さあ、ついに戦闘民族とガチバトルだ!
どうする浩介、頼むぞ浩介。
勝ってなのはを嫁にするんだ。
そんなことにならないといいな。
高町・恭也にとって、佐藤・浩介は恩人だ。
父親が負傷して家族がバラバラになりかけた時、家族を守るべき長男だった自分は、家族のことなんて考えずに鍛錬に打ち込んでしまった。
母のことも、妹のことも、なのはのことも放っておいて。
強くなりたかった、誰にも負けたくなかった。父のように、家族を護れるようになりたかったのに、それが返って家族をバラバラにしかけるなんて、滑稽な話だと笑うしかない。
あの時、帰りの遅くなったなのはを待っていた時、手を引いて歩いてきた浩介に手を上げかけた。
そこで気づいた。なのはが泣いていること、どうして泣いているのかを、幼い妹の口から聞いた時、衝撃を受けて倒れそうになった。
自分の間違いが、こんな小さな妹を追い詰めたのかと。
失いたくなかった家族を、自分が壊すところだったのを、浩介が止めてくれたこと、感謝しても足りない恩義が彼にはある。
だからこそ、問いかけたい。最近の彼は、何処か人間『以外の気配』を纏っているから。
恭也は達人だ、それも裏の世界においては上位になるくらいに強い。一対一で拳銃にさえ負けない技量を持つ彼から見ると、浩介の気配は尋常じゃないくらいに『怖い』。
まるで巨大な肉食獣の前に置かれたような、そんな気持ちにさせる。
まさか、そんなことはない。そう思い込もうとした矢先に、なのはが妙なことを口にした。
『こーすけ君、御船に乗っていたよ』、『お空から飛んできたの』。末の妹は随分とメルヘンになったな、とちょっとだけ微笑ましく思っていたのだが。
アリサ・バニングスと月村・すずかの誘拐、そこに巻き込まれた浩介が何かしたという話。
間違いない、彼は『何かあった』。
よし、呼び出して揉んでやろう。ついでになのはを悲しませたこと、ちょっとお説教だ。
そんな思いで彼を呼び出した恭也は、道場で静かに待っていた。
恭也兄ちゃんに呼ばれて、やってきました高町家。なんか、士郎さんと桃子さん、今日はお店がお休みらしいです。
「こーすけ君、お話」
「こーすけ、話をしなさい」
「こーすけ君、話して」
なんでありさちゃんとすずかちゃんもいるかな。なのはちゃんだけなら、どうにかできるかな、なんて思っていたのに、これだけと逃げられない。
あ、忍さんもいる。ノエルさんまでいる。
逃げられないかな、逃げたいな。どう説明しても、『病院、行こうね』ってことになりそうだから。
ク、これが苦渋の決断か?! ついに僕も立派な大人になったんだ?!
「こーすけ君が変なこと考えているの」
「ああいうところは変わらないわね」
「う~~ん、でもこの気配って、あれ?」
後ろで女の子三人が何か相談しているけど、僕は気にしない。気にしたら負けだってお父さんも言っていたし。
女性の内緒話に入りこむと、男として大切なものを失うって言っていたし。
「僕は今日! 恭也兄ちゃんに呼ばれてきました!」
「はい、恭也は道場だから頑張ってね」
え? あれ、なんでか桃子さんから死刑宣告を受けました。死刑宣告だよね、完全に死亡フラグじゃないの。恭也さんが待つ道場に行け、なんてもう死ぬ未来しか浮かばない。
ク、昔なら『わーい、道場で遊べるんだ』って考えられたのに、これも三人が頭の中にいるからだ。
『ふむ、道場か。どれ、儂が』とかおじいちゃんが言っているけど、僕の体を使って何をする気かな。止めてよね、そんなことして恭也兄ちゃんを怒らせたら、僕はもう翠屋のシュークリームが食べられないじゃないか。
『そこは、なのはって子のこととか考えろよ』、なんてこじょうさんが言っているけど、僕は気づいた。こじょうさんってきっと、ヘタレだ。絶対に女の子の好意に気づかない、鈍感キングだ。
『誰が鈍感だ、誰が』なんて反論しているけど、聞いてあげない。僕は違うよ、きちんと人の好意には気づくもの。
その僕の感が言っている! なのはちゃんとありさちゃんとすずかちゃんは、きっと僕のこと友達として嫌っているって!
「・・・・女の感が言っているの! こーすけ君! 大好きだよ!」
「なのはちゃんの嘘つき! そんなこと言っても騙される男じゃないのだ!」
「あ~~~あいつってなんでこんなストレートな告白を受けて、そう返せるのかしら?」
「なのはちゃん、挨拶くらいな感覚で毎日のように言っているからじゃないの?」
「うう、今日も連敗なの。もう三千回は超えたの。でもいいの、二十歳までに落とせばいいの」
「めげないわね。本当にあいつの何処がいいのか」
「え、私も好きだよ」
「まさかのライバル出現なの?! でも、すずかちゃんが前からこーすけ君が好きなの知っているから警戒しているの」
「すずか、それって友達としてよね?」
「ん~~~どうだろうね」
ク、後ろで僕をからかっている女の子が三人もいる。
女性は魔性だって図書館の本に書いてあった。でも、それだとラキシスさん達も魔性の女なのかな。
綺麗だけど、可愛いところもあるけど、魔性なのかな。魔性ってそもそもどんな意味だろ。後で事典で調べようっと。
『なんだか、マスターが私たちに対して誤解しています!』
『ラキシス、ちょっとレッド・ミラージュ貸しなさい!』
『いいえここはジェネシックを出して行きましょう』
『マクロス、もう少しで建造完了』
ム、なんだか電波が飛んでいる。これも転生特典が影響しているのかな。
まあ、言いや。
よし道場についたぞ、さあ、いざ。
気合を入れて扉を開けた僕は、すぐさま閉めました。
なんで恭也兄ちゃん、真剣を持っているかな?
逃げられなかったよ(泣)。
「浩介、久し振りだな」
「はい恭也兄ちゃん! ところで」
「おまえ、本当に浩介か?」
ええ~~なんでそこで疑われているの、僕が何したの、ああ転生特典が何かやらかしたな。まったくもう、女神様はどうしてこう厄介なことばかり、持ってくるかな。
「もちろん! 何処からどう見ても佐藤・浩介ですよ!」
「そうか、ならこれはどうだ?」
あ、恭也兄ちゃんの刀が上からくる。あれぇ、僕って何か間違えたかな。そんな変なことは言ってないのに、どうして攻撃してくるかな。
あれ、でも遅い。今まで恭也兄ちゃんの攻撃って、動いた終わったって感じだったのに。手加減してくれるのか、さすが優しい。
顔は怖い顔しているけど。
「遊びなら真剣は危ないと思います!」
「避けたか、ますます浩介か疑わしいな」
「ええ? だって恭也兄ちゃん、かなり遅くしてくれたじゃないの」
「ほう?」
鋭く、恭也兄ちゃんの瞳が見てくる。あれ、違うの、まさか、そんなことないよね。
「かなり速かったの」
「なのはちゃんありがと! でも今は知りたくなかったです!」
「貴様、やはり浩介の名を語る妖怪の類か? それとも浩介に憑依しているのか?」
「本人ですよ! 本当に本人!」
うわ、危ない! そうやって真剣を振り回さないで! 回避、避けて、あれ避けられる。恭也兄ちゃん、やっぱり手加減してくれてる。
わけじゃないみたいです、顔が怖いです、避けるたびに表情が鋭くなっていきます。うん、これって殺気じゃないかな。
「なるほど、かなり高位の妖怪だな」
「違うって! 本当に本人だから!」
「ぬかせ!」
もう本当に!
「恭也兄ちゃん! 本気で怒るよ!」
刀には刀だ! もうやってやる!
「流刃若火!!」
思わず握った刀を引き抜いて、恭也兄ちゃんの小太刀を弾く。二つあるからもう一つは、どうにかなるだろうって左手を突き出す。
パキンって音がして、小太刀が転がりました。根元から折れて。
「・・・・・・・・」
あれぇ、僕の体ってこんなに頑丈になったの。あれ、刃物が危ないものじゃないって、どういうことだろう。
「浩介じゃないな、おまえ」
「本人だから! なんで信じてくれないかな?!」
「浩介本人だったら、その刀と拳はなんだ?!」
「だから! もう解った説明する! します!!」
もうヤケクソです、こうなったら全部、最初から説明してやる。
「その前に、こーすけ君」
「なのはちゃん何?!」
「その刀、燃えてるの」
「うわぁぁぁぁ?! 止まる止まるの流刃若火!」
慌てて僕は、刀を振って炎を散らしました。あれ、これで散るって便利な刀だね。
『焦らせるでない、小童』。おじいちゃん、ありがとう。
恭也兄ちゃんと忍さん、それに士郎さんと桃子さんも交えて、それに何故かアリサちゃんとすずかちゃんまでいて、なのはちゃんにまで説明することになりました。
でも、信じてくれないので。仕方ないからと、フロート・テンプルまで連れて行くことにしました。
「・・・・・・浩介、疑って悪かった」
恭也兄ちゃん、土下座です。
「なるほど、なるほど、転生特典ってものか。いや、浩介君は昔から何処か違っていたけど、こんなものが貰えるなんてね」
士郎さん、それってどういう意味?
説明、人数が多いので朱塔玉座の大広間、借りました。
「いえ、マスターのものですから、そろそろ本当に自覚してください。マスターのものですから」
なんか、ラキシスさんが泣きそうです。でも関係ないね。
なのはちゃん達の鋭い目線が痛いから、気にしたくないだけかもしれないけど。
「浮気者」
う、なのはちゃんの何時もの悪戯が突き刺さる。なんでありさちゃんとすずかちゃんにまで言われないといけないかな。
「え、真祖?」
「そう真祖の能力と眷獣もマスターが貰った特典にあるから」
「真祖って吸血鬼の真祖?」
あれ、忍さんが凄い蒼白な顔しているけど、リーナさんはどんな説明をしたんだろう。
「王様の蔵?」
「この世のすべての財宝を集めた王の蔵のことよ」
「へ~~~王様ってあいつが?!」
ありさちゃん、なんで驚いた顔しているのさ。深雪さん、どんな説明をしたのかな。
「こーすけ君が王様、ということはなのはの将来はお妃さまなの」
「ちょっと待ちなさい、なのは。こいつがそんな王様なんて」
「真祖って私達の上の存在なんだよね」
なんか、三人がヒソヒソ話をしているけど。
「あ、ちなみに太陽系で言えば、『太陽系』を支配しているようなものです」
「ええええ?!」
「ラキシスさん、それって初めて聞いたんだけど?」
「あの後、調査したらデルタ・ベルンだけではなく『ジョーカー太陽星団』もすべてありました」
え、なにそれ、どういう規模なのか教えてほしい。
あれぇ、これってなんだろ、『ごめんなさい』って書いてある。
「あの駄女神、またやりましたね」
「どうしてこう、終わった後に追加してくるかな」
「どうしょうもないですね」
「落胆、溜息ばかり」
ええ~~また増えたの、何が増えたの、特典ってもうお腹がいっぱいですよ。僕は普通に小学生したいのに。
「浩介君、ちょっとお願いがあるんだけど、いいかしら?」
忍さん、何かあったのかな?
「どうか、貴方様のお力により月村家にご加護を。真祖様」
「・・・・・・え、誰のこと?」
「貴方様のことです」
なんか深々とお辞儀している忍さんに、僕は思わず周りを見たんだけど、誰もが頷いていた。
え、僕のこと、え、僕って真祖だったの。
『だから、第四真祖だって言っただろうが』ってこじょうさんは、もっときちんと説明するべきだと思います。
「そのお話、待ったといいます」
え、ラキシスさん、僕はまだ話の内容が解ってないんだけど。
「マスターのご加護を受けたいという話、解らなくもないです。先日の誘拐を考えれば、月村の家は微妙な位置にある、ということですね?」
「その通りです。決して一枚岩といえる状況ではないので」
「なるほど。その加護を得ることで敵対者をけん制したいと?」
「はい、お願いしたします」
「なるほど。では、そのために『マスターが危険な場所に行くことになる』と?」
え、本当、そうなの。
「そうならないように」
「そうなるからって話でしょ?」
リーナさん、ちょっと顔が怖いよ。え、危険な場所って何処なんだろ。刃物をパキンできる今の僕が、危険になる場所ってどんなところだろ。
「いいえ、決してそのような」
「なるからこそ、話をされている、と見えますよ?」
ニッコリ笑顔の深雪さんが、とても怖い気がします。あれが美女の冷笑って奴ですね、僕はまた一つ大人になりました。
なりたくないような、なって良かったような。
「ダメですか?」
「こーすけ君」
う、忍さんとすずかちゃんの涙目、そんなの向けられて断れる男なんて、男じゃないって僕の中の何かが叫んでいる。
気がする!
「が、頑張る!」
「ありがとう!」
「ありがとう、こーすけ君!」
うう、流された気がするけど、これでいいかな。忍さん嬉しそうだし、恭也兄ちゃんも嬉しそうだし。
すずかちゃんが笑顔だから、これで言いや。
「解りました。では、私達もマスターの意思に従って、月村家を護ります」
「ラキシスさん、お願いね。さっすがラキシスさん、頼りになる、ありがと」
褒めておいてお礼をいうのも、立派な大人ですので。
あれ、ラキシスさんが固まった。
「マスター! すべてこのラキシスにお任せを! ではでは増産しますね! いいえ、魔獣とか捕まえてきますから!」
「うわぁ~~ラキシスが暴走した」
「いい笑顔ですね、羨ましい」
「艦隊の出港準備に入る」
あれ、なんだか騒がしくなったな。まあ、言いや。
「というわけで、こんな色々とついてきた僕ですが、これからもよろしく!」
一応、なのはちゃん達に頭を下げておきました。
「うん、こーすけ君、もっとよく考えた方がいいの」
「はぁ、こーすけが楽天的でよかったのか悪かったのかって話ね」
「いいんじゃないかな、こーすけ君はこーすけ君だし」
うん、なんだか褒められたような、馬鹿にされたような。
まあいいや。
その日の夜、女神様が夢の中にいました。
「魔獣は勘弁してください。魔獣だけは駄目なんです。魔物でいいじゃないですか、魔物使い、いいですよね?」
「僕が望んだわけじゃない気がします」
ここは素直に言っておこう。もう僕はお腹一杯だから。
「ああ、良かった。あ」
「え?」
なんだか、女神様が固まった。あれ、何かあったのかな。
「どうも今回も、私の不始末で申し訳ありません」
綺麗な土下座を女神様がしたところで、僕は夢から覚めました。
「マスター! 魔獣、魔獣が見つかりました! 探してみるものですね!」
「ちょっとラキシス! あれ何処から見つけてきたの?!」
「魔獣ってレベルの話じゃないでしょう?!」
「大物、巨大生物、大量」
翌朝の食事前、僕は世界の広さをかみしめました。
うん、ゴジラとかキングギドラとか、ガメラとか、ゼットンとか。そんなの何処から見つけてきたの、ラキシスさん。
ピコン!
第一級女神の権限により、佐藤・浩介の支配地域が拡大されました。
デルタ・ベルンから、ジョーカー太陽星団へと変更されました。
また追加特典の申請を受理、ジョーカー太陽星団内部に『怪獣の惑星』を追加、既存フォルダより怪獣軍団を創造しました。
「女神様、これってティアマトまでいますよ。ウロボロスって怪獣に入るんですか?」
「もう、私は女神の資格を返上してしまおうかしら?」
「他の仕事は優秀なのに、どうして佐藤・浩介関連はポンコツになるんじゃろう?」
増大する転生特典、もう女神のうっかりミスの土下座は必須。
さあ、佐藤・浩介よ、この危機をどう切り抜ける?
よっし、そろそろこの馬鹿連中で原作突入だ。