ソードアート・オンライン 全プレイヤーの裏切り者   作:眠猫の玉手箱

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第1層ボス攻略会議 後半

前回の攻略会議から数日後、ディアベルのパーティがボス部屋を見つけたというので再び集まった俺たちだが

 

「それじゃあパーティを作ってもらおうか」

 

ディアベルの言葉にゴンダ・メルのグループの姿を探す。このSAOのグループは最大6人。あいつら3人組と合流すれば成立するだろう。知らない奴よりはまだ戦闘スタイルが分かっている奴のほうが組みやすい。

 

「ウリエルさん達組みませんか?...といっても俺出れないっすが...」

あちらも同じことを考えたのかジキルが誘ってくる...ってちょっと待て出れないってどういうことだ?

 

「実はつい先日モンスターの攻撃がクリティカル入ってしまいましてね...」

 そういってバツが悪そうに見せてくるのはウインドフルーレ......その断片。ぽっきりと二つに折れてしまっている以上、再生はインゴットにして一から作り直さない限り不可能だろう。

 

「新たに買いなおす時間も金もないすからね...この武器レアドロップで中々手に入らないし、強化も金掛かるし....ボス戦だけに中途半端な武器で行くのにも不安がありますんで今回は出ません」

「なんというか...ご愁傷さまです」

 

 ボス戦を前に酷い不運に見舞われたというか...確かしっかりと手入れさえされていれば雑魚の攻撃で一気に武器破壊まで至る可能性はものすごく低かった気がするのだが。まぁ小数点以下の不幸が重なるのはMMOではよく聞く話だ。

 

「まぁ心配するなってジキル、俺たちがボス一層のボスなんかあっという間に倒してくるからよ」

「そーそージキルさんは第二層で勝利の凱歌を上げる私たちを御馳走と共に迎えてくれればいいんですよ。あのお店のケーキのビックサイズお願いします。」

「メルさんちょっと要求えぐくないですか」 

「いーじゃないですか。どっかの馬鹿共のせいで私達の経済状況良くないんですから」

 

 メルが肩を叩いて励まし、馬鹿の片割れがダメージを受け突っ伏す。まぁ戦力にならないやつはおいておいて

 

「これで5人か...パーティの上限的にできればもう一人ほしいところだが」

「あそこに二人ソロっぽい人がいるよ」

 

 そういってユウキが指さす方を見ると中学生くらいの青年と赤いフードを被った人がいた。フードの方は顔が隠れててよくわからんが、離れて座っている以上彼らはペアではないのだろう。...迷うところだ。パーティのメンバー上限が6人である以上どちらかしか誘えない。

 

「君、良かったら俺たちといっしょにやらないか?」

迷ったが、近くの青年の方に声をかける。理由は特にないが、強いて言えばフードを被った方は、エリカと雨合羽の男をなんとなく連想するからである。もちろん、彼らより小柄で全くの別人であるが。

 

「あぁ。俺としては構わないがあんたら6人いないか?」

「いやぁ今回あっしは見学っす、主武器ロストしてるもんで」

 

青年は驚いたようだが、どこかためらいながらも了承してくれそうな雰囲気はあった。

 

「やぁそこの君たちチームは組めたかい」

そう考えていると後ろからディアベルの声が。他のチームを見てみるともう7チーム組み終わった後のようだ。たしかシステム上レイドの上限は8パーティ、48人。この場にいるのが47、8人である以上、少なくともワンレイドに収まるはずなので単純にどこかのチームが5人以下なのだろう。

 

「全員で8人なのかな」

「いや俺は今回出ないから7人だ」

「そうか、次は一緒に戦えることを楽しみにしているよ。そうだな...そこの片手剣片手盾の君、名前は?」

 

 少し考えたそぶりを見せてナイト様が指示したのはまさかの俺。ヒルコとユウキ、ソロの二人それにメルは盾無し軽装備、ゴンダは鎧は重そうだが両手剣スタイル。ジキルはそもそも何も持っていない。片手剣片手盾スタイルに該当するのは俺だけだ。

 

「ウリエルだ。」

「君の戦闘スタイルは見たところタンクに近い感じだね。」

タンクとは戦車のこと____ではあるが、今回の場合はモンスターの攻撃から他のプレイヤーを守る戦闘スタイルのことだろう。たしかに俺の盾は、一般のモノに比べて少しばかし大きい。

 

「なら、ウリエル君はあそこのキバオウさんのところのグループに入ってくれないかな」

_____なんだと。よりによってはぶられるのは俺か。しかもキバオウさんのところかよ。仮にもベータテスター(という設定)な俺としてはあまり関わりたくない相手だが……

 

「...理由を教えてもらってもいいか」

「タンクに近い装備の人はみんなAかBのいずれかのグル―プに集まってもらっているんだ。今回の作戦は役割分担が必須だからね、気心しれたパーティメンバーのほうが心強いかもしれないけれど、誰一人として欠けずにフロアボスを討伐するためなんだ、ここは協力してくれないだろうか」

 

 ボス戦攻略のためと言われてしまうと容易には言い返せない。ヒルコの方を見ると僕は大丈夫だとハンドサインを送ってくる。

 

「...分かった。ボス戦攻略のためなら仕方ないな、協力しよう」

「良かった。___キバオウさんそっちに一人行く」

「あい、分かった‼」

 

広場の噴水の辺りでキバオウがぶんぶん手を振る。

 

「それじゃ、ヒルコたちもがんばれよ」

「ウリエルさんもがんばって」

 

ヒルに見送られながら俺はキバオウの方へと小走りで向かっていった。

 

 

 

「オレはジョー」

「私はメアリー、多分全員初対面だろうけどしくヨロ」

「俺はタケ、よろしく!」

「俺は技マシン20、PPはないから全力は出せんがまっ、今後もよろしく」

上から順に、曲刀使いのチャラ男っぽいやつ、魔法使いぽい恰好の女性、長身長髪の男、丸顔の男

 

「そしてワイがリーダーのキバオウや!!よろしゅうなウリエルはん」

そしてキバオウこととげとげ頭。この5人と俺が今回のパーティーメンバーである。

存外友好的な歓迎だ。

 

「それではキバオウさん達E隊にはボスの対処を頼む」

 ディアベルによって俺たちはボスの処理を、ヒルコたちF隊が取り巻きの処理を割り振られた。こういう時は変わり番こに全員でボスと雑魚を処理するのがテンプレかと思ったが...まぁ一隊に取り巻きを任せるのも一つの方法だろう。他のパーティメンバーはともかくヒルコとユウキの実力を考えれば何一つとして問題はないだろうし。

 

 そして話はドロップアイテムのことへと移り変わっていく。このままだとドロップの話がついたら解散となりそうな雰囲気である。

 

『仕込み』を自分で発動させるべきかについて考える。

実はアルゴの行動からヒントを得て昨日の夜、1層フロアボスに関するβの時との変更点を(情報屋が把握していない新しいクエストの達成報酬として知ったという形で)纏めた本を道具屋に委託した。正直俺自身が表舞台に出たくないので誰かが見つけて広めてくれるとありがたいのだが....

 

「_ディアベルさんちょっといいか」

 そんな祈りが通じたのか話がひと段落したところでシミター装備の男が声をかける。

 

「なんか見覚えあるなあの男」

「ディベルはんのパーティメンバーやろ」

「オレ知ってるアイツの名前はリンリンっていうんだ!」

 長髪の男、タケがこぼした疑問にキバオウが適当にこたえ、勢いよくチャラ男が名前を言う。

見た目わりとガタイのいい男なのにえらくかわいらしい名前である。

 

「どうした、リンド」

 

「全然違うやないか」

「あれ?噂じゃ確かリンリンだったんだけどな」

違うんかい。実は木田センパイの同族かと警戒した俺が馬鹿だったか。

 

「さっきそこの道具屋を覗いたら前回の会議よりも攻略本が1種類増えていたんだ」

「なんだって___見せてくれリンド」

 俺作の攻略本をパラパラとめくるディアベル。

 

「ディアベルはん、ワイらにも見せてくれんか」

「___分かった、リンド一部ずつチームリーダーに配っておいてくれ」

数呼吸分の間を空けてディアベルは攻略本を配ることを命じる。

 

「...なんやこれ一層フロアボスのβ時との変更点と思わしき箇所の記載...?ほんまかいなコレ」

「とりあえず一回読んでみましょう」

キバオウの後ろからのぞき込む...間違いなく俺が書いたもののコピーである。

 

「大まかにまとめると最終ゲージのボスが使う武器がカタナになって、その時に追加出現する雑魚コボルトの数が増える___そういうことなのでしょうか、ご丁寧に一部のカタナスキルまで記載されてます」

 

 思案げにメアリーが呟く。

 

「いやそもそもコレホントのことなのかよ。他の攻略本とは違って著者の情報もないしオレには誰かが騙そうと悪意を持って誤情報ばらまいてるようにしか見えねぇ、大体なんだよカタナスキルって」

ジョーが疑わしそうに呟く。

 

「カタナスキルってMMOトゥデイっていう攻略サイトに記載されてませんでした?」

「自分も読んだことある気がします。たしか10層の蛇のモンスターが使ったらしいって」

丸顔の男の言葉に乗っかる形で情報を補強する。

 

「だからといってホントのこととは限んないだろ!」

「だが、ジョー。誤情報として切り捨てるのは怖くないか」

「そりゃそうだけどキバオウさんはこの情報信じるのかよ」

「それはやな...」

 

ざわざわとざわめく攻略会議。真偽を巡って揉めるのは想定内。極論もしかしたらそういう可能性があると思ってもらえるだけで効果はある。気になってちらりとヒルコの方を見るとこちらのことなど気にもせず何事か話し合っている。多分ヒルコは察しているだろうからあえてこちらを見ないのだろう。

 

「皆静かに!!静かに!!」

 

ディアベルが何度も静かにと繰り返すことでようやく喧騒が収まり皆が静かになっていく

 

「なにもこれからすぐにボスに挑もうってわけじゃない、情報屋の人たちや、もちろん俺たちもこの情報の真偽を確かめていこうと思っている。この情報について話し合うのはそれが分かってからでもいいんじゃないか」

 

ディアベルの言葉にとりあえずと頷くメンバーたち。落としどころとしては悪くないかな。

 

「そうだ、もしこの中にこの攻略本を書いた、または書くのに協力した言う人はいるかい?」

 

がやがや煩いが誰も挙げる人はいない。ウソ吐きはいないようで安心である。ちなみにあの攻略本一人で全部作りました。久々に残業気分で悪い気はしなかったが、やはり疲れるところもあった。

 

「そうかもし他の人には知られたくないんだったら、あとで僕にダイレクトメールで教えてくれ。大丈夫『騎士』の名前にかけて悪いようにはしない!」

 

 騎士様の御言葉は当然無視である。

 

「次回の攻略会議は明日の同じ時間帯だ。そこで話がまとまれば直ぐにボスを倒しに行く。

それじゃみんな遅れずに来てくれよ!」

 

こうして混乱の中とりあえず第二回攻略会議の幕は引かれたのであった。

 

「それじゃ、新顔も増えてたことやし皆でのみ行くで!ウリエルはんもええよな!」

 

だがしかしその先に避けようのない飲み会の誘いが俺を待っていたのだった。




話の都合で剣を折られるジキル...君がいると人数オーバーなんだ許せ()

原作の参加人数と分担が違うのは単純に話の都合です()

次回飲み会。リアルでできるようになるのはいつになるのでしょうか

次回の更新は未定です。二週間以内には出したい(今までの更新日日を見つつ)

PS:2022/10/06
ジキルの剣をアニールブレード→ウインドフルーレに変更。16話「第1層迷宮区探索」でジキルが細剣ソードスキル使ってたの忘れてました。
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