ソードアート・オンライン 全プレイヤーの裏切り者 作:眠猫の玉手箱
後半3人称視点です。
「これは酷いな....」
俺たちマクラギ一行は、目の前の光景、もはやこれは惨状と呼び表すのが正しいだろう
を見て絶句していた。
いま俺の前に広がっているのは始まりの原野。初日に俺がひなたぼっこしていた場所だ。そこに初日の数十倍レベルのプレイヤーが溢れてmobがスポーンした瞬間に虐殺していた。スーパーのタイムセールが始まったときのおばさんの勢いもかくやといった気迫だ。下手に立ち入ったら弾き飛ばされる。
「どうしてこんなに人がいっぱいいるの?」
「多分皆レベル上げしようとして集中した結果だと思う」
ユウキの問いに困惑しながら考えられる答えを返すヒルコ。
「しかたない。これじゃまともな狩りなんかできやしない。若干敵のレベルは高くなるが次のフィールドに移動しよう。攻略本の内容は頭に叩き込んであるな」
「「もちろん」」
ぴったし同じタイミングで勢いよく返事を返す二人。仲のよろしいようででなによりです。
「それじゃ出発しよう。気を付けろよ何度も言うがこの先は圏外、HPの保護はないんだ。そのことを頭に叩き込んでおけ。準備はいいか?」
「じゃあその前に一ついいかな?出る前にみんなでアレやろうよ。あの『えいえいおー』ってやつ」
そういってユウキは手を前に出す。
「悪くないね!」
そう言ってヒルコがユウキの手の上に重ねる。こいつただ単にユウキの手に触れたかっただけじゃないか?
正直こんな公衆の面前でそんな子供っぽいことをやるなんて恥ずかしいのだが、二対の純粋無垢な目にさらされて恥ずかしいとも言えない。
なので何も言わずにに手を重ねる。
「それじゃあ、ボク達は絶対に100層まで攻略して見せる!えいえいおー!!」
「「えいえいおー!」」
周囲の目線が痛いが子供二人が喜んでいるのなら良しとしよう。
「それじゃ、気合も入ったところで行こう!」
「姉さん本当にあの胡散臭いグループと一緒に圏外に出てくの」
始まりの街で2人のプレイヤーが言い争っていた。いや、言い争っていたという言い方には語弊があるかもしれない。片方が一方的に文句をいい、姉さんと呼ばれた方が困ったように流していた。
「人のことを胡散臭いなんて言っちゃダメよ。ナナ」
「話をそらさないで姉さん。
「その件に関しては昨日から何度も話してきた筈よ。私は攻略に参加する」
ナナと呼ばれたプレイヤーは頭を抱えた。彼女は自分の姉が一度決めたことは絶対に覆さない頑固な性格であると知っていたからだ。
「でも、攻略に参加するだけなら別に圏外に出なくてもいいじゃない、私のように生産職のスキルをとってもいい。自分の命を危険にさらしてまで攻略に出る意味があるの?姉さんがやらなくても他の誰かが、英雄願望か破滅願望を抱いた誰かが代わりにやってくれる。始まりの街で引きこもってて、攻略されるのを待てばいいじゃない!」
言い切ったナナの頭を姉さんと呼ばれたプレイヤーはポンポンと優しく叩いて抱きしめる。
「それでもね。奈々。たとえ誰が攻略に参加するとしても私は参加する。たとえ、根底にあるのが英雄願望だろうと破滅願望だろうとなにもないのだとしても、私はぜったいに攻略して帰還してやるんだから!」
その言葉にナナはあきらめた。姉を抱きしめ返す。
「なら絶対に死なないでね。姉さん」
当然よと姉はつぶやいた。
「メアリー。みな準備ができた。そろそろ出発の時間だ」
後ろから来た男性を視認したことでようやく姉、メアリーはナナから手を放す。
「わかりました。ナナ行ってくるね」
ナナは目元の涙を拭きとって、彼女なりの最大限の笑顔で行ってらっしゃいとつぶやいた。
最後に新キャラ登場...ですが当分出てきません。