三ツ星カラーズ転生もの(仮)   作:紅茶タルト

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第4話

 半ドンって言い方、たぶん今通じないよね。

 土曜日なのでなかなか時間があります。父のギターなんか取り出して、久しぶりに路上ライブ。

 当然無許可。

 

「おっ、やってるなカラーズホワイト」

「やってるよカラーズホワイト」

「へー新曲?」

「うむ。曲名はメヌエット。なかなかだったろう」

「ラストしか聴けなかったけど、すげーな」

 

 合間、例の四人組が訪れた。アニメ版のキャストでは"男性"と表記され、声優が三人しか居ないやつら。

 ほら。あのホストっぽいやつ。

 

 メヌエットは山崎まさよしの。ミンサガのOP。

 こっちに無い曲なのは確認している。

 

「お前たち楽器できそうだな。見た目」

「だろー? まあ俺はできないんだけどな」

「俺ドラムやってたぜ。ゲーセンで」

「小さい頃ピアノはやってたな。今もたまにキーボード触る」

「音符わかんねーわ」

 

 もうちょっとはできろよ。

 

「よしよし。ではこういうのはどうだろう」

 

 一人が、キーボード。

 

「俺だな」

 

 一人が、ボーカル。

 

「俺、カラオケ得意だぜ」

 

 一人が、キハーダ。

 

「なんだキハーダって」

 

 最後に、拍子木。

 

「で、タイトルは与作」

「演歌か!」

「近所に尺八できる爺さんいるから、これを合わせてお前らウィズ尺八ジジイのバンドが完成する」

「音楽性違うわーそれ」

 

 ちなみにキハーダは、ロバの下顎の骨で作られたカーッ!て鳴る楽器。

 ものがものなだけに高く、三万円くらいするので多くはヴィブラスラップという楽器で代用されるが、注意して聴いてみるとそれなりにいろんな曲で使われている。

 なおこっちの北島三郎は他の曲で成功している。

 

「ちゃんとバンドっぽい曲もあるけど、やってみる? バンド始めようぜ!」

「おー。んー、俺はいいけど、お前らはどう?」

「曲くれんだったらやれそう。興味あるわ」

「いいねー。ついに部屋の片隅で死んでるギターがついに息を吹き返すのか」

「燃えてきた!」

「乗り気でよかった。仮歌とか作っとくから、打ち合わせの日取りを決めておこう」

 

 ちゃんと弦張り替えろよ。

 曲はB'zとかポルノグラフィティでいいでしょう。

 なおこっちのB'zは――

 

 ある日。ラジオを聴いていたら。

 

『では次の曲。B'zで、姥捨山』

「ぶふぉっ」

 

 

 

 

 アジトの壁のカラーズフラッグを観察する。

 アニメでも原作でもガムテの貼り方がまちまちで、カドが見えてたり隠れてたりするけど、さすがに実際そんなことはなく、あれは単にいい加減なだけだったよう。

 このシンボルマークの意味を説明する必要は無いと思う。アニメを三回もループすれば、どんだけぼーっと見てたってわかるだろう。

 しかしまあ、なんとも美しいものだ。誰が考えたんだ。おやじか? おやじなのか?

 ののかかも。

 

「おっす」

「や」

 

 琴葉です。

 

「なんだそれは」

「大佐」

「ああ」

 

 テーブルの上にはシールのシートが置いてある。また拾ってきたんだろう。

 猫とか音符とか、そういう地味なやつで、三分の一ほどが使用済み。

 

 琴葉はそれを無言で箱に放り込むとゲームを再開しました。

 私は録画の準備を済ませます。

 

「おーっす!」

「や」

 

 さっちゃんは琴葉に後ろから抱きつきました。

 いいですね。見てるだけで幸せです。私にもちょくちょく抱きついてくれます。

 

「あー。また私が最後かー」

「や」

 

 結衣はおっすじゃなかった。

 

 結衣が本を読み始め、さっちゃんは私の膝枕ですーすー可愛く寝ています。

 片手で優しく撫でながら、かたかたとタイプします。プロット作りです。

 始めのうちは小説作品を全部書いたり、漫画を描くために頑張ったりしていたけれど、数が多くてちょーっと現実的じゃない。

 できる範囲でやって、あとは原作者になろうとちょっと路線変更した。

 

 結衣が読んでる本は、最近の児童書のよう。文字大きいやつ。

 なかなか読書家です。

 

「あー、モノクロ大佐ー。お帰りですねー」

「なーん」

 

 おや。

 結衣がキャットフードの準備をします。

 

「あ……」

「にゃぅ」

「なんだ大佐。また泥棒してきたのか。まったく」

 

 咥えてきた漫画の帯に注目しましたが、ふつーのでした。異次元からカラーズのを拾ってきてくれるのかなと期待していたのだけれど。

 

「……漫画についてる帯か。もっといい物を持って来い」

「な?」

「例えば……武器とか。わかったな」

「なあ」

「はい大佐ー。ごはんですよー」

 

 ざざーっとこぼしたキャットフードにがっつく大佐。

 しかしけっこう少量で満足する。

 

 結衣の手でごろごろうなうなしているところ、さっちゃんが起き上がりました。

 

「モノクロ大佐は人懐っこいなー」

「フーッ!」

「なんでだよ……」

 

 うーん。今までの触り方とか……? 急にわしゃわしゃやってたし。信頼関係が無い限り無遠慮に触られるの嫌うんだよ、犬猫って。

 触ってもいいですか、という心構えで、急に腕を伸ばさず、急に頭を触らず、長時間触り続けない。こんだけやればたぶん大丈夫。

 

「既に警戒されてる場合は……?」

「大佐は賢いから、ちょっと時間を置けば反省したと見て許してくれるんじゃないかなあ」

 

 それか、ふつーに謝ってみるのもありかもしれんね。雰囲気で察してくれるかも。

 

 関係ないけど通行人に吠えるバカ犬は尻を見せると黙るぞ。あいつら尻の匂いで挨拶するから。

 

 

 

 結衣閣下がおやじに用があるとのことなので、みんなでお出かけ。

 ホエールファクトリー。けっこういろんなのがあります。

 私はあんまり興味ありませんが。

 

「おう、カラーズ。なに探してんだ?」

「あ、おやじ。大佐のお皿無いかな」

「大佐? ああ、猫のことか」

「うん。モノクロ大佐」

「ううん……無いかもなあ」

「そっかー……」

 

 まだ猫缶を与える計画も無いし大佐的にはテーブル直置きで問題無さそうだけど、人間的にはやっぱ欲しいよね。不思議と。

 あった方が可愛いからかな。

 

「おやじ。あれはなんだ?」

「ん? 待ってな。……ああ、そいつか!」

「武器か?」

「そうだな。すっげえ武器だぞ? そいつなら斎藤も一撃だ」

「フフフ……」

「ククク……」

「フフフフ……」

「クククッ……」

「ふはははは……」

「クク、くふっ、……ぬあーっはっはっは!」

「はーっはっはっはっはっは!」

 

 そっとしといた。

 

 

 

「えっと……、私たちは、カラーズ! この街を守るもの……です!」

「これは平和のためだ。斎藤、お前は腐りすぎた。仕方がないことだと思え」

「テロリストか」

「さいとー! 爆発しろ。世界のために!」

「はいはい。ってか、ロケットランチャーなんてどこで手に入れた」

「いや、斎藤。これの分類には諸説あって、確かに弾頭にはロケットブースターが付いているがこれは発射してから点火されるんだ。一般的にはロケットランチャーと言われることが多いが、その辺りから厳密にロケットランチャーの定義に当てはまるかどうか」

「じゃあ、なんだ」

「ミリタリーマニアはだいたい無反動砲として扱っていると思う。これはその中でもクルップ式と言って、砲弾発射時の反作用を後方からガスを噴出することによって軽減するものなんだ。その勢いは後ろにいる奴が死ぬほどで、必ず後方の安全を確認してから撃つ。あと屋内で使っても大変なことになる」

「……じゃあその無反動砲は」

「いや。これはルチノーイ・プラチヴァターンカヴィイ・グラナタミョートと言って、グラナタミョートはつまりグレネードランチャーのことなんだ」

「そのグレネードランチャーは」

「でもなあ。かと言って無反動砲である事実を無視はできないし。しかしグレネードランチャーという呼び方は少なくとも間違いにはならないから穏当とも言えるし。ところでルチノーイ・プラチヴァターンカヴィイ・グラナタミョートって五七五っぽくて落ち着くよね」

「うるせえ!」

「撃てー!」

 

 カチ、カチ。

 

「どうしたの琴葉?」

「発射しない。どうやらニセモノ」

「ニセモノ!? なーんだニセモノかよー。ちぇー」

「おやじめ」

「でもよかったー」

 

 つかつかと歩み寄ってくる斎藤。安全装置のことを知っている私は行動すべきか迷うが、ここからの流れが好き。だから撮影に回る。

 

「やっぱりおやじさんの店から持って来たのか。あのおっさんなんでも持ってんな。……!」

 

 拳銃の扱いくらいわかってるから、見ればそりゃ気づくよね。……ん、リボルバーって安全装置無いか?

 

「お前らいいことを教えてやろう。こういうもんには、安全装置ってやつがついてんだよ」

「あんぜんそーち!?」

「これを解除しないことには弾は発射されねぇ」

「なるほどなー! だからか。よし、返せ!」

「バーカ! 誰が返すかこのクソガキがー!」

 

 カメラ回ってるのにやってくれるってすげえな。

 

「だっはっは! 形勢逆転だな! 木っ端微塵にしてくれるわ。ヒャッホーウ!」

「みっ、微塵? うぇ、う、うぅ……微塵、微塵はやだよお……」

「木っ端も言えよ」

「私は避けるの得意」

「自分、白刃取りの免許十段っす」

「私は魔法でエーテル界に逃げる」

「やだよー! みんなも一緒に、みじっ、みじん子になってよぉ」

「みじん子?」

「安心しろ。全員仲良く木っ端微塵にしてやる。ミジン子にな! だーっはっは!」

「待て! 作戦会議を開く」

「ほう。いいだろう」

 

 ス・ノーマン・パー。

 アニメではこれの余波か斎藤がカラーズに大佐を押し付けた時の口がしんのすけっぽくなってたね。

 

 今思えばどれだけ冷たかろうと尿をさかのぼるような凍結は無いと思う。

 

「って逃げとる! 止まらないと撃つぞー! ……止まれよ! ええい、クソガキども。この街の、ミジン子になれ! ……後方の安全、よし!」

 

 発射、そして。

 

「取ったー!」

 

 パシッとキャッチ。

 

「ま、マジで出た」

「取った! ほんとに取った! ほんとに取ったー!」

「すごーい!」

「さすが白刃取り十一段」

「増えたな」

 

 なお私はカメラマンとして安全なところに。

 

「すごくない!?」

「うん!」

「わたし、すごくかわいい?」

「かわいいよー」

「投げたら爆発するかも、その弾」

「爆発するわけないだろ。後方のガスっての、出てなかったみたいだしな。ニセモノだろ?」

「ふむ。……そうなのか?」

「うん。遅いし、本物は弾だけで二キロくらいあるはずだから」

「そうか」

 

 さっちゃんが弾を持っていますが、重さはその半分も無さそうです。

 しかしなんて出来がいいんだ。こんな勢いで射出までできるなんて。たぶんこんなん無かったぞ前世界。

 

「ま、いいやー。いちおう投げて見るか!」

「ってお、あっ……」

 

 かーん。金的……!

 

「おう、まい……がっ」

 

 崩れ落ちる斎藤。

 琴葉が駆け寄りますが、それは彼を心配するわけではありません。弾頭の確認です。

 

「うん、軽いな」

「残念だったなー。爆発見たかったのにー。おやじに違う武器もらい行こー」

「うん!」

 

 そして琴葉が斎藤を踏む。私はその表情をしっかりとフィルムに収めました。フィルムというか、SDに。

 多少ローアングラーになったことは否定しません。

 

 私は少しの間残り、あまりにもかわいそうな斎藤の背中を撫でてやると、おそらく数万するであろうRPG-7を回収しホエールファクトリーに向かったのでした。

 斎藤にはちょっと幸運になる魔法をかけてあげました。

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