三ツ星カラーズ転生もの(仮)   作:紅茶タルト

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この話は結衣の誕生日だったので琴葉といちゃいちゃする話を作ろうと思ったものです。


第22話

「や」

「ん」

 

 今日はまだ琴葉だけか。

 とりあえず、距離を詰めます。

 だからどうということもないが、琴葉はガードが甘い。

 だいたいいつもゲームに集中しているので、スカートの中とか覗き放題だ。

 まあ見ても嬉しいことは実はべつにないのだが。だって布だ。

 それに私のようなプロはもっと良いものを知っているのです。初級技、脇覗き――! 袖の短い服では、袖から胸を覗くことができます。

 ただこれは変態十二奥義の中でも初級なので知名度は高いと思う。夏の季語でもありますね。

 覗いたところで別に膨らんだりとかもない壁がそこにあるだけですが、なんとなくしあわせ。さっちゃんならちゅーちゅーなでなでも可能でしょうが、琴葉には母性を感じません。見るだけです。

 壁観察はほどほどにして、ちょっと抱きついて胸元に顔をうずめます。けして抱き返したり撫でたりはしてくれませんが、なるべくゲームの邪魔をしないように心がけるぶんには振りほどいたりはしません。

 あー。

 しあわせ。

 最上級奥義・昇竜とかやろうかと思ってたけど、もう満腹です。

 昇竜は実現性に難があり、実質的に封印されていた技。相手がワンピースの時だけ使えるのだが、スカートの下から胸を覗くという……。

 どうやってやるねんそれ。

 まあ立ってる時は簡単なんだけどなあ。

 

 邪魔しない程度にひっついて、大好きアピールをし続けます。後ろから抱きついたりします。髪くんかくんか。

 はむはむ。

 ふう。

 画面に焦点を合わせないよう気をつけながら、ノーマルのスキンシップを続けました。

 

「ごめーん遅れ……あれ? なにしてるの?」

「マリオ」

「お姫様だっこ」

 

 こんな感じになった。

 

 

 

「よーし、いくぞー!」

 

 さっちゃんの号令で、鬼ごっこがスタートした。

 鬼ごっことは、金棒を持って人里に下り、人々の頭をかち割る遊びです。

 

「はっ、速い! 速いよななちゃん!」

「わー!?」

 

 はっはっは。

 ところで、私は身体能力が妙に高い。

 理由とかは知らないが、高い。

 あと、なんか体力がすぐ回復する。これにより疲れ切ることがない。全力で動けば疲れるのかもしれないが、今んとこその経験はない。

 

 琴葉を抱えていてもあんまりハンデにはならなかったな。

 ただちょっと走りにくいのでスキップにはなるが。

 

「あははははっ! これでも勝負にならないかー」

「すごい楽しそうに追ってきたもんね……」

「揺れた」

 

 なんかそっちの方が楽だったからスキップにしたんだけど、まあ楽しそうに見えるよね。

 

「うーん、どうするかなー? そうだ、ののかを背負えば!」

 

 

 

「ええ……? ななしちゃんに乗るの? 私が? ……うーん」

 

 ほんとに呼ぶか。

 

「もー。たまたまもか姉がいたからよかったけど、私には仕事があるんだからね? ……帰ったらおにぎり屋になってたりして」

「楽しみだねー!」

「なー!」

「楽しみにしないでくれますー?」

 

 とか言いながら乗ってくれるののか。名残惜しいですが、琴葉には降りてもらいました。手で支えないと無理でしょう。

 

「おっ、……あ、あれ? 乗れてる!?」

「よし行くよ、みんな!」

「おー!」

「逃げるよー!」

「なっ、なに?」

 

 イメージ上のエンジンを動かします。温まるまで待つ感じで、みんなが離れるのを待つ。……! 頃合いだ!

 

「あー、鬼ごっこか。……ねえ、ななしちゃん。私は羽根のように軽いけど、さすがに無理じゃないかなあ。背負えたのはすごいけ、どおおぉ!?」

 

 これが私の、全っ力!(魔法なし)

 一切の加減をせずに、可能な限りの速度を出して鬼ごっこをスタートしました。

 

 

 

 さっちゃんはゲームメイキングに熱心です。私は普通の遊びをするには厄介なユニットですが、なにかと考えてくれます。

 私もカラーズなので、手加減なんていうくだらないまねはできません。私が本気でやってもOKという縛りがあります。難しいですね。

 そこで、これ。重いものを乗せる。天才以外には思いつかない方法でしょう。私はみんなにジェットエンジンを搭載するか、地面を私だけに厳しいベルトコンベア的なものにするしかないと思っていました。なのにまさかこんな方法があろうとは。よーしののか、運動会の徒競走とかの時もよろぴこ!

 

「あはははは! ほんとに追ってきた!」

「ええ!? わー! ののちゃん軽すぎー!」

「肉食え肉ー! あははははは!」

「う、嬉しいけど……ギャー! 揺れるー!」

「はははははっ」

 

 スキップスキップランランラン。

 楽しくなってきた。

 

「追いついた! 手ー伸ばして!」

「無理ぃー!」

「そんなにスピード出てないでしょ!」

「あがががが」

 

 むう、タッチができん!

 

「タッチしないと終わらないよ!」

「そんなこと言ったってー! せめて揺れないように……!」

「もー」

 

 仕方なく、競歩っぽいのに切り替える。競歩はルールが難しいので競歩っぽくだ。だってベント・ニーってなんだ! わけがわからん!

 片足を常に接地させ、脚に乗せた体を送り出すように歩く。これなら揺らさぬよう動ける。かわりに私の膝に負担がかかるが、まあ多少壊れても治せばいい。

 あとのこと考えないで良いってのは私の強みだ。

 

「これで良い?」

「あ、これなら……えーい! ターッチ!」

「あはははは! 捕まったー!」

「次結衣!」

「あははっ! 速い! ななちゃん速いよー!」

「ふふふふふっ!」

 

 ははははは。

 ……楽しい。大人は知らないことかもしれないが、鬼ごっこは楽しい。

 

「ねえ! これって私も参加してるの!?」

 

 知らない!

 

 結衣ゲットで試合が終わり、さっちゃん鬼で再スタート。鬼となった結衣とに挟まれてもしぶとく逃げ回る私だったが、伏兵琴葉が「フッ」と笑い、試合が終了した。

 回避は不可能ではないが、ののかを背負い自由のきかない私が無理に動けば怪我をさせてしまう可能性がある。その捨て得ぬ甘さを含めて私の実力であった。

 

「よーし次はケンケンパだー!」

 

 それは背負ったまま?

 

「よーし次は縄跳びだー!」

 

 さっちゃん! 私で遊んでいないか!

 あんま背負ってやる必要ないのも混ざってたけど、みんな(琴葉以外)がへとへとになるまで遊んで、おしまい!

 

「ありがとーののちゃん」

「ありがとなーののかー!」

「ありがとののか」

「う、うん。よくわかんないけど」

 

 乗ってただけのののかも疲れた様子。ふふ、付き合い良いんだから。

 

「じゃあなー!」

「また明日ー!」

 

 

 

「ふう」

 

 家に帰ってお風呂でやんす。

 今日は久しぶりに遊んだ気がした。普段も遊んでるけど、やっぱ多少でも疲れがないとね。

 まあもうほとんど回復しちゃってるけど。

 お風呂には当然アヒルちゃん。黄色いやつだ。これがないと風呂ではない。

 気ままにぷかぷか浮かぶと、自分のつるつるボディが目に入る。

 壁みたいな胸に、つるっとしたおまた。きめ細かな肌に、ふわさらな髪。美しい。芸術品だ。

 生まれてきてよかった。体を確認するたび、そう思う。できればこのままが良いんですが。来たれサザエさん現象。

 

「《水中呼吸(ウォーター・ブリージング)》」

 

 水中での呼吸を可能にして、頭までつかる。これが魔法使いの入浴だ。不思議とめっちゃ落ち着く。

 力を得た意味や理由はさっぱりわからないし、不安になることもあるが、こういうのはちょっと嬉しい。

 あがって、可愛いパジャマを着て、アイスを食べながらテレビなんか見る。

 面白いのはないので仕方なくニュース。食べ終わって、柔軟なんかしながらだらーっと見ます。体の柔らかさも可愛さのうちだ。こまめにほぐしてます。

 

『荒川区にある中華料理店で火災があり、現在も消火活動が行われています』

 

 荒川区か。

 すまーとぽんでマップを見てみるが、あんまり台東区と近い位置ではない。大丈夫そうだ。

 消防士さんがた、大変だろうけど頑張ってほしい。あなたたちは数ある職の中でもトップクラスにイケメンだ。

 

『台東区にあるアパートで火』

 

 

 

 まあまあの速度で飛行ができる《長距離飛行(オーヴァーランド・フライト)》とまあまあの時間透明化可能な《不可視化(インヴィジビリティ)》を組み合わせ、やって来たのはアパートの上。今風のだから低めのマンションって感じの建物だ。各階三部屋六階建てのようだ。空は暗いが、明るくなるほどの炎が特に三階真ん中の部屋から吹き出している。

 えーと……、

 

「《思考の感知(ディテクト・ソウツ)》」

 

 愛用のポシェット内の十円玉が消費され、アパートへ向け魔法が照射される。

 なかなか広い範囲・距離を対象にでき、これによりそこに思考する生物がいるかどうかを判別することが出来る。ぼんやりと、思考があるなあと感じる。それらの知性の度合いのようなものも同時に感じられるので、次にその中から任意で選びごく浅い部分の思考を読むことができる。これは、ハムスターかなにか。これは猫くらい? んー……あっ。

 

『おかあさん』

 

 人だ。子供だな。

 ……。この魔法の弱点は、場所とかはわからないことだ。

 

「《精霊の体III(エレメンタル・ボディIII)》」

 

 小型のファイアーエレメンタルを選択。私の体は浮遊する炎となり、熱への耐性を得る。ちょっと心配だったが透明なままだ。このまま四階のベランダから中へ飛び込み、中を探る。下は戦士たちに任せた。

 窓が閉まっていれば溶かして入り三部屋巡る。一体黒焦げがあったが、子供の姿はない。上に行こう。

 感覚的に呼吸の必要は無いと感じていたが、今こうして死んでいないということは正しかったのだろう。よかったよかった。ほれ、子供がいた。

 五階の片側にいた。

 

「《容態の安定(ステイブライズ・コンディション)》、《命の泡(ライフ・バブル)》」

 

 とりあえず、死なないように。この時点で生きているかは知らないが、息があるならとりあえず維持はされる。呼吸もできる。ちょっと半透明の膜には包まれるが。

 見たところ、一桁年齢。で、男。男かぁ。

 まあせっかく来た以上は。

 

 ……そういえば、おかあさ――

 

 あー。

 ……この部屋、玄関のドアが開いてるな。

 なんとかしようとしたんだろう。でも、廊下は煙まみれだった。外廊下じゃなかったのがよくなかった。残念無念、玄関でばたん。そばには青いバケツが転がっている。

 わかるけど、本当に怖いのは一酸化炭素なんだ。酸素を運ぶヘモグロビンと結合しちゃうから酸素不足になって、意識を失う。早い時にはほんとすぐ。

 だから戦士たちもなかなか上がってこれないんだ。

 ひょっとすると、ドアを開けたからこの子は倒れたのかもしれないな。

 

 ……さて。

 

 呼吸できるよう自分に《命の泡(ライフ・バブル)》をかけ、エレメンタルの変化を解く。火のまんまじゃ触れないからね。透明化は持続しているので、念の為かぶっているガイ・フォークスのマスクのお披露目もなさそうだ。あんまり存在を気づかれたくはないし。なんか気づかれたら他のとこでなんかやって注目を散らしたりするつもりだが、フィクションだとそのうち天才がそれに気づく。本拠はここだなと。で、おびき寄せ作戦。イマイチ最強無敵じゃない私は備えてないと化学薬品とかであっさり昏倒させられるのであった。こわい。

 こわこわよ。さて母は……死んでるっぽいな。一応安定はかけてベランダ付近まで引きずってきたけど、厳しそうだ。

 窓を開け、母をかつぐ。ベランダ手すりに乗せて、胸から上が顔を出すようにする。

 それを見て、はしご車がはしごを伸ばしてきた。それを見計らって泡を解除し、あとは任せて飛び立った。

 

 

 

「昨日凄かったみたいだねー」

「なー」

 

 会議には時事ネタも出ます。

 

「……なにかあったの」

「火事だよー。琴葉はサイレン聞かなかった?」

「寝てた」

 

 ……。

 

「あれ、ななちゃん寝不足?」

「あー、うん。眠れなくて」

 

 んー。火見ると興奮してどうも。

 しかし、大したことできなかったなあ。

 私の魔法、痒いところには手が届かないから。

 

「あそこうまかったんだけどなー」

「ねー」

 

 ……ああ! あったな中華料理屋。

 

「それもだけど、近くでもあったんだよ」

「そうだっけ?」

「うん。もう消えたみたいだけど」

「へー」

「すっごい燃えたみたいだけど、急に雨が降ったんだって!」

「おー、それはよかったなー」

「逃げ遅れて死んじゃった人もいたみたいだけど……」

「残念だなー……」

「でも、いなくなった猫が出てきたんだって! 部屋にいたはずなのに、外でにゃーって!」

「それは不思議だなー!」

 

 ああ。あの猫。

 すっかり焦げてたけど、運良く生き返ったラッキーキャット。見つけたと言って戦士Aに渡したけど、飼い主も生きてたようだ。

 雨も降らせた。発動までに十分、天候が整うまで十分かかるくらいの大魔法だ。

 これと戦士たちの活躍により、火は早いうちに消し止められた。まあまあ戦果はあったともいえるかもしれない。

 もう一匹くらいは蘇生したかったけど、みんな運が悪かったな。

 

「一晩で二件も火事か……」

「どうしたの琴葉? も、もしかして……」

「ああ。……これは事件の匂いがするな」

「ええっ!?」

 

 いや、でも片方料理店だし。

 

「あ……でも、どっちもキッチンから燃えたって……」

「いや、猫の方だ」

「猫?」

 

 !?

 や、やだなあ探偵さん。猫は猫でしょ? なにもおかしなことなんて――

 

「猫は人が見てないとき、異次元を移動できる……らしい」

「そうなの!?」

 

 って関係ない話か。どこで聞いたの?

 

「たぶん」

「大佐もそうなのかー?」

「シャー!」

 

 まあ液体だとか宇宙人のスパイだとか言われてるし、そういう説があってもおかしくはないが……私は初耳だ。

 

「どこで聞いたの?」

「ももかが言ってた」

 

 意外な。

 

「もか姉かー。じゃーほんとかもなー」

「うん。そうかも」

 

 信頼厚いなあももかちゃん。

 でも確実に冗談だぞ。

 

「そうだ! 試してみよう!」

「どうするの?」

「まっててー!」

 

 程なくして、さっちゃんはダンボールを持ってきた。

 

「これを、かぶせる!」

「あっ」

 

 乱暴にばさっとかぶせるさっちゃん。そーいうとこが。

 あ、あみじゃがだ*1。これ好き。

 大佐はなーとひと鳴きし、がさごそしたがすぐ静かになった。

 

「……?」

 

 さっちゃんに疑問の目を向ける結衣。私もわからんぞ。まあ見えなくなるけど。

 

「こうしておいて、大佐が消えてれば異次元!」

「消えるかなあ……?」

 

 異次元猫かあ。

 そんなファンタジー無いと思うけどなあ。

 

「あ、でも……」

「どーした結衣?」

「異次元ってなんだろー? 琴葉知ってる?」

「う……」

「ななちゃんは?」

「んー……」

 

 オーケー、なんとなくわかる。

 ホワイトボードへ向かい、ペンを取り。

 

「まずこれがゼロ次元」

「点?」

「んー?」

「……。」

「そう、点の世界。次に、一次元」

「それは次元大介だ」

 

 軽くボケた。

 

「これで一次元」

「線になった」

「次に、二次元」

「次元大介」

 

 さっき描いた隣に描きはじめるが、早めに突っ込まれる。

 

「またつまらぬものを斬ってしまった」

「それ五エ門でしょ!」

「うん。で、これが二次元」

「四角?」

「と言うより、平面かな。この中に絵も描ける」

「次元大介!」

「で、三次元」

「それルパンでしょ!」

 

 立方体の図を描いて、愛用のメッセンジャーバッグからサイコロを取り出して見せる。

 

「三次元は立体。私達も三次元だね」

「ほー」

 

 言っててなんかものすごい欺瞞を感じるが。

 

「じゃあ、二次元は絵なの?」

「というより絵が二次元かな。写真とか図面とかも二次元だから。厳密にはこのホワイトボードとインクも三次元だけど、概念、理屈の話だよ」

 

 厳密な話をしてしまうともうちょっと説明は増えてしまうが、わからなくなるだけなのでそれは省く。ブレーキをかけないとイデア論まで行きそうだ。

 

「一次元で長さや幅といえる軸が増えて、二次元で高さが増えた。三次元で奥行きが増えて、立体的になったね」

「うんうん」

「じゃあもう一つ軸が増えたらどうだろう?」

 

 二つの立体を繋げた図と、野原ひろしを描く。

 

「もう関係ないね」

「絵うまいな」

「ありがとう。がんばった」

 

 嬉しい。

 

「大佐は今三次元的に閉じ込められているわけだけど、別のところ通って箱の外に戻ってこられたら意味ないよね。たぶん、異次元を移動ってそういうことを言ってるんじゃないかなあ」

 

 それかそこまで深い意味はないか。そんなもんだ。説明はしたが、考えて使う言葉ではない。

 

「そーなのかー。猫ってすごいなー!」

 

 あははははと笑うさっちゃん。完璧に理解してくれたようでなによりだ。

 琴葉と結衣は?

 

「んー……」

「うーん……」

 

 まあそうだろう。

 

「一般的には時間軸を加えたものが四次元と言われることが多く、私達がいるここは四次元とも言われる。そこにこの絵のようにもう一つ加えたものは五次元と言われるんだけど……特に存在するという証拠も無いから、それほど難しく考える必要はないよ。そういう考え方があるってだけで」

 

 実際高次元なんて数学とかで使うくらいだ。超ひも理論とかそういうの。通常の知識として生きるのは三次元までくらいだろう。

 そういう説明をすると二人はなんとなく安心したような顔になり、

 

「……あれ? なんの話してたんだっけ?」

 

 通常空間に戻ってきた。こうなると話を見失わなかったさっちゃんがすごいように見えるかもしれないが、私にはわかる。そうじゃなくて早い段階で理解を諦めてたんだな!

 

「大佐消えたかなー?」

「消えないだろ」

 

 さっちゃんがワクワクしながら箱を持ち上げるが、そこには丸くなった大佐がいた。がっかりした様子で箱を戻し、そのうち私達は各自であれこれモードに移った。

 しばらくして、私がボードに石川五エ門を描いている後ろで、大佐が動く気配。器用に箱を出たのだろう。足音はグレイプニルを作るのに使ってしまったためか、ほとんど無音で出ていった。みんなが気づいた気配はない。

 またしばらくして、さっちゃんが目覚めた。

 

「はっ! そうだ大佐は!」

 

 ばっと起き上がり、箱に飛びつくさっちゃん。すっと持ち上げると――

 

「いない!」

「えっ!?」

「音しなかったぞ」

 

 箱の中身も確認する一同。やはり、いない! みんな顔を見合わせます。私も驚いたような顔をしておきます。

 

「異次元猫だー!」

「音しなかった」

 

 猫って凄い。私達はそれを知ったのでした。

*1
ダンボールの話。




設定を出しすぎると設定の羅列になり、出さなすぎるとわけがわからなくなる。
説明不足だろうか。
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