ソードアート・オンライン 全プレイヤーの裏切り者 作:眠猫の玉手箱
「えー諸君。今をもって平穏無事とはいかなかった。細かいミスもたくさんあった。それでも、我々はソードアート・オンラインのβテストを無事に終わらせることができた。では、茅場音頭を頼む」
本日、ソードアート・オンラインのβテストの最終日。曲りなりきにもテストは無事に終了した。な
のでβテストが終わった後に打ち上げをやることとなった。ちなみに発案者は今茅場先輩に音頭を頼んだ宮田さんだ。
「それでは、諸君かんぱ__「「「乾杯!」」」
茅場先輩が素っ気なく乾杯の音頭をとろうとし、言い終わる前に木田センパイが乾杯といってなし崩しに始まった。
「なんかしまりのない始まり方だな。まいっか。全員飲め!実質ただだ。」
宮田さんがぼやくが、すぐに軽快に一気飲みする。
実質ただ。この言葉で気が付いたかもしれないが、ここは仮想世界である。シャンデリアが吊るされ足元には赤い絨毯。知らない人が見たら高級ホテルのパーティー会場かと勘違いするほどそのクオリティは高い。
「こんなのいつの間につくったんですか?」
打ち上げが始まって駆け寄ってきたのは後輩の如月と小嵐。パーティーにあわせてか二人ともそれなりの格好をしている。
「おっ如月ちゃんじゃないか!まずは駆けつけいっぱい!」
が、次の瞬間如月はなぜか酔っぱらっている木田センパイに中身たっぷりのビール瓶を突っ込まれぶっ倒れる。
「ちょ、木田さんなにしてるんですかセンパイまだ未成年」
「ほら小嵐ちゃんも駆けつけ ぼへっつ?!」
魔の手は小嵐にもむいたが、
「あぶねっ!」
これは木田センパイの腕を強くおさえてなんとか防ぐ。
「なんにゃ皆私の酒が飲めないとでもいうのかぁー」
「その通りです。未成年に酒飲ませるとか出るところにでたら、この場の皆警察のお世話になりますよ!」
「だいじょーぶ。ここは仮想世界。さけにはアルコールはいってててえええぇぇ」
バタンと倒れる木田センパイ。
「やったか?いや寝息が聞こえるからただ単に酔っぱらって寝ただけか」
きわめて遺憾ながらくたばったわけではなかったので、とりあえず隅っこのほうに乱暴に捨て置く。捨てる際にグゲっと変な声を出したが気にしない。
次に、如月の肩に手を置き軽くゆさぶる。
「はっ。俺はいったい何を。確か白澤先輩に声をかけてその後……」
「あー覚えてないんなら無理に思い出すな」
一応俺は止めたのだが如月は残念ながら話してる最中に思い出してしまったのか吐きそうな顔をする。
「とりあえず、この酔い止め飲んどけ」
しょうがないので特性の酔い止めを飲ませると、「不味い」と言いながらとたんにしゃっきりする。
「悪いな如月。木田センパイは存在自体が面倒な人だが酒が入ると、酔っぱらいを増やそうとしてくるんだ。こんなこともあろうかと特製の酔い止めを用意しておいてよかった。」
「…特製?ってどういうことですか」
なぜか鋭い眼光を向けてくる小嵐ちゃん。
「別に大した意味はないよ。」
ただ、大脳をちょっと興奮状態にしただけである。やり方?そこはまぁ企業秘密ということで。
一応、乱用しないようにとだけは付け加えておく。お薬は適度な量で!そうしないと依存じゃなかった、毒に代わるからね。
「それよりもいつ作っただって?SAOのストレスの捌け口…じゃなかった、仕様にとらわれない自由な想像力を働かせて少しずつ作ってきたんだ。ちなみに発案者は高遠、ほら、いま宮田さんとしゃべってる天然パーマの男だ」
へーと興味深かけな声を出して高遠のほうを向く如月。と、どうやら話が終わったようで、高遠が一人でこちらに歩いてくる。
「おう。高遠久しいな。最近どうだ…って聞くまでもないな」
「最近残業続きやっからな。趣味の占いもできんで疲れた。横にいんは新入社員かぁ?初めてだか。グラフィック担当の高遠だ」
如月がこちらこそ初めましてと言って握手を交わす。
「すごい出来ですね。入ったとき豪華客船の中かと勘違いしましたよ」
「そう言ってもらえるとうれしいなぁ。元々ここは〈《風水》〉の研究で創成したんだ、やけれどもそこの白澤と引っ付いてきやった木田さんにひちゃかめちゃかにされた挙句、いつの間にかこんなに化けただ。」
「いっておくが俺はあんまり手を加えてないからな。木田さん率いる味噌らぁめん派が大体の元凶だ。」
俺がやったことといえば、せいぜい部屋の大きさを数倍にしなにも置かれていないスペースを作ったくらいであり、照明をシャンデリアにしたり、シャンパンタワーを置いたかと思ったら崩れて床に赤いワインをぶちまけたり、真っ赤な絨毯をしいたり机を置いたのは木田センパイ(+悪乗りした味噌派数名)である。
「風水の研究?」
小嵐ちゃんが疑問をつぶやく。
「そだ。風水だ...オカルトかと思うか?いや違うんだなコレが。風水とは人間の生きざま、その積み重ねがもたらした最適に近い解だな。そやったら、仮想世界でも使える『風水』を見つけられれば、仮想世界での最適な生き方をつかみ取れるのではないだろうんだ。そならは...」
「マシンガントークはそこまでにしておけ、小嵐ちゃん困ってるぞ」
あえて言及はしなかったが、如月なんかほとんど寝てた。夜勤明けに長い難解な話は眠れと言っているようなものである。ついでに俺も少し寝かかった。
「む。そいつはすまん。話すと長くなるタイプでな...ところで白澤、木田さんを知らないか。木田さんに頼まれた今制作中の建物について忌憚のない意見を聞きたいんだが。」
「そこの壁際に酔いつぶれて転がっている。結構酔ってたからしばらく起こさない方がいいぞ……というか、起こすな」
ちらっと、壁際のゴミ…もとい転がっている木田センパイを見てなるほど。と高遠は呟いた。
「ちなみに何の建物を作ったんだ? また宗教関連か?」
俺が、そう高遠はにやりとあくどい笑みを浮かべて、正方形の物体を投げ渡される。
「これはソードアート・オンラインの記録結晶?センパイここで寝ないでください」
「...はっ」
よだれ垂らした如月を小嵐ちゃんが肘でつつく様子を横目で見つつ記録結晶を起動させる。
次の瞬間雷の轟音が流れ____映し出されたのは背に雷を背負い苔だらけの不気味な廃病院だった。完全にホラー映画のワンシーンです。本当にありがとうございました。
「くぁwせdrftgyふじこlp」
投げて捨ててしまおうとしたがその前に高遠にガシッと拘束される。後ろを見ると後輩二人がおやおや?といった感じでこちらを見てくる。今ここで逃げると社内における俺の評価は地に落ちるであろう。
実をいうと、俺の一番の苦手は病院でのホラーものである。健太に罵倒されるのと同じくらいいやなものである。なぜかって?昔リアルの病院で
「よ、よくできているな。素晴らしい建物だ。うん。そういうことで、」
「あ、その映像15分あるからよろしくだな。」
うん。☆無☆理☆!☆
「ってこら逃げるな。宮田さん、白澤が職務放棄して逃げ出しました」
後輩二人の下げずんだ目線にさらされつつも逃げ出した俺に高遠はよりによって宮田さんをけしかける!!
「それがお前のやり方かっ!」
不味い不味いアレにつかまったなら最後…『自我の死』それ以外にはない。だが、幸いなことに宮田さんは俺たちのところから距離があった。ならば一先ず離れてほかの社員共にまぎれれてログアウトできれば!
「逃げるな白澤!貴様会社の飲み会を途中で抜け出すとは何たる軟弱な精神か!出てこい、〇してやる!」
____あの人も割と酒入ってないか?普段の数倍物騒だ。...これつかまったらただじゃ済まないな。
まぁいい。運よく見つかっていないようだし逃げ切れる!急いでログアウトだ!
メニューを出して、ログアウトボタンをタッチする!
Biiiiiiiiiiii_____
そして、大音量のブザー音が鳴り響く!!
「軟弱者はそこか!俺が許可しないとログアウトできないことも知らずにログアウトボタンを押したな!馬鹿め!その根性叩き壊してやる!」
どうやらトラップにひかかってしまったらしい。しかも、ギャラリーが俺から離れだしたせいで宮田さんから丸見えだ。オワタ?オワタなの?
否。たとえそうであっても最後まであがかなければならない。病院でのホラー見るなんて絶対嫌だ!宮田さんに捕まるのも嫌だ!とりあえず人ごみに飛び込む!
「白澤殿押さないでいただきたい必死さは買うが」」「押すな!でも頑張って逃げろ白澤!」
文句を投げかけられるが気にしてられない。逃げて逃げてそして、
「振り切ったのか?」
壁に手をつけ、肩で息をしながら辺りを見渡す。宮田さんは視界に見えない。_ ───そして皆2m以上離れていた。その中にいた如月は明らかに、
嫌な悪寒がした。まさかと思った。だが足元に確かにいたのだ
「あれぇ白澤君が二人いるううぅ。なんでにゃあ?」
さっき、捨てた木田センパイが!何を幻視しているのか「茅場君」と言いながら俺の足を怪力で抱きしめる。はがすことは不可能!畜生こんなことになるなら別の場所に廃棄しておけばよかった!
「くそっ。離れてください。木田センパイ!「見つけたぞ!この軟弱者めが!」
そして、宮田さんの声を前に俺は絶望しか残されていないのであった。
そして....
白澤「にげちゃだめだにげちゃだめだ。シゴトガデキテタノシイナ」
宮田「よし。これで軟弱な精神は消えてわが社の都合の良い人材になったな」
如月「()」ナニアレコワイ
小嵐「()」シラサワサンノゴメイフクヲオイノリシマス
木田「おさけーおさけー」 シラサワナニソレノメルノ?
高遠「白澤仕事だ、この廃病院探索スペシャル 3時間耐久視聴して詳細な感想書くだな」ニヤニヤ
白澤「シゴトナラショウガナイノカ____いや、普通に無理」キッパリ