盲目のヒーローアカデミア   作:酸度

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何か書き溜め溜まったので投稿します。


VSかっちゃん

 とりあえず、核のハリボテを最上階の五階に置く。

 葉隠さんと物理的にも心理的にも距離が遠い。

 違うんだ、わざとじゃないんだ。

「あの、葉隠さん、作戦会議を」

「うーん、ま、しゃあないよね。私も大人気なかったよ。叩いてごめんね」

 そう言って葉隠さんがこちらに来る。もちろんマントで体を隠しながら。

「ありがとう。えっとヒーローチーム二人の個性だけど、かっちゃんは見ての通り掌の爆破。轟君が氷と炎のハイブリッドだよね」

「そうだね。どういう感じで迎え撃とうか? わたしの透明化で背後から奇襲?」

「うん、それがベースでいいと思う。ただ轟君もかっちゃんも、素の身体能力が高いから、気をつけて確保テープを巻くことに集中して」

「うん! 分かった! 入試一位の力頼りにしてるね!」

 葉隠さんに笑って肩を叩かれて、僕も拳を握りしめる。

 僕があの二人から注意をどれだけ引き付けられるかにかかっている。

 そう気を引き締めていた時、放送が入る。

「それでは、第一戦! はじめ!!」

 オールマイトの言葉を聞き、僕らも行動を開始しようとする。

 その時、僕の皮膚感覚が異常を捉える。

 寒い!

 僕は葉隠さんを横抱きにしつつ、天井にビリー・クラブを突き刺した。

 すると、みるみる床や天井が凍りついていく。

 僕はワイヤーを伸ばし、天井から距離を取って、すこしでも自身と葉隠さんを寒さから守る。

 そして、氷の浸食が止まった。

「あ、危なかった……」

「あ、ありがとう緑谷君……ヘクシ!」

 するりと降りる。葉隠さんがブーツをしていてよかった。なければ戦うどころじゃなかっただろう。

 僕はビリー・クラブを床につけ、柄の部分に耳を近づける。

 かっちゃんと轟君は二人揃って歩いてきているようだ。

 どうやら、一階からしらみつぶしに探しているようだ。

 僕は小声で説明する。

「ど、どうする?」

「……核の周りで戦おう、演習の設定的に、かっちゃんの大規模な爆発も轟君の炎も使えないはずだ」

「成程。地の利を活かすってやつだね」

 葉隠さんの言葉に、僕も肯く。

「僕が奇襲をかけるから、葉隠さんは隙をみてテープを」

「わかった」

 

「おい、半分野郎あんまり離れるなや。油断しすぎだ」

「……凍らせたから大丈夫だ、まともに戦えやしねえよ」

「デクがんなタマかよ。避けたに決まっとるわ」

 そう言ってかっちゃんは何かを口に含んだ。

「何喰ってるんだ?」

「ハバネロキャンディー」

「ああ、寒いからか。大丈夫か?」

「余裕だわクソが! つか油断するなっつとろうが!」

 僕には、二人の位置が手に取るように分かる。

 僕は、壁越しに轟君の位置を察知すると()()()()()()()

「お」

「あ」

 冷気を放つだろう右側から思いっきり轟君を引っこ抜く。

 かっちゃんから見ると、轟くんが壁に飲み込まれたようにみえただろう。

 そのまま、僕は衝撃で昏倒した轟君に確保証明のテープを巻く。

 脈は問題ないな、よし。

 とりあえず回復体位を取らせ、かっちゃんに向き直る。

「グッドアフタヌーン。ヒーロー。地獄を届けに来たよ」

「デクお前なんだそのキャラは」

「いや、自分でもよく……」

 そう軽口を叩きあいながらも、僕たちは円を描くように対峙する。

「個性に目覚めてよお、入試1位、テスト1位。調子に乗ってるよなあ」

「言っただろ、僕はオールマイトだって助けられる位のヒーローになるって」

「なら、俺はオールマイトをも超えるヒーローになる。当然てめえも超えてな!」

 かっちゃんは僕に爆破を当てようとする。

 そこに、僕はカウンターでアッパー。

 かっちゃんはスウェーでかわしキック、僕はバックステップで回避。

 かっちゃんが爆破で近づき鳩尾に肘を当てようとするのを僕が同じく肘で受ける。

 そこに、かっちゃんが両手で爆破を食らわせようとする。

 匂いがいままでのかっちゃんの爆薬と違う。

 僕は両耳を塞ぐ。

 音が、衝撃が轟いた。

 僕はたたらを踏む。

 レーダーセンスが、機能しない。

 

 モニタールーム、寒さに凍えながらも、クラスメイト達は観戦していた。

「緑谷の野郎! 葉隠の裸体を抱きかかえただとお!!」

 峰田が血の涙を出しながら叫ぶ。瀬呂が呆れたように言う。

「お前はいつまで言ってんだよ!」

「轟の個性もずげーけど、緑谷の奇襲もすげーな! けど漢らしくねえ!」

 切島の言い分に、上鳴が反論する。

「いや、逆に男らしいだろ。なんだあの奇襲、ホラー映画かよ」

「奇襲も戦術、彼らは今実戦の真っ最中なんだぜ」

「しかし、流れるような攻防、どちらも体術に長けてますね。それも凄まじい高レベルで」

 オールマイトの言葉を返す用に、武術を修めている尾白が感嘆の言葉を述べる。

 そこに轟音が響く。

「おお、何だこっちまで爆音がしたぞ!」

「……どうやら爆発を調整して音と衝撃のみに特化した爆破をさせたようですわね」

 八百万が感嘆したように声を上げる。

「緑谷は聴覚で視覚を補っていると言っていたからな。これは詰んだか」

 障子が残念そうに言うが、オールマイトが制する。

「いや……まだだ」

 

 僕は、耳がくらくらするのをこらえ、かっちゃんを探す。

 ああ、距離を取ったな。

 背中に背負ったビリー・クラブを取りだす。

 そのまま杖を振り回し、何も視えてないフリをする。

 かっちゃんが遠距離から爆破をする。

 それでいい。

 僕は、棒高跳びの要領で爆風を飛び越え、飛び蹴りを放つ。

 かっちゃんの額に当て、さらに距離を詰める。

 柔道でいう内股をかけ、かっちゃんを倒した。

「がっ!! てめえ! 何で!!?」

「聴覚だけじゃなく、嗅覚である程度対応できるように訓練した。君に勝つために!」

 立ち技に、ラッキーパンチはある。

 だが寝技に偶然は無い。

 あるのは練習量による必然のみ。

 かっちゃんは僕を爆破させようとする。

 その爆破を躱し、腕を取る。

 そのまま腕ひしぎに移行する。

 かっちゃんは、逆の手で推進力を出し、逃れようとする。

 僕は腕を離し、かっちゃんは立ち上がる。

 僕の勝ちだ。

 僕のレーダーセンスには確保テープを持った葉隠さんが忍び寄っているのが視えていた。

 

 ビルを変えて、指導講評に入る。

「じゃあ、今の試合のMVP、誰だと思うかね」

 オールマイトの問いに、八百万さんが手をあげる。

「はい、4名とも演習の趣旨を理解した良い立ち回りだったと思います。

 轟さんは爆豪さんも言っていたように油断しましたわね。ですが氷漬けにするアイデアはすばらしかったと思います。

 爆豪さんは核のある階での大規模攻撃を避け、格闘戦主体の立ち回りが演習の趣旨に即しておりましたわ。

 葉隠さんは良く息を潜め、最後の最後に奇襲しました。ただ、最初の奇襲の時点で緑谷さんがいなければ封じられていたと思います。

 緑谷さんは最初に轟さんの奇襲への対処とその後の奇襲返し。最後の葉隠さんへのアシストが素晴らしかったですわ。

 というわけで、私は緑谷さんを推しますわ」

「(思ったよりも言われた)まあ、概ねその通りだね。当事者たちは何かコメントあるかね?」

「俺は。言われた通り油断してました。相方の意見に耳を傾けるべきでした」

「半分野郎を守れなかった時点で俺の負けだわ。それにデクと透明に完全にやられた、言うことはねえ」

「もっと自分の意見を出せばよかったです。緑谷君にばかり作戦を任せてしまいました……」

「かっちゃ……爆豪君との闘いにばかり身をいれてました。葉隠さんとの連携として考えるともっとやりようがあったと思います」

「うむ、四人とも反省点がすぐに言えるのは素晴らしい! 皆もこれにならい訓練をしてくれたまえ。ではビルを移動して第二戦! ヒーローチーム麗日少女と障子少年ペア、ヴィランチーム飯田少年と尾白少年ペアの演習をはじめる!」

 この二組の戦いは、障子君が飯田君と尾白君を防ぎ、麗日さんが隙を見て二人を無重力状態にして勝った。

 続く3戦も、みんなそれぞれの個性を活かしたものだった。

 僕はレーダーセンスで聞く他、モニターの映像を麗日さんと葉隠さんが実況してくれたおかげで、凄く勉強になった。

 

 そして、放課後。

 反省会をやろうということで、皆が教室に残っていた。

「いやあ! 初戦が熱かったぜ! 俺切島! よろしく!」

 そう言って、髪を逆立てた人が握手してくる。

 僕は戸惑いながらも手を取った。

「本当! 最初のってあれどうやって避けたの!? 私芦戸三奈!」

「俺砂藤! すげえパワーだったな! 俺の立つ瀬がねえよ!」

「ケロ、私蛙吹梅雨、梅雨ちゃんと呼んで。その後の爆豪ちゃんとの闘いも凄い達人って感じだったわ」

「緑谷ー! 葉隠のおっぱいは……ブエ!!」

「ちょ、ちょっと待ってね、今ちゃんと覚えるから」 

 そう言って、一人ひとりと握手し、匂いや質感を覚えていく。

 レーダーセンスである程度容姿は分かるけど、それだけだといざという時困ってしまうから。

「俺尾白猿夫。緑谷は何か格闘技をやってるのか?」

「よろしく。ボクシングと柔道を8歳の頃からやってるんだ」

「私耳郎響香。あの爆豪の出した音凄かったけど大丈夫だったの? 確か音で判別してるんでしょ?」

「ああ、あれは臭いでもある程度相手の居場所が分かるように訓練したんだ」

「つまりお前は全裸の女子の匂いを強く感じることができたん……(ドクン!!)ギャー!!」

「あ、ごめん緑谷、うるさかった?」

 峰田君がのたうち回っている。

「あはは大丈夫。耳郎さんはそのコードみたいなのが個性なんだね」

「うん。ねえ、私もあんたみたいに音だけで人を判別できたりするかな?」

「うーん。例えば呼吸音の位置で大体の背の高さが分かるし、声紋で大体の容姿も分かるよ。靴擦れの音で体重も正確に分かるし、訓練次第だね」

「すごいな。今度ぜひ俺にもおしえてくれ」

「障子君。僕で良ければ教えるよ」

「あ、私もいい? あんたみたいに索敵ができればやれること広がりそうだし」

 そんな話をしながら、一日が過ぎていった。

 皆、目の見えない僕にも優しくて、いい人たちばかりだった。

 けど、そんな僕達に、ある出来事が襲い掛かる。

 僕達は知ったんだ、こんな演習じゃない、本当のヴィランってやつを。

 

 

「なあ、どうなると思う? 平和の象徴が、ヴィランに殺されたら」

「さあなあ、こんな島国がどうなろうと、俺のしったことじゃないな」

 そういい、男はダーツをする。

 そのダーツは、ど真ん中にずっと刺さり続けていた。

「あんたは、俺達の護衛だ。出る幕はねえよ」

「は、楽な仕事になりそうだな」

 その男の名は、ブルズアイという。

 アメリカでは名の通った暗殺者だった。

 

 




葉隠さんまじ強い。
轟君ごめんね。でもしかたないんだ、僕は対かっちゃんを書きたかったんだ。
そしてUSJの難易度はイズクマストダイモードです
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