ソードアート・オンライン 全プレイヤーの裏切り者 作:眠猫の玉手箱
本話更新日:2022年03月14日(月)
どうしてこうなった()
急いで仕上げたせいでどっかしらミスありそうだけど、もし見つけたら誤字報告か、活動報告の方に知らせてくれると助かります
PS.2023/4/8 安全圏を原作で使用されている安全地帯に表記変更。
「せやぁぁあ!」
ユウキのソードスキルが命中し、コボルトが一体吹き飛ぶ。
「スイッチ!」
それと入れ替わるように俺、マクラギ改めウリエルが前に出て、最後のコボルトの斧を盾ではじいてから胸元にスモールソードを突き立てて___そのまま最後のコボルトは消滅した。
「これで全部かな。ヒルコ探索スキルのほうはどうだ?」
「近くに敵性エネミーはいなさそうだよ。ウリエル、ユウキ」
「そうか。そのまま探索頼む」
ヒルコの報告を聞いてユウキが大きく息を吐く。
「ようやく終わったんだ。ボク疲れたよ」
「あぁアンタらがコボルト共を引き連れてきたのに遭遇した時はどうなるかと思ったけど案外何とかなったな」
俺の言葉に後ろで回復に専念していた男女混合三人組は面目ないと申し訳なさそうにする。
ことの始まりは、迷宮区での経験値稼ぎの最中に起こった。
迷宮区とは第一層の解放されているダンジョンの中での最難関のダンジョンである。なぜならばこのダンジョンの最奥部には上層に上がるための階段と、それを守るフロアボスがいるからである。
迷宮区に入るのは今日が初めてということもあり俺は念入りに、ヒルコとユウキがしつこいというほど注意点をダンジョンに立ち入ってからも話していた。
そして、このダンジョンに大量に出現するコボルトというモンスターの注意すべきモーションについて迷宮区の第1階で話していた(本日三度目)最中、迷宮区の奥からプレイヤーと思わしき悲鳴が聞こえてきたのだ。
それに関して俺がなにか言うよりも先に、ヒルコとユウキが顔を見合わせてうなずくなり悲鳴が聞こえてきた方向へと飛んで行っていってしまったのだ。
そこにいたのは大量のコボルトに押しつぶされていた3人プレイヤー。装備を見ると各人それなりには腕は立つのだろうが、なにぶんコボルトの量が多すぎた。プレイヤーの抵抗がコボルトによって押しつぶされるのは時間の問題であったため、追い詰められていたプレイヤー達に助力を申し出て、今に至るというわけだ。
「あんた足の欠損は治りそうか」
近くに倒れている足がない両手剣装備の男性プレイヤーに声をかける。痛そうな顔をしてるが、HPは既に回復済みということもあってか、どこか余裕がある顔つきをしている。
「いやあと2分残っているな」
彼はおそらくコボルトの攻撃で運悪く足を切られてしまったのだろう。この世界の部位欠損は確率こそ低いものの発生すると3分間その発生した部位がない状態で過ごさなければならない。
「なら、一緒に安全地帯に移動しないか。ここだといつまたモンスターが襲ってくるかわからない」
安全地帯とは迷宮区内にいくつか配置されている敵性MOBが侵入してこない区域だ。圏内とは違ってHPの保護がないものの、攻略の息抜きに役立つ大切な区間である。
「そうだな。おいジキル肩を貸してくれ」
男性も同意して、彼の仲間の細手剣使いに肩を貸してもらい立ち上がる。
「安全地帯はそこの通路を右だ...。そういや自己紹介がまだだったな。俺はゴンダっていうもんで、このパーティのリーダーのようなことを務めている」
「あっしはジキルってもんでさ。」
「自分はメルってものです。」
足がない男がゴンダ。肩を貸している男がジキル、それを心配そうに見ているユウキとヒルコと同じ年くらいの小柄な少女がメルというらしい。
「俺はウリエルという。あの片手剣の小僧がヒルコ、ダガー使いの少女がユウキだ」
せっかくなのでこちらも自己紹介を返す。
「ウリエルにヒルコにユウキか。よし、おぼえた」
「前の方に大き目の部屋があるみたいだけどあそこが...「そうだな、安全地帯だ」なら進もうか」
そういって速足で動くメル。俺も飲もうとしていたポーションをしまう。どうせなら安全地帯に入ってから飲んだ方が落ちついて飲める。ポーション類は全部飲まないと効果がなく、少しでもこぼすと効果が得られないのだ。
「右の通路に敵影2体!」
だがしかし、ここは迷宮区。最後まで気を抜くことはできなかった。ヒルコの警告に盾をクイックチェンジで出して構える。
そして横の通路から出てきたのは、通常コボルトと蚊のセット。
蚊といってもその大きさは全長約1m。絶えず羽ばたいている羽は金属質でできており対処するにはめんどくさそうだ。
加えて蚊の鳴き声がともかく喧しく不快感を与えるようなサウンドだ。
「とりあえず奴らを分断させよう」
「わかった。なら僕とユウキはコボルトを。」
ならば俺は蚊のほうだ。そう言って、羽虫のほうを向いてシールドの派生スキル『
喧しく近づいてきたところにまずはソードスキル無しの牽制。それを蚊は羽を交差させてブロックする。金属質な音がしてはじかれるのは俺の片手剣の方。当然敵のHPは一切減っていない。貫通するには威力が足りないのか、そもそも貫通不可能で、あの羽をかいくぐるようにして攻撃を通さなければならないのか。
「マクラギさん。あっしの手貸しましょうかい」
「ゴンダさんはいいのかい?」
「ええ。メルに任せましたんで」
蚊への対処を考えている中、ここで一定の距離を保ちつつ声をかけてきたのはジキル。
手助けしてくれるというならば、隙の多いソードスキルを使っても大丈夫だろう。
「スイッチの掛け声で代わってくれ」
「了解でござい」
恐らくこの蚊は突っ込んできた時が最大の隙。軽い攻撃を盾で防ぎつつ、その機を伺う。
その瞬間は意外にも早くやって来た。羽が喧しく動きだし、突っ込んでくる蚊。その隙を狙って発動するのは片手剣ソードスキル『ホゾリンタル』。
剣が半自動的に蚊を右から切りつけ、蚊に赤いダメージエフェクトが表示され、HPが一気に削れる。残ったのは約20%。
「スイッチ」
「これならあっしでも削れるな!くらえ」
そう言って、ジキルは細剣ソードスキル『リニアー』を発動させ、見事に命中。
当然耐えられるはずもなくそのまま蚊は爆散してポリゴンの塵となって消えた。
「やったか。コボルトのほうは...もう終わってやがる」
ヒルコたちに任せたコボルトは既にポリゴンすら残っていない。本人たちは無邪気にハイタッチしている辺り、おそらくあっという間に片付けたのだろう。
「すみません終わりました?」
「メルか。終わりましたぜ。いや、みな本当に強くってよ、あっしの手伝いなんか必要ないんじゃなかったですかい」
「いやいや、スイッチに合わせてくれたお陰で助かりましたよ」
本心からのお礼を言って、近づいてきたメルの方を向く。ゴンタは置いてきたのか一人である。
「そういえばゴンタは何処に...」
「安全地帯においてきました。『足手まといにしかならないから』って言うもんですから」
あぁあと『俺の屍を越えてゆけ』とか何とかって言ってましたか。そうメルは取ってつけたように言う。相変わらずの性格だ。と軽く笑いながら言うジキル。
彼らはきっといい関係を築けたグループなのだろう。デスゲームで死地の中に身を置いているにも関わらず笑いあうことができるというのはそういうことだ。
きっと笑いが絶えた環境ほど酷いものはないのだろうから。
「一回合流しましょう。ウリエルさんたちは...」
「俺たちもついていこう。少し休憩したい」
ヒルコたちが頷くのを見てなら一緒に行きましょうかとメルは笑って言った。
そして俺たちを待っていたのは予想だにしない光景だった。
無言で転がるゴンダ。そしてその横に
「あなた誰ですか」
フード付きのゆったりとした服を羽織った謎の生物が立っていた。身体的特徴がつかみにくい。上に表示されているバーの色は
SAOに幾千もの生物がいたとしても体力バーがオレンジなのは、犯罪者プレイヤー、通称’オレンジプレイヤー’のみである。
メルの張りつめた声にオレンジプレイヤーは答える様子はない。
オレンジプレイヤーから目を逸らさずにゴンダの様子を見る。既に欠落していた足は復活しているが、背中にダガーが刺さっている。体力は9割で色はグリーン。カーソルで点滅しているアイコンは麻痺し動けないことを証明している。恐らくは背後からのダガーで麻痺毒でも受けてしまったのだろうか。
現在の状況を考えつつどうすればゴンダを助けられるかを考える。この安全地帯の出口は右斜め上と左斜め上にひとつずつ。そしていま俺たちがいるこの場所。
「ヒルコ他の出口にはいるか」
「いや」
オレンジプレイヤー達に聞かれない程度に探索スキル持ちのヒルコに聞くとどうやら囲まれてはいないらしい。どうやら徹底抗戦という最悪にはならなそうだ。と思ったところで
不意にオレンジプレイヤーがゴンダにナイフを投げつける。当然削れるゴンダの体力バー。
「しゃべるな」
明らかに作り声だと分かる声で喋るオレンジプレイヤー。どうしてあの小声が聞き取られた──そうか聞き耳スキル持ちか。内心舌打ちする。聞き耳スキルは文字通り、微かな音ですら聞き分けることができるスキルである。小回りが利くスキルではあるのだが、正直戦闘に必須級のスキルではなので、相手が習得しているとは考えてもみなかった。
こうなるとこちらからは動きようがない。相手の出方を伺っていると、
「読め」
そう言ってオレンジプレイヤーはくしゃくしゃの紙を投げつけてくる。それをメルが咄嗟に受け取ろうとして取りこぼす。そして地面に落ちるギリギリのところでヒルコがキャッチする。
「読むよ。
『全員妙な動きをせずに持っているコルを全ておいて部屋の外に出ろ。そうすればリーダーは解放してやる』」
要求内容しょぼくないか?俺がヒルコの読み上げた文章を聞いた第一印象はそれであった。わざわざ人質を取ったのにもかかわらず、要求内容が随分となんというか控えめである。
確かにコルはこの世界での通貨である以上ありとあらゆる場面で使われ、ある意味最重要アイテムと言っても過言ではない。だが、単純に金が欲しいのなら装備品やアイテムをひっくるめて全アイテムオブジェクト化させた方がよっぽど隠匿の心配もないし恫喝としては良いのではないだろうか。
コルはほとんどストレージを圧迫しないし価値は保証されているため手っ取り早くやるためなのかもしれないが、それを差し引いてもなんとなく引っかかる話である。
だが人の命がかかっているのだ。違和感があっても四の五の言っている場合ではない。
なるべく刺激しないようにゆっくりとした動きでコルを所持金の約半分を実体化して背中を向けずゆっくりと後退し安全地帯の外に出る。
おとなしく下がり切った俺たちを見て、すべてのコルを拾い終わったオレンジプレイヤーは頷いてゴンダを抑えたまま後ろに下がっていく。まさか、このまま連れ去るつもりか。そう危惧したときだった。
「あいたッ」
予備動作なしでいきなりゴンダを蹴り飛ばす。彼に遮られてオレンジプレイヤーの姿は見えない。慌てながらも今度こそしっかり受け止めようと動くメル。
相手側が人質を手放したのなら躊躇する必要はない。そう思い、ゴンタを避けて取り押さえに突っ込もうとして____
「奴が突っ込んでくるぞ!」
「嘘だろ?!」
「えっ」
ゴンタの忠告に足を止める。まさか、そんな。相手が突っ込んできた?正気か?相手はもう既に俺たちから金を巻き上げたことで目的を達成したと勝手に思い込んでいたが、違うのか?何のために?HPがゼロになったら死ぬデスゲームってことを忘れたのか?!
そして、ゴンタの先には
「あれ?誰もいないように見えるんだけど」
ユウキがぽつりと呟く。
その通り。ゴンダの先には
「ウソだ!今そこにいるじゃないか。ほらそこだそこ!」
ヒステリックにゴンダが騒ぐが彼の指さす方向はなんの変哲もない壁しかない。一体彼は何を見ているんだ。
「どうしちまったんですか、リーダー」
「ジキル、お前には見えないのか?あそこにいるのにか?」
「ああそうですぜ。あっしには天冠付けた着物が似合う色っぽい美人なんて見えませんぜ」
「残念ながらにわたしにも白馬に乗った金髪長身の性格のいいイケメンなんて見えないわ」
「お前らの性癖の話なんかしてねえんだよ!俺だって見れるんならキュボンボンなおねーさん見たいぜ畜生!」
三人組が話し合っている中、こっそりと難しい顔をしているヒルコの肩を叩く
「ヒルコ、探索スキルの様子はどうだ」
「......少なくともゴンダが蹴り飛ばされてすぐにアイツラは僕達とは正反対の出口ほうへ走っていった。もちろんゴンダ以外誰も突っ込んできてなかった」
「なるほど。ついでに聞くがもうオレンジプイレイヤーは探索範囲外か」
そうだねと頷くヒルコに一言礼を言ってから、ゴンダの様子を伺うと、一応は落ち着きを取り戻したようである。
「なぁ、アンタ大丈夫か」
「ああ......ホントに居ないように見えたんだよな。」
「そうだ。探索スキル持ちに聞いても居ないと言っていた。今までにもあったのかこんな事」
いやないと首を振るゴンダ。他二人を見ても同様の意見みたいだ。
「今も見える?」
「いつの間にか消えた」
「もしかして昔薬物やってたとか「ねぇよ」...だよね」
ヒルコがもしかして、といった感じでいくつか質問するがあんまり参考にならない。正直薬物中毒によるフラッシュバックの線は俺も考えてはいたが違うのか。
「今は見えていないが...怖いな」
ブルりとおびえたように震えるゴンダ。いくら仮想世界だとはいえ自分だけにしか見えていないものがあると知らされれば大抵の人は同じような態度を取るだろう。
「今日は帰りますか。リーダー」
「......あぁそうだな、そうすることにしよう」
ゴンダはジキルの言葉に弱弱しくうなずいた。
更新遅れて大変申し訳ありませんでした()
約7か月半ぶりの更新になります。更新していないうちにも感想や、お気に入り登録してくださった方マジでありがとうございます。
ちょこっと裏話。最初はただ3人を助けるだけの話だったのですが、出来上がったのがあまりにもつまらなかったためめでたく没になりました。まぁそこから、設定を変更したせいでここまで投稿できなかったんですけどね()ついでに後味最悪になったけど......仕方なかったってやつです。
ダイパリメイクとアルセウス楽しい()
次回更新は2022年3月15日を予定しております。