四月ってやる気が起きませんよね。
なんてこと考えつつ、これからどうしようって思案して。
がんばろってなった結果です。
こんばんは! 佐藤・浩介です!
僕は今、ギルさんと一緒に武器を投げてます!
『投げるでないわ雑種!』
「え? 投げないの? あれ、投げるんじゃないの?」
『撃ちだすといっておろうが』
撃ちだすってなんだろ?
ゲート・オブ・バビロンっていうらしいけど、ギルさんの説明だと難しくて解らないので、実際にやっています。
『蔵から宝具を出すイメージだ』
「出す」
あ、なんかドゴンって音がして穴が空いた。
『おい、英雄王』
『何もいうな、第四真祖よ。我が浅はかであった。そうか、ステータスが上乗せられるならば、スキルも上乗せられるのか』
なんか、ギルさんが落ち込んでいます。なんだろ、今までギルさんがこんなに落ち込んだところ、見たことないのに。
「ギルさん! 僕はきっとやり遂げますから!」
『・・・・・・原因、お前なんだけどな』
「え? 僕が何かしましたか?」
こじょうさん、それはもしかして、せきにんてんかってやつですね。まったくいい大人が、子供にそんなこと言わないでください。
『殴りてぇ』
『小童よ、技術ばかりを磨くのではなく技量を磨くのじゃ』
おじいちゃんもなんだか、今日はやる気です。なんでだろ、何時も皆はもっとのんびりしているのに、今日は僕に厳しいような。
ハ?! これが噂に名高い、愛のむち!?
『身構えよ』
うん、そうに違いない。きっと三人とも、僕を一人前の男と認めてくれたから、厳しく教えてくれているんだ。
なら僕は一人の男として頑張らないと!
『なあ、あいつ、何か勘違いしてないか?』
『フ、我は悟ったぞ、第四真祖。あやつは、馬鹿だ』
『いやそれは前から知っているからな』
なんか、あっちで何か言っているけど、今の僕は気にしていられないので。おじいさん、本気でかかってきていませんか。
『一割じゃな』
「え? 解りました! じゃ、僕も」
『ほっほっほっほ、あくせられーたを貫通して見せようぞ。『流刃若火』!』
「それなら僕も流刃若火!」
炎には炎を! 水とか氷とかでもいいのかなって思うけど、ここはおじいちゃんと真っ正面からぶつかってやる。
『あれ、炎熱最強だったよな?』
『さすが、死神最強よ。見よ、あれが炎熱地獄だ』
『お~~い』
炎が足りない、火力が弱い、だったらもっと上げていこうか!
『誰か、誰か助けてください』
『黙れ、雑種』
『今、いいところなんだよ』
『邪魔するでない』
あれ、今、誰かの声がしたんだけど、気のせいかな?
浩介が寝ている間のフロート・テンプルでは。
「歩兵部隊、制作完了っと。パワードアーマーもよし、ISみたいな形になったけど、戦闘甲冑も準備完了」
データを確認しながら、ラキシスは一息ついた。手にしたマグカップのコーヒーはすでに冷たくなっていたが、疲れ切った脳を活性化させるには十分だった。
「マスターの方は」
別のモニターを見ると、穏やかに寝ている主の姿が。今頃は精神世界で鍛えられているだろうけど、止めたくても止められない。
あの人の能力は、現在において絶対。
小学生が持っていていい能力ではないので、ここで鍛えないと後になってマスター自身が、自分の能力で傷ついてしまう。
「でも、本当に凄い人たちに鍛えられているなぁ」
ラキシス、半ば苦笑してしまう。
英雄王に第四真祖、死神の総隊長。一人に師事されただけで、ちょっとした世界でならばトップになれるような人たちが、三人もいて一人を教えているなんて。
知っている人が聞いたら、耳を疑うか気絶するかレベルか。
「ラキシス、歩兵用装備って確認した?」
「はい、リーナさん。深雪さんと一緒に怪獣惑星の確認と調教、お疲れ様でした」
データ・ボードを片手に入ってきたリーナは、手近なイスに腰掛けて小さくため息をついた。
「深雪は残って、最終確認しているけど、本当に危ないわよ?」
「制御できませんか?」
「私たちの命令には、『一応』従っているわね。でも、拒否する怪獣はいたわ。やっぱり、マスターの命令じゃないと駄目ね」
解っていたことだが、まったく厄介だ。
彼らはあくまで佐藤・浩介の転生特典。転生していないけど、特典として位置づけられているため、同じ転生特典のこちらの命令には『お願い』として渋々と従っている程度。
もし、マスターの身に危険が及んだら、迷わずに転移して蹂躙するだろう。
ゴジラとかガメラとか、モスラとか。
「ドラゴンがちょっと騒いでいたけど、何かあったの?」
「え、特に私には」
マスターは就寝中。部隊を動かしたことはなし、艦艇も動いていない。周りから侵攻された気配もないし、形跡もないから平和そのものなのに。
「乖離剣の一件が原因とか?」
「なら、その直後に騒いでいるでしょうが。もっと別のことらしいけど」
もっと別件。
何かあったかとラキシスとリーナは悩み、原因が思いつかずに首を振った。
「話は変わるけど、『ジュエル・シード』だっけ? あれのデータ、解析できたの?」
「そっちはまだですね。データ・ベースも検索してみたのですが」
チート技術の塊のフロート・テンプルとはいえ、それは技術系のみ。ロボットや艦艇などに類する技術系のデータはあるのだが、他の情報関連だとまだまだ保存された情報量は少ない。
「技術チートって、情報部門も含まれないわけ?」
「そっちは別になりますよ。技術チートで情報を得たとしても、それは機械を形にするものだけですし」
「はぁ、地道に探すか、あるいは調べるしかないか」
「データ・ベース、もっと大きなものだったらいいんですけど」
「今でも十分よ。あれより大きくなったら、誰か管理者でも作らないと、あっても無駄にしかならないじゃない」
「確かにそうですね」
二人はそこで苦笑した。
現在、ラキシス、リーナ、深雪、イオナの四人プラス、ファティマとメンタルモデル達で色々とやっているが、どうしても抜けてしまう部分は出てくる。
製造や戦闘面では不安なんてないが、情報とか索敵、諜報なんて部分はどうしても甘くなってしまう。誰もが経験したことがない、あるいは原作においてもそういった方面をしてこなかったから、必要になったからやろうなんて言ってできるほど器用ではないし、出来るとも言いきれないのが現状だ。
「あの駄女神、またやらかさないかしら?」
「まっさかぁ。やりませんよ。これ以上、何が増えるって言うんですか?」
「情報関連の無双とか」
リーナが苦笑しながら告げた言葉に、ラキシスは呆れて顔を振ったのでした。
「私、そんなにバカじゃないです」
「女神様、いいから、モニターから離れてください」
「私はそんなに馬鹿じゃないから!」
「だから! 貴方がそう言った時は必ずやらかしたんですから!」
「私は! そんなに仕事できない女神じゃないもん!」
「だぁぁぁ! 五千年以上の女神歴を持つ人が『もん』ってなんですか?! 可愛いけど綺麗で可愛いって評判だから似合っていてムカつく!」
「いいもん、いいもん、だ。あ」
ポチ!
「・・・・・・女神様」
「辞表の書き方を教えてください」
「いや、あの、ですね。なんで『アカシック・レコードへのアクセス権』なんて特典、与えられるんですか?」
「何ででしょうね?」
「あれ、しかも『某検索サイト』みたいな形になってますけど」
「何でだろうね?」
「ダメだ、この女神、仕事が優秀なくせに、失敗も優秀だ。なんで最上級の情報システムを、間違いで上げてるんだよ」
「なんでだろうね?!」
その日、天使は思った。
『あ、泣いてる女神様も可愛い』と。
今日は学校、学校ですよ。今日の登校は、何故かイオナさんが『乗ってくれないと泣く』って言われたので、戦艦に乗って登校ですよ。
うん、僕は非常識になれたのかもしれない。
港に戦艦がいても、凄いかっこいいとしか思わなかった。
まあ、いっか。帰りは別の船が来るって言っていたけど、乗って帰るなんて約束してないし。
『馬鹿者が』ってギルさんがため息をついているけど、僕は気にしないのです。昨日の訓練は、結局はゲート・オブ・なんとかが上手く使えなかったけど、真っ直ぐ前に撃つことはできたので。
『亜光速で飛んで行ったの、見てないのかよ、こいつ』とかこじょうさんが言っているけど、亜光速なんて僕には見えないので。
流刃若火もかなり上手く使えるようになったと思います。炎を出して空が飛べるなんて思わなかったけど。
『小童、お主の想像はわしを超えとるのぅ』とかおじいさんが嬉しそうに髭を撫でていました。
よっし、今日もがんばろ。
「浩介、おまえさ、何かあったか?」
教室に入ったとたんに、顔面蒼白になった健に止められました。
「え、何もないよ?」
「いやいや、何もないか、そうかそうか、何もないならいいんだ。なんでステータスが計測不能から、『無限大』になってんだよ」
なんか、健が俯いて何か言っているけど、小さくてよく聞こえないよ。
「こーすけ君、昨日ね、なのはね」
「うんうん、なのはちゃん、なんでそんなに近づいてくるの?」
健が倒れているから、ちょっと待ってよ。なのはちゃん、健を突き飛ばしたのに、気づいてないよ。気づこうよ。
「フェレットさんを拾ったの!」
「いや、なのはちゃん、あのね」
「でねでね!」
「人の話を聞いて、お願いだから」
「助けてって声が聞こえたの!」
あれ、それって昨日の訓練の時に声かな。あれ、なのはちゃんにも聞こえたんだ。
「空耳じゃないのって言っているのに、聞いてくれないのよ」
アリサちゃん、呆れた顔で言わないでよ。そりゃ、今のなのはちゃんは猪突猛進だけど。あれ、猪突猛進って習ったかな? また知識が流れ込んだのかな。
「私は何か声を聞いたけど、それだけだよ」
すずかちゃん、ちょっと顔色が悪いけど、何かあったの?
「なんでもないよ」
「察しなさいよ」
「アリサちゃんは知っているの、え、どうしたの?」
「察しなさいって言ってるのよ」
なんだろ、何故か僕だけ理由を知らないで、除け者みたいだ。女の子同士で何か話しているけど、何だろうな。
聞いちゃいけないのかな、聞いたらだめなのかな。
「浩介、本当に何もなかったんだよな?」
「うん、何もないよ」
三人との訓練、内緒にしないとだめらしいから、言えないけど、ごめんね健。
「それでね、こーすけ君!」
「はい、なのはちゃん」
「放課後に一緒に動物病院まで見に行こうよ!」
「え、無理」
「ふぇ」
え、泣きそうにならないでよ。僕が悪いの、僕にだって用事くらいあるんだよ。今日は早めに帰ってくださいって、ラキシスさんが言っていたから真っ直ぐに帰らないと。
「ごめんね、なのはちゃん」
「いいの、よき妻は夫の道を信じて付きそうものなの」
「またまた、なのはちゃんの冗談はきついなぁ。可愛い女の子だからって、そんなこと言っても普通の男の子は騙せても、立派な大人な僕は騙せないからね」
フ、今までの僕とは違うのです。今の僕は立派で、優秀な先生に教えてもらっている戦士、あれ違うかな、騎士? まあ、いっか。
とにかく、なのはちゃんの嘘には騙されません。
「なのは、あんたね、それがマイナスになってるんじゃないの」
「ふぇ~~そうかなぁ?」
「なのはちゃん、そこはグッと押し倒さないとだめだよ」
「すずか、あんたね、小学生でしょうが」
「押し倒すの! 既成事実なの!」
「そうだよなのはちゃん! 二番手で私も突撃するから!」
「ちょっと待ちなさい! 二人とも落ち着きなさい! なんでそんなにコースケを落とすことに命をかけているのよ?!」
「決まってるの! こーすけ君だからなの!」
「そうだよ! こーすけ君だからだよ!」
「・・・・・・しまった! 私としたことが! 納得しちゃったじゃないの!」
なんだろ、後ろでなのはちゃんとすずかちゃん、アリサちゃんが騒がしいけど、放っておいた方がいいかな。
女子だけの内緒話ってあるから、突っ込まない方がいいよね。
「強く生きろよ、浩介」
「泣くほどのことがあったの健?!」
「ああ、おまえはいい友だったよ」
あ、うん、そうだね。なんだろ、健の言い方が引っかかるけど、とりあえずは頷いておこう。
そして、僕はまた女神様の土下座を見ています。
「すみません、ごめんなさい」
『貴様ぁぁぁ!! いい加減にせんかこの駄女神がぁぁ!!』
ギルさん、絶叫です、凄い怒りを感じます。
『で、何だって?』
『ふむ、どういったことなんじゃ?』
『この駄女神が! アカシック・レコードへのアクセス権と、それ関連のシステムをぐるっと改良して検索システムとしてフロート・テンプルに設置しおった!』
『はぁ?! アカシック・レコードってあれだろ?! この世界すべての情報が集まっているってあの!』
『ふむ、こうなると単体での修練だけではなく、そういった技術系の修練も必要となるか』
なんだろ、今、三人の中でハードルが上がったような。あれ、僕の訓練の内容が増えたような気がします。
「ごめんなさい、浩介君。あの、償いはしますから、何がいいですか?」
「え、お願いを聞いてもらえるんですか?」
「はい!」
笑顔で顔を上げた女神さまはとても綺麗でした。
『止めぬかこの馬鹿女神が!』
「じゃあ、世界が平和であるように?」
「ごめんなさい、そういった願いはちょっと。あ、色々と世界が崩壊してもいいなら」
「それじゃダメです。後は」
何かあるかな。何があるかな、ロボットは持っているし、超能力はあるから。
「あ! じゃあ魔法が使いたいです!」
「え? 解りました」
あれ、なんだろ、なんでか皆の目が冷たいような。
魔法って憧れないのかな。だって、魔法つかいは男のロマンだって、健が言っていたような。
「はいでは、魔法・・・・・あ」
「え?」
「はい魔法ですね! 魔法が入りましたよ!」
なんだろう、慌てた様子で女神様が戻って行ったよ。
『まて貴様! 待てと我が言っているのだぞ!!』
『あいつ、やりやがったぞ。なんだ、この魔法のスキルは?』
『ふむ、まったく容赦のないものよな』
なんだろ、また色々なことが起きそうな気がする。
「マスター! マスターぁぁ!! あれ何ですか?!」
「ラキシスさん、どうしたの?」
「フロート・テンプルの中にあったらまずい検索システムがあるんですけど?!」
「あ、女神様から貰った」
「・・・・・・あの駄女神がぁ」
あ、ラキシスさんが中指を立てた。あれって何の意味があるんだろう。
「それで?」
「うん! お詫びにってね、魔法が使えるようになりました」
「あ、そうですか」
あれ、ラキシスさんがなんだかホッとしている。みんな、魔法に憧れってないのかな。
僕だけなのか、それは残念だな。
そして、原作は動きだした。
予定通り、高町・なのはにレイジング・ハートが渡り。
予定通りに、フェイト・テスタロッサは海鳴に入り。
予定通りに、女神は浩介の特典で失敗したのでした。
「女神様?」
「もういや、いっそのこと、私が傍にいたほうが浩介君の負担にならないんじゃないの?」
「・・・・・・一理あるのう」
「創造神様、それをやったら天使一同は退職しますからね」
「冗談じゃ」
今日の神様達は平和であり、天使達は心労がたまりました。
ピコン!
佐藤・浩介に新しい特典が追加されました。
魔法・EX、補足項目が多数のため統合されました。効果は、『すべての魔法が使用可能であり、術式の違いによるリスクはなし』。
また、EXの効果により、魔法実行時の『魔力量の減少なし』とします。
りりかるなのはだから、魔法スキルは必須。ということで、女神様がまたやらかしまして、浩介のスキルが増えました。
魔法を使ってもリスクなし、他のスキルと同じようにトリガーワードに反応して効果発揮。そのため、魔力は他から持ってくるので、浩介自身の魔力量が減ることはなし。
EXのため、魔力量もEXとなってしまった。
さあ、ラスボスは成長中だ。勇者と魔法少女は、どうやって彼を止めるのか。
あるいはもしかして、魔法少女がラスボスを籠絡なんてことになる、かもしれない。