ソードアート・オンライン 全プレイヤーの裏切り者   作:眠猫の玉手箱

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前半ウリエル視点
後半3人称です。


投稿前、最後の推敲していたら予約時間を間違えていて変更箇所が反映されていなかったため、21:42~21:44に一度削除した後投稿し直しました。以後気をつけます。

毎日投稿なんてやりなれてないから許して()


神は罪を決めない 前半

「このクリーム美味しいね」

「そうだね。まさかここまで黒パンに合うとは」

「面倒なお使いクエ攻略したかいがあったダロ?」

 

今俺達が夕飯替わりに食べているのは一コルで買える硬くて不味い黒パン___にクリームを塗っただけのシンプルな食事。これが案外悪くない味なのだ。

 

「気に入ってくれたカ?」

「もちろんだよ!アルゴ」

情報提供者__アルゴに抱き着くユウキ。それを何とも言えない目で見るヒルコ

 

「来るカ?」

「来ないよバカ!」

 

少年少女のじゃれあいは大変ほほえましいが...

 

「__それで、依頼したことだが」

 このままだと話が進まないと思った俺は強引に依頼の話を振る。

 

「コレダ」

 

 アルゴから渡されたファイルを捲るとそこにはびっちりと情報が書かれていた。

 

「早いね、さすがアルゴ」

「依頼した僕らが言うのもなんだけど、いくら何でも早すぎない?まだ頼んでから3時間もたってないよ」

 

 ユウキが感嘆の声を出し、ヒルコが疑問の声を出す。確かにヒルコのいう通りだ。てっきり一日ほど待つことになると思っていたが...それと、気になる点が一つ。

 

「俺達が依頼したのはゴンダ、メル、ジキル__この3人組の情報だったはずだが、これには4人分ないか?」

 

 昨日、迷宮区で出会った3人組。俺がアルゴに求めた情報はその3人だ。

 謎の強盗と、幻覚を見たと言い張るリーダー。この謎を解くにはアルゴの情報は必須だった。

 

「ユウちゃんはありがとナ。男どもは一度に聞くナ」

「「悪かった」」

「よろしい」

 

俺達の謝罪に満足したのか、アルゴは話始める。

 

「まずはヒル坊の疑問に答えるとナ、あの三人組はオイラが今まさに調べてる最中だったからダ」

「ほう?」

「理由は本来なら500コルってところダガ、コル取られたユウちゃんたちにこれ以上請求するのはオイラの情報屋の掟に反するからな、タダで教えてやる」

 

 コルさえ積めば平気で顧客の情報すら売りさばくアルゴがいう『情報屋の掟』とやらが気になるが、今は話に集中しよう。ただより怖いものはないというが...俺は都合よくそのことを忘れることにする。

 

「前にも迷宮区で同様の強盗事件が少なくとも2件あってナ、()()2()()()()()()()3()()()()()()()()()()()

 

 ユウキが小さな声でそんなという。ヒルコも表情には出てないがどことなく悲しそうな顔をしている。普通に考えて短いスパンに3回も強盗の現場に遭遇することなどあるはずがない。___犯人とグルでない限りは。

 

「で、その一人っていうのがゴンダか」

「...オイラのセリフ取るナ。なんで分かった?」

 

 あってるけどナと付け足すアルゴ。幻覚を見せるアイテム。そんなものは少なくとも普通のプレイヤーが使えるアイテムの中には存在しない。管理者7つ道具(7つとは言っていない)の中を探せばあるかもしれないが。

 

「βテストの時にそんな都合のいいアイテムはなかったからな。本サービスが始まる時に追加されたとも考えられるが、それよりは幻覚自体がウソだったと考える方が納得できる」

「信じたくないな」

「なんでゴンダさんはこんなことしてるんだろうね」

 

ユウキとヒルコが寂しそうに呟く。俺たちがアルゴに依頼しなくてもここまで露骨に犯罪行為をしていればそう遠くないうちに誰かしらにバレるだろう。実際にアルゴには既に目を付けられていたようだし。 

 

「さぁな。なんか事情があったのかもしれないし、ないのかもしれない」

「どんなことが有っても人の善意を踏みにじるのは良くないことだと僕は思うよ」

「.....全くもってヒルコ、お前が正しいよ」

 

ヒルコの言葉に苦笑いしながら答える。こればかりは反論できそうにない。昔、健太の善心を踏みにじった俺だからこそ。

 

 ファイルの中身を見る。ゴンダ__メル_ジキル__と流し見していき出てきたのは4人目の情報。20台の金髪の女性。見覚えはない。名前は『erica(エリカ)』これまた聞き覚えのない名前である。

 

「その娘は前にゴンダ達とパーティ組んでいたプレイヤーだけどナ、最近の目撃情報がないんダ。」

「生きてはいるのか?」

「『黒鉄宮』の生命の碑を確認したケド線は引かれてなかっタ」

「ならエリカとやらがあのオレンジプレイヤーである可能性は高そうだな」

 

 目撃証言が無いというのも自身のプレイヤーカーソルがオレンジであることを隠すためかもしれない。

 

「確証はないけどナ...後は本人に聞こうゼ」

 

アルゴの指さす方向を見ると俺たちが見張っていたゴンダらしき人影が宿屋から出るのが見えた。

 

「追いかける前に一つ。ヒルコとユウキお前らホントについてくるつもりか?」

 

俺の言葉に強い視線でうなづく二人。説得はとうに諦めた。

 

「オイラとウリエルが気配遮断を使って追いかける。ヒル坊とユウちゃんは「気配察知を使って追いかければいいんだよね」その通りダ」

 

 今回のためだけに用意したフード付きのカーキ色の服を羽織る。微小ながら気配遮断のボーナスがかかる代物だ。

 

 こんな状況下でこんなことを続けていたらいつか誰かがそのしわ寄せを受ける。最悪の事態を引き起こさないために俺とアルゴは静かに駆けた。

 

 そして、圏外の境界を越え、始まりの原野を走りぬくこと15分。ようやく、足を止めたゴンダはきょろきょろと辺りを見回した後、洞窟...というには小さい穴倉のようなところに入っていく。たしか、10層で受けれるおつかいクエストの目的地点とかだったような...とりあえず現時点ではゲーム上何の意味もない場所である。

 

「ここが目的地なのか」

「気を付けろヨ、ウリエル」

「分かってる」

 

 短く言葉を交わしあい、意を決して穴倉を覗きこむ。

 

 中は案外広いが、ジメジメしていて決して居心地の良い場所ではなさそうだ。中にはゴンダは当然として、大型動物の骨(おつかいクエストで使われるものだ)とボロボロの敷物、そしてその上に足を崩して座るのは写真と同じ女性。だが、顔色は悪くあまり寝れていないようである。一番気になるカーソルの色はグリーンではなくオレンジ。

 

ーなんで二人がいるところであんなことをしたんだ!

ーもう嫌なんですよ。こんなところにいるのは!

 

 この距離ならば聞き耳スキルを持っていなくてもギリギリ二人の話を聞き取れる。"二人"というのはひょっとしなくても残りのパーティメンバーのことだろう。

 

ーアンタにはわからないでしょうね。私の気持ちなんて!

ー少しは落ち着け、もう少しの辛抱なんだ。(コル)さえ溜まればあの人に...

ーコルさえ溜まればって言い続けて何日目?!いい加減聞き飽きた!

 

 エリカの方が激高して、それをゴンダの方がなだめている感じだ。よほど激高しているのかあまり集中しなくてもこの距離から聞き取れるのはこちらとしては助かる。

 

-すまない。

ーいえ、私もちょっと昂ぶりすぎた...とりあえずあのガキ二人とオッサンからせしめたコル出す。

 

 オッサンって誰のことだオイ。と突っ込みたい気持ちはやまやまなれどここは我慢である。20の前半のピチピチの新社会人捕まえて何がオッサンだ。ふざけんな。俺はまだ若い!

 

「...ウリエル普段は装備で顔隠れてるからナ、外見だけで年判別するのは難しんダヨ。だから静かにしてロ___」

 

 アルゴのフォローが身に染みる。そうだよ、昔ほどのキレはないとはいえ俺はまだ若いんだ!

 

「___オッサン」

あ〃?!

 

-全部でひーふみー3000コルと少しか...もう少しあるように見えたんだが

ー3人分だから。袋のかずは増える。

 

 そんな馬鹿な話を小声でしている間に、コルのやり取りが始まる。3000コル。俺が出したのは1130コルだったからあの二人も言われるがまま全コル支払うという愚行は起こさなかったようだ。

 

「ねぇねぇウリエル」

 いつの間にか追いついていたヒルコが息をのんで小声で言う

___僕4000コルは出したんだけど。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「話は聞かせてもらっタ」

ゴンダは背後からの突然の声に身を震わせた。

 

 ゴンダが慌てて振り返ると、そこにはフードを被り、顔にネズミのヒゲのようなペイントを施したプレイヤーがいた。

 

「情報屋の『鼠』」

 

 エリカが呆然と呟く。彼女の存在はゴンダらを絶望に落とすのには十分な破壊力を持っていた。

 

「オイラがここにいる理由は言わずとも分かるよナ?」

「それは......」

 何かを言うべきなのにゴンダは何も言い出せなかった。エリカは縋るようにゴンダの方を見ているが、彼にだってどうすればいいのか分からない。

 

「俺もいるぜ」

 

 後ろからは更にウリエルも出てくる。装備で顔が隠れている分どんな表情なのかはわからないが、この時ゴンダは言い逃れができないことを悟った。

 

「お前はあの時の⁈ 」

 エリカが騒ぎ立てる。

 

「なんでオレンジになってまで人からコルだけを奪っているんだ」

「黙れ、てめぇに何が分かるんだ!」

「エリカもうやめよう。元から無理があったんだ。この世界がどんなに酷い世界でも人から金を奪うなんてこと許される筈がないんだ」

 

 ウリエルさん、アルゴさん少しだけ長い話になりますが聞いてもらえますか?

 そんな切り出しでゴンダの話は始まった。

 

──あなた方は一つ勘違いしているかもしれませんので先に言っておきます。順序が逆なんです。コルを集める過程でエリカはオレンジになったんじゃない。エリカがオレンジになってしまったから、俺たちは手段を択ばずコルを集める必要に駆られたんだ。

 

──始まりは事故でした。たまたまエリカと二人で夜のフィールドにでた時のこと、なぜか突然俺達の狩りに割り込んできたプレイヤーがいたんです。

 理由は分かりません。その時対峙していたモンスターの残りHPが僅かだったのでラストアタックだけを狙いに来ていたのかもしれません。

 そのプレイヤーが割り込んだ先がたまたまエリカのソードスキルの斜線上だったんです。ソードスキルは止まりませんでした。

 

──安心してください。そのプレイヤーは死にはしませんでした。ですが、俺達がそれについてなにかいうより先にそのプレイヤーはどこかに逃げてしまったんです。後にはカーソルがオレンジになったエリカと、突然のことで困惑した俺だけが残されました。

 

──その時はオレンジプレイヤーの枷は知りませんでした。エリカが町に入ろうとすると、衛兵がどこからか飛んできて殺そうとしてくるんです。お二人はオレンジプレイヤーの制限はご存じですか?

 

──情報屋にとっては愚問でしたね。話を戻すとそんな俺たちを助けてくれたのがの雨合羽(ポンチヨ)を羽織った男でした。彼はオレンジプレイヤーの制限を教えてくれました。経緯を聞いた彼は同情してくれ、エリカにモンスターの危険にさらされない安全な場所を紹介してくれました。要するにこの洞口です。

 

──その後話の流れで俺たちは彼にオレンジからグリーンに戻る方法を聞きました。彼は少しばかし躊躇う様子を見せた後情報料とクエストクリアに必要な分としてコルを請求してきました。高かった。俺達二人が頑張って集めたとしても一週間はかかる量だった。

 

──ええ、俺とエリカの二人です。メルとジキルはエリカが巻き込むことを嫌ったもので。

 

──当然、払えなかった俺達に対してあたかも当然のように自然な流れで雨合羽(ポンチョ)の男が言ったんです"だったら人から奪えばいい。オレンジプレイヤーなら説得力もバツグンだろ?"って。あの時の俺たちはどうかしていた。その時はそれが最良の手段だと思い込んでしまったんです。

 

 そうして俺たちは3回も迷宮区で恐喝行為を働いてきたってわけです。

 そんな言葉でゴンダの長い話は締めくくられた。




後半のゴンダの話、普段とは違う書き方で書いてみたのですが、台本書きみたいで正直微妙な感じになってしまった......

次回更新は3月16日予定です。
<追記>
4人目のパーティーメンバーの名前を変えました。
 変更前:エリカ
 変更後:シエリ

変更理由はエリカという名前が原作で使用されていたからです。
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