ソードアート・オンライン 全プレイヤーの裏切り者 作:眠猫の玉手箱
SAOサービス開始日、アーガスの社員である木田はずっとイライラしていた。何日間にも泊まり込み込みによる業務。ストッパーである白澤の不在そして、最愛の茅場の不在。
そんな悪条件が、色々重なり…彼はめちゃくちゃ
『彼女に修正っと』
彼女はめちゃくちゃ機嫌が悪かった。
「木田さん。茅場さんは…」
「知らない」
故に圧倒的塩対応。訪ねてきた、後輩の如月を邪険にあしらう。余談だがこの間も彼女の仕事を捌く手は止まっていない。
「じゃあ、木田先輩でいいや、SAOのログインの件なんですが...」
「
そこまで切れなくてもいいのに...と、ぼやく如月。
それを見て少し言い過ぎたかな?と思った木田は
「まぁ話だけなら聞くよ、…手伝わないけど」
「そこは手伝うって言って欲しかったです。実はSAOのログインのことなんですが…」
ん?と木田は思った。それ今まさに茅場と、白澤が対象しているトラブルじゃないかと
「ほー」
木田がたまたま握っていた、芯が折れないという謳い文句の鉛筆がバキッと、音をたてて折れる。偶然ではない。木田が瞬間的に全力で握ったからである。
(この握力ゴリラ)と、内心で如月は悪態をついた。
「先に言っておきますが、白澤先輩が、対処しに向かったトラブルとは別件ですからね!そんな殺意に溢れた目でこっち見ないでください」
別件~? という、木田の悲痛な叫び声が社畜蔓延るアーガスに響いた。反応はどこからもなかった。
さすがに放置する訳にも行かず、木田はフルダイブ室へと訪れていた。
普段なら内部には、無駄に高い布団にくるまりながら(うらやましいと社畜達は羨んだ。)ログインしている人が数人いるのだろうが、今はほとんど寝ていない。
寝ているのは重度の社畜達だけで、起きているのは一人しかいなかった。
「おい、遠藤。楓の様子はどうだ?ついでにさっきの問題解決したか?」
「うんにゃ彼女は気絶したままだし、ログインできない問題に関してはなーんにも解決していません。あっ木田さんチース。生きてるようでなによりっす。」
その唯一起きていた相手は遠藤という男で、建物を中心とした様々な建物のグラフィック担当であり如月のほぼ同期である。もう一度書こう。遠藤は
「いや、何で遠藤くんが対処してるの?サーバー担当は何処にいった?」
「そこの布団を見てください。そのサーバー担当の柊さんが死んだように眠っています。」
かわいそうなことに、重度の社畜にかかってしまったのだろう。柊は幸せそうな顔して眠っていた。なお柊のほかのサーバー担当は、残念ながらつい先日仕事についていけないといって 逃げ出した やめてしまった。
木田は一瞬だけ手を合わせ冥福を祈ってから、自身のナーヴギアを被る。
『リンクスタート』
そして、、彼女は
「どうでした?木田さん」
「…ダメね。繋がらない」
───イけなかった。
「ってことはこのナーヴギア自体に問題があるわけではないってことでいいんですよね」
如月の疑問にええ。と答えて木田は考え───いきなりピクッと跳ねた。
それにつられて驚く遠藤と如月。
「どうしたんですか木田先輩」
ゴメンなさい。と、一言謝ってスマホを取り出す木田。それを見て、メールか、着信の振動で驚いたのだろうと納得した遠藤と如月。
「白澤君からね」
メール画面を二人に向けて説明する木田。そこには
『白澤所東都高速線。虫箇所発見。正式開始後、仮問題無帰社。仮問題有所此処留虫箇所修正』
「いや、何でエセ漢文何ですか?」
「きっと白澤くんも、疲労で頭壊れちゃったんでしょ。とりあえず一緒にいる筈の茅場君には直ぐに帰るように返信しておきましょう。」
カチカチと小さな操作音を奏でながら一瞬で返信を作成し、白澤に送り返す。
なおこの時、
「さっき、木田先輩、茅場先輩どこにいるか?って聞いたら、『しらね!』って言ってませんでした?」
如月が小声で文句言っていたのだが、悲しいかな。言った文句は完全に木田にスルーされた。
「まぁあっち解決したなら茅場様にみてもらおうぜ。それなら即解決だろ!」
「そうだな。ってお前茅場先輩のこと、様付けで呼んでいるのかよ。」
「そうだよ。俺にとって茅場 晶彦と言う男とは..「はぁ?ちょっとどういうこと?」
「...どうしたんですか。」
話の腰を折られた遠藤が不満げに木田の方を向く。
「ちょっと黙ってて二人とも!」
が、逆ギレ(?)した木田の勢いに押されて黙った。
「白澤くんどういうこと?茅場君そっちに救援にいってるんじゃないの?」
はい?と、遠藤が変な声を出した。如月はここまで慌ててる木田先輩は珍しいと呑気に考えていた。
その後、
「ゴメン如月君。宮田さんに茅馬鹿が行方不明だって伝えて」
木田が発したそれは静かな声であった。感情が抑圧されたような声。
だが彼を少しでも知るものであれば気づくであろう。その裏には
(うわ、やっべぇキレてるよこの変態...)
マグマのようなギラついた怒りが存在することに。
如月はこれ幸いと木田の言葉の従って逃げた。ついでに遠藤も逃げようとしたが───
「遠藤は連絡係で待機」
───逃げ切れなかった。しっかり(文字どおり)首根っこを捕まれ動きを制限される。
木田は少し考えた上でパソコンにつながれた謎のケーブルをナーヴギアに差し込んだ。
「…ナニしてるんですか?」
「アーガス社員の中で、ここ数日あまりで新たにナーヴギア買った人って心当たりあるか?」
遠藤は、少し考えてからいない筈だと答えた。事実、
「どこでナーヴギア保存してる?」
「えっと...基本的に出しっぱなしですね。」
遠藤が言うとおり、多かれ少なかれアーガス社員はみんなそんな感じである。例外は特殊な事情で入社した後輩だが...彼らは会社の備品のを使っており、それらはフルダイブ室の壁際にいまも乱雑に置かれていた。
「…多分だけど違うな。」
「違うってなんのことですか?木田さん」
「一般発売されたナーヴギアと今ここにあるナーウギアは別物だ。プログラミングが根本的に全てが完全に違ってる。書き変えられている。」
「...はぁ?」
遠藤が、その言葉の意味を理解するのにはかなりの時間がかかった。フルダイブ機である、ナーヴギアは繊細なので、確かに少しでもプログラミングを書き換えれば直ぐさま機能停止になるだろうが...
「でもでも、午前中はいつも通りフルダイブできてましたよ。」
「時限タイマー付きのウイルス。そんなものが仕掛けられていたとすれば?」
遠藤の問いを予期していたように、木田は直ぐ様答えを返す。可能かと聞かれたら確かに書き換えるチャンスはあったかもしれない。
だか、遠藤は否定的だった。
「それをナーヴギアに?..いやいや無理でしょう。あのフルダイブ装置であるナーヴギアの繊細さなんて、木田さんも知っているでしょう。」
「確かにそうだな」
一応の木田の同意を受けて更に遠藤が言葉を重ねていき、
「そんなの、ウイルスなんて仕込んだら仕込んだ時点でプログラムがどこかしら破綻して、任意の時間にウイルスを作動させるなんて、それこそ──」
ようやく遠藤は木田の言わんとしていることに気がついた。
「あの天才茅場 晶彦でもないと不可能…そういいたいのか?」
図星であった。けれども
「いやいや、待ってください。確かに茅場様なら可能でしょうけど、動機は?動機はなんですか?」
認める訳にはいかなかった。ソードアートオンラインには遠藤自身並大抵ならぬ情熱と熱量そして、人間性を捧げて作ってきたものである。それをいくら尊敬する人とはいえ、好き勝手にされる、というのは流石に気分が悪かった。そして、遠藤が苦し紛れに質問した事柄に木田がピタッと、止まる。
「…動機なんて分からないよ。私は私。だから…茅場君のことの全てなんて分からない。…分かった気になるのは簡単だけどね」
「珍しく愁傷ですね。」
「...うるさい」
照れ顔でそう呟く木田。これが女なら嬉しいのだが残念なことに筋肉質高身長の男の照れ顔であった。少なくとも遠藤に同性愛の趣味はなかった。
「全く調子狂っちゃった。それはともかく、私も宮田さんに説明してこようかな。如月君の説明だけじゃ不足する部分もあるだろうし
それに、ここにいても取れる手段がない。」
「どういう意味ですか。」
遠藤の問いに木田は振り向かずに答えた
「だってあの茅場 晶彦が『本気で』なにかをしようとしてるなら、
もう、すべての準備は整っている。私達にも止められないくらいに。」
そう言い残して、彼女は、フルダイブ室から出ていった。
彼らが茅場の企みを知るまで残り後僅か…
この時点での桜花 如月(旧名立花 祐也)著の
『ソードアート・オンライン ~悪魔の剣と光の剣士~』(とそのリメイクであるRe:ソードアート・オンライン ~紅き双剣士と蒼の少女~)
との解離(興味のない方はスルー推奨)
・バクの性で白澤が出張。
・白澤が、如月にSAOのソフトを渡すつもりが忘れる。
・人手不足の性で如月がアガースにて残業中
・小嵐もアーガスに泊まり込みのはずだったが社畜を発症して気絶中。
あらすじにも書きましたが、本作品は、『ソードアート・オンライン ~悪魔の剣と光の剣士~』(『Re:ソードアート・オンライン ~紅き双剣士と蒼の少女~』)との設定を