転生特典が使い辛い件について『完結』   作:サルスベリ

15 / 16
 








 知らず知らずのうちに母親の怒りを買ってしまった浩介。

 彼を討つために立ち上がる一人の魔導師。

 急ぐんだ、健!

 君が止めないと世界が崩壊するから!













言ってる意味が解らなかったんだよ、深雪さん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 魔王とは、何時から魔王なのか。

 

 そもそも魔王とは何者か。魔王軍を率いるから魔王なのか、それとも魔族の頂点だから魔王なのか。

 

 いや違う、魔法を使い絶対的な強さを示すから魔王と呼ばれる。

 

 別世界で彼女は『管理局の白い魔王』って呼ばれていた、かもしれない。悪魔かもしれない。きっと悪魔だ、いや待った。あの容赦ない攻撃で悪魔なんて優しい呼ばれ方しない。

 

 結論、高町・なのはという少女は『白い魔王』って呼ばれるようだ。

 

 きっと、そうだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうも、佐藤・浩介です。

 

「いたわね!!」

 

 学校が終わって帰ろうとしたら、なんでかプレシアさんに捕まりました。

 

「あれ~~どうしたんですか?」

 

「どうしたんですか、じゃないわよ! 貴方、解っていてやったのね?」

 

「え?」

 

 何の話だろう、意味が解りません。解っていてやったなんて、そんなことないと思いたいけど。

 

 僕はそんなにひどい人間じゃない!

 

 『ギル! ギルガメッシュ! 戻って来い! おまえが死んだら!』とか、古城さんがうるさいな。

 

 ギルさんもなんで魂が抜けたような顔しているんだろう。魂だけ、それって楽しいのかな、王様流のお遊戯だったりして。

 

「いいから来なさい!」

 

 あれ、プレシアさんに手を引っ張られて、連れて行かれます。

 

「こーすけ君! その人は誰なの?!」

 

「なのはちゃん、プレシアさんだよ」 

 

「誰なの?! アリサちゃん、すずかちゃん、非常事態なの!」

 

 あれ、なのはちゃんが携帯で連絡しているけど。

 

「な、なんでプレシアが? あれ、ジュエル・シードの時にフェイトがいなかったような」

 

「健ぅ~~ちょっと行ってくるね」

 

「待て! おまえ何した?!」

 

 ええ、健まで僕が何かしたって思っているなんて。そんなことないよ、僕が何かしたなんてそんなこと。

 

 というわけで、プレシアさんに引っ張られて公園に連れ込まれました。

 

「あの、プレシアさん」

 

 え、なんでか睨まれた。僕は何かしたのかな、フェイトちゃんに何かした覚えはないし。

 

 あれ、ギルさん達が固まっている。なんでだろう、僕的には何もしてないのに、どうして『信じられない』って顔して固まっているのかな。

 

「まずは私の病気を治してくれてありがとう、お礼を言うわ」

 

「はいお礼を貰いました」

 

「それとアリシアのこともありがとう。なんてお礼したらいいか」

 

「大丈夫です、家族仲良く過ごしてくれたら十分です」

 

 うん、本当に家族なら仲良く過ごしてほしいな。フェイトちゃんの家はお父さんがいないみたいだけど、お母さんのプレシアさんはいるからさ。

 

 僕の家みたいに両親が亡くなって、子供一人で生きていくなんて。

 

 あれ、でも僕はラキシスさん達がいるから、一人で生きていくわけじゃないよね。あれ、ひょっとして僕はかなり幸運なのかな。

 

 たぶんそうだよね。

 

 天国のお父さん、お母さん、浩介は幸せに生きています。

 

「でもね」

 

 あ、プレシアさんが怒っている。え、ここから何かあったの、もしかして時空管理局が何かしたとか、アリシアの病気が治りきらなかったとか。

 

 おかしいな、きちんと『目』で見て病気だけ『殺した』はずなんだけどなぁ。使ったことない能力だから、上手く出来なかったとか。

 

「見たでしょ?」

 

「え?」

 

「だから!! 娘の裸を見たでしょう?!」

 

 え、誰の裸、なのはちゃんとアリサちゃんとすずかちゃんなら、この前にお風呂に突撃されて見たことあるけど、あれはふかこうりょく? って奴なので大丈夫だって言われたから。

 

 ラキシスさん達に!

 

「娘のよ!! アリシアの!!」

 

「・・・・・・ああ!」

 

「思い出したようね! 貴方は!」

 

「培養液と光の加減で見えませんでした!」

 

「・・・・・・・へ?」

 

「だから大丈夫だと思います! きちんと『目』を使って内臓しか見てないから!」

 

 あれ、プレシアさんが固まった。

 

 どうしたのかな?

 

 

 

       

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「離して! 離してぇぇぇ!!」

 

「何してんですか女神様! どうして服を脱ごうとしているんですか?!」

 

「浩介君が! 浩介君が汚されるの! 黙って見てられないじゃない!」

 

「だからってあんたが服を脱いでどうするんだよ?!」

 

「私の素晴らしい裸体で浩介君を浄化しないと!」

 

「浄化ってなんだよ浄化って! そんなことしたら人間の世界が、ハルマゲドンでしょうが!」

 

「え!? わ、私の裸ってそんなに危険物扱いなの?」

 

「いやそうじゃなくてですね、女神様」 

 

「私ってそんなに醜いの?」

 

 女神様、ガチ泣き入りました。

 

「はいはい、綺麗で素晴らしい黄金比率ですよ」

 

「うう、本当?」

 

「はいはい、でも女神様」

 

「ふぇ?」

 

「貴方達の服って抑制装置も兼ねているから、それを脱いで人間の世界にいったら、一瞬で文明が滅びるって忘れてません?」

 

「あ」

 

 天使の呆れた顔に、女神様は固まった。

 

 セーフ! 最終戦争回避!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こーすけ君?

 

「ヒ?!」

 

 あれ、なのはちゃんだ。アリサちゃんとすずかちゃんもいる。あれ、なんでバリア・ジャケット装備?

 

 プレシアさんも、変な声出して僕の後ろに隠れるし。

 

「今のお話、何かなぁ?」

 

「お話? プレシアさんの娘さんを助けたって話?」

 

「そこじゃなくてよ!」

 

 どうして、アリサちゃんは怒っているのかな。手に持った剣で、今にも僕を刺しそうになっているんだけど。

 

 『おい、眷獣が反応してるぞ、抑えろ』って古城さんが言うけど、これってアリサちゃんに反応しているんじゃないような。

 

「フフフフ」

 

 なんか、すずかちゃんが真っ黒な影を背負っています。はっきり言って、なのはちゃんとアリサちゃんより、今のすずかちゃんのほうが怖いです。

 

 『聖杯の泥か。最近の雑種は、それが標準装備なのか?』なんて、ギルさんが頭を抑えています。なんだろう、背中が微妙にすすけているような気がします。 

 

 すすけているって解らないけど。

 

「こーすけ君! なのはというものがありながら他の女の子の裸を見たって、どういうことなの?!」

 

「え、そんなことないよ」

 

「嘘つかないで! さっきのお話を聞いていたの!」

 

 さっきのお話って、プレシアさんの娘さんの裸がどうのこうのうってお話だよね。あれって勘違いで終わっているはずなんだけど。

 

「勘違いだよ」

 

「勘違いでお母さんが怒らないの!」

 

「そうよ! コースケ! あんた私達の裸を見たのにどういうこと?!」

 

「浮気は駄目だよこーすけ君!」

 

 アリサちゃん、裸を見たって。あれは見せたって言うんじゃないかな。

 

 すずかちゃんも、浮気って何にさ。

 

「誤解です!」

 

 でも怒っているみたいだから、先に誤解って言っておかないと。

 

「五階も六階もないの!」

 

「なのはちゃん! 階のことじゃないから! 間違いって意味だよ!」

 

「そんなのは知っているの?!」

 

「知っているならなんでそう返したの?!」

 

「こーすけ君が意地悪だからなの!」

 

「なんで僕が意地悪なのさ?!」

 

 意味が解らないよ、なんでなのはちゃん達に怒られているのさ、僕が何をしたっていうんだ。

 

「何時も何時もなのはが言っているのに聞いてくれないし!」

 

「聞いているよちゃんと!」

 

「聞いていないの! 私は何度も言っているのに!」

 

「だから何を?!」

 

 まったくなのはちゃんは、何を何度も言っているって言うんだろう。

 

 同じことを繰り返すことなんて、なのはちゃんはしてない気がするけど。

 

「もういいの! こーすけ君! 大好きです愛してます!」

 

「なのはちゃんの嘘つき!! そんなこと言っても騙されないからね!」

 

 またそんなバカなこと言って! 

 

 僕の純情を裏切るつもりなんだ、何時だってなのはちゃんはそんなことを言うけど、そんな態度なんてしたことないじゃないか。

 

 幼馴染をその気にさせて、『勘違いしないで』なんていうつもりなんでしょうけどう、僕には通じないからね。

 

「本気なの! こーすけ君が好きなの! 愛してるの!」

 

「絶対に騙されないよ! なのはちゃんは自分が可愛いからって、男にそう言えば解ったって言うと思っているんだから」

 

 まったくそんなことは絶対にないから。

 

 あれ、なのはちゃんが蹲っているけど、何かあったかな。

 

「コースケあんた」

 

 アリサちゃん、その顔は何さ。

 

「こーすけ君、私だってこーすけ君のこと好きだからね」

 

「すずかちゃんまでなのはちゃんと同じことで、男を騙そうとするんだね。でも、ダメだからね。すずかちゃんみたいな可愛い子が僕のことを好きなんて、そんなこと絶対にないからね」

 

 あれ、今度はすずかちゃんが蹲った。

 

「コースケ!! ちょっとこっち来なさい!」

 

 なんでだろう、アリサちゃんが剣を振り回して、炎が出たよ。

 

「危ないじゃないか! 肌が綺麗なんだからそんなやけどすることしないの! 自分が可愛い自覚があるのアリサちゃん?!」

 

「ク、これは凄まじい威力ね」

 

 なにそれ、まだ何もしてないんだけど。

 

「貴方、その年でスケコマ師なのね」

 

「プレシアさん、何を言っているか解らないけど、僕を馬鹿にしているのは解りました」

 

 まったく、女の人は魔性だって本当だね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所は変わって、フロート・テンプル。

 

「そういえば、マスターってなんであんなに異性からの感情に鈍感なの?」

 

 騎士団の再編成中のリーナは、ふと思い出したようにラキシスに訪ねた。

 

「そうですね、原因は」

 

 ラキシス、映像端末を操作してモニターを起動させる。そこに映っていたのは三歳か四歳くらいの浩介と、高町・なのは。

 

『こーすけ君、大好き。愛しているの』

 

『え、そうなんだ』

 

『うん!』

 

 笑顔全開で告白するなのはと、ちょっと照れてそうな浩介。初々しい映像が流れた後、リーナは口を開く。

 

「へぇ~~こんな時代があったんだ。あれ、でもあの二人って付き合ってないわよね?」

 

「はい」 

 

 何故か、ラキシスはちょっと顔色が悪い。

 

「昔のマスターの映像ですか?」

 

「何かあった?」

 

 そこへ深雪とイオナが合流し、映像は次々に流れる。

 

 最初は微笑ましく見ていた全員だったが、次第に呆れた顔になり、やがて誰もが俯いてしまう。

 

「何の映像ですか、これ?」

 

 深雪が絞り出すように告げると、ラキシスが盛大に溜息をついた。

 

「好きって言葉を知っている子供だけど、付き合うってことを解ってない子供だったから、挨拶のように『好き』を重ねるのがいいって思ったんでしょうね」

 

 苦笑しているラキシスの隣、リーナは盛大に溜息をついた。

 

「それにしても、限度があるでしょうが」

 

 会うたびに、すれ違うたびに、高町・なのはが佐藤・浩介に好きと伝え続けていた。

 

 恥ずかしそうに、毎回毎回、とても初々しい様子で伝える愛の言葉は、幼い子供ながらに真剣なものだったかもしれない。

 

 最初は冷やかしていた友達も、次第にその回数が重なっていくと赤面したり、ちょっと困った顔になって。

 

 小学校に入った時にはすでに周りが、『おまえ大丈夫か』というほどになってしまっていた。

 

「ああ、だからマスターはなのはの告白にああ返すのね」

 

「不可解だったけど、理解した。マスター、不憫」

 

 リーナが納得したように溜息をこぼし、イオナはそっとハンカチを取り出すも、涙は流れない。ポーズのみとか器用なことをする。

 

 つまり、佐藤・浩介が異性の好意に鈍感なのは、幼い頃からずっとそんな教育を、本人は意図していなくともずっと続けていた彼女が原因。

 

 つまり、『高町・なのはが悪い』ということか。

 

「あれ待って。それって振られているのよね?」

 

 リーナが思いついたことを口にして。

 

「どっちがどちらを、ということになりますが、そうではないですか?」

 

 深雪も同じことを思いついて、リーナに追従した。

 

「・・・・・・高町・なのはの中では『好きと告白した、通ったのに』ってことになっているようです」

 

 ラキシス、とても苦い顔で答えた。

 

「はぁ?!」

 

「え、そうなんですか?」

 

「あり得ない」

 

 リーナ、深雪、イオナ驚愕。

 

 あんなに拒絶されていても、まだ諦めていないのは、彼女がそうだと思ってないから。

 

 思い込んだら一直線、絶対に振り返らない、諦めるなんて言葉は彼女の中に存在しない。不屈の魂を持った魔法少女は、相手に拒絶されても止まることなくずっと挨拶のように『好き』を繰り返していた。

 

 それが却って相手にマイナス・イメージを与えていると気づかず。

 

「ま、周りは教えないの?」

 

 信じられないとリーナが顔に張りつかせて映像を指差す。そこにはすずかとアリサが映っていた。

 

「今日も愛の告白一直線だなぁって」

 

「見護るものではないでしょうに」

 

 ラキシスの嘆息の答えに、深雪も呆れたように告げた。

 

「それってドツボ?」

 

「はい」

 

 イオナが首を傾げながら思いついたことに、ラキシスは頷いた。

 何度も繰り返されたことに、何度も返している間に、浩介の異性の好意に鈍感は深みと厚みを増していき。

 

 結果、こうなってしまった、と。

 

 つまり、やはり『高町・なのは』が悪い。

 

「あれ、でもそんなマスターってひょっとして直球の直球に弱いんじゃないの?」

 

 リーナが思いついたように告げると、誰もが疑問を浮かべていた。

 

「例えば」

 

 彼女が口にしたことは、全員が否定したのですけれど。

 

 世の中って何があるか解らないから、楽しいって言いませんかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もうなのはちゃんは!

 

 昔っからそうやって人を騙そうとするのに、本気だよとか言うから。

 

「もうきかないからね!」

 

「こーすけ君!」

 

 まったく、今日はそんなことに付き合ってられないから。

 

「プレシアさん、もういいですか?」

 

「ええ、そうね。ごめんなさいね」

 

「大丈夫です」

 

 よっし、帰って今日は。

 

「サトー・コースケ!!」

 

 あれ、誰か転移してきた。一人はフェイトちゃんだけど、もう一人は。

 

 え?

 

「私の裸を見たなら責任を取って!」

 

「はい?」

 

 あれ、アリシアちゃんだ。なにそれ、そのフワフワの白いドレスってどうしたの?

 

 『いやあれはウェディング・ドレスじゃないか』、古城さん物知りだ。

 

 あれ、それって。

 

「お嫁さんにしてもらうからね!」

 

「え?」

 

 いきなりそんなこと言ってきたアリシアちゃんが、僕に突撃してきて。

 

 チュ。

 

「・・・・・・ああああああああ!!!!」

 

「えええええ?!」

 

「ふぇぇぇぇぇぇぇ?!」

 

「何してるのアリシア?!」

 

「ちょっとアリシア!!」

 

 あれぇ~~なんだろ、何か柔らかないものが触れたような、触れなかったような。

 

 アリシアちゃんが、突撃してきて。で、僕の目の前にいて真っ赤な顔していて。

 

「ふつつかものですが、よろしくしてあげるからね」

 

 ウィンクしているアリシアちゃんに、僕は。

 

 『雑種! 意識を失うではないわ!』。

 

 『待て待ておまえ! 気絶するな! 逃げるな!』。

 

 『最近の娘っ子は過激じゃのう』。

 

 あ、キスされたのか、そっか。

 

「間に合わなかったぁぁぁ!!」

 

 健の声がする、じゃあ後は任せて大丈夫だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 





 というわけで、どうして浩介はなのはの好意に鈍感で拒否をするのか、という理由でございました。

 昔っからあんなに好きって言われたら、そりゃこうなるかな、なんて。

 さて次はどうなる事やら。

 最終戦争、かなぁっというところです。







  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。