三ツ星カラーズ転生もの(仮) 作:紅茶タルト
深夜。なんでもかんでも年齢制限のあるこの国のシステムやせっかく魔法とかがあるのにあんま使えないことによるうっぷんを開放する儀式の時間。
不定期開催。
まず、Amazonで買ったガスマスクと軍用のポンチョを装備します。ポンチョはオリーブドラヴ(暗い緑)色の固い布の地味ーなやつです。
超怪しくなった私は《
『A県 TYさんからの投稿動画。
これは、某墓地へ肝試しに訪れた若者二人が撮影したものである。
深夜、丑三つ時を狙って足を踏み入れた二人は動画サイトへ投稿するために実況をしつつ墓地の探索を始めた』
「はーい。僕らは今〈ピー〉霊園に来てまーす」
「予告どおり、罰ゲーム企画始めます。どうですか抹茶さん。この雰囲気」
「まあ……まあまあまあ、思った通りといった感じですね」
「なんというか……怖く……ありませんね」
「そうですねえ。僕ら幽霊信じてませんもんね」
「来てみたら来てみたで怖いと思ってました」
「あー。まあ信じてなくてもホラー映画は怖いし、信心無くても初詣に行けばそれなりに祈るわけで。それからすると墓場も怖そうなもんですが」
「なんででしょうねえ」
『奥へ向かう二人……』
「こちら、僕の親戚の墓です。まーあとあとモザイク入れるんで、とりあえず中村家の墓ってことで」
「タルさん親戚居たんですね」
「僕にだって親戚くらいいますよ。木の股から生まれてきたんじゃないんですから」
「僕は木の股から生まれてきましたが。お供えは用意しときましたけど、水かけときます?」
「いやー、どうなんだろ。僕ら作法わかんないよね」
「夜中に水かけるのってどうなんだろ」
「水は……まあまあ、いいか」
「罰ゲームの内容はひと周りということなんで、とりあえず外周沿いに歩きます」
「抹茶さん植物だったんですね」
「それ今拾うんだ」
『和やかに談笑しながら墓地を歩いていた二人だったが……一人がなにかに気づいた様子で、もう一人を引き止めた』
「ちょ、ちょちょちょ。あそこなんか無い?」
「なになに。幽霊出た?」
「幽霊かどうかはわかんないけど、あそこなんかあるでしょ」
「んー? ……うおっ」
『足を止め、観察する二人……』
「あれ人かな?」
「いや……真っ暗だし。ライト当てても振り向かないよ?」
「でも形人間っぽい」
「人形かな?」
『いくつか墓を挟んだ奥に確かに確認できる、人影らしきもの。しかし、フラッシュライトの光が当たっても反応は見られない。照らされて見えたそれは背を向けているのか、頭部は黒い髪で覆われており、なにか帯のようなものが巻かれているように見える……』
「あー。人形だ。小さいもん」
「あ、ほんとだ小さい。人形だよ人形人形!」
『誰かの冗談だと納得し、緊張を解いて歩み寄る』
「あー人形だよ。変なの着てるし、頭なんだと思ってたらあれガスマスクじゃない?」
「うわ。ずいぶん凝ってる。ふふ。告知してたからリスナーが仕掛けたのかな」
「おもしろいことする人居るねえ。どれ、オウッ」
「わ! ちょ、やめてさすがに」
「いや……」
『投稿者の友人が人形らしきものの肩を触るが、なにかに驚いたように飛び退った……』
「ちょ、ちょっと離れよう。一旦、一旦……」
「あはい」
「で、どうしたんですか?」
「感触が……」
「感触?」
「人っぽかった」
「ええ……」
「どうする?」
「あれってとりあえず、人なんでしょう?」
「たぶんね。一瞬だったけど体温あったと思う」
「まあ人だとしたらびっくりですけど、だとしても見た感じ、子供でしょ」
「あ、ああー。まあ確かに」
「どうってことないんじゃ? 追ってきても走って逃げれば」
「あー」
投稿者、TYさん。
「今思えばガスマスク被ってるような子供がナイフかなにか持ってないとは限らないんですよね」
――その時怪我などはされたんですか?
「ちょっと足首捻ったくらいで、朝になったらおさまってましたね」
――あれはなんだと思いますか?
「とりあえず生き物だとは思いますが、やっぱりよくわかりません」
「えーと。……こんばんは」
「…………動かない」
「この羽織ってるなにか、裾余ってるどころじゃないけど、大人用?」
「もしもーし」
「今度は俺が触ってみます。……あっ」
『再び下がる二人……』
「体温。体温っ」
「だよねっ」
「…………動かないねぇ」
「ずっと向こう向いてるね」
「……俺、ちょっと向こう回って見てみます」
「……あっ」
『前方に回る投稿者だったが……なにかに驚いた様子で友人の元へ引き返す……』
「なにがあった?」
「目が合った」
「…………あ、あれ」
「あ」
「こっち見てない?」
「見てるね……」
「ちょっと離れ……あ! 消え!?」
「うわあああ!」
Replay...
「…………あ、あれ」
「あ」
「こっち見てない?」
「見てるね……」
「ちょっと離れ……あ! 消え!?」
「うわあああ!」
『おわかりいただけただろうか……』
「ちょっと離れ……」
『唐突に姿を消す何者か』
「あ! 消え!?」
「うわあああ!」
『それは次の瞬間、二人の直前に出現し……
驚いた投稿者がカメラを落としたところで映像は終わっている』
――この後は?
「車で帰りました。映画のようにエンジンがかからないとかは無かったんですが、どうやら付いて来たようで、二人で朝まで震えてました」
――その時の映像は?
「さすがに余裕ありませんでしたね。あれが家の周りをうろうろしてるのが怖くて怖くて。朝にはなんとか人集めてカメラの回収に行けましたが」
――ではその後は特に?
「無いですね。あの時だけです」
『この映像を我々が信頼する霊能者に見せたところ
"強い恨みと悲しみを感じる。この墓地に眠る死者たちの怨念の集合体なのではないか"とのコメントをいただいた』
「眠そうだね」
「フフ、そうだろうそうだろう」
「褒めてないよ……?」
深追いしすぎた。
カメラ持ってたから、期待しすぎたかな。落としちゃってたけど、大丈夫かねえ。うまく回収できたかな。
なれるといいな、都市伝説。
twitterとかで肝試しの予定を調べ襲撃する遊び