日菜との関係…なにより私のあり方が変わってきた
でも、過去は自分が精算したつもりでも怨みを勝手に持ってる人間はいる
私はやりすぎた、湊さんが加わり本当にやらかしすぎていた…
杏子さんが心配していたのはこれだったのでしょう
…?
日菜はどこなのかしら?とスマホを確認していると
暗がりから急に人が出てきたと思ったら何かを振り上げて迫ってくる
時間的にまだ点いているのが少ない街灯の光を反射したのは短い刃物
通り魔?
身体を捻るようにしてギターケースのショルダーを左肩から抜きながらギターケースを右で支えて、一歩踏み出してその底面を相手にぶつける
まさとさんからは筋力つけてるの?と揶揄されたけど役に立ちましたね
-ぐしゃっとした嫌な感覚が伝わってくる、綺麗に入り過ぎたと思うのと同じくらいにアスファルトに刃物が転がる音がする
手を使う仕事ならしばらくは不自由かもしれないと思いつつも
ギターケースのメッシュポケットから出ている紐を引きちぎる勢いで引っ張ると
-!!!!
先ほどのクラクションばりに大きな警報が鳴り響く、迷惑レベルの騒音
流石まさとさんカスタマイズの痴漢ブザーです小さいのに高性能…本人みたいと言ったら泣くわねきっと
それと同時に背後の路地から小さなワンボックス…見覚えのある色…
突発的かと思った通り魔は…私を狙ったものだった、私が複数で帰ろうとしても対処できるような人数?
よく見たら右手を押えて蹲ってるのはあの
何を基本に妬んでるのかわからない人でしたけど、本格的におかしくなったみたいですね
この女をまず潰しておかなくては…誰に感化されたのか合理的に逃げる方法を冷酷に考えていたら
女の背後にすごい勢いで来た車が轢いてしまうのかと思わせる制動で止まったと同時に影が二つ降りてきました
何故か身構えることなくほっと警戒を解いた私の横を通り過ぎ…
「な、おまっぐひゃっん」
「ぷぎゃ」
一瞬でした…さすが短期決戦しかできない人です。
前と同じく身体の伸びる力と腰から腕にかけて綺麗に力が通った掌底打ちで沈めると
最後は…脚は長いけど身長が低いから相手に届かないと認識しての少し跳躍しての上から踵を斜めに振り下ろす蹴り方…
体重と振り下ろす脚力が乗った踵が綺麗に顎を斜め上から打ち下ろす…相変わらず一撃で仕留める為には容赦がないですね
「おねーちゃんだったんだ」
車の来た方から日菜が走ってきた
…日菜?もうひとつの影はレオンさんだったのね、流石KO犬ですね
そして、影というか
「
姉妹だから発想が似るのかしら?
でも…
「ならもう少し持久力と上背が必要ね」
おねーちゃん厳しい♪と嬉しそうに言うけど
私は、
一通り終わり、まさとさんが自分の身体を不思議そうに動かしていると警察が来てくれた
日菜とレオンさんは散歩途中私を迎えに来たという事で帰したところ、後日調書を取らせて欲しいと言われたので事務所と相談してもらうことにした
日菜がついてきたがったのは言うまでもないけど…芸能人の自覚がないのも困ったものよね
「車の持ち主さん誰ですか?」
一通り現場写真を撮り、任意とは言われたけど調書のために同行することになった…パトカーに乗り慣れたくはないわよね
「僕のです♪」
やけに嬉しそうにスポーツカー?に走り寄るまさとさん…尻尾振ってる姿が何故か目に浮かんだ
え?助手席ですか…こんな…これロードスターですよね?ライトがリトラクタブルってデート車としては最高じゃないですか♪
…嬉しすぎます
この後日菜の方が先に乗ってたのを知り少しの間不機嫌だったのは別の話です
「いぬ」がそろそろ終わります。
引き続きよろしくお願いします