異聞帯がロスリックだった件   作:理力99奔流スナイパー

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ワルキューレで一番好きなのはオルトリンデちゃんです^ ^


炎の剣

 ◎

 

 

 __人の本質は、“渇望”である。

 

 まだ時計塔に居た頃、きっかけは忘れたが、彼がそんなことを言っていたのを覚えていた。

 

 人間は生まれながらに何かを渇望し、追い求め、しかし手に入れても満たされず、また欲する。

 

 かつて、神の子が持ち去ったそれや人類悪の獣が司るそれが人が背負いし“原罪”だと言うのならば渇望とは罪ではなく、正しく人の本質であり、“人間性”そのものと言えよう。

 

 だからこそ、人は解り合えない。争い、奪い合う。そんな血で綴られた歴史を幾度も繰り返す。そして、その結末はどれも悲劇的なものばかりだ。

 

 度し難い生き物だと、彼は笑う。あの時は、その意味をよく分からなかったけれど、今なら分かる。

 

 __私もきっと、何かを渇望している。

 

 だけど、それだけ。私は求めていながら、手を伸ばせない。ずっと、ずっと弱いまま。助けてなんて言わないのに、助けてくれるのを待っているだなんて、本当に馬鹿な女だ。

 

 もし私に少しでも勇気があれば、この想いを伝えたら、彼は私の手を握ってくれたのだろうか? 

 

「怖いか? オフェリア」

 

 悪魔(セイバー)は、そんな私を見て嗤う。

 

 脳裏に過るのは、あの狩人と呼ばれていた黒ずくめのサーヴァント。私の胸の中には彼への恐怖心が確かに刻み込まれており、思い出すだけで身震いしてしまう。

 

 __遷延の魔眼。未来視の一種であらゆるものの可能性を視て、一度視た可能性をピン留めする……要するに都合の悪い事象の発生を先伸ばしにすることが出来る私の持つ、宝石級の能力__その力は英霊にすら有効だ。

 

 しかし、あのサーヴァントの可能性を視ようとしたとき、おぞましいものを視た。何か、蠢く触手のようなものが視界を遮り、魔眼も効果を発しなかったのだ。

 

 可能性が遠過ぎて届かない、なんてことは何回かあったけど、こんな異様なことは今まで一度も無く、だから恐ろしくて堪らなかった。

 

 エルデンのセイバーが助けてくれなければ、きっと私は今頃……想像するだけで顔が青くなっているのが自分でも分かる。

 

 ああ、何もかもが、思い通りに行かない。

 

 久しぶりに会ったマシュは、見違えるほど強くなっていた。話すことは出来なかったけど、きっとあの頃には無かった人間性を身に宿している。

 

 あの藤丸立香という少女も、何の力も持たないはずなのに私なんかよりも、ずっと強かった。エルデンの言う通り、彼女は紛れも無く人理を救った英雄なのだと再認識させられる。

 

 カドックもきっと、こんな気持ちだったのね。自分たちの方が長く一緒に居たのに、彼は言葉を交わしたこともないはずの彼女を初めから評価し、認めている節があった。

 

 妬ましい。本当に、妬ましい。マシュの心だけではなく、エルデンまで惹き付けるなんて……。

 

 何で、何で、そんなにみんな強いの? 私には分からない。分かるはずがない。

 

「クク。奴ら、どこで知ったか“炎の館”へと向かい、封じていた汎人類の戦乙女を解き放ったようだぞ? あの小娘三人が騒いでいた」

 

 いつになく、悪辣に満ちた口振りだった。彼はこの状況を明らかに楽しんでいた。

 

 ……あの笑みは偽物だ。口調も、仕草も、性格も、感情すらも彼が取り込んだ炎の巨人王を真似ているだけの紛い物。本当の彼がどんな人格なのか__私は、知りたくない。

 

 第六架空要素。人の願いに取り憑き、その願いを歪んだ方法で成熟せんとする、正しく人智無能の存在__以前はスルトをそう誤認したけれど、まさか本当にそんな存在に目を付けられるなんて思わなかった。

 

 もっと早く気付いていれば。いや、彼を召喚し、視てしまった時点でもう、手遅れだったのかもしれない。

 

「あの小娘も盾を修復していた。どうする? もはや戦乙女共ではいくら束になろうとも止められぬぞ? オフェリア」

 

 うるさい。それなら、貴方が行けば__。

 

「良いのか? 奴らは既に、俺を殺すだけの力を獲ているぞ? 俺が死ねば困るのは貴公だろうに」

 

 ____。

 

 それは嘲りだった。そして漸く気付いた。己が、致命的な勘違いをしてしまっていたことに。

 

 北欧の大英雄を喰らい、炎の巨人王すらも乗っ取った存在。普通ならば何よりも危険視しなければならないそれを看過し、曲がりなりにも自らの騎士と錯覚し、信頼してしまう。

 

 そんな過ち、普段の私が犯すはずがないのに。

 

 ああ。私は最初から__。

 

「遂に戦乙女が二騎、スルーズとヒルドが斃された。当然の結末だ、彼らはもうすぐこの城へやって来るだろう。楽しみだなぁ、オフェリア?」

 

 うるさい。うるさい。うるさい。

 

 戦乙女の統率個体が二騎も討たれた。けれど、分かり切っていた話だ。あの狩人に加えて、ブリュンヒルデまで仲間に引き込まれたのだから。

 

 ああ、また、来てしまうのね。マシュ、貴女は。駄目よ、駄目。来ないで、来ないで、来ないで。

 

 このままじゃ殺されてしまう。貴女じゃ彼は倒せない。いや、倒したら駄目なのだ__。

 

 全部、何もかも台無しになってしまう。

 

 やめて。

 

 お願い。

 

 __逃げて。

 

「クク……ここ最近はずっと愉しいことばかりだ。この退屈極まる異聞帯も、終わりが近いのかもしれない」

 

 悪魔が、囁く。

 

 背筋が寒くなる。呪詛が身体を蝕み、私から正常な思考が奪われていくのを実感する。……いや、違う。そう気付いた時点でもう手遅れだったんだ。

 

 最初からずっと、彼を召喚した時から呪詛は私の身体に纏わり付き、知らず知らずの内に浸食していた。

 

 ああ。私は、どうしたら__。

 

「貴公にとってそう、日曜日の訪れが近い。……だろう? オフェリア」

 

 ____!? 

 

 日曜日が、また来るというの……? 

 

「ああ、本当に愉快だ。貴公が、俺のマスターで本当に良かった。お蔭で充分に楽しめたぞ……しかし、そろそろ潮時だ」

 

 嫌、嫌、嫌。

 

 どれだけ祈っても日曜日はやってきてしまう。また私を閉じ込めるの。

 

 なんで、どうして。誰か、誰か。

 

 ごめんなさい、エルデン、誰か助けて__。

 

「__さらばだ、オフェリア・ファムルソローネ」

 

 私の意識は、闇に沈み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「__シグルド?」

 

 氷の城、再びカルデアが侵攻し、混沌とした戦場と化したその場所にて。狂える戦乙女__ブリュンヒルデは、眼前に立つ騎士に瞠目しながらそう呟く。

 

 その姿は自身が愛した男とは似ても似つかない。しかし、この魂は紛れも無く__。

 

「……ほう。俺からシグルドの気配を感じ取ったか」

 

 対する騎士は、感心した様子で笑う。

 

 それを見て理解した。姿こそ違えど、自身が愛した男が、そこに居ると。そして、彼の霊基を変質させ、乗っ取っているのが今喋っている存在なのだと。

 

「ふむ、殺意が愛とな? これまた難儀な魂をしている」

 

「__ッ! 貴方は__お前は、誰だ……! そこで、何をしている……!?」

 

 ブリュンヒルデが叫ぶ。

 

 同時に彼女の手に持つ魔銀の大槍が巨大化する。愛した男を、その肉体に入り込んだ存在を貫く為に__。

 

「クク……どれ。身体を好きに使わせてくれた礼だ。その愛、受け止めてやろう」

 

「__死がふたりを分断つまで(ブリュンヒルデ・ロマンシア)!」

 

「__来い」

 

 騎士はただ笑い、避けようともせずに両手を広げる。突然の行動に戦況を見ていた立香は疑問を抱く。

 

「ッ!? 止せ__」

 

 少し離れた場所でマシュたちと戦闘していた聖剣は、その行動に気付くなり直ぐ様止めようとするが、もう遅い。

 

 __大盾と見間違う程の巨刃は、騎士を切り裂いた。

 

 炎が、燃え上がる。

 

「 クク 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 __漸く、漸くだ。

 

 __やっとこの忌々しい肉体から脱け出せる。窮屈な大神の牢獄からも解き放たれる。

 

『ああ。存分に暴れるがいい。巨人よ』

 

 __気に食わんな。貴様にとっては、すべて娯楽という訳か。

 

 __召喚に割り込んだのも、騎士を演じたのも、命令に従っていたのも、俺の炎を使ってみせたのも、カルデアとかいう連中を生かしたのも、そして俺のオフェリアを呪ったのも。

 

 __実に腹立たしい。反吐が出る。

 

『勿論。貴公を解き放つのも、その方が面白くなると判断したまでのこと』

 

 __ふん……精々楽しんでおくがいい。俺のモノに手を出した罪は、いずれ支払ってもらう。

 

 __星の次は、貴様を灼き尽くす。

 

『そうか。それは楽しみだ。貴公という存在は存外俺を楽しませてくれる。ちっぽけなヒトの女に惹かれた破壊の巨人。破壊しか知らぬが故に、なにも返せぬ憐れな男よ』

 

 __黙れ。

 

 __貴様に分かるものか。ヒトも、巨人も、神も、世界も、すべて等しく餌としか見ていない貴様に。

 

 __生命を玩び、その魂を貪り喰らうことしか能がない貴様などに、俺の心を理解出来る訳が、されていいはずがない。

 

 __これは、俺だけの心だ。俺だけのモノなんだ。誰にもくれてやるものか。

 

『フッ 随分と酷い言い様だな。では、お言葉に甘えて貴公の演目を見物するとしようか』

 

 __ああ、そこで見ていろ。

 

 __悪魔を殺す者(デーモンスレイヤー)よ。

 

 __今こそ、終末の続きを。

 

 __あの女の為に。

 

 

「 さあ、果たそう! 約定を! 」

 

 

 __安心しろ。

 

 __おまえは、俺が守る。今度こそ。

 

 __俺はおまえの剣なのだから。おまえは俺のモノなのだから。

 

 __それが、俺が返してやれる、唯一の__。

 

 

「 見せてやるぞ、オフェリア。おまえに。俺の__星の終わり(炎の剣)を 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「__ん?」

 

 真っ先にそれに気付いたのは、オルトリンデ率いる戦乙女の大群を狩り殺していたフォーリナーだった。

 

 程無くして皆に伝わる熱気。空を見上げれば宇宙空間の手前に座す偽りの恒星が、ぐねぐねと脈動を始めていた。

 

 何かが、生まれ落ちようとしていた。

 

(あれは……あの獣の騎士、デーモンスレイヤーの中に燻っていた輩が、遂に解放されたか)

 

 __デーモンスレイヤー。

 

 それが思考の瞳で啓蒙したかの騎士の名だった。

 

 悪魔殺し。初めは何の冗談かと思った。アレこそが、悪魔に等しい存在と言えるのに。然れどフォーリナー自身も上位者を狩る上位者なので他人のことなど言えないだろう。

 

 一目視た瞬間から、その異様さを理解出来た。サーヴァントという小さな器の中に、三つの魂が入り雑じっており、そのうち二つを巨大な一つの魂が支配している。

 

 あまりにも歪で、醜い。初めて対峙した時に殺せれば良かったとずっと思っていたが、魂の一つが肉体へと戻り、こうして降臨したのを見れば結果論だが、殺さないでおいて良かったと言えよう。

 

 どちらにせよ、もはや無意味なことだが。

 

(__実に忌々しい。が、狩り応えのある獲物が、また増えたと思えば存外愉快だ)

 

 あれは決して太陽ではなく、むしろ地中の奥底にて揺蕩うマグマが如きものであり、その実もっとおぞましいものだ。

 

 炎によって形成された濁流が蠢き、そして落ちていく。

 

 地上へと__。

 

「……でかいな」

 

 太陽が落ちる。火炎が落ちる。

 

 ずるりと穴から這い出てきたのは、巨大な人型。フォーリナ-は不敵な笑みを浮かべ、その巨影を見据えた。

 

 巨人__けれど、その偉容は他の有象無象とは比べ物にならない。

 

 あらゆる巨人を超越する巨駆。

 

 あらゆる生命を蹂躙する炎熱。

 

 確かにその名を、啓蒙した。

 

 北欧神話の終焉たるラグナロクの要たる、神殺し。

 

 北欧異聞帯において唯一の灼熱を司る、火炎領域ムスペルヘイムの支配者にして破壊の化身。

 

 炎の剣。

 

 黒き者。

 

 終わりの火。

 

 神々を殺し、やがて大地のすべてを灼き尽くす者。

 

 __“炎の巨人王 スルト”__。

 

「そん、な……」

 

 戦乙女の、最後の統率個体であるワルキューレ・オルトリンデはその巨影を見上げ、絶句していた。

 

 当然だろう。共に戦っていた騎士が、自身の姉の手によって倒されたかと思えば五千年も封印していた破壊の化身が、復活したのだから__。

 

 確かに恐ろしい騎士だとは思っていた。得体の知れぬ悪魔のような存在だとは思っていた。スルーズたちが抱く嫌悪感も納得していた。

 

 しかし、しかしだ。まさかその中身がスルトだと、誰が予想出来ようか。

 

「__まだ狩りの最中だぞ、眷属」

 

「あっ……」

 

 故に、その隙だらけな首は、フォーリナ-によって容易く切断され、宙を舞う。

 

 この男、どこまでも容赦が無かった。

 

「……さて、と。王というのは伊達ではないようだな」

 

 光の粒子となって消えていく首無し死体に対して一瞥もくれてやることなく、フォーリナ-が辺りを見渡せば、見覚えのある巨人種たちがぞろぞろと現れ、こちらを取り囲んでいた。

 

 霜の巨人(ヨトゥン)山の巨人(ベルグリシ)火の巨人(ムスペル)__それらは拘束具であった仮面が外れており、女王の支配から脱却し、かつての王の復活に馳せ参じたようだ。

 

 目的は、あの戦争の続きを、あの終焉の続きを行うことのみ。その為に彼らは王により自身を殺害し得る邪神の如き狩人の足止めを命じられている。

 

「____」

 

 しかし、彼らはその命令を遂行する前に何かに切り刻まれ、物言わぬ屍と化す。

 

「……何者だ?」

 

「__ミラのルカティエルです」

 

絶望を焚べる者__ミラのルカティエル

 

 啓蒙したはずの名を、無理矢理塗り潰しながら仮面の剣士はそう名乗った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「……遅かったか」

 

 騎士の霊核が砕け、偽りの太陽から這い出てきた存在に聖剣は顔をしかめる。

 

「おいおい……何だぁありゃ……?」

 

 ナポレオンがぼやく。先程まで熾烈な戦いを繰り広げていた一同は皆その巨影に釘付けになる。

 

 聖剣は、その隙を突くような真似はしなかった。

 

「北欧神話において炎の巨人といえば一つしかあるまい」

 

「まさか、あれがスルトか? ラグナロクでおっ死んだんじゃなかったのかよ」

 

「ああ。この世界では、違うようだ。差詰めあの女王が封じていたのだろう」

 

 まさか、あの本物よりもずっと近い位置に浮かぶ正体不明の太陽の正体が、北欧神代の終焉をもたらした炎の巨人だったとは。

 

 そして、その復活は聖剣にとっても予期せぬものだったらしい。

 

「……同盟者の身が危ういな」

 

「え?」

 

 ぽつりと漏らしたその言葉にマシュが反応する。同盟者__聖剣がそう口にする人物はただ一人しか居ない。

 

「あの、オフェリアさんの身に何が……?」

 

「……私としたことが、元より呪われ人のマスターを相手にしていたせいで感覚が麻痺していた。彼女の異常を認識しても、そういうものだろうと納得してしまった」

 

「ッ__どういうことですか?」

 

「言ってしまえば、彼女は呪われている。強く、しかし感付かれないようゆっくりと着実に、その身を呪詛に囚われたのだろう。あの騎士、延いては巨人スルトによって」

 

「そんなっ……!?」

 

 顔を青くするマシュに対し、聖剣はどこまでも落ち着いた様子で炎の巨人王を見据える。

 

「もはや滅びは目前。しかし、予定調和とはいえこればかりは看過できないな」

 

「? どういうことだ?」

 

 突然の呟きにナポレオンが首を傾げ、尋ねる。

 

「我が師により、北欧異聞帯の命運は決定付けられていた。滅びようが、滅びまいが至極どうでもいい事象だ。だが、同盟者、オフェリア・ファルムソローネの死、それだけは何が何でも回避しなければならない。私の信用に関わる問題だ、彼女の守護こそ、我がマスターに与えられた役目なのだから」

 

 すると聖剣はその得物を変形機構のある大剣から、無骨な大剣へと持ち替える。豪華で凝った意匠のあったそれとは違い、ボロボロの包帯が巻かれたみすぼらしい見た目であるが、それは仮初めの姿に過ぎない。

 

 __聖剣が、その刀身を撫でる。

 

「ッ……何だ、そりゃ……?」

 

「____」

 

 解き放たれるは、美しい水晶の刃。

 

 マシュは瞠目し、宇宙の深淵の如き煌びやかな青い輝きに目を奪われた。

 

 __綺麗。

 

 そのような言葉しか出てこず、それしか言い様が無い。あまりの神々しさに、彼女は魅了される。

 

「我が師、導きの月光よ__」

 

 ぶわり、とフードが靡く。僅かに覗かせた爛れた皮膚と濁り、蕩けた片目は光を失いながらも、荒ぶる炎の巨人の姿を確かに捉えていた。

 

 その輝きは、獣に人間性を与える。

 

「よく分からんが、オフェリアを助けるってことだよな? なら、俺も加勢するぜ」

 

「……ほう? 良いのか、フランス皇帝」

 

 先程まで殺し合いをしていたとは思えない程にナポレオンは気さくにそう言って大砲を構える。これには意外だったのか聖剣も一瞥した。

 

「ああ。今は敵の敵、つまり味方だってことだろ? それにそろそろ“とっておき”の出番だろうしな」

 

「……フッ 良いだろう。来い、可能性の男(ナポレオン)よ」

 

「ああ! 行くぜ、オーララ──!!」

 

 そう言い、二人はスルトへと突貫する。

 

 遂に封じられし炎の巨人王は目覚め、現代の戦乙女は囚われ、今正に心折れようとしていた。星見たちも、氷雪の女王も、狩人も、絶望を焚べる者も、総力を以てこれを討たんとするだろう。

 

 終わりの始まり。その終わりもまた、近い。

 

 __けれど、それを為すのはこのどれでもない。

 

 雷鳴が、嵐が、やって来る。




展開ちょっと駆け足気味かな……。

三大オリ主クリプター小説で噛ませにされるキャラクター

1カイニスくん

2スルトくん

あと一人は……?
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