大型犬サイズのノワリンの話。
最新インベントリア、ニネキありがとうございます…
元々この話はインベントリア以前に最初だけ書いて放置していたものですがあれを読んでなんか閃いたので最後まで書きました。
もちろんいつも通り捏造過多、セリ科ポエム全開ですので細目でご覧下さい。

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またの名を現状に憂いて自分に自信を無くしたあと一念発起するノワリン。
もともとジク⬅ノワしようとしたらならなかったよ…おかしいね…?(これ前も言ったな)


穢れし黒は朽ちし黄金のユメを見る

光を受けて照り輝く黄金の鱗。

大地を踏みしめる力強い脚。

その巨体を空へと誘う雄大な翼。

それら全ては圧倒的な力の象徴であった。

まさしくそれは産まれたばかりの“黒”にとっては空に浮かぶ星、その中でも真昼にただ一つ輝く太陽の如き存在だった。

その憧れを受けてなのか彼の肉体は二脚か四脚かの違いはあれど黄金に似た姿へと成長していった。そしてその体を用いて黄金へ闘いを挑んだ時、彼は気づく。

その輝きは太陽などではなく膨れて死を待つばかりの赤色巨星であったことに。

憧れは失望へ、そして殺意へと変じていく。

「」

 

 

 

 

 

何か聞こえた気がして眼を開き辺りを見回す。しかし最近やっと見慣れたこの壁に囲まれた場所(城というらしい)では珍しく誰もいなかったようで辺りには足音も喧騒も聞こえてこなかった。くわりとあくびをしてから寝直そうと思ったが眠気はどこかにいってしまったようでまぶたは閉じてはくれなかった。

何もすることがないので手持ち無沙汰に以前と比べると随分と小さくなってしまった脚を眺めため息をつく。爪も小さくなってしまってこれではあの姦しい奴らにもかすり傷しか負わせられないだろう。

それに脚だけではない。体も小さくなって(奴らはラブラドールくらいのサイズでかわいい、撫でたい、腹の鱗を吸わせろなどと宣っていた、ふざけるな。ラブラドールが何かは分からない。)昔ならブレスの一つで壊せただろう建物のその一部で丸くなって昔なら爪の一撃で殺せた虫と蔑んでいた奴らから食べ物を貰って生きている。

 

これでは死んでると同じではないか。

 

そんな言葉が脳裏をよぎった。否定しようにも言葉が思いつかず、忘れようにもそれはある種気づきに近く。

それと同時に思い浮かぶのは自らが死んでいると同じと断じた黄金の姿。ああなるくらいなら、いやもうああなっているのならば、いっそ。

絶望に核が軋んでいるような気がした。それは幻想なのか、それとも願わくば。

今までの自らの姿が脳裏に流れる。ああ随分と憧れからは遠い生を送ってきた、今なら分かる。

精神が黒い澱みに落ちていくのを感じながらそっと目を閉じた時、

「一緒に頑張りましょう!」

一つ小さな輝きを、少女の笑顔を思い出した。

そしてその輝きは黄金の最期の輝きの記憶、自らに向けられた言葉を照らし出す。

 

あぁ、まだ己は生きている。星へ向かうための誇りも翼も傍にある。ならば沈む時は死ぬ時は今ではない。

 

どこか晴れ晴れしい気持ちになった彼の所に朝日が差し込む。今日もまた小竜と人の騒がしい日々が始まる。

輝ける黄金の星の最期の爆発は確かに昴と傍らの暗黒星雲を照らし出した。その未来は誰にも分からず、故に無限の可能性を持つ。

 

願わくばその未来に誇りと翼があらんことを。




ユートピアに生き、ましてや他を蔑み生きていたノワルリンドは知るよしもなく、秋津茜もそこら辺には疎そうではあるが地球にはこんな言葉がある。
憧れていた人物がどうしようもなく堕ちた時、殺そうとする感情を「敬愛」、それでも受け入れ共に行こうとする感情を「執着」という。
…彼があの時抱いた感情とはなんであったのだろうか。
それに名前をつけるものは無い。


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