ソードアート・オンライン 全プレイヤーの裏切り者   作:眠猫の玉手箱

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ドロップしたモノ 3/4

 あれ勝てる?

 無理

 

 アイコンタクトでお互いの意見が合致した。

 

『Taraseeexe!』

 

 俺、マクラギの前方に明らかにヤバいモンスターがいた。

 

 幾多もの蛇を模した壺。そこから巨大な蜘蛛の腕が無数に生え、白い球を持ち上げている。

 白い球からは液体が流れ落ち、床を濡らしていく。濡れた箇所からは煙がシュルシュルと上がっていく。

 

 体力バーの色は、黒に近い赤。5本ある。名称"majestic's idea"途方もない強敵だ。コボルト王より黒味が薄いのはまだ救いかもしれないな!……冷静に考えてフロアボスと比べている時点でヤバいか。

 

 ボスは液体を垂れ流す以外には微動だにしていない。当然だ。

 まだ活性化していないからだ。

 

 

「これが君の見せたかったもの?」

 

 ボス部屋との境界線でラサキが箱に優し気な声で話しかける。

 

『そだよー。アレこそが、騎士と私が倒したい相手だ』

 

 箱から明瞭とした声が響いた。

 

 話は10分ほど前に戻る。

 

 

 

<10分前>

 

「───そろそろ行きますか」

「はい」

 

 安全地帯から出る決意を固めた。

 この場に居続ければ、お互い死ぬことはない。でも、ワザマ達がいるとはいえ、助けが来るのがいつになるのかは分からない。ならば自ら脱出に動いた方がずっといい。

 

 ここで立ちすくみ安全策を取る人間なら、俺もラサキも既に落とし穴の先で止まっていた。

 

 松明に火をつける。

 

 最後に辺りを見回して忘れ物がないかを確認する。薪は既に燃え尽きているし、お湯を沸かすのに使った鍋は既に回収している。

 

 ならば忘れ物はないはずだ。

 

「あら? あの箱、マクラギさんが持ってきたやつですか?」

 

 ラサキの指さす方向を見る。部屋の隅に、無骨で小さな木の箱が転がっている。俺達がこの安全地帯に入ってきた時はなかった……と思う。

 

 ただ、あの箱に見覚えはない。ならばラサキのかと一瞬考えるが、口ぶりからして違うだろうと思いなおす。

 

「そうだったか?」

 

 まぁいいや、回収しておこう。仕様上、安全地帯にトラップは生成されないし単純に俺かラサキの思い違いだろう。

 

 そう思って拾い上げたその時だった。

 

 ぎゃふん

 

 絹を引き裂くような、高く短くそして小さな音が箱の下から響いた。

 

 箱を動かしたことで、影が消えた箇所から染み出るようにして出現する黄色の、中立NPCの体力バー。

 

 その下に居たのは、

 

「妖精?」

 

 紫の美しい羽根を持つ、小さな生物であった。

 

 

 

「_____妖精ちゃんの体力減ってる!減ってる! 早くなんとかしないと」

「なんとかって、どうすれば。とりあえず、ポーションだ!」

 

 最近ナナが作成に成功した新型回復用ポーションを落とす。回復量はレベル1ポーションよりも低いが、半径2メートルの円状に回復エリアを15秒間出現させる優れものだ。

 

 肝心な妖精に対する効果は、体力バーの増減がなくなった。

 要するにダメージを受ける量と回復する量のつり合いがとれているということだ。

 

 弱り切った妖精の目が開く。

 

『まぶしい』

 

 一つ推測ができる。

 この妖精、黒鉄騎士と同じように影から湧き出てきていた。そして黒鉄騎士は明るい場所、黒鉄宮やフィールドでは、かなりの頻度で影の中に閉じこもっていたことから、強い光が苦手である可能性がある。

 

 つまり、この妖精は木箱がなくなったせいで影に留まることができず、光にさらされてダメージを受けているかもしれない。

 

「つまり光が問題なのか! 影があればいいのか!」

「影!とりあえず、私が壁になる!」

「その手があったか!」

 

 松明と妖精の間にたって影を作りだすラサキ。

 ラサキは頭いいな。こうしてはいられないので、俺もその隣に立つ。

 

 妖精は目を開いて言った。

 

『そんな事やるなら箱返せ』

「「......あっ」」

 

 冷静に考えれば、俺が不用意に木箱を動かしたせいでこうなったんだから、元の状態に復旧すればいいだけの話か。

 

 箱を差し出すと、妖精は這う這うの体で、箱が作り出す影へと潜っていった。

 

 

 

『それで君たちは黒鉄騎士の依頼を受けた相手と。でも、落とし穴に落ちて別れてしまったと。なるほど、それなら納得だ』

 

 浮遊する箱の下、影の中から声がする。

 

『ああ、まだ名乗っていなかった。私は黒鉄姫。初めましてスミビトさん達』

「初めまして」

 

 スミビトは黒鉄騎士も言っていたな。確か意味は大地切断後のアインクラッドに住む人々のこと。

 

 大地切断。浮遊する鉄の城が構成された時の神話だ。

 "広大な大地"。そこには様々な種族・文化が存在していた。それがある時、大地から剥がれていき、剥がれた大地が層になるように積み重なってできたのが、この空飛ぶ鉄の城、アインクラッドである。

 

 実際のところ、"広大な大地"など存在せず、茅場が考えたコンセプトを元にカディコことカーディナルシステムとアーガス社員が設計したのだが。

 

 ただこの出来事が起こった(とされている)のが800年ほど前。基本的に長命種しか話は伝わっていないことを考えると、この妖精見た目によらずかなり長生きしているのかもしれない。

 

「上層への階段まで案内してくれない」

 

 ラサキが頼む。

 

『別にいいよ、私も久々に騎士に会いたかったし。ただちょっと問題があってね。見てもらった方が速いか。ついてきて』

 

 そして話は冒頭へと戻る。

 

 

 

 目の前のヤバいやつ───便宜上、蜘蛛壺と呼ぶが、そいつに敵対されないと言われたギリギリの境界を前にして立ち竦んでいた。

 

「なにあれ」

 

 ラサキが言葉を漏らす。同意見だ。黒鉄騎士は俺が4人いれば倒せるとか言っていたが、これは難しいだろう。生産部だけで突っ込むなんてことをしなくて本当に良かった。

 

『あいつは最近他所からやって来たモンスターだ。部屋をよく見て』

 

 なるほど。よくよく観察してみるとかなりぼこぼことした床だ。蜘蛛壺の辺りが一番深くまで床を侵食しており、反対に端の方は浸食がおとなしい。

 

『あいつの球から出てくる液体は床を溶かし、溶けたところからは一時的に毒を発生させる。とても危険だ』

「相手の行動で他に気がついていることはあるか?」

『ある。あいつらは敵が近づくと球を支える足を離して、攻撃してくる。前に騎士が挑んだんだけど、全体の1/5を倒した時点で撤退した。傍から見て私が気がついたのはそれくらいかな』

 

 全体の1/5ってことは5個ある体力バーの内一つを削ったということなのだろうか? 黒鉄騎士もソードスキルという隙を見せてくれたから対応できたのであって、単純な剣技だけだと俺と均衡していた。

 

 だから俺4人が居れば討伐できるといったのだろうか。

 

「まって"傍から見て"ってことは姫様は───」

『───期待を裏切るようで申し訳ないけど、私には戦闘能力はない』

 

 ってことは、最悪俺とラサキの二人でボス部屋上手く通り抜けるか、倒さなきゃいけないと。あまりのクソゲーっぷりに茅場への殺意が一割増だ。

 

「壁をぶっ壊してボス部屋をスルーしたい」

『スコップなら持ってくればあるよ』

「50mをスコップで堀進めろと?」

 

 第一、原則としてダンジョンの壁は、プレイヤーやモンスターがどう暴れようとも傷一つつけられない破壊不能オブジェクトである。

 

 ……? 何か今違和感が───

 

「仕方ない。タケ達が来るのを待とう」

 

 だが違和感の正体は分からず、結局、安全策を取った。

 

 

 

「そういえばさっき"久々に騎士に会いたかった"って言ってたけど、大分長い間会っていないの?」

『そーそー。あのモンスターがやってきたせいで、気軽に上層との行き来きができなくなって。元気そうだった?』

「俺の鍛冶台、浮遊させて遊んでた」

『何やってんの、あのアホ』

 

 

 

「解毒ポーション足りるかな……ワザマも大分持ってたが、それでも不安だな」

『ポーション沢山持ってるよ』

「ほんと?なら少し譲ってくれない?」

『いいよ、一個500コルね』

「たっか、たっか」

「ナナちゃんが怒りそうな強気な値段設定」

 

 

 

「君たちはどれくらいこの場所にいるんだ?」

『私たち? 大地切断の頃からここにいたから───すっごく長い』

「すっごく長いかーそっか」

 

 

 

「黒鉄騎士が言ってた"黄金のなる木"ってどんなもんなんだ?」

『私たちの家宝』

「いいの? そんなの渡して」

『家宝で私たちの安全を買えるなら安いもんだよ』

 

──────────

 

─────

 

──

 

 

 三人で雑談に興じながら、時折来る雑魚を倒していたら、ボス部屋の更に向こうから気配がした。

 

「あーっと、落ちた二人居た!」

 

 大きく甲高い声。ジョーだ。

 

「「大声だすな!」」

 

 向こうも、こっちと同じく安全地帯ではないのだろう。

 ジョーの大声に反応した雑魚敵がプレイヤーの元へと押し寄せた。

 

「あっやべ」

「……あっやべじゃないよ」

 

 タケが呆れたように呟いたのは仕方ないと思う。

 

 

 

『はい、まいどあり─。1500コルになりま───す』

 

 結局、黒鉄姫からぼったくりポーションを買い足す羽目になった。

 間にボス部屋があるんだから、ボス部屋を通過できない雑魚は寄ってくるなよ。ほんまこのクソ仕様。考えたの誰だよ……俺だ。"リアル"だからと最終決定したのは茅場だ。

 

 関係者全員、穴に落ちて地獄の閻魔様の元まで落ちればいいのに。

 

「マクラギ、ラサキ。俺らはこのボスに挑みます。撤退条件は、体力バーが一本削れた時点で誰か一人でも体力が危険域に到達した時。あるいは俺が無理だと判断した時。参加できますか?」

「OK、従おう」

「大丈夫!」

 

 タケの言葉に頷く。

 覚悟は出来てる。

 

「3...2...1...GO!」

 

 タケのカウントダウンに合わせて、プレイヤー達はボス部屋に押し入った。

 

『Tokerooooxo!!!』

 

 向かい撃つ蜘蛛壺から、どろりとした声が漏れた。

 

 

 

 

「行動パターンは大体見えたか?」

「OK、次の交代でゲージ割るぞ!」

 

 俺たちの取った作戦はシンプルに3人交代で囲んでの攻撃である。

 

 蜘蛛壺は動きはくねくねとして不規則だが、機動性は低い。三人一組交代しつつ囲めば対処は容易だ。

 現在の蜘蛛壺の攻撃パターンは二つ、壺上部から生えている蜘蛛の足による攻撃と、球から吐き出してくる謎の液体だ。

 蜘蛛の足攻撃は大ぶりで避けるのは簡単だが、液体攻撃の方は厄介だ。

 当たればダメージに加えてダメージ毒状態になり、避けても床が溶けてそこが30秒ほどダメージエリアになる。もちろんそこに入れば毒状態だ。ダメージエリアが消えても床のくぼみは戻らないので、足場が悪くなる。

 

 現在相手の体力バーは3本目がほぼ削られており、4本目に入るところだ。

 

「やぁぁぁぁっ!」

  

 ラサキが斧のソードスキル"シングル・クリープ"を見事にヒットさせて、体力バーの3本目が完全に消滅した。

 

「スイッチ!」

 

 ラサキの前に躍り出て、4本目の行動パターンに備える。

 

『Ikeeexe!!!!』 

 

 壺蜘蛛が吠え、液体を無造作にばら撒く。

 

「全員よけろ!」

 

 タケの警告虚しく、ワザマが避けきれずに大ダメージを負う。

 

「ワザマ!」

「くっそ。一度引きます!」

 

 俺・ワザマ・タケでワンペアだったので、ワザマが落ちるのはキツイ。特にダメージ床がフロアの全域を占めているのが問題だ。

 

「私が___「ラサキ、回復してから来てくれ!」__ゴメン」

 

 ラサキを静止しつつ、体力バーを回復する。

 残り体力9割。ダメージ毒になってもある程度は耐えると判断し、あえてダメージ床に突っ込んで壺蜘蛛を抑える。

 

 いや、抑えようとしたというべきか。

 盾で蜘蛛の足攻撃を防ぎ、

 

「え?」

 

 全く無警戒であった横合いからの攻撃に殴られた。

 

 周囲を確認して絶望的な状況に気がついた。

 球を支える蜘蛛が分離していた。壺に更に足が生えて"カサカサ"と音を立ててどんどん分かれていく。

 

 その数およそ20

 

「この数は!」

 

 抑えきれない。とりあえず攻撃してきたやつを倒して分かったが、一体一体が最低限の耐久がある。ソードスキルを使わない攻撃では3発は掛かる。

 対してこちらは、ラサキ・ジョー・黒鉄騎士は回復が必須であり、ワザマは一時離脱。

 

 まだ壺蜘蛛の一部は球は動かずにじっとしていることは幸運と言えるだろうか。

 

 現在残り体力は7割。ここから全員無傷での退却は不可能だ。

 

「俺が30秒稼ぐ!その間に回復を!」

 

 大声を出して周囲の耳目をひき、モンスターのヘイトを買ってから、()()()()()

 

「「「え?」」」

 

 複数人の疑問の声が漏れた。

 

 

 

 


 それに明確な知能はない。それが占める思考領域はカーディナルのおよそ十億分の一。まともな思考能力ができる余地はなく、全てはテリトリーに侵入してきた"敵"の排除と、自らが求める()に思考を費やしていた。

 

 蜘蛛を集めたのは何のためか?______自らの利益のため。

 障壁を溶かす力は何のためか?______自らの利益のため。

 なぜこの場所まで下ってきた?______自らの利益のため。

 

 ならば侵入者はどうするべきか?______自らの利益のため殺す。

 

 黒いこうぶつを纏った侵入者を見やる。奴は以前も侵入してきた敵だ。逃がしたのは失敗だった。

 

 殺せ殺せ殺せ殺す殺す殺す

 

 "majestic's idea" は認めた。侵入者たちの強さを。

 故にそれは守りを捨てた。

 

 自らの本体である球を支える蜘蛛を侵入者の排除へと当てたのだ。

 

 そして今、侵入者の構えは崩れた。

 多数の蜘蛛による攻撃で4人が瀕死だ。

 

 これならば殺せる。皆よいこうぶつを纏っている。

 

 その中でも一番よいこうぶつを纏う侵入者に蜘蛛を差し向ける。あの侵入者を倒せば総崩れだ。

 

 "majestic's idea" は今までの戦いで分かってる。恐らくあの敵がこの場で一番強いと。的確な防衛により、侵入者の隙を随分と潰された。

 

 「俺が30秒稼ぐ!その間に回復を!」

 

 何か大声で叫ぶが無駄だ。既に注目はその侵入者に向けられている。周囲は囲んだ。

 

 しかしその侵入者は理に外れた行動をとった。

 

 なんと自らを守る防具を投げたのだ。

 

 意味が分からない。だが、これは明確な弱みだ。あの侵入者は弱みを見せた。

 これで一人は死んだ。"majestic's idea" は更に蜘蛛を差し向けた。

 

 

「知ってるか、盾って案外重いんだぜ?」

 

 

 瞬間侵入者の速度が上がった。対応できなかった蜘蛛が一体、瞬く間に一撃食らい沈む。

 だがしかし、こちらは周囲を囲んでいる。このまま詰めて潰せばいい。

 

『Ikeeexe!!!!』 

 

 蜘蛛に号令の合図をする。しかし、"majestic's idea"の予想は外れる。あの侵入者は易々と囲いを抜けたのだ。

 

 理由を考えて気がつく。防具だ。投げたことにより、蜘蛛は防具を避けざるをえなかった。そのことで生じた僅かな隙をついて囲いを抜けたのだ。

 蜘蛛に追撃させる。あの侵入者は味方がいない方向へと向かっているため、追い詰めることは容易だろう。

 

 "majestic's idea"は安易な択をとった。

 

「おいおい、俺を忘れるなよ、マクラギ!」

 

 しかし侵入者は6人。瀕死は4人。もう1人の侵入者の存在が蜘蛛の囲いをかき乱す。

 

『Koroseeexe!!!!』 

 

 蜘蛛を鼓舞するが、どうやっても倒せない。あの侵入者の立ち回りを崩せない。

 

 

「はい30秒経過」

「スイッチ!」

 

 

 そうこうしている間に瀕死にしたはずの4人が復活してくる。

 

「こっち終わりました」

 

 そして、気がつけば遣わした20体の蜘蛛は倒されていた。

 

『Ikeeexe!!!!』 

 

 それは焦った。

 叫ぶ。叫ぶ。叫ぶ。叫びに応じて本体を支える蜘蛛が侵入者へと向かっていく。

 

「戦力の逐次投入は愚策だろ」

 

 しかし、それは決定打にならない。容易に対処されていく。

 そしてそれしか注視していない行動は、侵入者にとって、何よりも隙であった。 

 

 

「俺をみていなかっただろぉ!お前はぁ!」

 

 

 フロアに甲高い声が響く。

 "majestic's idea"は、注意していない背後からダガーによる奇襲を受けた。

 

 

 


side マクラギ

 

 ジョーのソードスキルにより、壺蜘蛛こと"majestic's idea"の最後の体力バーは一気に削れた。

 

「いつのまに」

「気配遮断で近くまで寄っていたんだ」

 

 ジョーの行動を解説する。

 

 剣を下ろす。アレは致命打になりうる攻撃だった。

 大きな傷を負った、球が転がっていく。

 

 


 

 "majestic's idea"は理解した。

 自分は此処で死ぬと。

 

 自らの終わりを理解した時、"majestic's idea"は

 

『Hosuru』

 

 自らの利益、()()()()を欲した。

 


 

side マクラギ

 

 減少していく体力バーが僅かに残った。

 

 

「まだ体力残っている!」

「はぁ? んなわけ─」

 

『Hosuru』

 

 とどめを刺そうとするが間に合わない。

 崩壊する寸前の球から液体が大量の液体が漏れ、近づけない。

 

「すごい嫌な予感がするんだけど」

「奇遇だな俺もだ」 

 

 ようやく、ボス戦前に抱いた違和感に気がついた。

 

 なぜ、破壊不可能なはずのボス部屋の床や壁を、壺蜘蛛は溶かせた?

 床や壁を元の状態から変化させている以上、どう考えても破壊のカテゴリーに含まれるはずだ。

 

 バグか? いいや、アインクラッドでのバグは、カーディナルシステムによってどんなに遅くとも10分以内に修正される。

 

 考えが逆だった。

 そもそもこのタンジョンの壁や床は破壊不可能オブジェクト設定をされていない。

 

 そして、設定されてない理由として考えられることはただ一つ。

 

 壊されることを前提としているからだ。

 

 

『床が落ちるぞ!傷をつけるな!』

 

 黒鉄騎士の今まで聞いたことのないような警告の声が響くと共に床が砕ける。

 退避する時間はない。

 

 本日2回目の落下であった。




次で、本エピソードは最後となります。

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次回更新は5/6(土)を予定しています。
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