いぬの生活   作:アスラン

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今回もよろしくお願いします。

誤字報告ありがとうございます!!
はじめてで嬉しいけど恥ずかしい( ̄▽ ̄;)
今後ともよろしくお願いしますm(__)m


十話:迷惑以上厄介未満

あらぬ方向にお声かけされてますが…

「湊さん?」

「柴田賢人はどこにいるのかしら?」

じっと、今度はこちらをその綺麗かつ鋭利な刃物の様な眼で見据えながら仰られる

「友希那さん…」

「あら、柴田賢人だったのね。相変わらず覚えの悪い処理に片寄った脳髄の使い方をしているわね」

…この方名前呼びをしない限りこの調子で、ここまでが挨拶の範疇になるということです。

柴田様があまり関わりたくないのも少し納得いたします。

 

「今日はどうしたのかな?」

なるべく柴田様ぽく喋るのには慣れてきました。

日菜さんに言わせると、少しキザっぽくて怪しさが二割増しとのことですが

「用があるから来たに決まっているじゃない?その天才と言われている脳は子供と同じでもうおねむなのかしら?」

この方何故か柴田様にはこの調子が普通でいらっしゃいます。

「僕は天才じゃないよ?」

「そうよね、私がなにをしに来たかも分からないような愚鈍な頭脳が天才なんてお笑い草よ」

よくここまで悪意が尽きないと感心します。

「では、その愚鈍な僕に用件を教えてくれないかな?」

言い回しを間違えましたか?

湊さんがまた訝しげにこちらを見つめます。この方も微妙な違和感に気づくタイプですから気を付けなければいけません。

「…なによその、キザったらしい言い回しは…」

ポツリと呟くと、しゃがみこみ黒猫を脇に抱えるように抱き上げこちらに見せる

「猫?」

毛並みもよく、野良には見えないです。

「眼までおかしいのかしら?にゃ、…猫以外の何に見えるのかしら?」

言い直しましたね。

 

「友希那さんの猫?」

私の問いに対して、物凄く残念なもの見る眼と大きなため息をついて

「にゃ、猫ちゃ、んんっ、私の猫ならこんなところに連れてくるわけがないでしょう?厳重に部屋で保護するに決まっているじゃない?飼えるものならね…」

最後は少し弱くなっています、この方隠しているようでかなりの猫好きなのですよ。

それにしても、なついていますね?湊さんのあの抱えるような抱き方は猫は嫌がるのですけどね。

おとなしいですし、何故かとある人物が浮かびましたが、気のせいですね。

…気のせいですよね?

「という事でお願いするわ」

何をですか?

私に黒猫を名残惜しそうにしつつもしっかり押し付けると、スマホを(流石にガラケーではないのですよね)少しにらむように見ると、

大きなボタン(…高齢者用スマホ?)を押して通話をする。

「えぇ、柴田賢人に任せたわ…えぇ、そうね。面倒見はいいものね…」

電話だと評価上がるのですね。相手は幼馴染みのあの方ですね。

通話を終えると

「あとは、あなたごときでは心配だけど致し方ないのよ…」

それだけ言うと名残惜しそうに何回も振り返りながら帰っていかれました…なんだったのでしょう?

 

「困りましたね…預かればいいのでしょうか?飼い主を見つけろということでしょうか?」

思わず洩れた言葉に

(あの…出来れば…その…元に戻るお手伝いを…)

…気のせいです

にゃーにゃー言ってるはずです。

(…やはり、通じませんよね…もう戻れないのですね…はぁ、こんなことなら…この人に恨み言をしっかり言うべきでした……黒猫が死んだ時の……呪いましょうか……)

「あぁ、もう、わかりました。呪うとか言わないでください」

抱いた黒猫が驚いて体を起こす。

(言葉…通じているんですか!?)

「残念ながら、よく通じていますよ」

驚いたのか腕に爪を立てられる、このジャケットバイト用に買ったばかりでしたよね。

(天才って…動物の言葉まで……理解できるのですか?)

普通そうとりますよね?どうしましょうか…

(ピアノ…だけじゃなく……なんなんですか?あなたは??)

爪を立てるどころか引っ掻き出されたのでたまりません

「や、やめてください。私は柴田様ではありませんよ?」

投げ捨てるわけにもいかず、抱き抱え直し押さえるようにして話を聞いていただく

(追いかけることさえさせてもらえなくなって…そのくせ謗らぬ顔でまた表れて…氷川さんとなかよくして……私だって…私だって…)

「あの、流石に投げ捨てそうなので止めていただけませんか?やるなら本人にお願いしたいのですけど」

首の後ろ、皮が厚く痛覚も鈍いところを掴み引き剥がす、俗に言う猫つかみというんですね。

よく子猫を運ぶのに咥えていました。

しかし…ちょっと血が洒落になりません。

(あ、…ご、ごめんなさい)

力なく手足から力を抜き吊られたままにされる黒猫をゆっくり地面に下ろし、腕の様子を見る。

「……猫の爪は本当に怖いですね」

ジャケットとシャツはもうダメですね。血の割に怪我はそこまで酷くはありませんね。

「一先ず部屋に入りましょう」

車をしまわないといけませんし

(……)

流石に怪我をさせたことに気落ちしている黒猫を再度抱き上げると

「足拭きを用意しますので玄関でおとなしくしてていただけますか?」

頭と背を撫でながら言うと中身が人間なのがわかる、頷くという仕草で答えていただけました。

柴田様を噛むのはこの傷の代償としてやめておきましょう…

 

 

 

「お腹は減っていませんか?」

車を車庫に入れ、雑巾とタオルを用意して黒猫の足を綺麗にすると部屋に迎え入れます。この部屋はペット大丈夫ですよね?

(は、はい。友希那さんに猫缶をいくつか…)

タオルを用意するときに怪我の治療は済ませて、シャツも着替えました、同じ黒なのでわからないと思いますけど

 

「では、改めて。柴田賢人様の身体をお借りしている、白鷺レオンです」

(……白鷺?…千聖さんの…お家の?)

「はい、ゴールデンレトリバーのレオンです」

(…KO(ノックアウト)犬のレオンさん…)

そちらも本当認知度高くなっていますね…

(あの…私は……白金…燐子です…)

何となくそんな気はしていました、特に柴田様への怨念にも近い当たりの強さで、えぇ、なんとなくそんな気はしてましたとも…

「湊さんはこの事はご…」

泣きそうな顔をされてますね。あの方、触れる猫には加減がないみたいですからね。

(やめて…って言っても…友希那さん……興奮してて…)

はい、止めましょう。なんか取り方によっては物凄くダメな気がしますから。

「湊さんは結局、白金さんと知らずにうちに預けに来たのですね」

(おうちでは飼えないのと…今井さんが……)

あの御仁も結構酷いですね。

「もう、お分かりかと思いますけど、私と柴田様も白金様と同じように入れ替わっている状態です」

(…人の…生活に……なれてます?)

「そうですね、車の運転も少しできる程度にはですが」

(すごいです!黒は私と入れ替わってもちゃんと出来てるのか心配です)

黒というのが白金さんが入れ替わった猫の名前でしょう。

「確証はありませんが大丈夫なのでは?入れ替わりには条件もあるみたいですから」

自分でもかなり適当なことを言っている気はしますがあまり不安がらせるのもよくありません。

ある程度の知能がある、人に馴れた動物と私も柴田様も認識しています。

もしそうでなければ今頃白金さんも黒も意識が対応できずに…そうならないことも前提条件なのでしょうね。

「しかし、白金さんは猫を飼っていらしたのですね」

あの猫狂い(湊友希那)が入り浸りそうで怖い案件ですが尋ねてみたところ。

近所に住む野良猫をかなり長く世話をしていたそうです。毛並みや手入れから察するにほぼ飼い猫に近い様ですね。

飼い猫でないのは名前が『黒』と単調であることと首輪ではなく白と黒のグラデーションのリボンがチョーカーのように巻かれている事でしょう。

名前は飼えないから勝手につけるわけにはいかないと特徴を現した『黒』と呼んでいたのがほぼ名前として定着してしまったのでしょうね。

白金さんは『ノワール』とつけたかったと少し残念そうに仰ってました。

雄だったら『シュヴァルツ』だったとか…

…どちらにしろ黒なのですね

 

そして、困った事態が待っていました。

そう、協力者の問題です。

柴田様と私の場合は日菜さんが普通に介入してきての今の状態ですが、白金さんは人間関係的に特殊というか特異というか、現状ではどう動こうにも協力者が得られません。

自分の時を省みてみる…柴田様のふりをするので慌ただしい日々でした、反対に『なるようになる』といつも憚らないあの天才(柴田様)はどうしていたのでしょう?

 

少し困った気分になりましたね。

 




…またレオンさんが苦労しそうです。

そしてあの人が介入してきます。
武力介入??
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