異聞帯がロスリックだった件   作:理力99奔流スナイパー

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エルデンという男

 ◎

 

 

 一度死んで、甦る。

 

 その時、ある記憶を思い出した。

 

 否、知識と言うべきか。誰かも分からぬ、膨大な情報が濁流のように流れ込んでくる。激しい頭痛に襲われ、脳がパンクしそうになった。

 

 火の時代。不死人。火継ぎ。薪の王。ダークソウル。

 

 聖杯戦争。英霊。カルデア。人理焼却。魔神柱。人類悪。

 

 ただただ驚愕し、混乱し、困惑する。全てが信じ難きものばかりだった。けれど、本能的にそれが紛れも無き事実なのだと悟ってしまう。

 

 その果てに、理解する。理解してしまった。これまで起きたことから、これから起きることまで。

 

 世界は、悲劇なのだと。酷く憂い、嘆いた。

 

 故に、考える。己が未知なる知識を与えられた理由を。一体何をすべきなのかを。

 

 その答えを求め、探究の旅へと向かった。

 

 巨人の穴蔵へ忍び込み、禁忌の資料を漁った。

 

 南米で眠る水晶蜘蛛に接触し、その正体を知った。

 

 魔術協会が封印する、呪われた古い都を訪れ、そして啓蒙を得た。

 

 その地下深くにある神の墓を暴き、拝領した。

 

 今や忘れ去られた漁村を探し出し、秘密を暴いた。

 

 生まれながらに根源と接続する少女と出会い、舌を噛んで語り明かした。

 

 極東の島国へ向かい、かつて滅んだ小国へ赴き、その名残を貪った。

 

 かの時代の痕跡が残る場所を探して廻り、真実を確認した。

 

 それからもずっと旅を続け、世界各地を廻った。そこには様々な出会いと発見があった。

 

 多くを学び、知り、啓蒙を深めた。けれど、けれど、やはりこの世界には、ただ悲劇ばかりがあるのだと再認識する。

 

 人間性を捧げ、絶望を焚べ、死に祈り、

 

 __そして、遂に見つけた。

 

 暁が眠る、素晴らしき物語の果てを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◎

 

 

 __エルデン・ヴィンハイム。

 

 その名は、魔術世界において良くも悪くも有名だった。

 

 曰く、ヴィンハイムの天才。

 

 曰く、深淵の忌み子。

 

 曰く、快楽的破滅主義者。

 

 曰く、魂の探究者。

 

 曰く、突然変異。

 

 曰く、狂人。

 

 彼の姓であるヴィンハイムという一族は、“竜の学院”とも呼ばれ、最古の歴史を持ちながら魔術師たちの中でも異端とされる家系であった。

 

 それは彼らが魔術において変換不能で役立たずの栄養分とされる魂を魔力に変換させ、通常のものとは桁違いな威力を持つ魔術を行使するという彼らヴィンハイムの血統の者にしかできない特異な魔術を使用していたこと、そして何よりも大半の者が根源への到達を目的にするどころか興味すらなかったからである。

 

 自分たちの始祖である“白竜シース”の命題を解く。それだけを目的に彼らは魔術を究め、知識を貪る。第三魔法に近いその魔術を利用すれば根源への到達は不可能ではないというのに。

 

 エルデンは、そんなヴィンハイムにおいても異端とされる家系に生まれ落ち、数多くの禁忌の魔術に触れ、学んできたという。

 

 けれど、ヴィンハイムは彼を追放することはなかった。それどころか異端扱いをせず、高い地位を与えた。

 

 彼は、天才だったのだ。膨大な魔力量を持ち、難易度の高い“ソウルの魔術”を幾つも覚え、マスターし、一部の者しか使えぬ結晶魔術までも習得した。

 

 また研究熱心であり、ヴィンハイムでは既に失われ、文献にしか残ってないような魔術を再現し、復活させるという多大な功績をあげた。

 

 ヴィンハイムは実力主義。まだ若いエルデンだが、学長の地位にまで上り詰めるのは必然だった。

 

 彼が有名なのはそれだけが理由じゃない。彼は排他的なヴィンハイムにも関わらず時計塔の門を叩き、あのロード・エルメロイ二世に教えを乞うた。この時の魔術協会の騒ぎようは今でも語り草になっている。

 

 彼は、知識に対して貪欲過ぎた。世界各地を廻り、魔術だけでなく歴史、神話、遺物、ありとあらゆるものを徹底的に研究し、調べ尽くす。その姿は魔術師から見ても異常だった。

 

 更には遭遇した死徒や騒ぎを起こした魔術師を殺害。多くの事件に巻き込まれ、または関わり、故に彼の名を知らぬ魔術師は少ない。

 

 そんなエルデン・ヴィンハイムが、人理継続保障機関“フィニス・カルデア”に招かれた際は、誰もが何の冗談かと思った。

 

 しかも所長であるマリスビリー・アニムスフィア直々のスカウトであり、そこでも彼は優秀な成績を収め、Aチーム八人目のマスターに選ばれる。

 

 __そして現在。彼はその身を業火に焼かれていた。

 

「……熱い、いや熱いな、おい」

 

 燃え盛る炎の中、瓦礫の下敷きとなったコフィンの残骸の中から、それは這い出るように現れた。

 

 濃い青色のコートに身を包んだ、灰色にくすんだ髪が特徴的な青年。その姿は、瓦礫の下から出てきたにしては外傷が無く、平然としている。

 

 彼こそが、エルデン・ヴィンハイム。本来ならば居るはずのない八人目のクリプターに選ばれた男だ。

 

「……どうやら上手く行ったようだな」

 

 静かに笑う。彼は確かに死んだ。管制室を吹っ飛ばした爆弾によって、成す術無く、それはもうあっさりと。

 

 そして、生き残った数合わせの一般人と盾の英霊と融合した少女が手を繋ぎ、レイシフトしたタイミングを見計らって、“生き返った”。

 

 知っていたのだ、彼は。この日に起こること全てを知りながら彼は何もせず、人理を救う為に集った仲間たちの覚悟を踏みにじり、見捨てた。

 

 __あっさりと、何の感慨も無く。

 

「ッ……やはり生きていたか。エルデン・ヴィンハイム」

 

 その存在を顔を歪め、見据える男が居た。緑のシルクハットとタキシードを着用した紳士を思わせる男。

 

 レフ・ライノール・フラウロス。このカルデアを爆破した張本人であり、現代担当の魔神柱である。

 

「やぁ、貴公。見事な爆発だった。よくもまあ、バレずに仕掛けられたものだ」

 

「ふん……コフィンの中で存在が曖昧になっている状態ならばもしやと思ったが……つくづく化け物だな、貴様は」

 

「……それは心外だな、俺は一応人間さ。貴公も分かっているだろう?」

 

「ほざけ。貴様を人間だと言えたのは数千、数万年も昔の話だ。今頃になって先祖返りとでも言うのか? 全く以って馬鹿げているよ、おぞましい人間性の怪物が」

 

 忌々しげにレフは吐き捨てる。その顔にはエルデンへの怒り、嫌悪、不快感、そして恐怖と屈辱が滲み出ていた。

 

 既にこの身は人ではないが、少なくとも目の前の男よりはよっぽどマシだろう。そう思い、身震いする己が酷く腹立たしい。

 

「貴公。それが心外だというのだ」

 

 対するエルデンは、そんな罵詈雑言を気にする素振りすら見せず薄ら笑いを浮かべて語る。

 

「ならば人こそが、化け物と言えよう。どんなに長い時が過ぎようと、例えその“暗い魂”が枯れ果てようと、未だに神の枷を外せず落ちぶれようと、人の本質は変わっていない。貴公も分かっているはずだ」

 

「__黙れ。相変わらずの気狂いめ……生憎と貴様と人間談義をしている暇はない」

 

「……そうか。随分と嫌われたものだ」

 

 いくら罵声を浴びせようとも、エルデンはどこ吹く風。気味が悪い、レフは苛立った様子で舌打ちした。即座に八つ裂きにしてやりたかったが、それは王の意向に歯向かうことになるし、手こずるのは明白。あまりにもリスクが高過ぎる。三千年も費やした計画が水泡に帰すということだけはあってはならないことだ。

 

 そもそもどうやってもレフには彼を殺すことはできない。カルデアで彼の正体を把握してしまった時点ではもう、手遅れだった。

 

 故に、レフは激情を抑え込み、周囲の残骸と化したコフィンを確認する。内部に居る者たちは間違いなく死んでいる、その事実を改めて認識し、彼は口を三日月のように歪めて笑う。

 

「拍子抜けだな……一筋縄では行かぬと思っていたが、所詮は愚かで矮小な人間に過ぎなかったか……貴様と違い、あの真祖擬きも死んでくれたみたいで安心したよ」

 

 キリシュタリア・ヴォーダイム、芥ヒナコ、デイビット・ゼム・ヴォイド……あれだけ警戒していた面子は、あまりにも呆気無くその命を散らした。

 

 何と憐れなことか。レフは彼らを嘲笑する。

 

「……む、ヒナコも死んだのか? てっきり彼女も生き残るとばかり思っていたが」

 

「当たり前だ。奴はただ再生力が高いだけ……貴様のような正真正銘の不死とは違い、謂わば不死のような生き物に過ぎない。それでも生存する可能性はあったが、杞憂だったな」

 

「そうか……実に残念だ。人が滅んだ様を見れば、さぞ喜んだだろうに」

 

 あわよくば仲間に引き込むつもりだった。そう言いながらエルデンは交流を持った人ならざる少女へ黙祷する。

 

 意外にも彼は、少なからず罪悪感を抱いていた。己の目的の為に見捨て、犠牲にしてしまった彼らに対して。一部の者とは友情すら芽生えていたのだから当然だろう。

 

 けれど、それだけ。躊躇は無く、後悔も無い。彼はどうしようもない程に、狂っていた。

 

「さあ、我らの共犯者よ。これより私は特異点Fへ向かい、最後の仕上げを行う。それによってこの醜悪な人理は過去未来永劫一片足りとも残らず“焼却”される。我らが王の寵愛を失ったばかりに」

 

「……そうか。それは良い、とても良いな。やはり腐った絵画は焼かれるべきだ。故に、俺は貴公らをどこまでも肯定しよう。人から生まれし獣性よ」

 

 彼らの言う通り、この人類史という絵画は腐りかけだ。否、レフたちにとっては既に隅々まで腐り果てたという認識だろう。

 

 だから焼かねばならない。かつて、二つの灰が冷たい絵画へ火を灯したように。

 

「緩やかに腐っていくのは、見るに耐えない。一思いに焼き払い、新しく描き直す方が、よっぽどマシだ」

 

「その通り、その通りだとも。実に不愉快だが、貴様の意見に全くの同意だ。この星に寄生し、死に腐り続ける醜悪な虫けら共は消し去らねばならない。何故なら世界とは__」

 

「__悲劇なのだから」

 

 予測するようにエルデンが呟く。

 

「そう! そうだ! ならばこそ我らは世界を滅ぼさなければならない! 世界こそが悲劇だというのなら跡形も無く焼き尽すしかあるまい!」

 

 憎悪に満ちた、しかし満面の笑みを浮かべ、レフが叫ぶ。現代担当の“魔神柱”は、夥しい死という悲劇を築き上げる人類史に、人の有り様に我慢ならなかった。

 

 だからこそ、彼らは悲劇を消す為に、焼却するのだ。エルデンは静かに笑う。

 

「ああ。励みたまえよ。私は傍観しよう。貴公らは過去へ戻るなり、星そのものになるなり、好きにするといい」

 

「__貴様。どこまで知っている?」

 

「どこまでも__」 

 

 真顔になり、殺気立つレフ。そこには知り得ぬはずの自分たちの目的を知っていた男の得体の知れなさに対する驚きと焦りがあった。

 

 そんな反応に対し、エルデンはわざとらしく肩を竦める。

 

 人に“憐憫”を抱いた獣。エルデンは彼らの計画を全て知っていた。焼却した人理を燃料に、世界を創世記からやり直そうとしていることも何もかも。

 

 だからこそ、彼は賛同したのだ。人の世を、人の為に憂い、嘆き、悲しみ、人の為に滅ぼそうとする愛を知らぬ哀れな獣を。

 

 彼らの計画が失敗に終わることを知りながらも、七つの時代の英霊たちと縁を結んできた人類最後のマスターに敗北することを知りながらも__。

 

「けれど、世界を“灰”、或いは“闇”に戻すのならば、精々また“火”が灯されぬよう気を付けたまえよ」

 

 だからこそ、彼は忠告する。

 

「……度し難い、実に度し難い存在だよ、貴様は」

 

 憤りか、恐れか、小刻みに身体を震わせ、苦虫を噛み潰したような表情でレフは言う。

 

「だが、これだけは、これだけは言っておく……! 我らが王が作り上げる楽園に存在するのは完璧な不死。貴様のような不完全で、おぞましいものではない。断じてな……!」

 

「__そうか。それは良い、それは良いな。亡者ばかりが蔓延る闇の時代など、想像するだけで恐ろしい」 

 

 威圧するように吐き捨てた台詞。けれど、それに対してエルデンが見せたものはレフの予想とは違い、酷く安らかな笑みだった。

 

 これまでの薄ら寒さを感じる笑みとも違う、こんな表情ができるのかとレフは目を見開き、歯噛みする。

 

「ッ……もういい。長居し過ぎたな」

 

「行くのか__共犯者よ」

 

「ああ、行くとも。エルデン・ヴィンハイム……古い、古い人の末裔よ、協力してくれた礼だ。どこへでも行き、好きにするがいい。但し、我々の邪魔だけはしてくれるなよ」

 

 ギロリと睨み付け、レフは釘を刺す。けれど、エルデンは相変わらず顔に笑みを張り付けたままだ。

 

「分かっているさ……そうさな、暫くは眠っていよう。カルデアや他の連中に俺の生存を感付かれるのは些か面倒だ。貴公らもその方が都合が良いだろう?」

 

「……そうか。それがいい。監視する手間が無くなる」

 

 もう相手にしたくないといった様子でレフはそう言い、この場から去ろうとする。それに対し、エルデンは彼を、いや彼らを激励するかのように高らかに叫ぶ。

 

「__貴公らに、暗黒の魂(ダークソウル)あれ!」 

 

 それと同時に、辺りは光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◎

 

 

「__まさか二部があったとはな」

 

 火継ぎの祭祀場。

 

 かつて、そう呼ばれていた場所で、エルデンはただ座り込んでいた。

 

 視線の先には五つの巨大な玉座。そこには誰も居ない。遥か昔、玉座を捨て、故郷へ去った薪の王たちは灰の英雄によって狩られ、焚べられ、最古の火継ぎは再現された。

 

 けれど、火継ぎによる延命も火消しによる終焉も起こることはなく、火は奪われ、使命は失われ、今やそこは荒れ果て廃墟と化している。

 

 これでもエルデンが初めて訪れた時に比べればだいぶマシになっている。瓦礫は取り除き、崩落した階段の一部は修復し、一応は人が住めるまでにはなった。

 

「道理でキャラの濃い奴らだった訳だ。おまけに黒幕は上位者……しかも違う道を歩んだ並行世界とは、規模の大きなことをやってのける」

 

 エルデンは思い返す。カルデアが憐憫の獣(ゲーティア)を倒し、人理を救済するまでの間、肉体は眠りに付かせ、来るべき時を待っていた。

 

 けれど、そこで自身の知らない展開が発生した。

 

 __“異星の神”。

 

 __“クリプター”。

 

 __“人理の漂白”。

 

 __“異聞帯(ロストベルト)”。

 

 __“人理再編”。

 

 正に怒涛の展開。少なくともエルデンはこのような事態に至ることを知らず、予想もしていなかった。Aチームの面々の死亡は己自身がしっかりと確認したのだ。まさかこうも容易に蘇生させられるとは思ってもみなかった。

 

 おまけに管理を任された異聞帯は“火の時代が現代まで続いてしまい、世紀末と化したロスリック”……もはや地獄が可愛く見えてしまう。溜め息しか出ない。

 

 しかし、いくら己と縁が深いとはいえ他の異聞帯と比べてあまりにも異質過ぎる。

 

 こんなものはあり得たかもしれない人類史とは到底言えず、繁栄は不可能。それこそ滅ぼしてしまうことでしか先は無いだろう。

 

 あの神を騙る“上位者”は何を考えているのやら。エルデンは疑問に思わざるを得ない。

 

「何をしている、マスター」

 

「ん?」

 

 すると背後から声をかけられる。

 

 振り向いてみれば、マントの付いた白い厚着の教服を身に纏い、包帯が巻かれた武骨な大剣を背負った男が立っていた。

 

「ああ、セイバーか。なに、少しばかり考え事をしていた。どうしてこうも予想外の事態ばかり起きるのかと、な」

 

「ふむ……出来事というものはいつも突然だ。理由は後になって気付く。私の経験談から言うと、予期せぬことというのは然程珍しいものでもない」

 

「……そうだな。貴公が言うと、説得力がある」

 

 __剣士(セイバー)

 

 そう呼ばれた彼は、この異聞帯でエルデンが召喚した“八騎”のサーヴァントの内の一角である。

 

 これまで召喚してきたサーヴァントの中では、このセイバーは良識的な部類であり、実力も申し分無く、生前の偉業を知るが故に、エルデンは彼に対して絶対的な信頼を寄せていた。

 

「予想外で当たり前。予想出来てしまう未来など、酷くつまらぬものだというのはあの哀れな少女が証明していた。そう考えれば、今の状況は好機と言えよう……俺は漸く、この素晴らしき物語の登場人物となった訳だ」

 

「…………? それは、どういう意味だ?」

 

「……ああ、いや、ただの戯れ言だ。気にするな」

 

 そう言ってエルデンはふと天井を見上げる。そこには屋根が崩れ落ち、大穴が空いていた。

 

 __そして、そこから見える“青ざめた血の空”には“闇の刻印(ダークリング)”のような皆既日蝕が浮かんでいた。

 

 滅びを回避した世界? 違う、この世界はもう、とっくの昔に腐り果ててしまっている。時空が歪み、過去と未来、夢と現実が入り雑じったイカれた世界だ。

 

 だからこそ、面白い。

 

「__斯くして、“深淵の監視者”、“神喰らいのエルドリッチ”、“巨人のヨーム”、“王子ロスリック”はそれぞれの故郷へと去り、“大王グウィン”もまた古い王たちの地へと向かった」

 

 六人の薪の王たち。復活した彼らに呼応するかのように、あちこちで“縁ある者たち”が現界し、跋扈する。

 

 ファランには古老が率いる魔術師たちと番人たちが、イルシールでは法王とその傘下が__。

 

 更には“火の無き灰”たちも鐘の音と共に再び目覚め、王狩りの旅を強いられ、汎人類史の英霊たちもまた抑止力によって召喚されている。

 

 多くの勢力がこのロスリックの地に集い、争う。それはクリプターであるエルデンも例外ではなく、火を継いだ偉大なる王たちに対抗する準備を進めていた。

 

 王たちは、真実を知った。故に、彼らはその欺瞞に満ちた玉座を捨てた。

 

 ある者は戦いに備え、ある者は貪欲に力を求め、ある者はただ傍観することを決め、ある者は終わりを望み、ある者は約束を果たす為に。

 

「ならば我々は我々の計画を実行するとしよう。安らかな滅びを迎えなかった世界に今こそ、祈りと救いを__」

 

「……マスターの意のままに」

 

 異聞帯? 空想樹? 異星の神? __くだらない。至極どうでもいい。だが、精々便乗させてもらおう。骨の髄まで利用し尽くす。

 

 火から闇へ。神から人へ。時代は移り変わった。ならば人もまた終わりを迎えることは当然の道理。人の時代の終わり。それは全面的に肯定するが、再び神々の時代へ戻すなんてのは、論外。愚の骨頂である。

 

 ただ歴史を繰り返すだけだ。(ロンド)のように。

 

「__腐り果てた絵画は焼かれるべき。貴公もそう思うだろう? ◼️◼️◼️」




オ リ 主 無 双

するかは分かりません。セイバーの正体は分かる人ならすぐ分かるあの人です。
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