ソードアート・オンライン 全プレイヤーの裏切り者 作:眠猫の玉手箱
ユウキとヒルコの二人が食料の買い出しから帰るとマクラギが手鏡を真剣に凝視していた。手鏡と言っても茅場さんによって配布されたあの手鏡ではなく、始まりの街で売られていた安物っぽい手鏡だ。
「おかえり、二人とも今日は何を買ってきたんだい」
「
ユウキが買ってきたお饅頭のうち一つををほおばりながら、投げ渡す。受け取ったマクラギはありがとよと呟いてから一口食べて野沢菜モドキかとつぶやいた。
「なんで鏡なんか眺めていたの」
「ああ、顔を見ていたんだ」
「顔?」
マクラギの顔を見る。多少リアルと同じ若干の白っぽさを感じるが黒髪黒目と純日本人といった顔つきだ。
「いや、茅場..さんに見つかったら不味いことになるよなって思って」
なるほどとヒルコは納得した。顔にはとくに特徴がないとはいえ、確かにリアルでの知り合いに見つかったらマクラギ=白澤直木ということが分かってしまうだろう。下手すれば運営元のアーガス所属であることも。
「だから変装しようかと思って」
「変装?」
なぜかヒルコの頭には白沢が顔に泥を、手に銃を持ち迷彩服をきた姿を思い浮かべる。とてもじゃないが似合わない。
「顔を手術して別の顔にしたりとか」
「いや、ユウキ残念ながら一度アバターを創ったら顔を変えられないんだ」
一方ユウキは物理的に顔を変えることを連想したようだが、すぐにマクラギによって否定される。
「あれ?でも茅場さんはあの時顔をリアルに戻していたよね」
「そりゃあの人は管理者権限持ってるんだからリアルの身体情報さえあればそれくらい余裕でできるだろ」
言われてみれば当然のことである。むしろその程度すらできなければ、このゲームの運営などできっこないだろう。彼は『管理者』なのだから
と、ヒルコがここまで考えたところで引っかかりを覚える。
「だからこそ適当な顔が隠れる装備を買いたいんだがいいか?」
「どんなのどんなの」
「フェンシングのマスクみたいな感じだ...っていってわかるか」
「『アンカー』の体育館にあったのっぺらぼうの顔みたいなやつかな」
「そうそれだ」
「ならいいんじゃない」
「なら買わせてもらうかな、ヒルコもそれでいいな」
だが、ヒルコが考えている間に話は別の方向に進んでおり、聞き出すタイミングを失ったヒルコは後で聞いてみようと思うのであった。
「僕も賛成」
ヒルコがその真偽を知るのは実はそう遠いことではないことをこの時点ではまだ、知る由もない。
「あともう一つ提案したいんだが、俺のプレイヤーネームを変えようと思うんだ。」
「プレイヤーネームって『マクラギ』を変えるってこと?」
そのとおりだといってマクラギは姿勢を正した。
「そうだ。今の’マクラギ’は開発段階からは変えているが、それでも茅場に知られている可能性があるからな。ただ、設定からは変えることができなくてな。おそらく専用のクエストが用意されているだろうからそれが発見され次第になるだろうが..「「ナイスタイミング」」..同時にどうした二人とも」
「実はさっきの買い出しの時にあの情報屋さん、アルゴに再会してさ。これ『ユウちゃんと、ヒル坊、暇だったらこの中のクエストの情報集めてくれないカ?もちろんお礼はするゾ』って頼まれたんだ。上から二番目のやつがそれじゃない」
そういってアルゴから渡されたメモをヒルコは出した。
「これは、二番目確かに名前的にネームチェンジクエストっぽいな..タイミングが良すぎて逆に怖いんだが」
そのメモにはアルゴが調べ切れていない圏外のクエストの名前と受けれる場所がいくつか書かれていた。
「たしかこのほとんどが長くてシナリオ分岐が大量にあるクエストだからな。彼女もなるべく多くの情報多く手に入れたかったんだろ...このネームチェンジクエスト(仮)もその中の一つだったのかな」
「そういえばアルゴ。情報は多いほどいいって言ってたよ」
「ならそういうことなんだろう。皆でごはん食べたら行ってみるか」
そういってマクラギは水筒の水を飲み干した
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ネームチェンジクエスト(仮)はホルンカの森と呼ばれる奥地の水辺にあった。
ホルンカの森は日差しが悪く湿度が高く、武器の耐久値を減少させる腐食という状態異常を付与する植物系の敵が多く出現するエリアなのだが、この水辺は日差しが良く水気もないという理想的な過ごしやすい場所だった。
この辺のはずだが…と全員が辺りを見渡して、
「あそこに小屋があるよ」
ユウキが見つけたという方向を見るとシダに覆われて分かりにくいが確かに小屋のようなものがあった。
周囲を警戒しながら小屋に近づくマクラギ。そして小屋の扉に手をかけ___一気に開けた。
そこにいたのは、
カエルの化け物に上半身呑まれている男性。そしてその様子を眺める老婆。
「小屋を空けるとそこでは知らない男性がが死んだふりをしています」
「マクラギ冗談言ってる場合じゃないよ。あの男性プレイヤーだよ。早く助けないと」
カエルの口は今なお男性を咀嚼せんと動き続けている。
「その人を放せ!」
ヒルコはカエルの化け物を攻撃しようと片手剣ソードスキル、"バーチカル"を発動させる。
が、剣先はカエルに刺さることなく紫の障壁によってはじかれる。
戸惑うヒルコ。なぜならばそれは圏内でNPCを攻撃したときに出るシステム的な障壁と同様のものだったからである。確かによくよく見るとカエルの化け物にはモンスターの上空に表示される体力バーがなかった。つまりこのカエルの化け物(と、老婆)はモンスターではなく非敵対のNPCであるということである。
「汝ら。名前を変えようと欲するものか?ならば少し待てこの大馬鹿モノのへの忠罰が先じゃ」
「ええっと、その方はどうされたので。プレイヤーですよね」
全員の疑問を代表したようなマクラギの言葉にふんと老婆は鼻を鳴らす。
「あれはな。命名神のお怒りをかったのじゃ」
「命名神?」
「お怒り?」
「汝らもあの混沌とした始まりの街の中で様々なうわさ話を聞いてここまできたんじゃろ。なら知ってると思ったのじゃが...知らんようじゃの。今アレを罰を下しているのが命名神の遣い。あいつはふざけた名前を付けたその罰を受けているんじゃ」
もしかしたらはじまりの街で様々なNPCから情報を聞き出すことでここにたどり着けたのかもしれない。がアルゴに直接場所を教えてもらった弊害で詳しいことが全く分かっていない。
バケモノの口の中は一体全体どうなってるのだろうか。そうヒルコが考察しているとカエルの化け物改め命名神の遣いとやらの中から怒声が聞こえてくる。
「ふざけんな!適当な名前を変えようとしただけでここまでされなきゃいけねえんだ!この中ねちょねちょしてて生暖かくて気持ち悪いんだ!早く出してくれ!」
「ふん。名は体を表す。貴様まだ自分の罪が分かっていないようじゃな」
ここまでくると逆にどんな名前にしたのかも気になってくる。ユウキも似たようなことを思ったのかそのことを老婆にためらうことなく聞く。
「あやつの名前は「aaaaa」じゃ。ふざけた名じゃの?」
「アルファベットのaがいつつ並んでるってこと?」
「そうじゃ」
「別にいいじゃねえか!早くログインしたかったんだよ!おい顔をなめるな!やめろこのバケモン!」
思ったよりもしょうもない名前だった。隣でマクラギがボソッと3文字にとどめておけばひっかからなかっただろうにとつぶやく。
「もういい!やめだやめ。もうこんな生ぬるい場所に居たくねえ俺はやめてやる!」
「おぬしの名前は永遠に「aaaaa」のままになるがそれでもいいのじゃな」
「もうたくさんだ!うぃわ!また舌でなめられた!」
そういって、カエルの化け物から上半身が緑の液体で濡れている若者、aaaaaが抜け出してきた。正直かなりヌルヌルしていて気持ち悪い。
「えっプレイヤーいたの...これはお見苦しいところ見せまして...」
どうやら、aaaaaは近くにプレイヤーがいたことに気が付かなかったようで(NPCか何かとかんちがいしてたのだろうか?)頭を下げてあっという間にどこか遠くに走り去ってしまった。
「...あの人これからずっとあの名前で過ごしていくのかな?」
「さてな。」
あのままの名前だと割と大変なんじゃないかな...とヒルコは思ったが、もう姿はどこにも見えないのでどうしようもない。
あとは本人のしだいだろ。
そう簡潔にマクラギは言って、カエルの化け物に向き合う。
「ばあさん、俺は名前を変えたいんだ。どうすればいい」
「名前は'makuragi'か。ならばその命名神様に、変えたい名前をこの紙にかいて食わせるがいい、変えられるのは一度だけじゃから熟考するがいい」
そういって手渡された紙をマクラギは一切の躊躇なく何らかの英文字を書き連ねる
「俺のこれからの名前は’Urieel’だ」
本名:白澤 直木
開発時 シラサワ
saoサービス開始後
旧名 マクラギ
改名 ウリエル
この主人公名前変えてる回数多いな...しかも一気に厨二臭くなりましたし。
わかりにくかったらごめんなさい。
最もこの後もう一回変えるんですけどね(笑)
デスケームで、名前がaaaaaか.....。悪目立ちしそうですが実際のところどうなることやら。