ソードアート・オンライン 全プレイヤーの裏切り者 作:眠猫の玉手箱
ヒルコ目線
第一層フロアボス討伐予定日。その日も僕はいつも通りの時間に起きた。目を見開いた瞬間に見えるのは十数年間見続けた病院の白い天井ではなく、木製の温かみのある天井。
今日も僕らは仮想世界の中にいる。
「おはよう、直木にぃちゃん」
横で既に起きて何らかのメモを取っている直木兄ちゃんに挨拶をする。僕より早く起きているのではないだろう。
「はよ。ヒルコは相変わらず早起きだな」
「直木にぃちゃんは...ひょっとしてまた徹夜?また」
直木にぃちゃんの隈は昨日から薄くなるどころか濃くなっている。目も充血している気がする。
たははっと誤魔化すように笑う直木にぃちゃん。そのままジト目で見つめているとだんだんバツが悪くなってきたのかどんどん小声になっていき遂に黙り込む。
「ダメだよ。普段顔隠してるから他人には見られないけど無理しちゃ」
「そうだよな...ちょっと考えなきゃいけないことがあってな。」
直木兄ちゃんは本来このアインクラッドの管理者であるアーガスの社員である。が、(直木にぃちゃん曰く)「茅場さんの暴走」によってデスゲームと化して以降、表舞台に立たないように攻略の情報提供を続けている。どのようにして情報提供しているのかはいくら問い埋めても教えてくれなかった。
多分それの関係でなにかあったのかもしれない。可能性として一番高いのは昨日の攻略会議で話されてた攻略本のことだろうか。
ベットに座りなおしてストレージから紙と鉛筆を出す。それだけで意図を察したのか直木兄ちゃんも紙を出す。
『で、何があったの?』
『攻略情報を相手に悟られないように渡す方法考えてた』
『この前みたいに道具屋さんに委託するんじゃだめなの?』
直木にぃちゃん書いた文字を見るなり即座に何かしらを紙に書く。速さ的にもう既に何度も考えていたのだろうか?
『難しい。今後情報屋辺りに道具屋に張られてたら即刻バレるし、模倣犯が出てこないとも限らない』
『なら代理人を立てるとか?』
『正体知るやつ増やしたくないしな。』
「そういやヒルコ攻略会議の後は何してたんだ?」
筆談だけだとこれを聞いてる誰かに不自然に思われるかもしれない。そう考えた直木兄ちゃんが、いつもの通り適当な雑談を投げてくる。
普段のヒルコならその雑談にこれまた適当な言葉を返すだろう。
しかしながら、それは今の彼にとって一番思考にあげたくないことだった。
『なら僕がやって』と書きかけていた手の動きが止まる。昨日の攻略会議の後は、キリトについて行って......
「おい、どうしたヒルコ。顔真っ赤だぞ。熱でもあるんじゃないか?!」
「なっなんでもにゃいよ」
せっかく人が頑張って忘れようとしているのを思い出させないでください。自らの頬が赤くなってるのを見ずとも自覚するヒルコ。
だがしかし(ヒルコの過去を考えれば仕方ないが)心配性の直木にぃちゃんのこと。明らかになにかあると言っている僕の様子に気がつかないわけなく、慌てた様子で近づいてくる。
「その顔でなんでもないわけあるか!とりあえず額だせ。熱はかる」
「なんでもないって、ちょっとストップ_____
だが、あまりにも慌てすぎて足元の注意が散漫になったのかベット脇にあったローテーブルに引っかかる直木にぃちゃん。倒れこんでくる方向は...僕の方。
結果としてそのまま二人で同じベットの上に倒れこむことになるのであった。
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ユウキ目線
ボクはヒルコとウリエルさんが泊まっている隣の部屋へと向かっていた。いつものペースだと、そろそろ朝食をとらないとフロアボス攻略組に遅刻するかもしれないからだ。
今日は遂にフロアボス攻略戦。ウリエルの話だといままでで一番強い強敵だという話だし不安がないといえばうそになる。
「だけど、止まったままじゃなにも解決しないよね。進まないと」
そんな不安な気持ちを振り払うために、部屋のドアをいつもの如く勢いよく開ける。
「おはよう!ヒルコ____」
そこでボクが目にしたのは、ベットに横たわるヒルコと、それに覆いかぶさるウリエル。音に気がついたのかこっちを向いたヒルコの顔はとても真っ赤になっていた。
これはひょっとして噂に聞くそういうことなのだろうか?たしかにヒルコとウリエルの距離は近い。少々過保護といえるほどヒルコを庇護するウリエルとそれをややうっとうしがるもなんだかんだ受け入れてるヒルコ。
ボクだけ宿も別室だったし。昨日のアルゴがボクとアスナが居た...ゴフンゴフン(咳払い)の時も何というか対処が的確すぎてなんかこう逆になんというかなんというかだったし。いや文句はないんだけどね。少なくともキリトなんかよりはよっぽど紳士的な対応だったし。
「....おじゃましました?」
「「...?...!まてユウキ誤解だ、違うからな!」」
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ウリエル目線
「おう、ウリエルはん!来ないんかと思っとったわ!」
「遅れてすみません。今どんな感じです?」
あのあとユウキの誤解をなんとか解いたのはいいものの、気がついた時には集合時間の直前。慌てて(クリームなしの)黒パン加えて集合場所にダッシュしてきた。
「さっきまで例の情報源不明の攻略本について話してたところや。」
「ああ、例のですか」
そや、とキバオウが頷く。
「あれ、ディアベルはん達の調べによると相当信頼性が高いらしいで。...中身頭に入っとるやろな?」
「もちろんです」
中身書いたの俺だからな。
「なら十分だろう。ディアベルさんが最後になにか話したそうにしている。」
タケの声に壇上の方に注意を向ける。
「みんな、いきなりだけどありがとう!たった今、全パーティ48人が一人もかけずに集まった!」
そのとたんに、ディアベルが声を張り上げ、大きな歓声と拍手が飛び交う。
「全員揃ったから言うけど、開始時間に数人来ていない人がいたときやっぱりか。って思ってしまったんだ。でも...それはここに集まってくれたみんなへの侮辱だったな!全員そろったときオレ、すげー嬉しかったんだ...最高のレイドが組めて...まあ、もう少し人数、できればもう一レイドパーティくらいほしかったけどな!」
倍の人数じゃないじゃないですか!とヤジがあがり、周囲...主にディアベルの周りから沢山の笑い声が響く。緊張がほぐれすぎているかもしれないが、レベル的にはかなり余裕がある。β時代からの変更点もみんな知ってはいる。
「みんな...もう、オレから言えることはただ一つだ!」
勝とうぜ!
大丈夫だ。
絶対に犠牲を出さない。俺の決意と同期するかのように大きな鬨の声が響いた。
Q:結局昨日の騒動ってなんだったの?
A:ラッキースk(殴)
作者黙秘権行使!!
(分からない人はプログレシップ1巻を読もう!原作読めばなんとなく察するよ!)
次回も一週間後に更新できるといいな