原作突入前に、ちょっとしたエッセンスを一つ。
まずは何時も通りの女神様のミスと、やってみた後悔しないって強気な天使の我儘を加えて。
よっし、やってみようか。
その日も女神様は佐藤・浩介を見ていた。
「怪獣、魔獣、うわぁ~~もうごめんなさい」
「女神様、なんか天使が許可をもらいたいって言ってますよ?」
「え? 何の許可?」
「俺も転生作業したいって」
「ダメに決まっているでしょう? 神の権限がないと難しいし、転生特典も与えられないんだから。『イデオン』? 何これ? えっと、検索と」
「おい止めろおまえ!」
「え?!」
「女神様! あいつやりやがった!」
「ええ~~~?!」
ポチ!
「・・・・・・」
「・・・・・・女神様?」
「待って! 本当に待って! イデオンってかなり不味い奴じゃないの?! 本当に待って! なんで付随して『L様』がいくの?!」
「誰か、創造神様を呼んできて。さすがに『神様クラス』の特典は駄目だ」
「は~~い」
「お願い止まって! 本当にダメだから!!」
「これでも、年間の業績はトップで、誰からも信頼が厚い第一級女神様なんだけどなぁ」
こんにちは! 佐藤・浩介です!
今日はロボットの格納庫に来ています、珍しいロボットが多いって話を聞いたので、見て回っています。
珍しい、何処がどう珍しいのかはわからないので、ラキシスさんの説明に頷いておきます。
「あれが、ガンダム系統の機体が格納されている場所です。今のところ、防御を優先していますので、フェイズ・シフトかラミネート・アーマー系が多いですね」
「ふぇ~~~」
「それで、あっちは小型の方ですね。小型といっても五メートルから八メートルくらいですので。ASとかエステバリスがあります。AT系は未配備ですが」
うん、ラキシスさんは嬉しそうに説明しているけど、僕には解らない。なんでサイズが違うのかとか、どうして同じ大きさにしないのって聞きたいけど。
「リアル系はこのあたりですね。後はスーパー系があちら、に?」
あれ、ラキシスさんが固まった。
なんだろ、あの赤い大きなロボットを見て固まっているけど、どうしたのかな。見慣れない形、でもないような。
「え、あれ」
「どうしたの?」
「・・・・・さあ、ラキシス、ここで問題です、あれはなんでしょう?」
なんで自分で自分の名前を言ったのか、僕には解りません。きっと大人になると、自分の名前を言いたくなることがあるのだろう、と察してあげます。
僕はできる男ですから、キラっとか付けないといけないかな?
「ラキシス~~、怪獣たちの確認できたわよ。本当にあの駄女神は、次から次に問題を」
「リーナさん?! 製造ラインを使いましたか?!」
「え、待って、それってあんた以外はロックかかって使えなくしたじゃない。艦艇はイオナ、ロボット系はラキシスでしょ? 生身の装備品は私と深雪って分担したじゃない。どうしたの?」
「あれ、何に見えますか?」
そういって、ラキシスさんが指さしたものを見たリーナさんが、同じように固まりました。
うん、ここって何かの『ぱわ~』が出ているのかな?
それとも、停止結界ってのが作動しているとか。僕の能力にないよね、くうかんとうけつ? ってのはできるって聞いたことあるけど、ギルさんもこじょうさんもおじいちゃんも教えてくれないし。
『知る必要ないぞ雑種』、『これ以上、俺達の心労を増やすな』、『やんちゃな小童だのぅ』とか三人が溜息をついています。
いつか必ず教えてもらおうっと。
「え、あんた、まさか、そこまで?」
「違いますから!」
「マジなの? え、本気で世界征服を狙っているとか?」
「本当に私じゃないんです、信じてください」
「いやいやいや、あんたの普段の言動を思い出してみなさいよ。私はあれを作ったって言っても、信じられるわよ?」
「私じゃないんです。第一、無限力『イデ』なんて、どういう原理なのか」
「あ~~チート知識と技術で出来るとか?」
「私をなんだと思っているんですか? チート的な技術システムはありますけど、私はごく普通のファティマです」
「へぇ~~次元回廊できる?」
「はい」
「MS一機分の装備変更、何分で出来る?」
「私一人でも三十秒あれば楽勝です!」
「ほら、チート」
「言い返せない」
あ、ラキシスさんが崩れ落ちた。なんだろう、この両手をついて、膝をついた姿を、アルファベッドで表せるって聞いたことあるけど、僕には解らないんだよね。
「とにかく、あるなら仕方ない。動かさなきゃいいのよ」
「そう、ですよね。じゃあ、気を取り直して。あっちにあるのがデス・ザウラーにバスター・ランチャーとミノフスキードライブを搭載した」
「待った! 何してんのよ?!」
「え、魔改造です」
ラキシスさん、とてもいい笑顔だね。親指を突き出すって、どういう意味なんだろ。
やってやったぜ、って意味だったかな?
「本当にあんたはぁ?!」
「え、だって、荷電粒子砲にバスター・ランチャーの攻撃で、小島なら二秒で消します。ミノフスキードイラブは機体サイズに準じているので、最高速度は光速に達しますから。地球上のどこにも二分で行けますよ、マスターの敵は五分以内に殲滅です」
「・・・・・いいわね、それ」
あれ、なんだか二人してガッシリと手を握ったけど。
なんだろ、僕は今、何か重大なことを聞き逃したような、聞いてない方がいいような。
「イオナのマクロス・フロンティアも建造完了したそうよ。同型艦サイズで次々に建造して、上空から降下させて制圧でできるじゃない」
「はい、魔獣も詰め込めば、もう確実に制圧できます。ゾイド部隊もバルキリー部隊も展開させれば、どんな勢力も一瞬で消せますよ」
「いいわね」
危ない話をされている気がします。止めないと地球が危ないって気がします。
うん、でもどう止めても手遅れって気がしてきた。
あれ、となると僕ってラスボスって奴になるのかな?
ヒーローに憧れたことはあっても、ラスボスに憧れたことはないのに、いきなりラスボスになったのかな。
将来の夢、帝王って書いたことだし、ラスボスでもいいのかな。
まあ、いっか!
『こ、こやつ開き直りおったぞ』、『まあ、第四真祖ってラスボスだからな』、『ふむ、儂が現役だったならば、真っ先に抹殺しておっただろうなぁ』、なんか三人から呆れられた気がしますが、気にしたら負けだから。
負けたくないので忘れることにしようっと!
よく晴れた日だった。
昼休みに友達とサッカーをしていた武藤・健は、大きく上がったボールを見て、思わず飛び上がってのオーバーヘッドをしてしまった。
ボールは見事にゴールに突き刺さり、やったと内心で喜んだ彼は後頭部から地面に激突、そのまま保健室へ直行。
「健! 傷は浅いぞ!」
「もうダメだ、浩介、俺に構わずにボールを追うんだ」
「何を言っているんだ健! おまえがやるんだ!」
「後は、頼むぞ、ガク」
「健!!」
「じゃ保健室に行ってくるぜ」
「いってらっしゃい!」
運ばれる前に漫才する浩介と健を見たクラスメートは思う、あいつらってなんであんなにバカ騒ぎしているんだろう、と。
保健室に行った健は念のために、病院で見てもらうことになって、病院に行って検査を受けて、異常がないけど今日は早退することになって、自宅に帰り何事もないまま一日が終わり。
翌朝になって気づいた。
『あ、俺って転生者だ』と。
前世の記憶はある、今までの記憶もある。精神が塗りつぶされた、なんてことがあるわけもなく、今までの記憶に前世分の記憶が重なっただけで、特に違和感なく生活を送れることに感謝したという。
ここが『りりかるなのは』のアニメの世界だってことは、すぐに気付いた。クラスメートに主人公がいて、まだまだ魔法を使っている気配がないことから原作開始前だと知る。
自分の転生特典は三つ。
一つは、『看破』。相手のステータスが見える、特に妨害されたり隠されていても見えるようになるらしい。
二つ目は、『限界突破』。鍛えれば鍛えるほど能力は上がり、その上限はないとのことだ。最初から強い能力を与えてもらうことも考えたが、突然に貰った能力では訓練が必要だから、それなら自分で鍛えようと考えた末に貰った能力だ。
三つは、『技術を形にするスキル』。最初から完成されたデバイスを貰ってもいいが、せっかくの第二の人生、自分が好きなデバイスを組んでみたいと思った結果だ。
よし、今日から新しい人生を送ろう。今の人生はそれなりに気に入っているから、このまま自由気ままに生きてやる。
そんなことを考えていた健は、元気よく教室に入って。
すぐに気づいてしまう。
佐藤・浩介、ステータス、測定不能。
思わず吐き出しそうになった。何をと言われても解らないが、何かを吐きだしそうになった。
一番の親友で最も気の合う相手が、実はラスボスでしたと思い知った瞬間だった。
『英雄王ギルガメッシュ』、『第四真祖』、『流刃若火』、最初に浮かんだスキルにおもっきり顔を背けてしまう。
なんだあいつ、どういうことだ、あんなスキルでいいのかと内心で突っ込みつつ、普段通りを装って自分の席へと向かう。
「あ、健、大丈夫だった?」
「おう、大丈夫だぁ」
しかし、ラスボスは向こうからやってくる。
『ジョーカー太陽星団所持者』、『科学技術チート』、『Gジェネ』、『霧の艦隊の所有者』、『魔法科高校の劣等生、リーナと深雪』、さらに追い打ちが入る。
なんだそりゃ、そんなチートがあっていいのか。最初のスキルだけでも厄介なのに、それは反則ではないか。いや、待ったギルガメッシュの能力というが、テンプレで蔵の中は空とかないか。
『黄金律・EX』。そりゃないぜ、と健は表に出すことなく項垂れた。いや待った、ジョーカー太陽星団を持っていることから、黄金律なんてなくても一つの世界を支配しているに等しい。蔵の中の財宝の数、凄いことになっているだろう。
「あれから病院、行ったって聞いたよ?」
「大丈夫だって、俺はほら丈夫だからさ」
平然と、何時も通りに話をしながら、健は自分のスキルを切ろうと思った。
『怪獣たちの支配者』、『太宰・治』、『櫻田・茜』、後ろ二つは統合・変化して『能力の封印・抹消』、『重力・空間操作』へ変更。
今度は我慢できずに机に突っ伏した。
「健、まだ本調子じゃないの?」
「い、いや大丈夫、ダイジョウブ」
なんだそりゃ、と内心で叫んだのは悪くない。確かに、太宰の能力は異能を消したはずだが、それが変更されて能力の封印・抹消になるなんて。茜は重力操作だけだったのに、なんで空間操作も加わっているのか。
よし、もう見ないと健は決めたのだが。
『超人ロック』、『サイタマ』。
もう無理だった。なんで不死身の最強エスパーと、一撃男なんだ。どうやったら、そんな転生特典が貰えるのか。
「やっぱり今日も休めば?」
「お、おうそうさせてもらうぜ」
クールに親指を立て、ウィンクとか決めて立ち上がり、教室から出ようとして最後に、浩介を見てしまった。
『イデオン』、『ロード・オブ・ナイトメア』。
「じゃ明日なぁ」
気楽に笑って廊下を歩く。歩いていき、昇降口から外へと出て、校庭を通り抜けて、校門から外に出て、必死に耐えて耐えて耐え抜いて。
やっと辿り着いた公園で、健は両手を地面についた。
「どうしろっていうんだよ?! なんだよあのチートの塊! バグだろうがあんなの?! 神様は俺のこと嫌いなのか?! なんであんなラスボスが俺の親友なんだよ!?」
絶叫した。
どうしていいか解らずに彼は、一時間ほどそこで叫び続けたという。
翌日。悩みに悩んだ末に、健は決意した。これしかないと。
「浩介、俺達、親友だよな?」
「もちろんだよ健!」
「ああ! 俺達はマブダチだよな?!」
「そうだよ!」
がっしりと手を浩介の手を握る健がいた。
秘儀、ラスボスが怖くて倒せないので、親友ポジを確保して生存を確定させるぜ、だった。
「あの天使、降格処分でミジンコからやり直し」
「女神様、もう落ち込まないでくださいよ」
「そうじゃぞ、女神よ」
「うううう、でも考えようによってはもう何を付与しても問題ないってことよね?!」
「あ、そうですね」
「見事な開き直りじゃな。あれで他の仕事ができなければ、もっと閑散とした部署に回せるんじゃが」
「あの女神様一人で、他の女神様五十神分の仕事、やってますもんね」
天使と創造神はそこで深々と溜息をついた。
主人公はラスボス。
親友はラスボスを倒すための勇者。
でも、勝てそうにないのでラスボスが、世界支配しないように助言することにしました、ってことで。
まおゆうっていい作品だと思いませんか?
さて、そろろそ原作を。あれ、このままだとユーノ君がやらかした、というよりもジュエル・シードが落ちてきた瞬間に、世界が一つ消えるような。
まっさかぁ!