鎮守府海域開放作戦の詳細は結構簡単だったりする。
超広範囲レーダーを起動して、手当たり次第に攻撃を仕掛けていくだけである。
電波を発すると早速反応があった。
丁度前方6km先に深海勢力13隻。
左34度4km先に深海勢力5隻。
右27度5km先に深海勢力5隻。
合計23隻の敵反応を確認。13隻の反応の中に強力な敵が存在している事がわかった。
「左右の敵を狙撃で殲滅するので夕立には後方の警戒を頼みたい」
「任せてっ」
まずは左の敵を伺う。
スコープを除いてわかった事は、
旗艦 空母ヲ級
軽巡ヘ級×2
軽巡ホ級×2
である事だった。
最初に旗艦のヲ級の頭についてる触手のある化け物に照準を合わせる。
位置は目であろうとこの間だ。
ヲ級の生命線は多分ここで間違いない。
俺は息を吐いた後、引き金を引いた。
銃口から黄色く光る弾が瞬時に飛び出して、ヲ級帽子の目の間に風穴を開けると少し遅れてヲ級帽子の風穴と口から爆炎が噴き出す。
触手は力無く垂れ下がり、目の光も消える。
僚艦はそれを見て慌て出し、ヲ級本体は少しパニックになっている。
とはいえそのまま進軍する事は無く、Uターンしていった。
次に右方向を覗く。
旗艦 重巡ネ級elite
駆逐イ級×4
ネ級eliteはイ級と戯れていた。
その様子を見て、子犬に群がられている人を連想させられた。
とても癒されたのでネ級の頭を撃ち抜いて一発で終わらせた。
旗艦がやられたので撤退した。
最後に本隊。
旗艦 北方棲姫
戦艦タ級×4
戦艦ル級×4
戦艦タ級elite×2
戦艦ル級elite×2
なんでほっぽちゃんがこんなところにいるんですかね。
スコープ越しに見て思う。
(これって撃ち抜いても問題無いよな..?深海棲艦だし責められるようなものではないよな)
照準をほっぽちゃんの眉間に合わせる。
が、ほっぽちゃんは艦載機で遊んでいるようで中々定まらない。
「チッ、動くなっての!」
狙撃手は忍耐力が重要と言われる。
しかし酷悪は痛みを感じさせない様に1発で終わらせたいのだが、ほっぽちゃんがよく動くせいで照準が定まらずイライラしていた。
普段ならそうはならないのだが、後方から事故鎮守府の戦艦が来ているので焦りが出ていた。
いくら後方を夕立に任せていても艦娘相手にドンパチやったことのない酷悪には先程の事で無意識に精神を消耗していた。
そして酷悪の心の余裕のなさから照準が定まっていないのにも関わらず引き金を引いてしまった。
銃口から飛び出した弾丸はほっぽちゃんの首の右部分を貫いた。首の風穴からドクドクと青い色の体液が流れ出ていくのが確認できる。
北方棲姫の表情が苦しみに悶えるものに一変する。
それにより動きが止まり、照準を合わせる事に成功するが酷悪の腕がプルプルと震え始める。
酷悪には理解ができなかった。
何故艦娘は大丈夫で敵である深海棲艦はダメなのか。
眉間に撃ち込まなくとも北方棲姫は命を失うだろう。
しかしそれは重い苦しみを与えながら殺す事になる。
果たして正しい事なのか。いくら敵でもそんな事が許されるのか。
他の兵士ならそんな事は微塵も考えないだろう。
しかし酷悪は戦争や殺しを体験した事がない平和な世界からの転生者である。
いくら余裕さを出していてもそれは虚像に過ぎない。
この世界はゲームの世界である。だが、個人的に幼女を進んで苦しめながら殺す趣味など持ち合わせていない。
痛めつけるだけならまた別だがこれは命のやり取りである。
そこは全力でやるべきなのだ。
照準が合っているのにかかわらず撃たないのは怠惰に過ぎない。
そんな事は自分なりに許せない。
酷悪は全力で命を刈り取る覚悟をする。
すると腕の震えは収まり、銃も安定する。
落ち着いた瞳で苦しみに悶える北方棲姫を見つめ、引き金を引いた。
今度こそ頭部に命中し、北方棲姫の体から力が抜けて糸の切れたマリオネットの様に倒れる。
これにより鎮守府海域開放作戦は成功と共に終了した。
しかし酷悪は緊張の糸が途切れたのかその場にへたり込んだ。
夕立は心配そうに酷悪の傍に行き、抱き寄せる。
「てーとくさん、お疲れ様っぽい。あまり時間は無さそうだけどそれでも今はゆっくり休むっぽい」
「お言葉に甘えさせてもらおうか...。事故鎮守府のが来たら起こし...」
「おやすみなさい、害さん」
血の様な赤い色から光を反射して燦めくような青い色に変わった海の上には転生者を抱き寄せる一人の艦娘がいた。
酷悪「夕立にバブみを感じた」
夕立「私はてーとくさんをいっぱい癒してあげたいっぽい♪」
白ノ宮「最後の光景を捕捉させていただくと酷悪は夕立の胸を枕にして寝た事になります。良かったね夕立」
夕立「えへへ、役得っぽい♪」
城ノ都「夕立のセリフって大概最後に♪をつけるけどあれは何だ?」
白ノ宮「他の個体との差別化」
城ノ都「そういうことね」
白ノ宮「次は酷悪と夕立のコンビネーション攻撃が見られるかもしれません、次回をご期待ください」