機っと続けば、このオリ主が自爆するんだろうなって考えながら書いた作品。

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気休めに書いた作品です。このオリ主は控えめに言って屑ですね。それは、心で理解できる。


観客はやがて劇場に上がる

「ナンセンスだ」

 

それが彼の遺言となった。彼は、悪辣だった。何処までも自分本位で、他者を惑わし決して自分の足が付かない様にしてきた。そんな彼の最期は、余りにも呆気なかった。日常の中の非日常、階段の前を歩く二人組の高校生の動きに反応しきれず、そのまま頭から階段を落ちていった。それだけの事だった。そして、簡単に命を落とした。

 

そして、目覚めた。いや、目覚めさせられた。神によって。ただ、目についた魂を拾い上げ細工を施し、既に完成された世界へと産み落とした。異端の存在として。異質な存在として。そして、起こる筈の無い悲劇を起こすために。既知の輪廻から脱却。盤上で遊ぶだけでは、既に神々は飽きてしまったのだ。そこから始まるのは、観客兼脚本家を自称する悪辣な化け物と、守護龍を中心とした物語である。

 

~~~

 

冥界のとある場所。そこには、蔦で覆われた屋敷が存在した。庭は整備され、直ぐにでも茶会が開けそうな程に美しいが、その代わりに屋敷は蔦で覆われそこだけを見ると最早幽霊屋敷、廃墟と言っても良い。

そんな屋敷の住人はたった一人の男。男は、白髪の入った茶髪に程良く伸びた髭、少し老け込んではいるがそれでも端整な顔立ちで人を引き付ける。自らの書斎で少ない明りの中で本を読んでいた。傍らに置かれている杖は年季を感じさせる。

 

小さくクラシックが流れている。落ち着いた雰囲気の書斎に異音が混じる。ドアをノックする音が鳴り、男は本から顔を上げずに一言「開いているよ」とだけ、言うと中に人が入ってきた。その人物は腰まである赤い髪に、優し気な風貌、それにミスマッチな威厳たっぷりな服装の悪魔(・・)だった。

 

「少々、良いかな?」

「おや、私に何の用だネ?魔王サマ?」

 

本から顔を上げた男に魔王と呼ばれた悪魔は苦笑いを浮かべながら、背後から一人の幼女を出した。いや、出したというと語弊がある。魔王の背後に隠れていただろう。その容姿は、魔王にとても似ていた。強いて違う点を挙げるとするならば、それは性別位ではないだろうか。

 

「妹の世話役をやってはくれないかい?君なら、リーアにもいい経験を積ませられると思っているのだけれど」

「そうは言ってくれるがね、私とて悪魔だ。何かメリットを出したまえ」

 

本を閉じながら、呆れたように肩を竦める老悪魔。それに魔王はまた苦笑いを浮かべた。彼が魔王になっても一向に変わらないその態度に、同時に恋のキューピットである老悪魔への期待があった。彼に掛かれば、最愛の妹も優秀な者と結ばれるかもしれないと。

 

「そう、だね。では、君個人に私から援助を行うっていうのはどうだろう?他にも、私の出来る範囲、他の悪魔とのある程度の公平性さえ保てれば融通するよ」

「そこまで大盤振る舞いにするとは、何が目的かね?」

「…出来れば、君にはリーアの眷属になってほしい。この子は、どうもなんでも一直線に進むおてんば娘だからね。間違いが起きてからでは遅い。何より、君に退屈させないだろうしね」

 

老悪魔がその自信は何処から出ているんだ。と呆れ半分に尋ねると「勘だよ」とまた誇らしげにそう言った。その姿が可笑しかったのか老悪魔はクツクツと笑いだした。

 

「あぁ、良いだろう。この私、グレゴワール・ロシエルの名に懸けて君の妹を教育しようじゃないか」

 

まるで舞台役者の様に大仰な動作で魔王に向かって一礼した。その姿は、まさに悪逆の限りを尽くす悪魔(道化)にふさわしい姿だった。

 

 

それから数年が経ち、グレゴワールを眷属にした魔王の妹。リアス・グレモリーは領地運営の勉強の為に日本の某県に存在する駒王町に訪れていた。未だ、体を自由自在に扱えるほど成長していない為高校生として来日しているが。

 

「さて、侵入者はこれで全てか。まったく、老体をこうもこき使うとは…一体どこで教育を間違えたのかねぇ」

 

殺したはぐれ悪魔を眺めながらそう独り言ちたグレゴワールは煙草を取り出すと持っていたライターで火をつけ、一服していた。

その姿は、一枚の絵のように美しく同時に床に転がる死体によって悍ましくもあった。肺一杯にため込んだ煙を外へと吐き出しながら、自身の計画(・・)に思いを馳せる。

かつて、こちらに依頼してきた坊やが今では自身を顎で使える立場になり、こうして家族のステータス稼ぎに使われている。同時に、自身にも知らていない裏の事情を考察する。

 

一度没落したフェニックス家は盛り返し、今では特殊産業で一財を稼いでいる。リアスは現在は次期当主であるが、弟であるミリキャスが成長するまでの繋ぎだろう。そう考えれば、今のうちに婚約者の一人や二人見繕っておかなければならない。そこで、候補に挙がったのが前述のフェニックス家だった。公爵家であるグレモリーだが特にコレと言って特産品も無ければ、何か秀でている部分も無い。中途半端に小さい領地を持ちながら未だに開拓できていないのは領内の経済が停滞化しているからだろう。

 

それを活性化させるためには外部からの何かしらのアクションが必要である。それに、重要なファクターになるのがフェニックス家。だが、当のリアスはそれに乗り気では無く寧ろ拒否している。妹魂(シスコン)である魔王ルシファーからしてみれば、妹の願いを聞き届けてあげたい。

だからこそ、私を傍に置かせたのだろう。

 

ロシエル家は恋愛を司る悪魔の家だ。ただし、一度自身に惚れさせその情念の向きを操作する必要があるのだが。過去にこの能力を使って現ルシファーとルシファーの側近ルクフルギス家のメイドを引っ付けた。いうなれば、自身に全くの利益の無い洗脳と言った所だろうか。

 

しかし、それをグレゴワールは楽しんでいた。自身を好きだと言った女が浅ましくも他者に傾倒しその者に愛を囁く。人間だろうが、悪魔だろうがどんな種族であろうともそれは同じこと。その浅ましさ、薄っぺらい愛を語る者たちをグレゴワールは嗤い続けてきた。

 

「あぁ、全く。これでは、対価に釣り合わない。一人だけでは物足りん。…そうだ。お嬢の眷属を一人の眷属に主もろとも惚れてもらえば面白くなるか」

 

情に堕落し、腐敗していく様を見てやろうじゃないか。そう考えるだけで、グレゴワールは体を震わせた。愉しみで仕方がない。完全に惚れきり、一線を越えた瞬間に術を解除すればどうなるだろうか。泣き叫ぶだろうか、誰に言うでも無く許しを請うだろうか。それはグレゴワールにも分からない。ただ、その結末がきっと私を愉しませるだろうと、心を震わせた。

 

心に傷を負った騎士

心優しき魔女

弱虫な勇者

三種族の混血

猫又の少女

婚活の戦乙女

破壊の剣の所有者

転生天使

そして、元ソロモンの悪魔

 

それら全てが、一人の男にうつつを抜かせばどうなるだろうか。きっと、微笑ましいとは別次元の争いが起き、痴情の縺れの先に破滅が待っているのではないだろうか。

しかし、だからと言ってグレゴワールは計画を止めない。己の愉悦の為、自身を起用した偉大なる魔王(愚者)の為。彼は、今日も笑い続けるだろう。




色々なタイプのオリ主を書いていきたいなーと思う反面。短編多くなってきたなーと、見返す日々を送っています。

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