異聞帯がロスリックだった件 作:理力99奔流スナイパー
PV観て「あっ プロトマーリン出るんか」と思ったらキャスター・アルトリアだった。早くもガチャに来たから回すも見事に大爆死。
プロトマーリンはいつ出るんですかね?(ワクワク
◎
激しい金属音が響き渡る。
幾度も重なり、弾き合う大剣と直剣。甲冑の騎士と仮面の剣士は互角の死闘を演じていた。
彼らが剣を振るう度に聴こえるのは空を切る音ではなく、まるで銃弾が通り過ぎたかのような空気を切り裂く轟音だった。
「__ク、ククク。ああ、楽しい、愉しいぞ。なぁ、貴公もそう思うだろう?」
「………………」
歓喜する騎士。このような殺し合いは、一体いつ以来だろうか。彼が求め、待ち望んでいた闘争は正しくこの、これだ。
あのサーヴァントという小さき器に押し込まれて尚、英霊としては規格外の
しかし、目の前の存在はどうだ。剣を全力で振り切っても何食わぬ顔で同じ膂力で受け止め、弾き、自分と対等に斬り結んでいるではないか。
「アンバサ……」
異聞帯というのも存外つまらぬものと思っていたが、思わぬ強敵との巡り合わせに騎士は珍しく神に感謝し、祈りの言葉を口にする。
それは神とは程遠い悪意によってもたらされた獣への祈りであったが、しかし元より神というものは信仰によって成り立つ存在。自然や機械が神と成り得るならばかの獣もきっと、神と云えるのだろう。
だとしたら、とんでもない邪神だが__。
「………………」
対する仮面の剣士ミラのルカティエルは何も言わず、両手持ちでその上質な大剣を振るい続ける。
ドイツ剣術を思わせる独特な構え。特異な、けれど無駄のない洗練された
(ふむ……パリィは難しいか)
騎士もその剣技に瞠目する。大剣の攻撃全般は盾による
かといってこちらが攻撃速度を上げようものなら背負っている円盾によってパリィをされてしまうのは明白。故に、攻め過ぎず、受け過ぎず、正に一進一退の攻防を繰り広げていた。
(__しかし、このままでは埒が開かんな)
いずれは決着が付くだろうが、侵入者の排除という役目の手前、悠長にはしていられなかった。騎士としてはこの久方ぶりの緊張感をより長く味わいたい。けれど、今の彼は主人と契約し、仕える従僕だ。
ならば己の欲望ばかりを優先して契約相手を疎かにすべきではない。それくらいの良識がまだ騎士には残っていた。
故に、騎士は決めに掛かる。鎧を着込んでいるとは思えない程の軽快な
「____!」
不意を突かれるルカティエル。そして、騎士はそのまま流れるように
「__何?」
驚きのあまり一瞬硬直してしまう。回り込まれたと理解した瞬間、ルカティエルは自身の胴体を鋼鉄の亀のような重装兵の鎧へと変えた。その背を貫かんとしていた騎士の剣はただその硬い甲羅を斬り付けるだけだった。
タイミングは完璧だったはず。回避されるでもなく、防がれるのでもなく、ただただ決まらなかった。ならば突然変えたその鎧に何らかの仕掛けがあるのは明白。
だが、致命の一撃を無効化する効果ないし加護のある鎧などというのは騎士の常識には存在せず、故に兜の内の彼の顔は酷く間抜けなものだったろう。
__そして、その僅かな隙は、ルカティエルにとっては充分に過ぎる隙だった。
「ぐはっ__!?」
その手に握られるのは大剣ではなく、鋼鉄の
更にルカティエルは左手にも、同じ得物を握っていた。
「………………」
メイスの二刀流。まるで太鼓を鳴らすかのように眼前の獲物を叩き潰されんとそれらが振り下ろされる。
咄嗟に騎士はその連撃を左手に装備する鉄製のカイトシールドで受け止めた。鍛え上げられた堅牢な盾は物理的な攻撃ならばあらゆるダメージを通しはしない。
ならばそのスタミナを削り切るまで。ルカティエルは止まらず、更に追撃を加えようとメイスを再び振り上げんとする。
「____っ!?」
しかし、その前に彼は吹っ飛んだ。
「__神の怒り」
白い風が吹き荒れ、触れるもの全てを破壊する。
雪の女神が造り上げた堅牢な柱や壁は容易く砕かれ、瓦礫と化す。その美しい景観は見る影も無くなった。
「ふぅ……今のは危うかったぞ」
ムシャリ、と騎士は兜越しから草を食べる。
彼の立つ場所だけが、見事に更地を形成していた。彼を中心に半径数十mもの範囲がまるで災害でも起きたかのような惨状が出来上がっている。
左手に巻き付く獣の
「……これはオフェリアにどやされるな。面倒だが、致し方あるまい」
辺りを見回し、騎士は小さく笑う。あの気丈に振る舞いながらも救いを待望し、恋に夢想する少女が怒鳴る姿が容易に思い浮かべられた。
「さて、これで死んでくれると助かるのだが__」
まともに受けたのだ。普通ならば無事なはずはなく、しかし相手は普通ではない。騎士は吹っ飛んだルカティエルの姿を探す。
「___!」
その時、熱気と共に何かが収束するような音が、足下からした。騎士は即座に飛び退いて、立っていた位置から離れる。
すると次の瞬間、空間が爆ぜ、炎に包まれた。
驚いている暇もなく、その行動を予測していたとばかりに仮面の剣士が瓦礫の陰から飛び出し、そのメラメラと燃え上がる左掌を振り翳す。
すると掌から正しく小さな太陽とも呼ぶに相応しい巨大な火球が放たれる。
「むっ__」
これを身体を僅かに逸らすことで避ける騎士。しかし、火球は彼の背後の瓦礫に着弾すると同時に大爆発を引き起こし、その爆炎が彼を焼く。
ダメージ自体は大したことないが、思わぬ熱さに騎士は怯み、動きを止めてしまう。ルカティエルがそのチャンスを見逃すはずもなく、駆け出していた。
恐るべき速さの踏み込み。騎士は一瞬にして距離を詰められ、大剣が振り下ろされる。並みの英霊ならば容易くその肉と骨を切り裂く一撃。騎士はこれを盾で防いで後退する。
「っ……ほう。先程のは初めて視る魔法だ」
すかさず追い討ちに向かって来るルカティエル。騎士は真っ向から直剣でそれを受け止めた。
「それに先程の武器を瞬時に取り替えてみせたのは、紛れも無く“ソウルの業”……もしや貴公。俺より後世の__“火の時代”とやらの英霊か?」
「………………」
鍔迫り合う二人。その刃と刃が小刻みに震動し、カタカタという音を鳴らす。
両者共に限界まで鍛え、極めた筋力。故に、どちらも一歩も退かず、互いを見据える。
「やはり答えぬ、か。ならばそのソウルに訊くまでだ__」
そして、騎士が白いオーラを身に纏えば、その拮抗は一瞬にして崩れ、ルカティエルの剣を容易に押し返す。
「………………!」
「素晴らしかったぞ、貴公。かつての俺ならば危うかった。だが、今の俺はもはや只人ではない」
完全に力負けし、吹っ飛ばされたルカティエルは即座に受け身を取り、体勢を立て直し__目を見開く。
「__星よ、終われ。灰塵に帰せ」
騎士の鎧の隙間から溢れ出るように紅蓮の炎が吹き荒れ、その手の直剣へとまとわり付く。
即ち、
「………………」
ルカティエルは漸く理解する。てっきり彼は
けれど、違う。自分が対峙するのは決して同じ枠組みに収まるような存在ではなく、これは所謂
「__
そう言って騎士はその炎の剣を軽く振るった。
「…………!?」
たったそれだけで太陽にも匹敵し得る灼熱が巻き起こる。それはまるで生きてるかのようにうねり、ルカティエルを呑み込まんと襲い掛かる__。
回避を試みるルカティエルだが、あまりにも広範囲。津波が如き爆炎に逃げ場は無く、摂氏数万度を越える超高温の炎は行く手にあるもの全てを燃やし、焼き尽くす。
「……ふむ、威力は一級品だな。流石は星を終らせると豪語するだけはある」
外から見れば、まるで城が火を噴いているかのようだった。灼熱の波によって女神が幾重にも張り巡らした堅牢な結界は一瞬にして砕け散り、城が意図も容易く半壊する。
その被害は先程の神の怒りを遥かに上回る。騎士の前方はもはや面影など微塵も感じさせない焦土と化していた。瓦礫すらもその熱で蒸発し、あるのは燃え残る炎と黒煙のみ。
(セイバー! セイバー……ッ!)
「ん?」
すると主の声が脳内に響く。
(ああ、オフェリアか……どうした?)
(どうした、じゃないわ! 一体何があった……いえ、何をしたのっ!?)
(侵入者と交戦していた。なかなかの強敵でな……少しばかり本気を出し過ぎたようだ)
(ふざけないで……! 今感じた力……スルトの炎でしょう……! 女王陛下に勘付かれたらどうするつもりなの……!)
(ああ、そうか。そういえば秘密にしていたのだったな、忘れていた。すまな__いや、説教は後で聞く)
(ちょ、まだ話は__)
念話を強制的に遮断する。どうやら奴だけは、燃えずに残っていたようだ。
「……ほう」
煙が晴れると、そこには青白く発光する、鎖が幾重にも巻かれた“岩のような”大盾が佇んでいた。
その裏から、ルカティエルが先程と何ら変わらない姿で現れ、黄緑色の小瓶に入った橙色の液体を一口飲む。
「これはこれは……驚いた。まさか防ぎ切るとは」
あの炎を、防いだ。生半可な盾ではその破壊力には到底防げるものではない。それこそあの少女の持つ堅牢な白亜の盾に匹敵する代物でなければ。
ただの炎ではない。神々を、星すらも焼く破壊の炎だというのに。物理的な攻撃と炎を完全に防御する大盾は騎士も持っている。しかし、仮に防げたとしてもその熱で肉体は蒸発するだろう。
だが、ルカティエルは実際に防いで見せ、そして五体満足で立っていた。
「ククク__ああ、面白い、面白いぞ」
「……そうか」
騎士は、ただ笑う。やはりこの世界には、まだ己の知らぬ驚異と脅威で満ちていると。
すると最初の名乗り以外は無言を貫いていたルカティエルが初めて口を開く。
「ほう……やっと喋る気になったか?」
「妙なソウルをしているとは思っていたが、どうやら二つ程混じっているようだな。一つは人間、一つは得体の知れぬモノ、もう一つは__」
大盾をしまい、竜を象った聖鈴に持ち替える。バチバチと大剣が雷を帯び、眩い黄色に染まる。
__太陽の光の剣。
確かに太陽の力でありながら雷を纏うそれは、ルカティエルの小さな対抗心だろうか。
目には目を、歯には歯を、炎には炎を。
そして、太陽には太陽を。
「__巨人か」
ルカティエルの姿が消える。再び剣と剣が交差し、炎と雷が衝突し合い、先程の神の怒りの比ではない余波が、周囲を襲う。
「ッ____」
今度は鍔迫り合いにはならず、攻撃を防がれるや否やルカティエルは即座に位置を変え、次の一撃を加えようと大剣を振るっていく。対する騎士はそれらを捌きながら全身から白き
(ほう__先程よりも速い。本気ではなかったのはお互い様という訳か)
立ち回りも変わっている。こちらが攻撃を仕掛ける時は回避に徹しつつ僅かな、しかし確実な隙を突いて攻撃を繰り出す。完全に
確かな実力差。それを眼前にしても、ルカティエルの闘志は消えることはないようだ。
「ああ、良い__ならばこれはどうだ?」
騎士が腕を翳す。その手には小さな木の杖のような触媒が握られていた。
「__火の飛沫」
重機関銃の如く連続で放たれる火炎。ただの火ではなく、獣に由来するより純粋な魔力と、おぞましい破壊の炎の混在したそれは飛沫の一つ一つが太陽にも優るとも劣らない灼熱だった。
少しでも掠ればその身が蒸発する。絶え間無く高速で飛来する火炎をルカティエルは冷静に見据え、転げ回るようにして避けていく。
「やはりこれも避けるか__」
それは想定内。即座に懐に回り込み、ルカティエルは大剣を振るわんとする。
騎士の予想通りに。故に、彼は準備していた。
「この距離なら、避けられまい__炎の嵐」
「!!」
火山が噴火するように幾つもの巨大な火柱が、騎士を中心に立ち昇った。
当然、接近していたルカティエルは咄嗟にガードしようにも盾に持ち替えるには間に合わず、そして両手持ちにした大剣程度では受け切れないだろう。
故に、彼は為す術無く炎に呑み込まれ、その身を焼き尽くされる__。
「__ふむ、死ぬなこれは」
けれど、だからどうした。
全身火達磨になりながら、ルカティエルは涼しい顔で騎士へと突っ込む。
「なっ__」
驚愕する騎士。まさか己の炎を耐え、特攻してくるとは。即座に剣を構えるも、そのほんの僅かな間はルカティエルにとっては充分に過ぎる、決定的な隙だった。
その手に握られるのは、元々は斧か何かだったのであろう、ドロドロに熔けた巨大な鉄塊。あまりにも無骨で、大きさ過ぎる武器とすら言えない代物__しかし、それ故にその圧倒的な重量と質量による破壊力は他に追従を許さない。
ルカティエルは無防備と化した騎士へと振るった。
「ッ__ガハッ!?」
一回転。二回転。三回転。遠心力を利用して放ったその豪快なフルスイングは騎士の骨を粉砕し、膝を突かせる。
そして、トドメとばかりにルカティエルは水中へダイブするかのように跳躍し、騎士へ飛び込んで鉄塊を叩き付け、その肉体を甲冑ごと押し潰す。
「次は、殺す。必ず、殺す」
吐き捨てるように、決意するように、ルカティエルはそう言い残し、力尽きる。
事前に施していた一度だけ死を免れる奇跡。けれど、僅かな体力を残して耐えることのできるそれは火のような継続的にダメージを与える攻撃に致命的に相性が悪く、延焼で死ぬのは当然の帰結だった。
「ぐ、お……今のは、死ぬかと、思ったぞ……」
そして、騎士は生きていた。
「次は殺す……か。やはり彼奴も死なずの類いのようだな」
かろうじて動く手を使い、草を口に放り込む。それだけで血塗れだった彼の肉体は元通りになる。
ルカティ__あの仮面の剣士が居た場所に死体は無かった。ならば骨すらも残さず燃え尽きたと考えるのが妥当だが、そこには僅かな灰塵すらも存在していない。まるで最初から居なかったかのように文字通り消失していた。
騎士は知っている。他ならぬ自身が例え死んでも生き返ることが可能なのだから。
「となると、些かまずいな……」
騎士は勝利した。しかし、圧勝ではなかった。確かな実力差があったにも関わらず、自身の方が格上だったにも関わらず、食らい付かれ、痛手を負わされた。
あの仮面の剣士は再び挑みに来る。先程の騎士の動きを技を覚え、徹底的に対策して殺しに来る。
それは騎士にも同じことが言えるが、今の騎士は一度でも死ぬ訳にはいかない。
「__セイバー!」
「ん? 何だ、直接出向いてきたのか」
その呼び掛けに視線を向ければ自身の主が三騎の戦乙女を引き連れて現れる。
「念話が切れたと思ったら被害が倍増しているのだけれど……!?」
「侵入者が生きていた。だが、もう無事に始末した。安心するといい」
「なっ……!」
あっけからんと答える騎士。これに対し、オフェリアは唖然とするしかなかった。
当然だろう。侵入者の排除__その為に守るべき城が半壊しては元も子も無い。しかも女神に隠していた炎の巨人王の力まで使用したのだ。普段気丈に振る舞っている彼女も今回ばかりは相当憤っていた。
「だからってこんな……! やり過ぎよ……!」
「自覚はある。だが、仕方なかろう。それだけの相手だったのだ……ク、クク。ああ、本当に、強かった」
崩落して空を覗かせる天井を見上げ、静かに笑う騎士。その姿に戦乙女たちは本能的な恐怖を感じ、思わず後退してしまう。
しかし、オフェリアはキッと目を鋭くして彼を睨む。
「……それで、相手は何者だったの?」
「奇特な翁の面を付けた剣士だ。ミラのルカティエルと名乗っていた」
「!? ミラの、ルカティエル……確かなのね?」
「ああ。聞き覚えが?」
「っ……貴方が知る必要は無いわ。しっかり殺したのでしょうね?」
「勿論だとも」
嘘は言っていない。確かに殺しはした。ただ相手が不死だという可能性を、騎士は彼女に伝えない。
その方が、面白いと判断したのだ。
「……そう。なら、良いわ。女王陛下への言い訳は考えておいてあげるから下がってちょうだい」
「冷たいなぁ……貴公らは、あの大砲男を捕り逃したというのに」
「なっ__」
何故それを。とオフェリアが目を見開く。
「この城内程度の範囲の探知くらいは容易い。にしても片方を俺に任せてそっちは総出で掛かってこの体たらく。真面目にやってるのか怪しくなるものさ」
「………………ッ!」
なじるような煽り。元より騎士に対して苛立ちを覚えていたオフェリアは苦虫を噛み潰したような表情でプルプルと身体を震わせる。
「まあいい……今は実に気分が良い。大人しく霊体化しておくとしようじゃあないか」
そう言って騎士の姿が消える。
「ハァ……どうしろって言うのよ」
残されたオフェリアはただ溜め息を吐くしかなかった。
◎
__負けた。
広大な雪原をほんのりと照らす“篝火”の前に、仮面の剣士は立っていた。
「………………」
壊れた指輪を外し、仮面の剣士は先程の戦いを思い返す。
油断はしていなかった。ただ相手は己が想定を遥かに上回る化け物だった。恐らく彼が出会ったことのある誰よりも、何よりも強く、恐ろしい存在だろう。
その力の一端を目撃し、理解した。アレは英霊の座に登録されている存在でも、サーヴァントとして召喚できる存在でもない。本来召喚されるべきだった英霊の器に割り込み、無理矢理その枠組みに収まっている存在なのだと。挙げ句に同じようなことをしようとし、逆に支配された巨人の末裔まで混在している……何をどうやってそんな理屈が罷り通っているか不思議でしょうがないが、だからこそあのような無茶をやってのけているアレは異常としか言えなかった。
「……解せぬな。一体何者だ?」
思わず疑問を口にする。正しく未知の存在。少なくともアレと類似する存在は仮面の剣士の記憶には存在しない。彼よりも古い不死ならばアレの正体を知ることができるのだろうか。
アレは驚くことに“ソウルの業”を扱っていたが、仮面の剣士の知るそれよりも古く、よりはじまりに近いように感じた。
即ち、古い時代。世界はまだ分かたれず、霧に覆われ、灰色の岩と大樹と、朽ちぬ古竜ばかりがあった。或いはそれよりも更に過去か__どちらにせよ、アレが“火の時代”が始まる以前の存在なのは明白だった。
あの神の怒りも、炎の嵐もかの時代に伝わる物と同じようで本質は全く違う。奇跡と呪術と明確に区別されていたそれらとは違い、どちらもその起源を同じとしていた。
巨人でも、竜でもない、初めて感じる力。ならば神か? 否、少なくとも火の時代やその後に生まれた神々とはあまりにもかけ離れている。
「__まあ、どうでもいい」
仮面の剣士が今まで闘い、殺してきた存在。それらは己の理解の範囲外な存在ばかりだった。
その由来、その来歴、その種族、そもそも名前すら知らず、後から僅かな事実が判明する者も居たが、未だに何者か解らぬ者も多く居る。
ただ立ち塞がるから。ただ襲い掛かるから。
己を敵と認識し、己が敵と認識する者。それが彼の闘うべき対象であり、殺すべき存在だった。
だからこそ、あの化け物のような騎士は何がなんでも倒さなければならない。例え幾度も死ぬことになっても__。
それに何よりも彼には使命があった。
あの霊長の意思とやらに騙され、長らく召喚されず、忘れ去られ、失われた彼女の名を再び世に知らしめなければならない。
「……とりあえずマスターに報告しておくか」
そう呟き、仮面の剣士は雪原を歩き出す。その指に嵌められた指輪の一つがきらびやかに輝いていた。
誓約【英霊の座】__。
彼の、“絶望を焚べる者”の行く先には、果たして何があるというのだろうか。
__それはまだ誰にも分からない。
イ ン フ レ
アラヤ「ワイと契約したらもっとミラのルカティエルの名を広められるで~」
絶焚べマン「ええやん。誓約結ぶわ」
アラヤ「やった戦力ゲットだぜw けど人の時代になってからこいつ知名度無いから喚ばれんわw」
絶焚べマン「もうこの世界で広める必要ないし別世界行くわ」
以上、ミラのルカティエルですさんが鯖になった経緯