三ツ星カラーズ転生もの(仮)   作:紅茶タルト

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第11話

 紙飛行機を飛ばす。

 それは白い。それは私だ。

 なんの魔法も用いなければ、基本的には私は空を飛べない。

 基本的にというのは、厳密には魔法じゃない方法や、道具や乗り物を使う方法があるからだ。

 魔法も、その他も、紙飛行機に施してはいないので、それは当たり前に地面に落ちた。

 

「あはは! ななしぃ普通だなー!」

 

 さっちゃんの横か。まあ、一位は変わらず。

 

「よし、私が一番だ。選ばせろ」

 

 カメラはミニ三脚でセット済み。

 琴葉が迷いなくけん玉を手に取って、お次と私も箱をあさります。

 

「斎藤も知らんだろ、こういうの」

「知らん。ていうかお前も知らんだろ」

「そうかな? ほら、ポッピンアイ」

 

 色付き半透明の半球。裏返して地面に置くと、ぽんっと勢いよく飛び上がりました。

 

「うおっ」

「あはははは! うおっだってあははは!」

「うっせ」

「当時の謳い文句はアメリカで大人気、だったけどたぶん嘘なんだろうな」

 

 今だったらちょっとお叱りあるやり方だよね。いや、全米っていつも泣かされてるしいいのかな。

 

「私にもいいの残してね」

「いっぱいあるから大丈夫」

「うーん。なんだこれ?」

「カードゲームかなー?」

「メンコだろ?」

「めんこ?」

「地面に並べて上から一枚叩きつけて、たくさんひっくり返した奴が勝ちとか、確かそんな感じだ。ななし、お前これも知ってるのか?」

「おうとも」

 

 適当に置いて、試してみます。

 

「ていっ」

 

 べしっ! 見事にひっくり返りました。

 

「おー」

「ひっくり返したら自分のものになったから、強いやつはいっぱい持っていた。このベーゴマも。賭けるからこそ燃えて、みんな本気でやっていた。取られて手持ちがなくなった奴は買うわけだから、商品として上手いことできてたものだよ。みんないろいろ研究していたな。どうやれば勝てるかって」

 

 今そういうのないよね。まあ親御さんの印象悪いだろうからなあ。

 

「メンコは油染み込ませて重くしたりロウを塗ったり強化してさ。ベーゴマ、これはコマだけど、他のやつのを弾き飛ばせば勝ち。だから鉛を乗せて重くしたりしてた」

「ずるいなー昔のやつ」

「賭けごとの悪い部分だよ」

「なんで詳しいんだよお前は……」

 

 こち亀。

 

「どれどれ、貸してみそ。てーい! ……全然ひっくり返りませんがー!」

「じゃあ私の番」

「お前ら、これおやじさんのか?」

「おやじが子供の時遊んだやつだってー」

「レトロだなー」

 

 結衣が投げる。アドバイスするべきか。

 

「片足をこの位置に置いてやると良いらしい。理由は知らない」

「ふんふん。よーし。たあーっ!」

 

 やっぱりひっくり返らないか。

 

「なにがおもしろいんだろこれ」

「賭けてたから成立してたのかもねえ」

 

 ああ、つまり昔の課金ゲーか。

 

 斎藤が飛ばした紙飛行機を琴葉が撃墜。けん玉、強い。

 

「これはなかなかいいな」

「けん玉そういうんじゃねぇからな」

 

 カメラ操作に向かう。

 斎藤が紙飛行機を二つ飛ばし、

 

「とわ、たっ!」

 

 琴葉が二連で撃墜した。

 

DOUBLE KILL!(だぼーきーる)

「んー!」

 

 いい顔。

 

「気に入った」

「けん玉そういうんじゃねぇからな!」

 

 二人は平和に紙風船を膨らまし始める。私もふーってしてほしい。敏感なところを。敏感なところと言ってもあれだ。変な意味ではなくもちろん性的な意味でだよ。

 二人が遊んでいる間、琴葉はけん玉の練習。斎藤はスーパーカー消しゴムを発見していた。

 

「昔スーパーカーが流行って、当時の子はカメラ持ってよくスーパーカーが通るとこで待機したりしたそうだよ」

「ふーん……」

「そこまでのブームが過ぎ去った後、今度はボールペンを使ってスーパーカー消しゴムを弾いて遊ぶのが流行った。まあ、この頃の子はスーパーカー自体にはさほど興味なく、どれがなんて車かは重視しなかったんじゃないかなと私は思ってる。メーカーもあんま気にしてなかったようで、この消しゴムもなんの車かわかんないのもあったようだ。ちなみに消しゴムとしては使えない。まあ消しゴムって言い訳があれば学校に持って来やすいからね。あ、それはスーパーボール。駄菓子屋のくじの定番。でっかいのが当たると嬉しい!」

「昭和みたいなこと言いやがって。いくつだよ歳。世代じゃねぇだろ」

「お、スライム。これも流行ってね。工場はフル稼働でこれを作ってたようなんだけど、原料の水の使いすぎで水道局から苦情を入れられた。スライム製造用の水道管を増設するくらいだったから需要に生産が追いつかない時期があって、そこを狙って類似品がよく作られた。ひどいもんでは強欲なタイプの駄菓子屋のババアが作ったいいかげんなスライムは時間が経つとうんこみたいな臭いがしだしたとか」

「……世代じゃねぇだろ」

「ほら、ルービックキューブ。ハンガリー生まれ。これも類似品が大量に出た。あるニセルービックキューブ工場の社長の家は、二階建てが三階建てになったとか。でも息子の部屋の壁際には作りすぎて余ったニセルービックキューブが積み重ねられていたとか。押し入れにもパーツがぎっしりだ。リアルな話だよね。在庫の山はそうなるんだ。それと直接の関係はないと思うけどその後なんだかんだでその家族は一人首吊ったあと夜逃げした」

「世代じゃねぇだろ! つかなんて落ちだよ!」

「難しいよねルービックキューブ。私は頑張っても五面までしか揃えられない」

「やってみせろ」

「無理」

 

 私はカメラマンへ戻る。結衣とさっちゃんは平和に紙風船で遊んでる。いいよね、平和。平和じゃないのもいいけど、平和はいい。

 琴葉はけん玉。正しい使い方じゃないけど、まあ本人が楽しいならいいのです。それがおもちゃ。

 斎藤はコマの回し方を調べている。

 私は暇なのでちょっとヨーヨー。そんなに上手くはないが、不思議と前世よりできてる。

 

「器用だなお前は」

「私も驚いてる。斎藤、お前は上手くいくかな?」

「ふん。見てろ」

 

 その表情は自信に満ちています。現代の利器を使ったがゆえの自信です。

 まあけっこうそれでなんとかなっちゃうものですが。

 

 斎藤は上手いことやり、コマは回りました。

 

「おお、やるじゃないか」

「ふふん。だろ?」

「とあっ」

「けん玉ぁー!」

「ほっ」

 

 けん玉でコマを弾き飛ばす琴葉。私の記憶が確かなら、このあといい顔になります。

 見逃せるはずもなく、飛び込んで身体を捻り仰向けになって、背中で着地しつつ琴葉にカメラを向ける。

 

「けん玉そういうんじゃ、お前は大丈夫なのかそれ!」

「んー!」

「無論」

 

 ほらいい顔!

 あ、私は魔法系ビルドだけどHPはあるから大丈夫。

 

「とおっ」

 

 破壊に酔った琴葉は、近場を跳んでいた紙風船を見逃しはしなかった。

 ぱしんとやっちゃいました。

 

「破けちゃったー」

「あー」

「ごめん。つい……」

「いいよーこれー。よくわかんなかったしー」

「わかんないのばっかだねー」

「やっぱ昔のは今の子わかんないよねえ」

「ふふ。ななちゃん昔の人みたい」

 

 やべっ、バレた?

 

「私はだいたいわかるよ。この紙風船はさっきやってたので合ってるけど、今でも頭につけて丸めた新聞紙で叩きあったりすれば楽しい」

「おー」

「おお」

「後は……さすがおやじ、男の子だね。琴葉の好きなのあるよー。武器系」

「ほう……!」

 

 よしよし来なさい。

 

「まずはパチンコ。スリングショットだけど、本格的じゃないやつはパチンコって言う。よくパチンコ玉を使うからかな?」

 

 ほんとの由来……なんだろう。まあいいや。

 ベーゴマをとばしてみせます。

 

「なかなかだ」

「とりあえず練習用として十分。次にこれ。さっちゃん、地面に叩きつけるんだ」

「こうかっ!」

 

 ぱしーん!

 迷いなく叩きつけたかんしゃく玉はいい音をたてて弾けました。

 

「わあ!」

「おおー!」

 

 好評。まだ何個かあるので、袋ごと渡すとパンパンやりはじめました。

 

「ついでにこのリボルバー。順から言うと結衣だけど、結衣向けではない。でもやってみる?」

「うん。こうかな?」

 

 パン!

 

「わあ!?」

「まあこれは今も百均で売ってるけど」

 

 実用品として。鳥を散らすのに良いんだね。

 赤だか黒だかの火薬と青い火薬があった気がする。どっちも同じだったんだろうけど、青の方が強い気がした。普通の方だけで十分うっさいから試さなかったけど。

 

「最後にこれ。じゃあ斎藤にやってもらおうか」

「あ? 俺かよ、ってこれ」

 

 ライターも渡します。安物ですが、アンティークなやつ。

 

「小学生がライター持ちやがって……こうか?」

 

 火をつけて投げると、ぱんぱんぱんぱん弾けだしました。

 

「あはははははは!」

「花火か? これ」

「うん。爆竹といって、昭和の悪ガキがカエルのケツに入れたり、犬のフンや肥溜めにさして火をつけて何秒逃げずにいられるかというチキンレースを楽しむためのもの。あとロックバンドの人が大量に使って自宅を吹き飛ばしたりもしてる。……自宅テロ」

「ぷぷっ!」

 

 良かった通じた。

 結衣は学んだのか、あらかじめ遠くへ離れていました。

 

「これって分解すれば私でも手榴弾くらい作れるけど、普通に売ってるよね。大量に買えば足がつくからかな」

「お前が一番危ない。ほら」

「ん」

 

 ライターを受け取る。

 

「おやじさん、なんでこんなものまで……」

「斎藤の逆襲用かなあ。斎藤さんこれなあに? って訊かれたら説明もせず火をつけるだろ?」

「なるほどな……」

 

 そのあと股間にスーパーボールが当たる感じの落ちが待ってると思うけど。

 

「まあこんなもんかなー」

 

 モーラを操りながら締めを宣言。

 なんか、これもニョロニョロ動かせる。器用。

 

「これのCMの最後、へんなのー。でもおもしろーい! って言ってたけど、今にして思えばあれどういう宣伝文句だ」

「だから世代じゃねぇだろ……」

 

 これも類似品があって、いまそのへんで買おうとするとつちのこってのしかないんじゃないかな。

 CMでは類似品にご注意くださいってあったけど、客には関係ないから安い方手に入る方を買うよね。

 

「なんだー、もうパンってなるやつないのかー」

「銃は弾一箱あったよ」

「やった! 結衣ー貸してー」

「うん」

 

 こうしてさっちゃんは銃を。

 

「琴葉は中近距離に対応した武器を得たのでした」

「むふー!」

 

 結衣向けは無かった。

 女の子向け……おはじき、リリアン、なんかプラスチックの色付きリング。

 あったとしてイマイチ。あとはゴムとびとかやってたイメージしかない。

 女の子はコミュニケーションがメインだから、おままごととかで十分だったのかも。

 

 あ、リカちゃんとかもか。

 

「けん玉おもしろい?」

「これはなかなか。パチンコもいいな。極める」

「琴ちゃんけん玉貸してよ」

「いいぞ」

 

 ただしいやり方教えてやるべきか。

 パチンコは上達したら本格的なスリングショットを贈ろう。

 危ないけど。

 

「ななちゃんそれなあに?」

「ふふ、これはね」

 

 私も埋まっていた野球盤を持ってアジトへ。やるぞさっちゃん。




この主人公、別に昭和生まれという設定は無いのだけれど……たぶん必要以上に昔の人ぶってるんじゃないかな。そのうち「昔は卵屋というのがあったんじゃよ」とか言い出しそう。
アニメだと琴葉がけん玉取ったあとも箱の中にけん玉がある。円盤でも修正なし
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