盲目のヒーローアカデミア   作:酸度

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みんなダンベル大好きなんですね。
同じくサンドロビッチ・ヤバ子原作のケンガンアシュラ、その次回作ケンガンオメガや、WEBコミック求道の拳も死ぬ程面白いからみんな読もうな(ダイマ)

なおこのSSは僕のヒーローアカデミアとデアデビルのクロスオーバー小説です!


それぞれの職場体験

 side 爆豪

 

 ここはエンデヴァーヒーロー事務所。俺はだだっ広い所長室でナンバー2と対面する。

「やっと覇道を歩む気になったか、焦凍」

「別に、職場体験に来ただけだ。

 それと、友達も一緒に来てるんだ。あんま贔屓しないで平等に見てくれ」

「別段友達ってほどでもねえだろ」

「え」

「え」

 半分野郎がぼんやりとした顔をする。こいつこんなキャラだったんか。

 俺ら二人の間の沈黙にエンデヴァーが咳払いをする。

「……何やら認識に差があるようだが、爆豪、ヒーローネームは?」

「……バクゴーでいい。考えてたやつ全部ボツくらった」

「ほう、なんだったんだ」

「爆殺王、爆殺卿、爆殺」

「……英断だ」

「どういう意味だコラ!」

「焦凍はショートか。まあ二人ともシンプルなのはいいことだ」

 それ短い以外取り柄がねえってことじゃねえか。

「バクゴー、貴様を指名したのは、確かめたかったことがあったからだ。

 貴様はオールマイトを超えると明言した。その重み、本当に分かっているのか」

 エンデヴァーは慳貪な目を向ける。

 それを俺は睨み返す。

「……誰が無理無茶無謀と言おうが関係ねえ。俺は他でもない俺に誓ったんだ。デクにでもお袋にでもねえ。

 何よりも俺だけに、俺はオールマイトをも超えるナンバーワンヒーローになるってな」

 俺は言い返す。一度は、デクとの約束に逃げたこともある。俺の贖罪の道具にしたこともある。

 だが、あいつは言った、俺は俺自身の夢のために立てと。

 それに応えなきゃ、今度こそ顔向けできねえ。

「それで笑われたって構わねえ。夢を見るってのはそういうことだろうが。強くなるってことはそういうことだろうが。

 俺が折れちまって誰が俺を立たせるんだ?」

「爆豪……」

 半分野郎が俺を見る。それを無視して言い切る。

「あんたが何と言おうが俺は折れねえ。俺はあんたも超えて、オールマイトも超えて、どんなヴィランにでも勝って、どんな窮地に陥ったヤツも助ける最高のヒーローになるんだよ」

 俺がそう言い切ると、エンデヴァーはしばらく俺の目を見た。

 しばらく沈黙が続くと、エンデヴァーはため息をつく。

「……今のままじゃ、俺も辛いまま、か」

 その呟きに、俺と半分野郎は首を傾げる。何だ一体。

 エンデヴァーはしばらく俯いていたが、決心したように俺を見る。

「分かった。二人とも、俺についてこい。ナンバー2を見せてやる。

 だが忘れるな。オールマイトを超えるのは……私だ」

 その言葉に半分野郎が息を呑む。何だ?

「……ガキに張り合うなよ。そしたら今度はアンタを超えるだけだ」

「ふん、言ってくれる」

 そう言うエンデヴァーは、どこか吹っ切れた顔をしていた。何なんだ一体。

 

 

「とりあえず、早速で悪いが、我々は保須に急行することになった。そしてヒーロー殺しを捕らえる」

「「急だな」」

 ハモんじゃねえわ半分野郎。

 しかし、ヒーロー殺し。メガネの兄貴を再起不能にした奴か。

「どうやら他にもヒーローランクトップランカーが捕えようと保須に集まっているらしい。確かにいざとなれば共闘するが、それでも全員がライバルだ。気を抜くな」

「餌の取り合いみてえだな」

「テンション下がること言うな半分野郎。必ず捕らえてやらあ」

「まあ、有事になっても未資格者であるお前らには、交戦の権限は与えられないがな」

「んだよ! 期待させやがって!」

「そうむくれるな。少なくとも見ることで、得るものは確かにあるはずだ。……バーニン。入れ」

「はい、ただいま」

 そう言ってはいってきたのは、髪の毛が黄緑色に燃えている女だった。

 確か有名なサイドキックらしい。詳しくは知らねえ。

「俺は、二人を見ねばならん。遠征中のサイドキックのまとめ役、任せたぞ。ギトゥとオニマーには留守を頼む」

「あれ、爆豪くんは私が見る手はずでは?」

 そう言って意地悪そうに笑う。何だこの女?

「……予定は変わるものだ。出張の準備をする。お前たちはひとまずバーニンについていけ」

「はい、じゃあ出張前に、軽く概要説明ね。行くよ」

 そう言われ俺達はとりあえずついていく。

 この経験を経て、俺はデクを超える。

 そして、トップになる。

 そう思って部屋を出ると、急に女が抱きしめてきた。何だ。

 文句を言おうとしたが、その雰囲気があまりに優しくて、何も言えなくなる。

「……ありがとね」

 ほんの数秒そうしていると、何事もなかったかのように女は快活な顔をする。

「さ、いくよ!」

 手を振り上げて進む女に遅れぬように進む。

「爆豪……ありがとよ」

「何なんださっきからてめえら」

 釈然としないながらも、俺は二人とともに向かった。

 

 そして保須市。俺達はすぐさまパトロールに入る。

「一応職場体験だからな、簡単な説明はせねばならん、手短にいくぞ。我々は国から給金を頂いているので一応公務員だ。だが成り立ちからして、公務員とは何もかも異なる、次に実務、

 ……早速でたな」

 エンデヴァーが呟くと、熱風が吹き荒れ、目を瞑った隙に姿が掻き消えた。

 ! もうあんなところに!

「行くぞ! 半分野郎!」

「く! はええ!」

 俺は爆速で、半分野郎は氷の噴出で追いつこうとするが、到着した時には既に終わっていた。

「ただのひったくりだ。見ていたか」

「来たら終わってたわクソが!」

「そっちではない。移動の方だ」

 その問いに、俺は言葉に詰まる。

「……何か炎が噴出したことは分かるが、見えてはいねえ」

「……俺もだ。熱風が吹き荒れたと思ったら、もう遠くに行ってた」

「ふむ、まあ経験がないから仕方ないか。今のは炎を一点で噴出させて動く移動技だ。ショートはもちろん、バクゴーも似たようなことはできるだろう。何度か見せるから、盗め。さて、どこまで話したか」

 簡単に言ってくれる。これがナンバー2か。クソが!

 そう思っても、俺はぎらつく何かを抑えられなかった。

 

 

 side 塩崎

 シンリンカムイが説明をはじめます。

「基本は犯罪の取り締まりだ、警察からの応援要請や今のように現行犯での逮捕など、逮捕協力や人命救助への貢献度、それらを専門の調査機関のもとに申告。まあ基本は歩合だ」

 ヴィランを5人拘束しながら。

 民衆の歓声が聞こえます。私も茨で拘束しようとしましたが、圧倒的に速度で負けております。

「ヴァイン。君の個性は私の上位互換だ。だが、この速さは実務経験によるもの。君も戦闘となれば早いが、平常時から戦闘モードにスイッチを入れるのが遅い。その辺りが改善要素だな」

「いえ、そのような……勉強になります」

 緑谷さんの言ったとおり、このかたはとても強い。

 これがプロとアマチュアの差というものでしょうか。

「何、私もこれだけ早く動けるようになるまでかなりの時間を要した。

 ……体育祭の準決勝で見せたあの心意気、あれを忘れなければどこまででも伸びるさ」

「はい、ありがとうございます」

 緑谷さんの隣に立つヒーローになる。その夢のためには、いや叶えた後にこそ、困難があるのですね。

「それに、市民をガードするためにツルを伸ばした速度は素晴らしかった。だから大丈夫だ。頑張っていこう」

「! はい!」

 やはりここに来て良かった。

 私はそう思いつつ、さらに向上を目指して、パトロールに向かう。

 いつか、あの方の隣に立つ日まで、自分を磨き続ける。

 

 side 葉隠

 

 エッジショットさんと一緒にテレビ局の廊下を進む。

「あとは、副業が認められている。という訳で、今からニュース番組に出る。初日から付き人のような真似をさせてすまないインビジブルガール」

「いえいえ大丈夫! それに、テレビ局って初めてで楽しみです! 頑張って努めます!」

「そう言ってくれると助かる。さて、少し待て」

「へ?」

 そう言うとエッジショットが男の人に声をかける。

「失礼だが、社員証を見せてもらっても、構いませんか?」

「……く!」

 何と男がナイフを取り出した!

 私が咄嗟に向かおうとするが、それよりも全然早くエッジショットが男の手を叩いて無力化した。

「警備員を呼んでくれ」

「は、はいただいま!」

 私はわけがわからないまま、とにかく大声で駆け回った。

 結局その後収録は中止になった。

 

 私は落ち着いたところでエッジショットさんとご飯を食べる。

「あの、何で不審者だって分かったんですか?」

「これでも昔は潜入や情報収集などの仕事が多くてな。その時に人間心理や犯罪心理学の勉強をした。

 今のは結構分かりやすい方だった」

「そ、そうなんですか?」

「まあ最終的には雰囲気というか第六感に頼る部分が多いが、少なくとも知ると知らないとでは全然違う」

 そう言って、エッジショットさんは蕎麦を啜る。

「インビジブルガール。確かに君の個性は潜入や情報収集に向いている。だが、本当に任務をこなすには気配の消し方を身につけなければだめだ。格闘でもそうだ。見えないというアドバンテージを活かしきれていない。実に勿体ない」

「す、すいません。こんな個性だから、何とか存在感を出そうとしてしまって」

「謝ることはない。これは言わば蛇の道、だが、君にその気があるなら、気配の消し方や起こし方。その辺りも一週間でできるかぎり教えよう」

「お、お願いします。是非教えてください」

 本当は、ちょっと怖い気持ちもある。

 誰も私を見つけられなくなるんじゃないかって。

 けれど、きっと君は私を見つけるから。

 だから、消えることも、きっと怖くない。

 

side 麗日

 

「ウラビティちゃん。初日から気合入ってるね」

「はい! まだまだいけます!!」

「……そんなに焦らなくてもいいとおもうけどな、まだ一年なんだし」

 ガンヘッドさんはそう言ってくれるけど、そうも言ってられへん。

「あの時、私が触ってれば、デクくんは怪我せずにすんだんです……。

 だから、今度は私が、相手を逃がさない」

 思い出すのはブルズアイとの接敵。あの時透ちゃんがスキを作ってくれたのに活かせなかった。

 だから、デクくんは怪我するまで頑張った。

 私がもし触ってたら、デクくんにあんな無茶を。

「……襲撃事件のことか。成程、確かにヴィランは待ってくれないからねえ」

 ガンヘッドさんは腕組みすると、ポンと手を打つ。仕草がかわいい。

「じゃあウラビディちゃんは組手は一旦休憩、柔軟を教えるよ」

 そう言うと、女性のサイドキックを手招きする。デリカシーあるなあ。

「ハンドスピードを上げるには、反復練習も大事だけど、何より柔軟性と脱力。

 緑谷くんだっけ、あの子はそんなガチガチに拳をふるってないでしょ?」

 確かに、デクくんはいつもゆったりして、流れるような攻撃やった。

「そして何より焦りは敵さ、リラックスして、相手を愛しく思うように。そうすれば、君は今より早く相手に触ることができる」

「相手を愛しく思うように……」

「僕らは相手を倒すつもりで攻撃しないといけない。でも君は触れるだけでいい。とても優しい個性だ。だから、焦らずに頑張っていこう」

「……はい!」

 もう、あんな惨めな思いしたくない。

 私は息を吐きながら、柔軟を始めた。

 

 




バーニンって可愛いよね。
爆豪とバーニンのカップリングありそうなのに一回も見かけないのは何故だ?

強化フラグをちりばめるスタイル。でないと林間合宿編で死人がでることに気づいた。
何気に緑谷が一回も出ない回始めてかもしれん。

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