ではでは、そろそろ本格的に舞台を動かしますか。
表側で色々あるジュエル・シード事件。
裏側で始まりそうな、神々の最終戦争。
さて、どっちもどっちで逝きましょう。
こんにちは! 佐藤・浩介です!
先日、親友の健にジュエル・シードを渡してきました。
困っている友人のために、探しているものを渡すっていいことしたなぁって思っていたんですけど。
「なあ、浩介、これ何処で見つけた?」
なんでだろう、学校に来たら健が怒った顔で言ってくるのです。
「え、ラキシスさんが集めてくれたよ」
「いや何時だよ?」
何時って何時だろう、お願いしてから一日も経っていない気がするけど、集めてくれたってことは、かなり頑張ったんだね。
『誰か、この阿呆に教えてやれ』ってギルさん、何か知っているのかな。あ、そうか『目』を使えばいいのか。
『おい、止めろ。いくらおまえでもまだ耐えられないだろうが』って古城さんは、何を心配しているのかな。大丈夫、僕だって大人になって色々とできるようになったのです。
よっし、使おう。『駄目じゃ』っておじいちゃんが邪魔します、なんでか『目』に関しては僕の意思より、ギルさん達のほうが優先? されるみたいです。
「浩介、話を聞いてないのか?」
「聞いているよ、健。僕も知らないから、ちょっと『目』を使おうと思ったら、ギルさん達が邪魔するんだもん」
「は? え、『ギルさん』ってギルガメッシュ?!」
おお、驚いている健って久しぶり。知っていたんだ、なら素直に話してもいいかなって。
「うん、ギルさん。僕の頭の中? あれ、魂の外側? とにかくね、ギルさんが色々と教えてくれるんだ」
「英雄王に師事されているって、おまえって奴は」
え、そんなに驚くこと。なんだか顔色が悪いけど、どういうことなんだろ」
「待った! おまえ、『達』って言わなかったか? あれか、まさかおまえの最初の特典の」
「うん、後ね古城さんとおじいちゃんがいる」
「まさかの第四真祖に山本総隊長までかよ」
あれ、健が崩れ落ちた。最近、そのポーズって流行っているのかな。僕は知らないけど。
「他にいないよな? いないよな?! まさか、転生特典のキャラすべてとか言わないよな?!」
「うん、他の人はいないよ」
なんで僕は健に首を絞められているのでしょうか?
あれ、親友に殺されるって、どっかの冒険譚の始まりだったような?
「本当だな?! L様とかいたら怒るからな?!」
「大丈夫だよ、健。そこは女神様が『大丈夫です』って言ったから」
「女神様?」
「うん、なんだかよく土下座に来る女神様」
「・・・・・・おまえ、本当にチートだな。チーターか?」
初めて聞く単語です、できれば意味を教えてください。
でも、健は教えてくれませんでした。
親友だって思っていたのに。
後で怒ってやろう。
「は?! 何処かでマスターが怒っている気配が?!」
「は~~いラキシス、いいから座って」
「ごめんなさい」
場所は変わってフロート・テンプル。四人がイスに座ってデータを眺めていた時、唐突にラキシスが叫んで立ち上がったのでした。
それに冷静に突っ込み(物理的なサイオン弾付き)をするリーナ。
「なんか、最近のラキシスはポンコツ」
イオナ容赦ない一撃、ラキシスにクリティカル・ダメージ。
「最初からポンコツなのでは?」
深雪からのコンボあり、ダブル・ダメージで4Dでも振ってください。
「ポンコツ・ファティマの話はいいから」
「もう止めてください! 私のライフはゼロですよ?!」
「黙れ、ポンコツ」
グッと何かが突き刺さり、ラキシスは崩れ落ちて灰となりました。
「普段は優秀なのに、どうしてこうマスターが絡むとポンコツになるかな、こいつ」
冷たい目で見下ろすリーナに、深雪は半眼で返した。
「貴方もそうでしょう?」
「深雪も大概」
素早く切り返すイオナに、深雪は凍ったように固まった。
「皆さんは!」
ラキシス復活。立ち上がり、皆を見下ろしながらニヤリと笑う。
「マスターが絡むとポンコツですよね?」
「よく言ったラキシス」
「ケンカを売っていますか?」
「宣戦布告なら受けて立つ」
全員が一斉に立ち上がり、それぞれの武器を持ち上げた瞬間だった。
テーブルの上に女神様が降り立つ。
「フ」
絶世の美貌、この世のあらゆるものよりも美しい、まるで宝石のような顔に微笑を浮かべながら全員を見下ろした彼女は。
「私が一番ポンコツですから!」
空かさず土下座したのでした。
ピシリと空間に亀裂が入ったような、張りつめた空気の中、最初に動けたのはラキシスではなく、リーナだった。
「今度は何をやらかした、この駄女神」
「はい、駄女神です、本当にごめんなさい、もう最下級の女神ではなくミジンコでいいです」
「いいから、何したのよ」
苛立ちを隠そうとせず詰め寄ろうとしたリーナだったが、彼女がいるのがテーブルの上なので止めた。
自分がスカートだから、足を上げたら恥ずかしいなんて思ったのではなく、テーブルの上に上がるのは無作法だから。
「この駄女神」
「はい」
「降りろ、そこテーブルの上」
「はいぃ~」
速やかに床に降りた女神は、土下座続行。この態度に、今回のやらかしは過去最上級だと誰もが察した。
「で、今度は何をしたの?」
「そ、そのですね、今回は転生特典を間違えたのではなく」
「間違えたのではなく?」
「創造神様がやらかしたことを謝罪に」
予想外といえば予想外の人物が出てきて、誰もが思わず顔を見合わせた。
創造神といえば、最高位の神。世界のすべてを生み出し、世界のすべてを司るが、それだけ巨大な力を持っているために人の世界に滅多にかかわることはないはずだ。
いや、待ったと誰もが思った。
かかわることがないはずの存在が、ちょくちょくやってきては土下座をしてないだろうか。
認めたくはないが、この何時もいるような土下座馬鹿は女神。それもかなり権限が高いだろう女神様。
浩介が今までに貰った転生特典を考え、この女神がずっとやらかしていたならば、あれだけの特典をつけられたのは、この女神がかなりの権限を持っていたからだろう。
ポンコツで馬鹿で、余計なことをしてくる駄女神であっても。
「いいわ、教えなさい」
気にするだけ馬鹿馬鹿しいとリーナは内心で結論を出した。
「はい、実はトラブル・メーカーを逆転させたものを、浩介君に入れたそうです」
「よし殺そう」
即決。マスターにそんなことした相手ならば、例え相手が神々の最高位であっても殺しに行くべき。
従者としての決意で動こうとした四人の前に、女神が立ち上がる。
邪魔するのか、と考えていると女神はとても綺麗な笑顔で告げた。
「あ、もうやりました」
とても素晴らしく素敵な笑顔でした。
「もうね、天使達と女神達の全員で頑張って粉砕です、粉砕。まあ、世界管理システムは創造神様がいなくても、問題なく動くのでいいですし、数年後には復活しますから、その時に改めてね」
頬を染めて語る女神様の頭とお尻に耳と尻尾が見えた四人でした。
「あ、そうなの」
「はい!! なので今回のお詫びに、浩介君に『その創造神の権能』を上げようかなって」
「あんた何してんの?!」
リーナ思わず叫んで魔法発動。ヘヴィ・メタル・バーストだったようだが、女神の権限により効果無効。
「ええ!? ダメですか? それがあれば、死後は私たちと一緒の世界で、楽しく暮らせるなぁって」
モジモジと手を動かす女神様、妙齢の女性の姿なのに、子供みたいに見える。
「本当に何を考えているの?!」
ラキシス、鉄拳制裁。女神も権限を貫通、女神様にダメージ入る。
「だってだって!」
泣き顔で語る女神に、深雪の凍結炸裂。氷の彫像が出来上がるも、一秒後には砕けて女神様復活。
「本当に何をしているかしら?」
「だってぇだってぇ!!」
泣きながら顔を振る女神へ、イオナのナノマテリアルの剣が突き刺さる。
「自分のしたことをよく理解すること」
「だってぇぇぇ!!」
剣が崩壊して消えた後、女神様はハッと気がついて涙を拭って再び土下座。
「お願いします!」
深々と土下座した後、顔を挙げて真剣に叫んだ。
「私に佐藤・浩介君をください! 毎日、見ていました! ずっと追いかけていました! 好きになりました!! だからください!!」
「・・・・・・・・」
この日、女神様、現在創造神の代行をしている存在は、史上最悪のストーカーになっていることが判明しました。
「却下!」
「ふぇぇぇぇぇ!!!」
けれど、きちんと保護者達を通すだけ、世の中のストーカーよりマシかなぁっと四人は思いましたとさ。
ちなみに、女神様は泣きながら神々の世界へ帰って行きました。
ム!? 何処かで僕関係で何かあった気がする!
『こ、こやつ』とかギルさんが驚愕しているけど、ギルさんと同じ能力を持っているなら、このくらいはできる気がします。
だって、英雄王だから。きっと僕なんて想像もつかないような、立派なことをして世界中の人々が幸せに暮らせる国を作ったんだと思う。
だって英雄王なんて呼ばれているんだから!
アーサー王も勝てないような。
『グ?!』
ヘラクレスとか一撃で倒して!
『ぶは?!』
山さえも拳の一撃で割れる人だったんだと思います!
『生きているか、ギル?』
『まさか、この我がこんな小僧に負けるとは。世界は広いな第四真祖よ』
『いや、お前ね。なんでそんなに清々しい顔で倒れてるんだよ? 単なる憧れを向けられただけだろ?』
『時に純粋な想いは、刃のように鋭く抉る。我は真理を忘れていたようだ』
ギルさんが笑顔です、初めて見るくらいにいい笑顔しています。
よっし僕も頑張らないと。
「がんばります!」
まずは右手に流刃若火を出して。
『ほう?』
おじいさんが目が鋭く光ったけど、このくらいは簡単にできます。もう最初の頃の僕じゃないのです。
そう! 今の僕はハイパー! 左手にはレグルスを!
『おい、第四真祖よ。あれを見よ。解るか、貴様には先ほどの我の気持ちが解るだろう?』
『なんで子猫サイズで手乗りしてんだよ。なんだよ、あれ』
『フハハハハハ!! いいぞ! 実にいいではないか! ともに愉悦の世界に旅立とうではないか!』
『逃避だろうが、それ』
『鍛え過ぎたのぅ』
よっしできた! 次はこれをこうして、あれできない?
流刃若火にレグルスを入れたら、雷と炎の刀にならないかなぁって考えたんだけど、無理でした。
『じいさん?! なんで倒れそうになってんだよ?!』
『儂の流刃若火は、最高じゃぁ』
『山本のじいさん?!』
なんだろ、おじいちゃんが倒れたけど、古城さんがついているからいいか。
むう、かっこいいと思ったんだけど、できないなら仕方ない。
「では! エアを!」
『止めぬか貴様ぁぁぁ!!!』
「これが風なら炎とも相性がいいはず!」
『貴様の中で『エア』がどういうものか解ったわ! 風ならば騎士王の聖剣であろう?!』
「え? なにそのかっこいい名前! 騎士王の聖剣ってあるの?!」
『貴様、『宝物庫』の中身を確認しておらぬな?』
「確認してません!!」
ビシっと敬礼を決めて見たら、ギルさんが倒れました。
「あれ、ギルさん、ギルさんってば」
慌てて駆け寄って揺すってみると、なんだか顔面蒼白です。
『我の宝具は、誰もが望んでいたものであったはずなのだが、貴様にとってはあったのそれだというのか。世界の財のすべてを収めた蔵だというのに』
なんだろう、ギルさんがとってもつらそうです。
「古城さん、何かあったの?」
『おまえさ、本当にさ、なんでそう強さとかスキルとかに無頓着でいられるんだよ?』
なんだか呆れた顔? の古城さんがいました。
だって僕は僕だから、僕なのです。って感じかな。
『いいからそろそろ起きろ。昼休み、終わるぞ』
「は~~いまた後でね」
笑顔で手を振ると、何故か三人が溜息をついていました。
どうしてだろう?
うん、昼休みを使って色々と試したけど、少しもできなかった。これは帰ってから頑張って修行しないと。
目指せ、理想の最高のラスボスだ!
「なあ、浩介。ちょっと時間があるか?」
「あるように見えるの健! 僕は帰ってラスボスに磨きをかけないと!」
「かけるなよ! それ以上は強くなるなって! なんで昼休みに寝ていたおまえが、起きたら『もう見ない方がいい』って表示になるんだよ!」
「えええ? そんなの僕に聞かれても」
あれ、健までため息をついたよ。なんだよ、親友に向かってため息なんて、何かあったんじゃないかって心配するだろ。
「おまえのそういうところ、変わらないよな」
「僕は僕だからね。それでどうしたのさ?」
「いや、ちょっと会いたいって人がいてさ」
誰だろう?
「時空管理局のリンディ・ハラオウンって人なんだけど」
健の言った人に心当たりはありませんでした。
「ただいま~~~」
「あ、お帰りなさい、マスター」
「ラキシスさん! じくうかんりきょく? ってところのりんでぃさんって人から呼び出しを貰ったから行ってくるね」
「解りま・・・・したぁ?! マスター! ちょっと待ってください! マスターぁ?!」
「夕食までには帰ります!」
ビシッと敬礼してテレポートした浩介に、ラキシスは手を伸ばしたまま固まって、そして通信機を取り出した。
「非常警報! マスターが時空管理局に呼び出されました!」
「全師団全力稼働! フル装備よ!」
「怪獣達へ通信を行います。『マスターの危機のため応援を願います』」
「全艦艇、リミッター解除。全艦隊起動開始」
「全戦力の全力戦闘をマスターに代わって許可します! さあ!」
バッと手を振ったラキシスの上から、『ミラージュ・マーク』の旗が降りてきた。
「仮称ですが、これがしっくりくるので。『ミラージュ騎士団』総員! 決戦準備を!!」
ラキシスの号令に、フロート・テンプルだけではなく、ジョーカー星団が揺れたのでした。
次は、時空管理局アースラ組VSミラージュ騎士団、プラス怪獣軍団、という話を頭空っぽで勢いのままに行けたらなぁって思います。
あれ、なんでだろう、気がついたら女神様がストーカーになっていた。
さてと、ここに食い込み形でフェイト達が参戦すれば。
無理かなぁ。