三ツ星カラーズ転生もの(仮)   作:紅茶タルト

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第21話

 これといって、いつもカメラを持ってる子だなあという認識をされることを厭う気持ちはないけれど、いいカメラなので相応に大きく邪魔は邪魔。いくら力持ちであっても、常に持ち歩きたいものではない。

 けど、最近は花粉症が流行っているので手放せない。

 頑張ってスタンバってた結果、残念今年じゃありませんでしたってこともありうるけど、特にあれは撮影して何度も見返したいのだ。

 

「へくちっ」

 

 ……!

 これはそれほど一般的に理解されるか怪しい表現ですが、意識して押さえつけなければ私の鼻は期待と興奮にひくひくと広がっていたことでしょう。

 さあ、どうだ……!

 

「くしゃみ出た」

「花粉症だー。花粉症くしゃみだー」

「だー」

 

 き、ききききき、来たー!

 このベンチに座った時点で、カメラのスイッチは入れてあります。慌てた様子を見せずに自然にミニ三脚を取り出して、セッティングします。

 

「花粉症くしゃみ違う。普通くしゃみ」

「普通くしゃみだってぇ」

「うんうん」

「さっちゃんとななちゃんは?」

「私は風邪すら引いたことないな」

「私は……くちっ。かわいいくしゃみ」

「そっかぁ」

 

 初期の頃は"若いのに結衣のスルースキル高いなー"とか思ったものだけど、さっちゃんはまともに相手すると疲れるから一緒にいれば自然とそうなる。

 

「私も花粉症じゃないんだー」

「みんな健康かぁ」

 

 おう。死んでも生き返らせるよ。

 

「へぐちっ」

 

 ののかだ。ののかもかわいい。

 ののかも怪我とか病気の心配はいらないぞ。私が治すから。

 

「ずず。……や」

「ののちゃん」

 

 鼻かんでる。

 

「ぶしっ!」

「花粉症くしゃみだ」

「あはははは! 本物だ!」

「ののちゃん花粉症でしょー」

「手の施しようがないね」

「ののか死ぬのかー?」

「花粉症違う。至って健康。……ぶしっ」

「ウソは良くないなあ」

 

 怪我は治す。

 病気も治す。

 花粉症は治さない。

 

「なんでみんな私を花粉症にしたがるかなー。ほら、病は気からって言うでしょ。認めたら負けなんだよ」

「病は木から? 花粉症じゃん」

「花粉症違う」

 

 わからなくはないけど、あんま効果ないと思うよ。

 

「くしゃみを止める裏技がある」

「え、ホント?」

「そんな裏技あるのかー!? すごい!」

「試してみるか?」

「試す試す。花粉症じゃないけど」

 

 ここだ――――

 持てる力の全てを賭して、私は撮影に回ります。

 いろいろ確認するが、万全だ。電池、容量問題なし。みんな撮影の邪魔をする子じゃない。

 

「くしゃみが出そうになったら手を上げろ」

「よしきた」

 

 そしてののかは、風を感じるようなポーズをとって、動きをとめました。

 

 

 

 

「まだ?」

「ふぇ」

 

 手が上がり――――

 

「せい!」

「ぐうっ」

 

 ずどん。ののかのみぞおちに"右"が突き刺さり、気持ちのいい音が鳴りました。

 その拳は小学生のものでしたが、琴葉に加減や迷いはありません。疑いもなく弛緩しきったお腹で受ければ、十分悶絶しうるでしょう。

 弱パンチのクリティカルを弱点に受けたののかは、その衝撃により一瞬で裏技の全容を理解し、一瞬あとに自らの口から飛び出る空気を感じ、このすぐ後に来る苦しみと、その代償を支払って得たものが何もなかったことを悟ったのである。

 

「ぶしっ」

 

 そして出来上がった、お腹を押さえて悶絶する女子高生。

 興奮する。

 

「ぅ、……あ、い……だめじゃん」

「失敗」

「ああー……」

「あはははは!」

「今のは手加減してしまった。次は本気でいく」

 

 してたか?

 

「私も手伝ってやる」

「わたしもっ」

 

 そして、ボコボコタイムが始まります。

 

「せい!」

「とおー!」

「たぁっ!」

「あー!」

 

 私は一人、興奮しながらそれを撮影しきりました。

 私がカメラを持っていたのはみんなの活動記録もそうですが、特にこれを撮りたかった……!

 大きな充実感。幸せだ!

 

「花粉症です。認めます。私は花粉症です。もう民間療法に頼ったりしません。すぐお医者さんに行きます。だから、もう許して下さい……」

「ののちゃん……」

「頑張ったな、ののかあ!」

「ののちゃん、かわいそう……」

「ののかにしてはよくやった」

「大丈夫。可愛かったよののか」

 

 みんなでぎゅっと抱きしめます。いい匂い。ずっとこのままでいたい。

 

「うぅー……わけわからん…………ぶしっ」

 

 

 去ってゆくののか。その目に浮かぶ雫は、きっとみんなで抱き合って満たされた心から溢れ出したものなのでしょう。

 それはすなわち、愛。

 こうしてののかの愛に心打たれた私達カラーズは、ののかのために動くことを決めたのです。

 

 

「この街の木、全部ひっこぬこう!」

「いくぞー! 私達は、この街を守る!」

 

 

 

「この木から倒すか」

「うんっ」

 

 手始めにとさっちゃんが選んだ木はかなり太かった。

 私の感覚だともうちょい細いのから様子を見つつやるのが常道なんだけど、まあどのみち全部倒すのだからどれでも同じなのだろう。

 自分がこのくらいの歳のころ、こんな木を自力で倒せると思えただろうか? 覚えていない。

 "やれるかやれないかで言えば、できるんじゃね? 時間さえかければ"くらいには思えたかもしれないが、いま目の前で手を押さえてうずくまるさっちゃんのように信じ切ることはできなかったような気がする。

 

「さっちゃん、もう使い物になりません!」

「しょうがない。わたし、カラーズブルーがやるしかないようだな」

 

 そう言って琴葉はクラウチングスタートの姿勢を取り、思い切りショルダータックルをお見舞いしました。

 

「ぐぅっ」

 

 べちんと倒れました。

 先に斃れたさっちゃんを目にしても全力でやれるとは。

 でもな、琴葉。体当たりってのは、近くに探偵がいない限りドアも破れないんだよ。

 

「カラーズブルーでもビクともしない……!」

「……私、ホワイトの出番か」

 

 だが、私もいまは彼女たちと同じだ。

 無理とは思わず、心を通すことができる。

 

 カメラを三脚に任せ、木に近づきます。

 

「《雄牛の筋力(ブルズ・ストレングス)》」

 

 小声で魔法を使うと、筋力が強化されたことを感じます。

 

 深く腰を落とし、半身に構え、右拳を軽く幹に当て、少し引く。握った左拳を強く引き――同時に、右拳を思い切り突き出した。

 

「そっち!?」

 

 寸勁である。

 

 "バキィ!"と、大きな破砕音。三人が緊張して見守っているのを感じます。

 期待に応えるようにゆっくりと拳を引くと、砕けた樹皮がぽろぽろと剥がれ落ちた。

 

「おお……! やったなななしぃ!」

「ななちゃんすごーい!」

「すごいぞホワイト!」

 

 …………………………。

 

「ちょっと、向こうで休憩してる」

「あ……」

 

 笑顔を作りましたが、うっすら脂汗が滲んでいた自覚はあります。

 それで全てを理解したのでしょう。みんなはあからさまに右手を隠している私に声をかけず、そう遠くにも行けず木の裏でうずくまる私を見送りました。

 

 もちろん指は折れた。

 

「ななしぃは脱落かー……」

「どうするー?」

 

 ――ななし、死す。あちらではその前提で話が進められているが……、

 まだだ! まだ終わっていない!

 

「《重傷治療(キュア・シリアス・ウーンズ)》」

 

 三人がいなければ鼻水が出ていたほどの怪我だったが、いるのなら私はいくらでも強がれる。

 魔法をかけるとささっと傷は癒えたが、じわじわ度合いを増していた出血の痕跡がえげつなく、仕方ないので水筒に入れといたお茶で洗う。

 樹皮の破片がぽろぽろと落ちて、元の通りの私のきれいなお肌が現れた。

 

 さて。

 魔法使いの本領は、補助である。

 攻撃力も無視はできないが、それは前衛だって持っているものだ。

 防ぎ、解除し、作り、遠ざけ、呼び、強め、癒やす。

 それこそが魔法使いの仕事。それこそが魔法使いの戦場。

 破壊などという単純なものは極論、この拳で行えばよい。周囲を確認し――

 

「英雄。聖なる盾」

 

 体が光る。

 この魔法はこれがあるので、こっそり使うしかない。

 さて、この二つの魔法はそれぞれ、力を上げる魔法。それと防御力を上げる魔法。

 ついでに器用さも上がって恐怖と混乱のバッドステータスを無効化するが、まあそれはいい。

 こうして、私のあんまり鍛え上げられていない各種筋肉に――神が宿った。

 

「待たせたな」

「あれ? もう大丈夫なの?」

「怪我してたろ」

「いや……もういいぞななしぃ!」

 

 さっちゃんストップである。常にいけいけゴーゴーなさっちゃんからのストップはカラーズ結成以来初のこと。たぶん。ちょっと初期メンバーじゃないから。

 しかし私、意外にもこれをスルー。ブレーキなど、人生をつまらなくするだけだ。

 

 ――――もう、これで終わってもいい。だから、ありったけを。

 

 ずっと、そんな本気のパンチがやりたかった。

 さっきのでも、そこそこ晴れ晴れした気分にはなった。魔法でブーストしたからこそ、イメージ通りの全力を出せた。

 身を守るための加減など無く、ただ殴る。そんな夢を今、私は叶えた。だから多少指が砕けようが構わない。そんな心持ちだった。

 だが、私にはまだ先があった。ならば。私に! ブレーキなど無い……!

 ありったけは、今これからだ。

 

「いくぞ」

 

 そして、振りかぶる。

 これから私は、まるで腕の先に鉄の塊があると信じる愚か者のように無策で、ただこれを全力で叩きつける。

 防御力は上げた。どの程度かの検証なんてしていないが、まあ問題ない。多少骨が砕け、肉が弾け、血を撒き散らそうとも私は――

 

 ぴたり、と。寸前で拳を止めた。

 ははあん。これは、あれだな。

 ……恐怖無効だな。

 

「あっ、とめた! よ、よかった……!」

「ちっ、血が出るかと思ったぞ!」

 

 冷静になると、私はこの子らにそんなショーゲキ映像をお見せしたくはない。

 なにが英雄だ、蛮勇ではないか。

 

「ふう……。よっしゃ、今日はこのくらいにしといたるわ」

「昔のコントか!」

 

 琴葉よくご存知で。

 ところでなぜだかさっちゃんがおとなしいぞ。

 

「どうしたの? さっちゃんなんかかわいいけど」

「ん、んー? ……私はいつでもかわいいぞっ」

 

 そういってポーズ。ポーズ自体のかわいさは私にはわからないが、なんとなくさっちゃんがかわいい。挙動不審な感じが良いのだろうか。性欲を持て余す。

 

「あー、さっちゃん……」

「……。」

 

 ……? なんだか二人はわかってる感じ。ずるい。

 みんなだけわかってる感じなのは置いてけぼりにされている感じで寂しいので、せめて距離だけでも近づけようと思います。というか、なぜだかおしとやかな感じのさっちゃんを抱きしめたい。ぎゅっ!

 

「おわっ!? なんだななしぃー? ちょっと急だぞー」

 

 驚きつつも、受け入れてくれるさっちゃん。ほっぺすりすりすりすりくんかくんか!

 ちょっと落ち着いてきたので、胸元に顔をうずめると優しくなでなでしてくれる。

 

「よーしよーしいい子だなーななしはー」

 

 ああ……さっちゃんから生まれたい。

 

 

 

「おーっすカラーズちゃん。今日はなにしてんだー?」

 

 あ、ももか。

 

「あ、もか姉だ」

「や。今日はどういう活動してるの?」

「この木を倒す」

「あー。修行?」

「修行じゃないよ。仇とるの」

「仇?」

「ののかの花粉症と、ななしの手の仇」

「ななしちゃん……って、カメラちゃんだよね。カメラちゃんの手って、なにかあったの?」

「見て、ここ」

「あら、ちょっと剥がれてる。どうしたの?」

「ななしが殴った」

「殴った!?」

 

 実はまだちょっと痛い。こーいうのもファントムペインなのかねえ? 単純に神経の問題かもしんないけど。

 ただ、とりあえず今はさっちゃんというモルヒネが効いてるのでもはやどうでも良い。……すーすー。良い香り。

 

「無茶するね……手大丈夫? 泣いちゃった?」

「大丈夫! ななちゃん強い子だから! でねっ、ななちゃんが今度は本気になって、バーン! ってこう、パンチしたの!」

「あれは速かった」

「へー。それはどうなったの?」

「シュッ! てなって、スッ!」

「……へー?」

 

 理解を諦めたか。

 

「それで、ののも……ってあれ、のの花粉症って認めたの? 絶対認めなかったのに」

「病は気からとか言ってたぞ」

「そうそう。ののいつもそれ。でもよく認めさせたね」

「ちょっと殴った」

「そっちもなの!? 暴力以外の解決手段を探そうよ……」

「裏技だからな、裏技!」

「力技でしょ」

 

 隙の無い私は近くにさっちゃんがいない時用にお薬も準備しています。今日は軽装でウエストポーチ一つだけど、みんなのためにもちゃんと普通のも常備している。

 自分用は魔法で作った薬で良いとして、みんなが急に頭痛になった時用に小児用バファリンとかね。魔法薬は多分凄い効果があるのだろうけど、友達が出したからってラベルもない薬を受け取って飲むという展開はほぼほぼ事件。逆にドラッグでない方がおかしい。

 

「別のとこの痛みでまぎらわす裏技だ」

「あー、それかゆい時とかにするやつじゃない?」

「……ん、そうだっけ?」

「それで花粉をなくすために木を倒すんだ? カメラちゃんもそれで手を痛めたと」

「そうだ」

「でもこの木、杉の木じゃないよ」

「え?」

 

 まあ私はみんなが出したら飲んじゃうけどね。おくすり。

 

「スギノキってなに?」

「ののを苦しめてる花粉はスギ花粉。杉の木からとんでくんの」

「す」

「ぎ」

「の」

「ふぃ」

 

 胸に埋めながらなので。

 

「……この木は悪くないってことー?」

「そ」

 

 ふー。

 満喫した。

 

「花粉症といえばヒノキ、ブタクサ、いろいろあるけど、やっぱ王道はスギ花粉だよね。スギは針葉樹で、この木は広葉樹で」

「あ、ななちゃん。もう大丈夫?」

「大丈夫もなにも、なんの問題もないさ」

 

 なにやら心配させてしまったらしい。

 

「木には詳しくないからこの木がなんなのかは知らないけど、ののかがスギ花粉症なんだったら関係はなさそうだ。悪いことをした」

「カメラちゃん、ほんとはスギが犯人って知ってたでしょ?」

 

 ももかはてごわい。

 

「第二次世界大戦以降、木材の需要が急速に高まり、日本はスギを植えまくった。真っすぐ伸びて建材としてよかったのだそうだが、植えたスギが育つまでの三十年の間に輸入木材でいいじゃんってことになってしまい、林業は死に絶えた。でも植えまくる! 木は育つのに時間がかかるから、あとあとのことを考えたんだろう。なんかあった時のため。でも、林業って危険だしそこまで儲からないし若い人がやりたがらないから人手不足で切って使うのがまったく追いつかない。そんな今でさえ年間約千五百万本ものスギを新たに植えているのだ」

 

 この話のためにそれなりには調べておいた。

 補助金の投入とかして木材自給率は回復傾向なようだが、はたして切る方が追いつく日は来るのだろうか。

 無花粉スギにシフトしてくれれば良いのだけれど、そっちに補助金が出ないと難しいだろう。

 

「せんごひゃくまんぼん!?」

「それだけ知ってて、この木殴ったんだ」

「うん。だって殴りたかったから!」

 

 ラオウのように拳をつきあげます。意味はない。

 

「思いのままに、心のままに。肉が裂けようと、骨が砕けようと!」

「女の子なのになあ」

 

 私は私が好むように生きるために、大抵の代償は支払える。

 例えば松戸市が焼け野原になってもかまわない。

 住民たちの人権が蹂躙され、反抗心を抱かないよう徹底的に拷問された上で尊厳のかけらもないみじめな死に様を迎え、死体が不潔な蟲のエサや苗床にされた末、その魂が永劫に苦しみ続けることになってもかまわない。悲しいことだが、仕方ない。けして小さくはない犠牲だが、例えばそれが銀のエンゼルを当てるために必要な犠牲だというのなら、私はためらいなくそれを差し出すだろう。かまわない。いっこうに。

 

「千五百万本かー。どうする? リーダー」

「うーん……」

「ちょっと多い」

「スギを植えるのってだいたい山だから、遠いよー」

「そっかー。……あ、でも、だったらこの街のスギの木だけならそんなにないんじゃないかな?」

「スギの林は東京にもあるけど、ののかを苦しめてる花粉はだいたい山から飛んで来てるんじゃないかなあ」

「山かー。それはめんどいなー」

 

 うん。だから諦めよう、というのが弱者の考え。

 

「おやじ、車持ってるかなー?」

「大人だろー? 持ってるさー」

「いや、レンタカーで間に合わせる大人もいる」

「君たちにはブレーキがないのかな?」

 

 さて、困ったぞ。このまま三人を山にいざなうか?

 ……ヤバイとしか思えない。なんてこった。遭難しない想像ができない。

 どうしよう。私はこの三人を煽って突き進ませるのは大好きだけど、止めるのは苦手だぞ。

 諦める、という言葉は使いたくないし。

 強引なのでよければ、スギによる二酸化炭素の吸収がどうの温暖化がどうのという力技もあるけれど、私は温暖化について詳しくない。そもそも二酸化炭素が影響するというのは証明されたことだっただろうか? 九割がたそうだろう、みたいな話だったような。他の理由だったら対処できないから考えても仕方ないとかなんとか。

 よく知りもしないのにさも明確なことのように言ってやめさせる理由にするという子供だましをみんなに仕掛けたくはない。

 

 ――そうだ、こんな時はジョースター卿だ。発想を逆転させるのよ、ナルホドくん!

 

「……よし。チェーンソーを四つ用意して一人一日百本頑張れば一年で十四万六千本はいける。そうすれば年間プラス千四百八十五万四千本程度に収まる」

 

 植えたばかりのをほじくり返したり山火事起こしたりのほうが楽そうだけど、そういう裏技は秘密だ。

 

「百年頑張れば植林が少ない年の一年分くらいは減らせるはず。みんな、頑張ろう!」

 

 引けないのなら、押せばいい。

 力強く押した私に、みんなは顔を見合わせて、

 

「やめよう」

 

 満場一致でブレーキを踏んでくれた。

 まあイヤだよね、そんな人生。たぶんいっぱい死ぬし。

 みんながやるってんならやるけどさ、私もそんななにかの修行みたいな一生はつらいよ。

 

「だいたいなんで私達がののかの花粉症のためにそこまでしないといけないんだ!」

「同感だ。ののかは医者に任せればいい」

「まあ医者に難しいようなら私がなんとかしましょう」

「うん。お願いななちゃん」

 

 薬くらい作れるし。




この話は変なルートに行った結果オチが見当たりませんでした。
アニメでは十一話なので時系列的に"前タイムカプセル埋めようとしてなかった?"という話があるけどとりあえずそこは無視。
さくらとかみのむしの下りはなんとなく漫画の方に合わせたのでカット。
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