ソードアート・オンライン 全プレイヤーの裏切り者   作:眠猫の玉手箱

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ちなみにサブタイトルの元ネタの作品は作者は読んだことはありません()


デスマーチから始まるなんとやら

「ここのコードですね。悪さしてるのは」

 

 俺が指し示した先のプログラミングコードをじっくりと眺めてようやく得心したようには東都高速線の社員で西田さんという方が頷いた。

 

「あぁなるほど言われてみれば確かにここでループに陥っていますね。ここでしたか……」

 

今俺がいるのは東都高速線というソード・アート・オンラインの鯖の保守点検を委託している会社である。なぜこんな忙がしい時にここに来たのかというと、いきなりあるバクが発見されたからだ。

 とうとう今日の一時から開始されるソード・アート・オンラインその正式サービスに向けて最後のチェックを行ったところ、ユーザーの視界がブラックアウトしていまうという現象が発生し東都高速線がアーガスに救援を依頼。急遽アーガスから俺が派遣されたというわけである。

 

カチッカチッと規則的な音をたてるアナログ時計を見ると時刻は12時5分前を指していた。SAO開始まで、残り1時間余り。

 

「いや、危ないところでした。」

 俺が呟くと西田さんも同じ心境だったのだろう。

 

「ええ全く」

 

 大きく頷いた。

 

ソード・アート・オンラインは、人気すぎて開店前の店に徹夜覚悟でも並んでも手に入るかどうか怪しいレベル。故に現在手に入れているのは9割ゲーム廃人。9分5厘が、何万倍もの倍率を潜り抜けてβテストに当選して、優先購入権を手に入れたβテスター。

 

故に彼らがこの初のフルダイブにかける情熱は凄まじく、もし仮に正式サービス延期などといったことになれば……まず間違いなく暴動が発生し、アーガスのお客様相談室に抗議の電話が鳴り響き、アーガスの信頼は一気にこれ以上ないくらいに地に落ちるであろう。

もし、俺がユーザー側なら間違いなくそうする。

 

だが、今の俺は管理者サイド。だからこそ20時間に渡る激闘という名のデバックの結果なんとかなったことに安堵の気持ち。それと、ほんの少しの眠気を抱いていた。

 

「流石に疲れましたね。少しだけ仮眠を取ってきます。」

 

 あくびをしながら西田さんが呟く。

 

「お疲れ様でした。私は正式サービスが始まったら一度ログインしてみて、問題がないようでしたら帰らせてもらいます。」

 

西田さんからの返事はなく、ただ音もなく部屋の隅にある、フルダイブ用の布団の一組に倒れこむ音だけが聞こえた。

 

「さてと、一応木田センパイに進捗メールしておくか。」

 

内容は……『白澤所東都高速線。虫箇所発見。正式開始後、仮問題無帰社。仮問題有所此処留虫箇所修正』でいいか。

 

「そんじゃ送信と...ん?もう返信?」

 

 メールを送るとどこかでこちらの様子をどこからか、見ていたかのように即座に木田先輩から返信が返って来た。

 

内容は、『なんで漢字ばっかり使っているの?まぁいいや、了解。但し茅場君には気になることがあるから直ぐに帰社するように言っといて』

 

 はいはい了解と打とうとして、文章の後半を見て指が止まる。この文章だと、あたかも茅場先輩が俺と一緒にいるような書き方じゃないか?

 

「ん?んーー?ん!」

 

 もちろん今此処には、茅場先輩どころか、俺以外アーガス社員はいない。恐らくほぼ全員(今年入ってきた録に戦力にならないような新入社員から、社長まで含めて)猫の手も借りたいような忙しいさの中に居るであろう。

 

なるほど俺の(連続40時間勤務の)脳ではメールの意味が掴めん。

 

『茅場先輩今アーガスにいるんじゃないですか?こっちには俺以外誰もアーガスの社員は居なくて、東都高速線さんの社員さんと一緒に2人でバクチェックやってましたよ。大変でした。』

 

 これでいいかな?いいな。送信のところをおし、一息つこうとして、

 

 好きな歌手の音楽と共に俺のスマホがバイブする。電話だ。木田先輩からだ。

 

「もしもし木田センパ…「白澤くんどういうこと?茅場君そっちに救援にいってるんじゃないの?」

 

受話器の先から聞こえてきた大声に思わず俺は受話器から耳を遠ざけ、西田さんが、クヴヒッといびきを漏らす。

 

「いや、茅場先輩はおろか誰一人ときてません。後、近くに寝ている人がいるんで、少しトーンさげて…

「『寝ている』?まさか、白澤君と茅場君がそんな関係だったなんて.

「んなわけあるか。センパイのようなアブノーマルな嗜好じゃないんですから馬鹿げた妄想しないでください。」

「いや、でも君がいとこ君に向ける目線は…

「人を勝手に同姓愛好者及びショタコンにしないでください。名誉棄損で私刑にかけましょうか?」

「それはおいといて」

 

 やんわりとたしなめられ、冗談は終わりという風にがらりと口調が変わる。

 

「本当に茅場 晶彦はそちらに、東都高速線に行ってないんだな。」

 

いっきに男のような話し方で要点を整理する木田先輩。短く相づちをうつ。

 

「彼がアーガスを出たのは5時間前近く。事故に巻き込まれたという連絡も今のところない。誘拐もしくは、自主的な逃亡。」

「あの人がたかがアーガスの()()()()()()()仕事で、逃げますかね?」

「…この仕事が一段落したら君は少し休みなさい。あの仕事量をちょっと厳しいで済まさないで……

 とにかく。どっちにしろ『私』は警察と、宮田さんに連絡しておく。」

 

 なんか、一瞬呆れのあまり女言葉に戻った気がしたが恐らく気のせいだろう。

 

「俺になんか手伝えることはあります?」

「…一応東都高速線の人に来たかどうか聞いて、そっちの仕事終わってからでいいから。」

 

 了解です。と返したとたん ツーツーと通話終了の音がなり始めた。

 

 スマホをポケットに入れて、首を捻る。茅場先輩が行方不明?何でだろう。不可解に思ったが、俺が考えてもしょうがない。

 

「俺は俺の仕事をこなすだけだ」

 

 時刻は1時3分。正式サービス始まって3分が過ぎた。

 

 鞄の中からSAOが既にセットされたナーヴギアを取り出して、

 

「あっ」

 

 鞄のなかに、もう一つのSAOソフトを見つけた。アーガスの後輩である如月という男に渡そうと思い渡し忘れたブツだ。

 

「まぁアーガスに帰って渡せばいいか。」

 

通信用ケーブルにナーヴギアを差し込み、布団に横たわる。

 

「それじゃあ。夢の世界へ レッツゴー ってことで、

 リンクスタート」

 

このSAO関連が安定し、発展すれば、遂に俺の夢へと本格的に歩を進められる。

その先にある光景を夢見ながら俺は夢の世界『アインクラッド』へ翔んでいった。

 

この時に、いや、この時以外も違和感を覚えた時の時にもう少し客観的に冷静に考えれば、気づけたかもしれない。……茅場がやろうとしていたことに

 

後悔先立たず。今にして思えばこの時俺は堕ちていったのだろう。あの、忌まわしきデスゲームの舞台SAOへと______




いよいよ次はアインクラッドだ!と言いたいところですが、次はアーガスサイドです。
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