2018年7月に投稿した「ラバナスタのレックス、ダルマスカを救う」を推敲した製本版「ラバナスタのレックス、ダルマスカを救う。」の冒頭20ページです。
(pixivに投稿したもの
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=12607405
と同じものです同文ですが、柱を太字にしました)
1行を27字で改行しています。
読者さまの閲覧環境によっては、意図しない改行が生じるかもしれません。
本文の表記について──
◯ ロケーション名・ゾーン名・上記ゾーンのある地点(時間の指定)
人物名「(意中や不言)発言(意中や不言や遮られた発言)」
▼ ……ステータス効果の発生と解除
(回想)……回想シーン
(フラッシュ)……ごく短い回想
[ ]……プレイヤーが実行すること
〈 〉……画面に表示されるメッセージ
♪ ……BGMの指定
「ラバナスタのレックス、ダルマスカを救う。」序盤約60ページは下記のリンク先からダウンロードできます(PDFファイル。無料)。
https://engp4737.booth.pm/items/1654771
◯ ナルビナ城塞内部・空中庭園(夜)
ダルマスカ王国のバッシュ・フォン・ローゼンバーグ
将軍率いる一隊が、アルケイディア帝国軍兵士たちを
全員倒し、内郭へ通じる階段へ駆ける。
◯ 同・内郭(夜)
バッシュ、内郭上空で警備していたアルケイディア軍
の小型飛空艇レモラを、ミストナックの〝闇と暗黒の
衝撃〟で撃墜する。
◯ 同・中層(夜)
バッシュ隊が駆ける。
◯ 同・最上階へ至る階段(夜)
バッシュ隊の一員であるレックス、バッシュたちを先
行させるために、急迫したアルケイディア兵三人を引
き受け、倒す。
◯ 同・最上階(夜)
レックス、突き当たりの大扉を開ける。
◯ 同・大広間(夜)
レックス、床のあちこちで倒れて動かないダルマスカ
兵たちと、奥で肘掛け椅子に座ったまま動かないダル
マスカ国王ラミナスを認め、人の気配に振り返り、返
り血を浴びたバッシュと至近距離で向かい合う。
バッシュ「祖国を売る者を生かしてはおけぬ。国王であれば
尚更だ」
レックス、バッシュの手で片手ダガーを突き立てられ
た腹を見下ろし、苦痛と絶望で歪んだ顔を上げる。
◯ タイトル
◯ ガラムサイズ水路・最終処理区画(夕)
人相の変わったレックス。
(タイトルを挟んだ前シーンからのオーバーラップ。
双眸の位置と鼻の大きさは変わらない)
旧ダルマスカ王国の王都ラバナスタの地下に広がる水
路。
拡張に拡張を重ねたため、迷路と化している。
魔物が跋扈している。
太陽石を用いた角灯が各所で灯っているため、明るさ
がある。
[戦闘方法のチュートリアル]
[ウェアラット3体との戦闘、勝利]
★レックスの与ダメージ加算値=1~89
(この加算値は、物理攻撃または魔法攻撃を行ったと
きに、体内のミストを無自覚に実体化させて敵にダメ
ージを与えるレックスの特異性を表すもの)
声「安心したよ、レックス」
レックス「?」
と、声のほうを振り向く。
男「仕事を任せられそうだ」
レックス「仕事?」
男「まだ労ってやったほうがいいか?」
レックス「言ってくれ、トマジ」
トマジ「昼過ぎから水の出がちょっと悪くなっててな。プリ
ンどもの仕業だろうから討伐してもらいたい。今夜は執政
官殿の着任を盛大に祝うから、ちょっと悪いくらいでも困
るのさ」
レックス「執政官?」
トマジ「アルケイディア帝国西方総軍司令、ヴェイン・ソリ
ドール。なんで二年も経ってから着任するのか不思議だけ
どな。昼の演説は見物だったぞ。私が憎いなら憎んでくれ
て構わない、亡きラミナス国王が願ったダルマスカの平和
が実現されるならば喜んで承ろう、って具合だ」
レックス「(歯が浮くような台詞だな)」
トマジ「プリン討伐は執政官殿のためじゃないぜ、ダルマス
カの平和のためだ。報酬はちゃんと出る。さらに」
と、荷袋をレックスの前に下ろす。
レックス「?」
トマジ「門出の祝いだ」
レックス、荷袋から取り出した片手剣を吟味して、
「もっといいのを買えるくらいに砂海亭が繁盛してる、って
わけだ」
トマジ「ははは。売っちまうよりはいいだろ?」
レックス「すまないな、いろいろ」
トマジ「それから、これもだ」
と、隠し(ポケット)からスターフルーツを取り出す。
レックス「もう、そんな季節か」
トマジ「ああ」
と、レックスにスターフルーツを手渡す。
〈トマジのお古を手に入れた!〉
[装備方法のチュートリアル]
トマジ、スターフルーツを食べているレックスに、
「プリンが出るのは、だいたいこのあたりだ」
と、ガラムサイズ水路の見取り図の、一区画を指して、
「あいつらは〝緑色の液体〟を落とすから持ち帰ってくれ。
それが討伐完了の証しになる」
レックス、スターフルーツを食べ終え、トマジから水
路の見取り図を受け取る。
トマジ、レックスの顔をまじまじと見つめる。
レックス「そろそろ見慣れてくれ」
トマジ「おまえがレックスだと頭では分かってても、目がま
だ疑うんだ」
レックス「俺も二年前に見たものを疑いたいよ」
トマジ「(呼び起こしちまった)」
レックス「行ってくる」
と、トマジに背を向けて歩き出し、頭の横で手を振る。
[ガラムサイズ水路・ゾーンaへの移動と、魔物との
戦闘]
◯ 同・ゾーンa(夜)
レックス、宙に浮いて青く輝く多面体に触れる。
[セーブクリスタルのチュートリアル]
[セーブをする、または、しない]
レックスがセーブクリスタルから離れた直後に轟音─
─天井とエアバイクとヒュムの女Aが落ちてくる。
レックス、女Aに駆け寄ろうとするが、上方から大声
が降ってきて、とっさに身を隠す。
声「あとでいい! あがく連中が先だ!」
レックス、天井に空いた穴から地上の戦闘の騒音や怒
号が聞こえる中を、警戒しながら女Aの元に行き、気
絶している彼女を力を振り絞って抱き上げて、地上の
物音が──反対に自分が立てる声や物音も地上に──
届かないゾーンへ、おぼつかない足取りで必死に移動
する。
◯ 同・ゾーンaの隣のゾーンb(夜)
レックス、女Aをそっと下ろし、彼女の頬を軽く叩い
て、
「おい」
女A、はっと気づいて、
「誰!?」
と、驚いて、周囲を見回し、上体を起こし、両手をあ
ちこち動かして、体や腰巾着の無事を確かめる。
レックス「俺が聞きたい」
女A「(名乗るとでも?)地下に落とされた不運な女、でい
いかしら?」
レックス「じゃあ俺は、不運な女を助けた奇特な男、でいい
な?」
女A、自嘲の笑みを浮かべ、立ち上がる。
レックス、女Aの無事な姿に、
「じゅうぶん幸運じゃないか」
アルケイディア兵A「いたぞ!」
レックス「待て! 俺たちはハンターだ!」
アルケイディア兵A「ヴェイン様を狙うハンター、だろう、
反乱軍?」
[アルケイディア兵3体との戦闘、勝利]
女Aはレックスのアザーメンバーとして参戦。
レックス「反乱軍になった気分は?」
女A「素敵。出口は?」
レックス、水路の見取り図を見て、
「こっちだ」
と、駆け出す。
女A、レックスのあとを追う。
〈女Aがゲストに加わった!〉
[ガラムサイズ水路・ゾーンcへの移動と、魔物との
戦闘]
◯ 同・ゾーンc(夜)
に、レックスと女Aが入ると同時に、別のゾーンから
女Bと彼女を追ってきたアルケイディア兵たちも入っ
てくる。
レックス「今度は信じて(くれるといいんだが)」
アルケイディア兵B「あそこにもいたぞ!」
女A「だそうよ」
[アルケイディア兵4体との戦闘、勝利]
女Bはレックスと女Aのアザーメンバーとして参戦。
女B「助かったわ。あなたたちは(誰? なぜここに?)」
レックス「逃げ切ってからだ」
と、走り出す。
女A「後悔しない進路を選ぶのね」
と、レックスに続く。
女B、自分の来た経路と男女の現れた経路を見、男女
の去った経路に慌てて駆け出す。
〈女Bがゲストに加わった!〉
[ガラムサイズ水路・ゾーンdへの移動と、魔物との
戦闘]
◯ 同・ゾーンd(夜)
広いゾーン。
大量の水が大きな貯水槽に間断なく、激しく流れ落ち
ている。
レックスたち三人がこのゾーンの中央あたりまで進む
と、入ってきた経路と行こうとした経路が鉄格子で封
鎖される。
レックス、訝しんで水路の見取り図を見て、
「申しわけない。俺の当初の目的地に来ちまった」
女A「どういうこと?」
軟体生物が天井から落ちてきたり、貯水槽から這い上
がってきたりする。
レックス「こういうこと」
[プリン4体との戦闘、勝利]
〈緑色の液体を手に入れた!〉
女A「こんなときにお仕事なんて、ずいぶん余裕あるのね」
レックス、どこかへ這っていくプリンの核から目を離
さずに歩きながら、
「ご協力に感謝するよ。言葉で足りなきゃ、報酬を三等分し
よう」
女B、鉄格子で封鎖された、行こうとした経路へ走る。
女A「逃げ切れなければ頂くことも遣うことも(できないわ
よ?)」
女B、鉄格子を揺するが、開けられない。
レックス、貯水槽へ飛び込む。
◯ 取水路(夜)
レックス、上方から流れ落ちる大量の水のせいでゾー
ンdからは視認できなかった、ほの暗い取水路に上が
る。
取水路は水の流れが弱く、水位を一定に保つ構造にな
っている。
レックス、真っ直ぐに伸びる取水路の先を見、プリン
の核が取水路にいるのを認め、貯水槽へ飛び込む。
◯ ガラムサイズ水路・ゾーンd・貯水槽(夜)
レックス、水煙から顔を出し、貯水槽の縁で見下ろし
ている女Aと女Bに手招きをして、取水路側へ戻る。
◯ 取水路(深夜)
レックス、女Aと女Bが取水路に上がるのを手伝う。
女A「なんなのよ!」
レックス「なんでプリンの一団が時々出現するのか? 水路
の外から侵入するのか、あるいは」
と、プリンの核を指し示して、
「逃げ切って増殖するのか」
女A「とどめは?」
レックス「逃げ道を教えてくれたのに? なあ?」
と、プリンの核を右手で掴み上げ、手のひらに載せた
とたん、プリンの核が溶けて消えてしまう。
女A「あら」
レックス「ん、後憂を絶ったってことにしとくか」
と、取水路を奥へ歩き出す。
女B「待って」
レックス、立ち止まって振り返る。
女B「この水路がどこに通じているか知っていて進むんでし
ょうね?」
レックス「王都の水源は、地下水と北部を流れるネブラ河だ。
で、この水路は北に延びてる」
女B「ネブラ河から水を引く水路がこんなに細いとは思えな
いわ」
レックス「逃亡者三人の活路にはじゅうぶん太いと思うが、
ああ、俺が仕切ってるのが気に入らないんだな?」
女B、顔をしかめる。
女A「今のところ追っ手を振り切れているわね」
と、女Bを見る。
レックス、取水路の壁に寄りかかって、
「アルケイディアを待たせちまうな」
女B、レックスをひと睨みし、無言で取水路を奥へ進
む。
女A「もっと言い方があるでしょうに」
レックス「こんな状況でも機嫌を取れって? お姫さまじゃ
あるまいし」
女A「女を皆、お姫さま扱いしてごらんなさい。あなたの人
生、上手く回るわよ」
と、奥へ進む。
レックス「やれやれ」
と、ふたりを追う。
[岐路のない取水路の移動と、魔物との戦闘]
◯ 同・部屋(深夜)
セーブクリスタルを設けた空間がある。
レックス「気をつけろよ。セーブクリスタルに触れた直後に
天井が崩れたことがあったばかりだからな」
女A「私はないわ。一息入れましょう」
[セーブをする、または、しない]
セーブクリスタルから離れた直後に、アンデッドが出
現。
[スカルウォリアー2体との戦闘、勝利]
レックス「おい」
女A「いいじゃない、倒せたんだから」
女B、戦利品である片手剣と盾を検分して、驚きの声
を小さく漏らす。
レックス「そんなにいいもんなのかい?」
女B「ええ。はい、この二つ、あなたが装備して」
レックス「なんで?」
女B「似合うからよ。そう思わない?」
と、女Aを見る。
女A「そうね。今のより箔は付くわね」
レックス「どうした、気味悪いぞ?」
〈スカルウォリアーの剣とスカルウォリアーの盾を手
に入れた!〉
[スカルウォリアーの剣とスカルウォリアーの盾を装
備する]
トマジのお古よりも攻撃力と防御力が上がる。
レックス「ん、悪くない」
女B「でしょう? さ、行きましょう」
と、奥へ進む。
レックス、女Aに小声で、
「なんで風向きが変わった?」
女A「さあ。でも、いいじゃない、不機嫌よりは」
レックス「いいじゃない、いいじゃない」
女A、レックスをひと睨みする。
[取水路・取水口のある空間への移動と、魔物との戦
闘]
◯ 同・取水口のある空間(深夜)
赤暗く照らされた広い空間。
奥のほうで水の流れ落ちる音がする。
高い天井から、光源だった火球が舞い降り、馬の姿に
なる。
[ブッシュファイアとの戦闘、勝利]
ブッシュファイア、火球に戻り、上昇して天井で静止
する。
レックス「なんだったんだ?」
女B「あの火球、ブッシュファイアは、覇王レイスウォール
の次男、バナルガンの愛馬よ。取水路を装った、この王族
の隠し通路を守っていたのね」
レックス「(なんで断言できる? 何者だ?)」
女B「先刻戦ったスカルウォリアーは衛兵の変わり果てた姿。
あなたに渡した盾はちょっとした荷船としても使えるもの
よ」
レックス「(俺は衛兵か)そのブッシュファイアだが、俺た
ちを本気で排除しようとしなかったのは、ここを通る資格
を認めたから、ってことかい?」
と、女Aと女Bをじっと見て、
「腕力の点でも、血筋の点でも」
女Aと女B、無表情。
レックス「俺は取水口からネブラ河に出られると思ってたん
だが」
と、北側の壁の上方を指差して、
「あんなに小さいんじゃ出られない。もしここがほんとに隠
し通路なら、まだ先があるはずだ」
[出口を探す]
[東側の壁にこぶし大の暗色の石(陰石)が嵌め込ま
れているのを発見する]
女A、女Bに、
「太陽石を使ったアクセサリ、ない?」
女B、首飾りに手をかけるが、急にレックスのほうを
向いて、
「スカルウォリアーの剣!」
と、レックスが差し出そうとした片手剣を奪い取り、
その柄頭の中に隠されていた太陽石を露わにし、壁の
陰石にかざす。
光を得た陰石よりも下の壁が人の通れる大きさだけ崩
れ、通路が現れる。
レックス「乱暴な仕掛けだな」
女B「でも抜かりはないわ」
と、スカルウォリアーの剣をレックスに返し、現れた
通路に入る。
女Aとレックス、続く。
◯ 隠し通路(深夜)
レックスたち三人が真っ暗な通路に入ると、背後で壁
が再構築されて入口が閉ざされ、壁の陰石が光を失い、
通路の天井に等間隔で嵌められた陰石が光を得て、通
路内が淡く照らされる。
レックス、先頭に立って、
「この方角だと(東に延びてるから)」
女A「ナルビナ城塞かしらね。アルケイディア支配下の」
レックスと女B、無言。
女A「とんだ活路ね」
[隠し通路の移動と、魔物との戦闘]
レックス「なんか、嫌な空気だな。感じないか?」
女A「この三人の、かしら?」
レックス、苦笑するが、すぐに思案顔になる。
[隠し通路の移動と、魔物との戦闘]
レックス、通路の壁と床が崩れて穴が空いた箇所を認
めて、
「向こうはどこだ?」
と、穴を覗き込むが、うめき、慌てて穴から離れ、息
を整える。
女B、穴を覗き込んで、
「高いところはお嫌い? おそらく、バルハイム地下道。王
都とナルビナのあいだに敷設された物資運搬用の鉄道よ。
ここから魔物が入るのね」
レックスの反応を訝しむ女A。
[隠し通路の移動と、魔物との戦闘]
通路の行き止まりに、陰石が嵌め込まれている。
レックス「覚悟はいいかい?」
女A、女Bに、
「バナルガンが愛でていたのは馬だけ?」
女B「愛犬がいたわ、カイザーウルフという名の」
レックス「お先にどうぞ」
と、脇に退き、スカルウォリアーの剣の柄頭の中の太
陽石を行き止まりの陰石にかざし、陰石の下を崩す。
女B、レックスを軽く睨んで穴をくぐる。
女A、レックスを軽く蔑んで女Bに続く。
レックス、どこ吹く風とふたりに続く。
◯ 地下空間(深夜)
取水路・取水口のある空間よりは、狭く、天井も低い。
レックスたち三人が入ると、くぐったばかりの穴が閉
じ、四方で灯った明かりが中央の巨大な犬を浮かび上
がらせる。
[カイザーウルフとの戦闘、勝利]
戦闘終了後、この空間への入口とは反対側の壁に設け
られた扉が解錠される。
その扉の向こうから、砂が流れるような音が聞こえる。
カイザーウルフ、中央でうずくまる。
レックス「躾がいいこった」
[扉を開けて、先へ進む]
◯ 地下通路~地下階段(深夜)
砂が積もった狭い通路。
その奥のセーブクリスタルが青い光を放っている。
[セーブクリスタルの横にある長い上り階段を上った
先の、青い光が届かない、行き詰まる地点までの移動]
レックス、試しに天井を押し上げたら天井が持ち上が
ったので上方に進めると判断し、天井だった板状の岩
を一旦下ろして、女Aと女Bに、
「探ってくる」
と、板状の岩をそっと動かし、上に出る。
◯ ナルビナ城塞地下牢・地下雑居房(深夜)
アルケイディアは、このナルビナ城塞の基部を改築し
て、牢獄として利用している。
レックス、隠し戸である板状の岩を閉じて、高窓から
月光が差して明暗のはっきりした空間を慎重に探る。
寝ていたり死んでいたりする囚人たちや、出入口に隣
接した番所に詰めるアルケイディア兵たちを認め、奥
へ進む通路の前でなにか嫌な感じを覚えたそのときに、
奥から明かりと鎧のきしる音が来たためにその場を離
れ、現れたアルケイディア兵ふたりが番所へ入るのを
見届け、隠し戸に戻る。
◯ 地下階段(深夜)
レックス、隠し戸を閉め、階段を下りて、
「アルケイディアに捕まる手間が省けたぜ。上は牢獄だ。囚
人連中が床にごろごろしてる。一つしかない出入口でアル
ケイディア兵六人が寝ずの番をしてる」
女A「だったら、来る途中にあった穴を落ちなければならな
いのかしら?」
レックス「それだ!」
女A「本気!?」
レックス「そうじゃない。奥に行く通路のそばで、あの穴を
覗いたときと同じ、空気というか気配というか、そういう
奴を感じたんだ」
女B「自分の臆病を思い出したのではなくて?」
レックス、女Bに微笑を返して、
「バルハイム地下道に出られるんじゃないかな?」
女Aと女B、顔を見合わせる。
レックス「落ちるよりはいいだろう?」
と、階段を上り、隠し戸を押し上げる。
◯ ナルビナ城塞地下牢・地下雑居房(深夜)
閉めた隠し戸の下で、砂が流れるような音がする。
[ナルビナ城塞地下牢・地下独居房入口への移動]
◯ 同・地下独居房入口(深夜)
鉄格子の扉が行く手を阻んでいる。
レックス、音を立てないように押したり引いたりする
が、扉は開かない。
女A、レックスをそっと押しのけて、装備していた金
の髪飾りを外し、扉の鍵穴に差し込み、幾度か動かし
て解錠し、扉を開けて、ふたりを通すあいだに金の髪
飾りを装備し直して、通り、扉を閉める。
[ナルビナ城塞地下牢・厳重警戒区域への移動]
◯ 同・厳重警戒区域(深夜)
月光の差さない通路。
[光る紋様が表面に描かれた大扉への移動]
レックス、光る紋様が表面に描かれた大扉の前で深呼
吸して、
「この奥だ」
女A「魔法で封印(すべきものがこの先に?)」
レックス「こいつでは?」
と、柄を上にしてスカルウォリアーの剣を突き出す。
女B「無駄よ」
レックス「ふう、これが実は見せかけ、ってことは(ないか
ね?)」
と、大扉に右手を押し当てる。
光る紋様がレックスの右手に吸い取られるように消え、
大扉が少し開く。
レックス「あるんだな」
と、大扉をゆっくりと押して、開く。
女B、中に足を踏み入れる。
女A、レックスの横を通るときに怪訝な表情で彼を一
瞥する。
◯ 同・厳重警戒区域・釣り籠の間(深夜)
ごく弱い明かりが灯っている。
室内中央に、欄干で丸く囲われた暗闇の空洞がある。
レックス、大扉を閉じる。
女B、室内をざっと見回して、
「出口はどちら?」
レックス、うめき、膝を折る。
女B「ちょっとどう(したのよ)」
女A「あなたもしかして(ミストに酔うの?)」
声「誰だ?」
レックス、声のほうに頭を傾げる。
女A、女Bと顔を見合わせて警戒するが、女Bを制し
て、
「あなたは?」
声「そう尋ねるということは、アルケイディアの者ではない
な?(収監されて間もない者たちか?)ここは君たちが来
ていい場所ではない。時折、ジャッジマスターの訪問を受
けるからな」
女B、声を聞き、記憶に引っかかるものの正体を探っ
て顔をしかめ、思い当たって目を剥いて、
「バッシュ・フォン・ローゼンバーグ!」
と、欄干に囲われた暗闇の、声が発せられたほうへ大
股で行く。
驚く女A。
バッシュ「なぜ私の名を(知っているのだ?)」
女B、欄干から身を乗り出す。
底の窺えぬ大きな竪坑の口に、滑車と鋼索(ワイヤロ
ープ)と巻き揚げ機(ウインチ)で宙吊りにされた金
属製の籠が四つある。三つは空だが、大扉に最も近い
一つに、女Bに名を呼ばれたやつれ気味の男が閉じ込
められている。
バッシュ、欄干の上から覗く女Bの顔を見上げて、
「アーシェ殿下!」
得心したように微笑を浮かべる女A。
バッシュ「生きておられたのですか!」
アーシェ「貴様はなぜ生きている、バッシュ!」
と、得物を掴み、狙いを定めて、
「父の仇っ」
と、吐き捨てるように言った直後にレックスに制止さ
れる。
レックス、苦しげに、
「俺の仇でも、あるんだ。独り占めは、見過ごせない」
女A、バッシュを収容している釣り籠を巻き揚げ機で
巻き上げはじめる。
バッシュ「君は?」
レックス、あえぎながら、
「そう尋ねるってことは、覚えてませんね、罪を?」
女A、アーシェとバッシュが正対する高さまで、バッ
シュの釣り籠を巻き上げる。
レックス、アーシェを制していた手を離し、息荒く、
「同時に、で、手を打とう」
と、得物に手を伸ばす。
バッシュ「教えてくれ、私の罪がなん(なのかを)」
アーシェ「国王殺しだっ!」
バッシュ「私ではないのです(殿下!!)」
アルケイディア兵C「どうなっている? ん!?」
と、開いた大扉の前で角灯を掲げる。
レックス、瞬く間にアルケイディア兵ふたりに迫る。
[アルケイディア兵2体との戦闘、勝利]
▼レックスにステータス効果の狂戦士が発生する。
アルケイディア兵2体はレックスのみを狙う。
レックス「口を挟むからだっ」
と、動かないアルケイディア兵ふたりに怒声を浴びせ、
得物を手にしたまま、早足でアーシェの横に戻って、
「仕切り直しだ」
バッシュ「話を聞い(てくれ!)」
アーシェ「黙れ!」
女A「口を挟むわよ。今すぐ逃げない? 戻らないふたりが
多勢を呼ぶのは時間の問題だもの」
レックス、舌打ちし、得物を収めて、
「この籠に乗れ」
女Aとアーシェ、戸惑う。
レックス「将軍の下が地下道に通じてるんだよ」
女A、大きく溜息をついて、
「結局落ちるのね」
と、欄干を踏み台にして籠に上り、アーシェを見下ろ
して、
「上手く行けば」
と、籠を叩いて、
「手を汚さずに済むわよ」
アーシェ、得物を収め、自力で籠に上る。
レックス「将軍にとっちゃあ、吊られてたほうが幸せなんで
しょうがね」
バッシュ「君に賭ける」
レックス、鼻であしらい、巻き揚げ機の曲軸(ハンド
ル)をかかりから外す。
籠が落下しはじめる。
レックス、欄干を飛び越え、鋼索を伝い、籠の上に降
り立つなり、
「しがみつけ!!」
レックスたち四人が籠にすがった直後に、籠は、穴が
空いていた竪坑の底を破り、煉瓦や岩を砕いて失速し
て、止まる。
◯ バルハイム地下道・配電整備区画(深夜)
非常灯の緑の明かりが灯っている。
▼レックスのステータス効果の狂戦士が解除される。
レックスたち四人、瓦礫や籠から這い出し、落下地点
から離れる。
レックス、一息ついて、
「無事か?」
と、発声したとたん、嘔吐し、屈み込む。
バッシュ「どうした!?」
と、介抱しようとそばに寄る。
レックス、バッシュの介抱を拒むように手を振り上げ
て、
「なんでも(ないですよ)」
と、再び嘔吐する。
女A「あなた、ミストに酔ったんじゃない?」
レックス、あえいではえずくを繰り返す。
バッシュ「ヴィエラのようにか? ヒュムでは聞いたことが
ないぞ」
女A「ここのミストが牢獄に流れていると気づいたのよ?」
バッシュ「どうすればいい?」
女A「ここのミストに慣れるとか、外に出るとか?」
バッシュ「ならば私が担いで行こう」
レックス「構わず(行ってくれ)俺は、追われてないんだ」
バッシュ「どういうことだ?」
女A「そのままの意味よ。私たち逃亡者のために血路を開い
てくれる奇特な男なのよ」
バッシュ「ならばなおのこと君を見捨ててはおけぬ。衰えて
はいるが、騎士としての務めを(果たさせてはくれまいか)」
アーシェ「父を殺しておいてまだ騎士と言うか!!」
バッシュ「殿下、私では(ないのです)」
レックス「その話題は、取っといてくれ。元気なときに、加
わりたい」
アーシェ、怒りを堪える。
レックス「何度も止めて、悪いな。不満で満腹だろ?」
女A「落ちてきた穴は塞がったから、真上からは追ってこな
いとして」
と、アーシェを見て、
「ここがバルハイム地下道なら、ラバナスタに通じているの
よね、王女様?」
アーシェ、不意に問われて女Aを見、答えを求めて思
わずバッシュを見てしまって決まりが悪くなり、目を
逸らす。
バッシュ「王都まで行かずとも、東ダルマスカ砂漠に出る駅
がある」
女A「外へは出られる?」
バッシュ「それを確かめに行こう。さあ」
と、レックスに肩を貸すために屈む。
レックス、立ち上がる手がかりを探り、なにかにすが
り付き、立ち上がろうと体重をかけるが、その手がか
りが突然下がって尻餅をつく。
バルハイム地下道内に明かりが灯る。
レックスたち四人、眩しそうにする。
女A「まだ生きていたのね! ミストが活用される前に動力
源の主流だった電気よ」
電灯の明かりが弱まる。
女A「あら? もしかして」
と、配電整備区画内を探し歩く。
女A「いたわ。これ、バッテリミミック。電気を吸収して蓄
える性質があるのよ」
電灯の明かりがさらに弱まる。
女A「でも、こうすれば」
と、バッテリミミックを倒す。
配電整備区画内の明るさが戻る。
女A「ね?」
電灯の明かりが、再び弱まる。
女A「他にもいるようね。アンデッドに必要以上に現れてほ
しくないなら、道々バッテリミミックを倒して、地下道の
明るさを保てばいいわ」
〈バッシュがゲストに加わった!〉
[バルハイム地下道・第4ターミナル接続路への移動
と、魔物との戦闘]
レックスはひどいミスト酔いのせいで──
①走れない
②バッシュの介助を受けて移動する
③不利なステータス効果(混乱、睡眠、スロウ、ドン
アク、ドンムブ、猛毒)が断続的に複数、発生する
が、経過時間と移動距離に応じて快方に向かい──
④バッシュの介助を必要としなくなる
a並んで歩く
レックス「ひとりで」とバッシュから離れる
b併走
レックス「走れそうだ」
c独走(通常の移動が可能になる)
レックス「いい感じだ」
⑤不利なステータス効果が発生しなくなる
aまず、数が減り(④aと連動)
b次いで、一つだけになり(④bと連動)
cそして、まったく発生しなくなる(④cと連動)
◯ 同・第4ターミナル接続路(未明)
バッシュ「具合はどうだ?」
レックス「恩に着ますよ、将軍」
★レックスの与ダメージ加算値=144
バッシュ「ならば誤解を解く頃合いかな?」
レックス「この先が通じてなかったときの暇つぶしの種にし
ませんか?」
と、アーシェに向かって、
「いいだろう?」
アーシェ「(落ち着いてからでも遅くはないわ)ええ」
バッシュ、落胆を堪える。
◯ 同・第4ターミナルステーション(未明)
[ミミッククィーンとの戦闘、勝利]
天井や壁が崩れてくる。
アーシェ「急いで!」
と、駆け出す。
レックスたち三人、続く。
女A「この先になにがあると思う?」
レックス「陽射しがいい!」
◯ 東ダルマスカ砂漠・地下道出入口(日の出)
レックス、大きく深呼吸して、
「こんなに気持ち良かったのか」
女A「将軍、詠嘆を取られたわよ」
アーシェ、周囲を見回して、
「崩落の音を聞かれたかもしれない」
バッシュ「こちらです」
と、駆け出す。
レックスたち三人、続く。
◯ 同・砂紋の迷宮(払暁)
[コッカトリスの群れとの戦闘、勝利]
レックス「コッカトリスをファイアで仕留めたら食えそうな
んだが、誰か(使えないかい?)」
女A「それよりも寝たいわ、寝台で」
レックス「王都の開門にはまだ早い。暇つぶしでもしよう」
と、三人を見、バッシュと目を合わせて、
「俺は、二年前の陛下救出作戦のときに、将軍の部隊にいた
んですよ」
バッシュ「!? 名は?」
レックス「元部下としては、思い出してくれたほうが嬉しい
んですがね」
バッシュ「(誰だ?)」
レックス「作戦は順調だった」
◯ (回想)ナルビナ城塞内部・空中庭園(夜)
ダルマスカ王国のバッシュ・フォン・ローゼンバーグ
将軍率いる一隊が、アルケイディア帝国軍兵士たちを
全員倒し、内郭へ通じる階段へ駆ける。
◯ 東ダルマスカ砂漠・砂紋の迷宮(払暁)
レックス「飛空艇を撃墜した、将軍のあの技は凄まじかった。
なんです、あれは?」
バッシュ「ミストナックだ」
◯ (回想)ナルビナ城塞内部・内郭(夜)
バッシュ、内郭上空で警備していたアルケイディア軍
の小型飛空艇レモラを、ミストナックの〝闇と暗黒の
衝撃〟で撃墜する。
◯ 東ダルマスカ砂漠・砂紋の迷宮(払暁)
レックス「中を進んで」
◯ (回想)ナルビナ城塞内部・中層(夜)
バッシュ隊が駆ける。
◯ 東ダルマスカ砂漠・砂紋の迷宮(払暁)
レックス「最上階への階段で、追ってきた敵兵を俺が引き受
けて、将軍たちには先を急いでもらった」
はっと思い出すバッシュ。
◯ (回想)ナルビナ城塞内部・最上階へ至る階段(夜)
バッシュ隊の一員であるレックス、バッシュたちを先
行させるために、急迫したアルケイディア兵三人を引
き受け、倒す。
◯ 東ダルマスカ砂漠・砂紋の迷宮(払暁)
バッシュ「君はレックスなのか!?」
と、レックスを凝視する。
レックス、不敵な微笑をバッシュに返し、アーシェに
視線を移す。
アーシェ「売国奴のレックス!」
と、レックスに詰め寄る。
レックス「撤回してくれ。生き証人だ」
アーシェ、右手で平手打ちを放つが、レックスに左手
で受け止められる。
アーシェ「あなたが生き延びて証言などしていなければ!
あなたが死んでいれば!」
レックス、右のこぶしでアーシェを殴ろうするが、迫
ったバッシュにこぶしを掴まれる。
レックス「さすが将軍。ちょうどこんな距離でしたね」
と、バッシュに掴まれたままの右手を下ろして、
「俺を刺したのは」
と、バッシュに顔を向ける。
レックスを睨むバッシュ。
× × ×
(フラッシュ)
レックスを見つめる、返り血を浴びたバッシュ
苦痛と絶望で顔を歪ませるレックス
× × ×
驚きと動揺で表情をこわばらせるレックス。
バッシュ「どうした?」
レックス「ほくろがない」
バッシュ「左の目尻にか? それはジャッジ・ガブラス、私
の双子の弟だ」
アーシェ、驚く。
女A、できすぎた話に鼻で笑う。
レックス、左手で掴んでいるアーシェの手を離し、バ
ッシュに掴まれている右手をバッシュの手から振りほ
どいて、数歩後退る。
バッシュ「あとを引き継ごう。私も生き証人なのだ。殿下に
とっては売国奴かもしれませぬが」
と、アーシェを一瞥し、レックスを見据えて、
「君に敵兵を任せてからはこうだ。最上階を進んで大広間に
突入したが、上座でうなだれる陛下しかおられなかった。
私は、動かれる様子のない陛下に駆け寄ろうとして罠を踏
んで言動を封じられ、部隊の者たちは、柱の陰から現れた
ガブラスに、私と同じ武装をしたガブラスに皆(斬り殺さ
れた)惨劇を見ることしかできなかった私は、何者かに暗
がりに引っ立てられ、さらに目撃させられた。ガブラスが、
遅れて入ってきた君を刺し、駆け付けた者たちに取り押さ
えられ、ヴェイン・ソリドールに悪罵を浴びせ、連行され
るのを」
レックス、床から見上げた場景──武装したふたりに
ひざまずかされた者が長髪の男とその従者たちに見下
ろされる──を思い出す。
バッシュ「そして、私も連行されて、囚われの身となった」
と、アーシェのほうを向いて、
「これがあの夜の真相です」
アーシェ「それが事実なら、フォスラーも騙されたことにな
るわね」
バッシュ「!?」
アーシェ「遠回りを強いられて大幅に遅れたので、大広間に
行く前に、隠し通路を通って、覗き穴から大広間の様子を
窺ったら、あなたが彼を」
と、虚空を見つめるレックスを一瞥して、
「刺して、大広間にやってきたジャッジたちに捕まり、ヴェ
インを罵倒して、連行された、と」
バッシュ「(フォスラーはあのとき生還できたのか)今、彼
女は?」
アーシェ「無事なら(解放軍の隠れ家に)」
と、警戒心から女Aのほうへ顔を動かす。
女A「あなたがヴェインの暗殺に失敗してアルケイディア軍
に追われている反乱軍の一員だという私の推測が間違って
いなければ、お話を続けても秘密がこれ以上露わになるこ
とはないわよ?」
アーシェ「解放軍です」
バッシュ「殿下(彼女の話は本当なのですか?)」
アーシェ「ええ(彼女の言ったとおり)あなたと出会ったの
も、ここに一緒にいるのも、逃走中の偶然でしかないのよ」
と、レックスを見る。
レックス、自分を嵌めたアルケイディアと、結果的に
偽証した自分自身とに対する怒りで、まだ上の空。
女A、レックスを見て、
「自分の真実が将軍の真実にひっくり返されたのが余程応え
たようね」
バッシュ「レックス、レックス!」
レックス、自分を呼んだ声のほうを向くが、アーシェ
とバッシュが視界に入って顔を逸らし、自嘲して、
「王女さんの言うとおりだ。俺が生き延びてなけりゃ(ダル
マスカがアルケイディアに支配されることもなかった)」
バッシュ「私たち三人はここにこうして逃げ延びることがで
きなかっただろうな」
レックス、バッシュのほうを向いて、
「逃げなきゃならない状況を作ったのは俺でしょう? もっ
とましな今が、七〇六年があったかもしれないとは思わな
いんですか?」
バッシュ「過去は変えられぬ。今を望むかたちに変えていく
のだ」
レックス、バッシュの前向きな姿勢に打たれて、
「強いんですね」
バッシュ「ああ。生きているからな」
と、レックスに歩み寄り、励ますようにレックスの肩
に力強く手を載せて、
「さあ、王都まで連れていってくれ」
レックス、呆れ気味に、
「すぐそこですよ?」
バッシュ「験担ぎだ。私たちが無事なのは君が先導してくれ
たからだ。さあ」
レックス、観念して歩き出す。
[王都ラバナスタ・東門への移動と、魔物との戦闘]
東ダルマスカ砂漠・砂原の天板やナルビナ城塞市街地・
西郭門前、ギーザ草原・ギーザス川沿岸南側へ行こう
とすると、
バッシュ「どうした? 進路が違うぞ」
◯ 王都ラバナスタ・東門(早朝)
アルケイディア兵たちが警備している。
陸路を来た商人やハンターたちが開門を待っている。
レックスたち四人、東門から距離を置いて待つ。
バッシュ「殿下、私を解放軍の皆に引き合わせていただけま
せぬか?」
アーシェ、諾否を迷って渋面を作る。
バッシュ「レックス、君も来てくれ」
レックス「?」
バッシュ「皆に真相を伝え、共に戦うために」
表情に怒気を滲ませるアーシェ。
レックス「王(女さん)」
と、言いかけて周囲を見回して、
「あんたはまだ、疑ってるのかい?」
アーシェ、レックスに強い眼差しを向けるが、返答は
しない。
レックス「俺の証言は要らないようです」
と、東門を見る。
バッシュ「ではこれからどうするのだ?」
レックス、東門を見たまま、
「ハンター稼業を続けます。おおごとに巻き込まれないよう
に警戒しながら」
レックスに軽く失望したバッシュ、女Aのほうを向い
て、
「さて、君が何者かを知っておく必要があるな」
女A「ないわよ」
バッシュ「解放軍にまで追われることはあるまい」
女A「いいわ。名はルクリア、空賊よ。ゆうべ、どこかの誰
かが騒ぎを起こさなければ、もっと満足のいく戦果を上げ
られたのに」
と、アーシェに笑顔を向け、襟元から首飾りを引き出
して見せびらかす。
アーシェ「あなた(宝物庫に侵入したのね?)」
バッシュ「ほう、見る眼はあるようだな。殿下、ご存じです
か?」
アーシェ「(知っているかどうかが今重要なのか?)」
バッシュ「あれは、ラスラ様の生誕を記念して我が国に贈ら
れた品の一つです」
アーシェ、驚く。
ルクリア、顔を一瞬こわばらせる。
バッシュ「陛下が直々に、宝物庫の品々の由縁を教えてくだ
さったのです」
と、ルクリアを見つめて、
「ダルマスカが再びダルマスカとなったら、君を追わねばな
らぬな」
ルクリア「そのときは彼の助けを借りるわ、験を担いで」
と、自分の腕をレックスの腕に絡める。
東門が開かれる。
レックス、ルクリアの腕を気怠げにほどいて、人の出
入りが始まった東門に力なく進む。
ルクリア「ではお二方、お達者で。合流できる仲間も場所も
残っていることを祈るわ」
と、アーシェとバッシュに手を振り、東門に軽快な足
取りで歩いていく。
苦笑を漏らしたバッシュと、ルクリアの背を睨み付け
るアーシェ。
バッシュ「殿下、お願いいたします」
と、頭を下げる。
アーシェ、東門に無言で進む。
バッシュ、顔を上げ、アーシェに付き従う。
〈ルクリアたちがパーティーから離脱した……〉