いぬの生活   作:アスラン

5 / 90
もっと無茶苦茶したほうがいいのでしょうか?


五話:散歩って・・・

「あの子ったら本当元気よね」

 

収録で土日と家を空けることになった日菜を早朝から見送り

そのままレオンさん?レオンくん?

犬の年齢だと「さん」だと思うでレオンさんと呼びかけることにした

呼び捨てはなぜか憚れた

 

なんか白鷺さんに怒られそうな気がしたからなのは秘密です

 

それにしても昨日は・・・日を跨いでいたので今日が正しいけど、遅くまで日菜はレオンさんと戯れていた

うちでは動物は飼ったことがないから嬉しさと珍しさで興奮していたんだろう

父と母まで様子がおかしかった、私たちも大きくなったし犬でも飼おうかとか言い出している始末だ

 

それにしても昨日のあれは・・・お世話という名の

 

「あれは一歩間違えると動物g・・・」

「わふぅ」

レオンさんが眠いでしょうに散歩の準備をする私を待っていてくれた

 

・・・?

「レオンさん、あなた逃げないのね?」

リードも付けてなくて玄関が開いていたのにレオンさんはそこで待っていた

白鷺さんの躾?育て方が良かったのね。

人に馴れているし

もし家で犬を飼うことになったらいろいろ教えてもらわないと・・・って犬確定なの?

 

私も日菜に付き合って夜ふかししてたから頭が回ってないかもしれない

 

 

 

いつもの川原に来れた・・・

「ここでレオンさんを放せばいいのね」

スマホ片手に携帯アプリを確認しながら紗夜さんが辺りを見回している

あってる

いつもの川原についてようやくいつもの川原だと認識できたけど

 

僕も紗夜さんも睡眠不足で頭回ってないのかもしれない

 

でもすることだけはしないとね、結構切実だったりするし

川原に走り出す

 

あれ?そう言えば何か物足りない

 

あ・・・レオンさんは・・・あれ?少し離れたところ、あそこに居るの僕の身体のレオンさんだよね?

今日も黒が似合ってる、あ、今日は赤のラインがフォトンブラッドみたいで好きな奴だ

それにしても犬の視力って凄い・・・じゃなくて僕の身体のほうが目が悪いんだよね

それにしても気づいてないのかな?いつもなら向こうから来るのに?

 

「わぅぅぅぅ(レオンさーーん)」

呼びかけてみると、気づいた

なんだろ、目つき悪いなぁ

・・・あ、あれが友人に注意されたあれか

「おはようございます」

うん、メガネかけたほうがいいんだね・・・

「いえ、見えてるんですけどね」

どこかで聞いたようなこと言ってるし(僕がいつも言ってるんだけど)

なんか申し訳なさでいっぱいだよ

 

なんて軽く落ち込んでいたら

「おはようございます、賢人さん」

リードとエチケットバックを持った紗夜さんが少し早足でやってきた

「おはようございます、氷川さん」

レオンさん、なんで苗字呼び?

「わうっ(紗夜さんでいいよ)」

目でだけで応えて

「紗夜さんって呼ばないとダメだったね、日菜さんとわからなくなっちゃうから」

レオンさん~日菜ちゃんだよ

あれ?紗夜さん?

「苗字呼びから名前呼びなんて・・・ご褒美かしら、レオンさん預かって良かったわ」

あれ?僕ちゃんと普段名前で呼んでるよね??

レオンさんはレオンさんでなんか難しい顔してるし

僕の顔なのになんか中身が違うだけで変わってくるんだなぁと感心していると

「あなたは元に戻ったらもっと周りをみましょうね」

なんでさー?

 

「レオン君は紗夜さんのところでお世話になってるんですね」

「はい、日菜、いえ妹が白鷺さんに」

川原を見下ろせるいつもの場所で二人がこちらを見ている

いや紗夜さんはレオンさんの方をほわんと見ている

紗夜さんってあんな顔する子だったっけ?

なんか凛としててハンサムな子だなという印象だけど少し優しい子で、、、

でも昨日だけでも凄く優しい子、いや優しい姉妹なのはわかった

認識を改められちゃったんだよね

 

それにしても僕本当背低いな

猫背気味で姿勢が悪いからかな、辛うじて紗夜さんより高いのに

・・・低く見えるよ

猫背も直さないとね

戻ったらやることいくつかあるなぁ

 

「レオンさんはいつもどれくらい運動するのかしら?」

「そうですね、一日家にいるのでなるべく動けるときに動いていますね」

「く、詳しいんですね?」

まぁ本人のことだし知ってるよね

「えぇ、いつものことですし」

「え?いつも??賢人さん毎日ここに来てるんですか?」

僕じゃなくてレオンさんだし・・・

あれ?そうか千聖ちゃん居なくてもお母さんか妹ちゃんが散歩はしてるんだよね

今回がたまたま・・・あれ?レオンさんの記憶が流れてきた

これはパスパレのメンバーさんかな?今回が本当レアケースなんだよね

 

まぁ僕とレオンさんの入れ替わりに比べたらレア度も下がるけど

そこからのレアだからもっとレアになるのかな?

レアの定義って

 

「レオンさん大丈夫ですか?」

動きを止めて考え込んでたら紗夜さんが慌てて駆け寄ってきた

あ、わかった違和感の正体

紗夜さん私服だからだ、千聖さんはジャージだもんね

・・・走ってるところ見た記憶ないけど

顔をわしっと両手で挟むと顔を向かせて

「異常はないわよね?寝不足でいつも通りにうごいたせいかしら?」

真剣な顔で言われると心配をかけてしまって申し訳なくなる

こういう時どうしたらいいんだろう

犬の時でも人間の時でも

 

 

「少し休ませてあげたらどうですか?」

相変わらずいつの間にか傍にいるこの人が川原に設置されているベンチを示す

「そうですね、レオンさんベンチで少し休みましょうか」

リードをつなげて促すだけでそちらに向かってくれる

本当賢い犬です

それにしても、いつもどおりで何かが違うこの人に違和感を覚える

「どうしました?」

私によそよそしい話し方は変わらない

「いえ、レオンさんは白鷺さんの大切な家族ですから」

しっかりお世話をしてあげなくてはならない、何かあっては日菜にも申し訳ない

・・・寝不足はあの子のせいでもあるのだけど

 

「・・・・・」

ベンチに座ると足元でレオンさんがやはり疲れたのか寝そべっている

背中を撫でてあげると気持ちよさそうに目を細めてる

季節的にまだこの時間は日差しが強くなく暖かくも感じる

季節のことに気を回せるくらいには私も余裕が出来てきたと自分でも思う

それにしても

「・・・・・・・」

普段からあまり口数が多い人ではないけど

少なすぎるというか無言が続く、いつもならこの人なりに気を使ってくれるのだけど

違和感の正体はそこなのか?

日菜ならどうするのか?

こういう時あの子の感覚的なところが羨ましく思える

 

 

 

黙り込んでしまった氷川姉こと紗夜さん

お嬢の大事仲間なである日菜さんの双子の姉ということと

この身体の持ち主柴田様に好意を寄せる一人

・・・ここまで頑張って好意を伝えているのにどうしてこの人には伝わっていないのか?

記憶から読み取った情報を見ると気の毒になりますが

お嬢の為です、心を鬼にします

 

「・・・・・・」

それにしても、柴田様気持ちよさそうですね

少し興味を惹かれます、戻ってから撫でてもらえるようにあまり変なことはできませんね

 

「・・・・・・・」

それにしても、この身体は、本当不便です

一番の問題は視覚

視えるものは視える

見えないものは見えない

驚く事は犬の身体で視えていたものが変わらなく視える

よくわからない色が見えるようになったのは意識で切り替えれることが解りました

人の色彩にもここ数日で慣れましたが

見えてるのに視えていない

視えないはずなのに見える

視力が悪いはずなのに眼鏡をかけていないのに見えるのは本当感覚的にわからない

 

戸惑っていたら、柴田様のご友人、かなり親しい様子の方に

『またそんな目で、眼鏡運転以外もかけたら?』

見えるんですけよねと答えたら

『印象が少しでも変わるでしょ?』

見えている事は受け入れてくれているご様子でその先を考えてくれているとは

お嬢もこのご友人以上を目指さないと欲しいものは手に入りませんね

・・・最悪な手段は流石に色々と申し訳ないので

私も長く生きて大事にされたから人のあり方もなんとなくわかったつもりですからね

でも、お嬢の手助けのためになるべくこちらからは話しかけないようにしています

 

様子を見ていると心苦しいのですけどね

特にこの氷川姉妹の姉、氷川紗夜様は手ごわいのです

身長もこの身体に釣り合うほど長身で・・・ご友人は少し高いですよね

柴田様の眼に、認識されやすい髪型・・・ご友人も綺麗なロングヘアですね

なによりこの方は自分をより良く変えていく

柴田様は気づいていない様ですがこの方はお嬢に似た芯の強さを持ちながら

過去の自分を省みて前に進む

身体の中の読み取れる記憶だけでも解る

お嬢にないものがある

お嬢も苦しんでもがいて今の強さがあるのは私も知っています

しかし、更に一歩、Pastel✽Palettesに入ってからの変化以上をしないと勝てません

それほどに私から見ても手ごわいですよこの氷川紗夜様は・・・

 

・・・ご友人は更に上なのですけどね

 

「あれ?そちらは」

ご友人が自分の分のロードワークを終えて戻ってきた

どれくらい走り込んでいるのか興味は尽きませんが、この身体ではついていけません

犬の体ならいい運動になる気がしますね

 

「レオン君の飼い主さんのご友人です」

柴田様寝てしまっていますね

どれだけ気持ち良いのか本当に気になります、魔性の手ですか?神の手ですか??

「氷川紗夜です、よろしくお願いします」

氷川紗夜様も少し気が抜けていたようで慌てて挨拶をしている

「よろしく、その子がレオン君なのね。あ、寝てる、残念」

そう言えば初めてですね

「あ、ごめんなさい。今日はお仕事があって」

柴田様が起きるまで待ちそうな雰囲気でしたが、今日は時間がないようで、すごく名残惜しそうにご友人が帰っていく

一緒に帰ろうかと思いましたが

「まさとくんはレオン君が起きるまで居てあげてくださいね」

そう言われては残るしかありません

 

「本当に綺麗な方ですね、実物始めてみました」

ご友人を見送りながら氷川紗夜様が呟く

あなたももう数年すればあの方以上になれるかもしれませんよ?

とは言っては差し上げれませんが、お嬢共々可能性は高いです。

「・・・・・・」

また会話がなくなる

何かを訊きたそうにしながら訊けない

そんな彼女に助け舟は出せません

 

柴田様

あなた本当に酷いですね

起きたら少しお話しましょう

お嬢の事抜きでも少しお話しなくてはいけませんね

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。