三ツ星カラーズ転生もの(仮)   作:紅茶タルト

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第9話

「爆弾を作った」

 

 バナナの時作ってたやつな!

 

「解除しなければ、この街は……ドカーンだ! さあどうする? カラーズ」

「ばくだん」

「事件だ!」

「おやじ……それはおもしろそうだ! あははははは!」

「だろう? がっはっは!」

 

 大変だろうに。とても大きな愛を感じる。

 多幸感にあてられて、さっちゃんにすりすりします。さっちゃんもちょっとすりすりを返してくれる。カメラの手ブレなんて気にしません。

 

 アジトで会議が始まってもそれは続く。持て余した幸せを琴葉にぶつけ、すりすりくんかくんか。

 小さな体の許容量以上の幸せを受け取ってしまうと、こうして外に出して解消しなければちょい苦しいのです。

 

「爆弾を止めるには、赤か青、正解のコードを切ること……っとぉ」

 

 ところでこの気持ちがマックスまで行くとお裸すりすりぺろぺろがしたくなるんですが、これって健全なことですよね?

 

 結衣がホワイトボードに今回の事件についてまとめます。さすがしっかりものですね。

 

「真ん中のめと同じ色のコードを切れ。ヒント、そいつは商店街にいる」

 

 それにしても凝った工作だ。ちゃんとした画面表示と、赤と青のコード。ンー、ウキウキする。コナンくんの世界じゃん。ちょっと興味出てきたな、爆破に。その場から立ち去る背後で爆発とか、憧れるわ。

 いつかやろっと。

 

 ちなみに赤のコードが正解。運命の赤い糸は切れないとか言い出したら死ぬやつだ。

 えーと、確かこのあと地下街行くんだったな。あそこ好きだわ。好きだわあそこ。一人だとおさんぽコース。みんなで行くのを楽しみにしてた。

 

「おやじ今回はなかなか面白いこと考えたなー」

「真ん中の目が赤か青い人が商店街にいるってことかなぁ。でも目は右か左にしかついてないし」

「並んでる商品の真ん中にある物ってことじゃない」

 

 その時である。私は、うっかり琴葉のゲーム画面を視界に入れてしまった。

 彼女のプレイを目にするたび、私は思い知る。この世の中には到底人知のおよばぬ、まったくの非効率で異常そのものでしかない、名状しがたい窮極の暗黒の深淵そのもののゲームプレイが存在するのである。

 うっ……!

 

「商品って何屋さん?」

「目ん玉屋」

 

 拒絶反応でほんの少しだが震える。テンション上がってたところだから落差がきついな。

 

「こわいよそのお店! そんなお店ないよ!」

「いや、あそこなら売ってそう。地下街」

「……売ってそう」

 

 ところで私、今日なんも喋ってないな!

 

 

 

「ななちゃん、今日無口だねー」

 

 道中。

 

「ななしは答えしってる」

 

 !?

 

「そーなのかななしぃ!?」

「あー、だから喋らなかったんだ?」

 

 なんでわかるーの。

 

「んー、んふふ」

 

 わらってごまかします。かわいく!

 

「気持ち悪いぞ、ななし」

「あはははは!」

 

 ひどくね?

 

 

 地下街とは、アメ横センタービル地下食品街のこと。

 鮮魚や肉、中国やフィリピンの食品や各種アジアの食品を取り扱っている。本来はその辺の国のお客さんで溢れているのだが、この世界ではちょい少ない。私達は活動しやすいが、やっていけるのだろうか。

 

「うんこうんこー!」

 

 野澤屋では大量の各国のスパイスや調味料が売っている。あとパクチーとかの野菜、よくわからん果物? みたいなのとか。

 一からカレー作るのとかって憧れあるけど、実際やるとなるとスペース取るよね。でも収納に空きがあるのなら、ここは十分にその夢を叶えてくれるお店だ。

 

 野澤屋にもあるが、新井商店ではプランテンなんかが売ってる。バナナだ。

 

「このバナナ固いね?」

「調理用バナナだよ」

「調理用……焼いたりするの?」

「うん。あと揚げたり。まあ芋みたいなものだよ。けっこう美味しいよ? 私もモフォンゴ作りたくなった時とかはここに来るよ。チチャロンもあるし、アドボもパゾンもソフリートもあるし、作りたい時に作れる。近場でツンドクが手に入るのはありがたいね」

「うん。一個もわかんないや」

 

 甘くなくて、主食とかそんなジャンルだ。

 

 鮮魚は京和商事・コウキ物産・野田幸食品。野田幸食品はスッポン売ってる!

 

「スッポンは、一度くわえたものは絶対放さないらしい」

「えー! あぶないよー……」

 

 ふふん、という顔をして網に入ったスッポンを触ろうとする琴葉。すき。好奇心は美しい。

 でもシャーって感じに威嚇されて怯む琴葉。かわいい。

 

「あっ、……こいつはダメだ。行くぞ!」

「ああっ! 待って、琴葉!」

 

 うむ。

 

「二匹ください」

「はいよー」

 

 カメ系ってめっちゃうまいのよ。

 

 うんこ説法の旅に出ていたさっちゃんと合流。鮮魚とかの店主に対し、全てはうんこになるのですと説いている。入信します!

 そんで二人とも合流して、一通り探索を終えた。

 

「目ん玉売ってないねー」

「海羽ならたまに豚の頭とか売ってるけど、今日はないみたいだね」

 

 中国物産、海羽。肉! 肉! 肉! 説明の必要のないほどの肉の量。

 中国の調味料もあるが、主に精肉だ。中華料理屋の人をターゲットにしているのかすげーなおいって物量。たいりくってすごい。ぼくはそうおもった。アヒルとか食べたくなったらここに来ます。

 

「おー、久しぶり。今日は買い物?」

「ううん、探検……いや、デートだよ。みんな私の恋人なんだ」

「へえ。日本ってすごいねー」

 

 中国語です。

 海羽はこの地下であっちとあっちとここにわかれて出店しており、三角形を形成している。なんでだろう。場所によってカタコトなら通じる人と通じない人がいるので気をつけること。

 

「な……」

「ななちゃん中国語できるの!?」

「すごいなななしぃ!」

「エヘヘッ!」

 

 ……と、いう想像をしてた。

 実際の反応。

 

「へー、ななちゃん中国語も話せるんだー」

「ほう」

 

 はんのうよわいね!

 ふむむ、そういやこれまでもみんなの前でロシア語の歌とか歌ってたぞ。それかな。かーちゅうーしゃのーうーたー。

 なお、タネは《言語会話(タンズ)》。なんでも話せるぞ。事前に使っておいたんだ。

 めっちゃくちゃ強い魔法だな。引くわ。

 

「あれ? ののちゃん?」

 

 結衣が敵を発見した。ののかだ。

 

「……みーたーなー?」

 

 振り向くののか。今日もかわいい。

 ののかはののか。パン屋の娘だ。

 ののかはかわいい。めっちゃかわいい。そのかわいさは基本的に女子小学生派の私であってさえ、女子高生も悪くはないなと思わされるほどだ。ののかわ!

 まあもちろん女子小学生ほどではないが、よくがんばってると思う。もうちょっとがんばるといいと思う。

 

「なーにしてるの? ののちゃん!」

「ふふふ、なにしてるかって? ……今はまだ言えない! ゴクヒ任務だから」

「えー、ごくひー?」

「でもそのうち、カラーズちゃんたちにも協力してもらう日が来るかもしれない。その時には、ヨロシク!」

 

 パンですね。

 

「ののかはここの常連か!?」

「目ん玉屋はどこだ!?」

「目ん玉屋!?」

 

 そんなわけで、ののかが仲間になりました。ちゃらちゃちゃちゃちゃちゃんちゃらちゃちゃちゃちゃちゃんちゃんちゃららっちゃちゃんちゃららっちゃ……仲間の加入時に長いファンファーレが鳴る作品が昔あったけど、なんだったんだろうね、あれ。

 

 以上、地下街でした。地下街の定休日は第三水曜日なのでお買い物の際はお気をつけください。

 

 

 

「そっかー、それで目を探してるのかぁ」

 

 さっちゃんはさっきから指をすかっすかっとやっている。ぱちんってやりたいんだね。でもののかが今ぱちんってやりました。うまいですね。意外かもしれませんが、薬指の位置がけっこう重要なんですねこれ。私はできませんが。

 

「うーん。たまに頭は売ってるけど……真ん中なんて無いねー」

「あったら気持ち悪い」

 

 天さん……。

 

「他になにか知らないかののか」

「目かぁ……目……うーん。これは先生が言ってたことなんだけど……人は見たいものしか見ない。見えてるのに、見えてないものがある……って」

「ああ、ブルース・ウィリスね」

「映画じゃなくて」

「映画?」

 

 ホラーだから知らんよね。

 

「よくわかんない」

「なに言ってんだー? ののかー。映画の話か?」

「映画じゃなくって。だから、目にだまされちゃだめなんだよ」

 

 さて、ヒントは全て出揃った。ここから推理パートだ。必ず琴葉が謎を解いてみせる! じっちゃんの名にかけて!

 

「ななしちゃんもあれ見たんだね。あの映画怖いよねー」

「ねー」

 

 謎は、全て解けた。アメ横のゲートの真ん中で赤い目が開く時、不忍池に沈んでいくパンダの像がお前の完璧なアリバイを崩してくれたんだ。

 唐突にマルコムを無視し始めた妻、霊感があると言うコール君。この二つには、もう一つの意味があることになる。

 そうか、監督の仕込んだ巧妙な叙述トリック、奇妙な映像表現の本当の狙いはここにある。

 謎は全て解けた!

 三ツ星カラーズ「まんなかのめさがし」ファイル2

 君にこの謎が解けるか!

 

「そうか! ……これだ!」

 

 謎は全て解けた!

 

 

 

 大人には発想すらできないだろう。だが、今ならわかる。

 ――子供は、登りたい! "危ない"とかいうくだらない真っ当な理由で怒られて登らなくなるが、本来は登りたいんだ!

 

「ゲームクリヤー! 真ん中のメは、赤色! 解除コードは赤だー!」

 

 アメ横ゲートの上、すげー開放感! 私には今、なんの縛りも無い!

 うむ、生まれてきてよかった。まったく、安全と楽しさのどっちが大事だと思ってんだ大人は。

 

「あっははは! そーおいうことかー!」

「ほんとだー! 文字の真ん中が"め"だー!」

 

 謎は! 全て! 解けた!

 

「こらー! なにやってんだー!」

「はははははははは!」

 

 私は! 今! シアワセである!

 

 

 

「結衣、カメラありがとう」

「ううん!」

 

 下から撮影してもらってました。受け取って、活動記録に戻ります。

 暗号の解読も済んだので時限爆弾を解除しに、いざアジトへ凱旋です。

 …………時限?

 タイマー無かったような。

 

「ののか、トロ箱ありがとう」

「ううん。でもこれなに入ってんの?」

「すっぽん」

「すっぽん!?」

 

 道中。

 

「それでななし、本当に暗号の答えわかってたのか?」

「うん。だってアメ横も好きだし」

 

 上野公園とか、アメ横とか、ああ今私、体全部で上野してるなって感じになれるもの。上野を補給したい時はここに来るんだ私は。

 まあ本当はアニメと原作を見たからですが、そうでなくてもきっとわかったことでしょう。愛ゆえに。

 

「お前らほんと反省しねーな」

「ふふん」

「するわけない!」

 

 途中まで道が同じなので斎藤も一緒です。

 

「斎藤くん。自らした反省は人を成長させるけど、強いられた反省は鎖を加えるだけだよ」

「……お前今何歳だよ」

「七歳。それが相手のことを思ってだとしても、型にはめられるのがどれだけ息苦しいことか」

「お前今何歳だよ」

「七歳。大人であり、特に公務員を選んだ君ならばそれを知っているはずだ」

「お前今何歳だ」

「七歳。七歳だよ、斎藤くん!」

「うるせえ!」

「ははは!」

「あはははは!」

 

 アジト。

 

「さっそく切ろう!」

「なにで切るー?」

「ハコールになんかあるだろ」

 

 ハコールは隅に置いてある箱です。ガラクタ入れですね。私はその中にハサミを確認してますが、なんということでしょう。蓋の上に大佐が乗っています。困りましたね。

 でもご安心。こんなこともあろうかと、ポケットに忍ばせておいたニッパーを取り出します。

 

「はい」

「さっすがななしぃ!」

「なんでも持ってるな」

「ねー」

 

 というキャラ付けのためにいろいろ持っています。

 

「じゃー……結衣!」

「わ、私? ……うん!」

 

 やるぞ、って顔でニッパーを手にする結衣。お前の手で……終わらせてくれ!

 結衣が赤いコードをニッパーではさみ、いざ力を入れようというその時である。

 

「わっ!」

「わっ!」

「わっ!」

「わあっ!?」

 

 琴葉までも。

 

 

 

 コードを切ると爆弾の表示はCLEARに変わり「もー」とちょっとぷんすこな結衣をなだめおやじに連絡をすると、なんか斎藤んとこにいると言う。なんで? とは思うがまあ別にそこはいいです。私ら子供なんで。大人には大人のあれこれがあるのでしょう。さっそく公園へ急行。それはもうわけもなく走ります。子供なので。

 

「おやじ、クリヤーしたぞ」

「さすがカラーズ。またこの街を救ったな!」

「なかなかおもしろかったぞおやじぃ!」

 

 私が撮影用に三脚を立てる中、みなが仕掛け人のおやじに称賛の声を浴びせます。ブラボー。おおブラボー。

 

「でも持ち運びできる爆弾じゃ池に沈めるだけでなんとかなってしまう。次は美術館とかに仕掛けるといい」

「おお、そうだな」

「そうだなじゃねえよ!」

「それと時間制限とか、さっちゃんにくくりつけるとかするとハラハラして良いと思う」

「私か!」

「なるほどなあ」

「あんたら……はあ。迷惑な遊びはやめてくれます、おやじさん」

「子供のためだ。お前が迷惑被ろうと知ったことか」

「知れよ! あんたが被れ!」

 

 来るぞ……! 全端末録音準備完了!

 

「またピンチの時は呼ぶといい!」

 

 来たー! 来ましたよ! 生ピン! 生ピンチの時は呼ぶといい!

 これが出たなら! これが出たならー!?

 

「私たちはカラーズ! この街を守る!」

 

 声を合わせて、ポーズ!

 

「ポーズがバラバラだ……」

 

 私バータな!*1

 まんぞく! カメラをかたして*2、いざさらば!

 

「おーいカラーズ。この街は好きかー?」

 

 クールに去る私達の背中に、おやじが問いを投げます。

 その問いに、私達は……いや。私だけ、一瞬でとっても考えます。無駄に、街の風景とか頭に浮かべますが、子供は自分の"好き"を見失いません。

 

「ぜんぜんだなー! あはははは!」

「あはははっ」

 

 まあ言うか言わないかはそれぞれですが。

 もちろん、私は…………ん? お、おお。これは……意識するともう……ダメだ!

 普段はなんとか抑え付けているけれど……私のこの街への愛は、私の体より遥かに大きい。もしこの巨大な愛を止める弁を開き、全てを開放すれば……街が……街中のみんなが……!

 

 妊 娠 す る 。

 

 ちょっといいカモ、じゃないんだ私よ! 出産は負担がかかるし、子育ては大変なんだ!

 

「だいすきだああああああ!」

「わっ!? びっくりした!」

「急だな!?」

 

 なのでちょっとだけ爆発させる。

 

「でも私もだいすき!」

「私も!」

 

 ……にんしんしちゃいそう!

 自然と、三人で琴葉に目を向けます。強制するつもりはないのですが、流れです。言葉を絞り出す気分ですね。

 

「……わ、私も」

 

 なんだか嬉しくなって、がばっと抱きつきます。

 

「わっ!?」

「琴葉ー!」

「琴ちゃんー!」

「わー!」

 

 二人もなぜか続きます。

 やっべ子宮うずくわ。せーりまだなのに。私産みたい! 三人の子供を産みたいわ!

 おにんにんがどうこうとかじゃなくて、なんかそこらへんふわふわした感じでさ。四人で遺伝子まぜまぜしようぜ!

 

「……仲いいな、あいつら」

「なっはっは!」

「で、これ間違うとホントに爆発するんすか?」

「するわけねぇだろ。ただ、青を切ると……」

 

 さっちゃんにニッパーを渡します。

 なんの説明の必要もなく、受け取って走るさっちゃん。斎藤が持ってるボムへその手を伸ばし、ちょきっ!

 

「う、うわあああ! 臭い汁が出るぅ!!」

 

 なに入れたんだろう。

*1
青いデカいやつ。ポーズは両腕を横へ伸ばし、片足を上げる。

*2
かたす - 片付けること。東日本の方言




謎は全て解けた!
アニメだと琴ちゃんのひらめきシーンに謎演出があるけどどういう狙いなんだろう
金田一と三ツ星カラーズとシックス・センスを混ぜるのはごちゃごちゃしてよくないと思うよ
よく考えたらいつまでに解除しないととか無いなあの爆弾
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