気弱な同僚の護衛役 作:名無しの盾役好き
ーーー同僚の後輩にゲームを誘われた
これでもかなり不器用な性格だと思っているのだが、オロオロしていた後輩を見かね、助けてみたらそれ以降なにかと頼られる様になって、先日恩返しと言われ、とあるゲームに誘われた、それが事の顛末なのだが
「私で良いのか? ゲームなぞやった事が無い」
「先輩だから、誘ったんです」
私も私だが、後輩も中々不器用だ、だがまあ、折角の恩返しの機会、失わせる訳にはいかないな
「わかった、ならばしよう、時にプレイヤーネームと戦法については聞いて良いか? お互いが被ったら大変だ」
「…確かに、私は名前をミィに、戦法は魔法特化にします」
「そうか、なら攻撃から身を守る盾となろう、どのみち器用なことは出来そうにない、あぁ、名前はシルトにしよう、ではゲームで」
「はい、ゲームで」
さて、慕ってくれる後輩1人、護れずなにが先輩か、とりあえず、ゲームなぞやった事が無い身だが、彼らの様に、防御に専念するしか無いな
「ふむ、遅くては庇えない、ならばAGIに20で試すか」
20の速度は普段より早い程度、これならば心配は要らんな、後はVITに80全て、これならば庇い易そうだな、短刀は抜かぬだろうが、最悪殴るしかないか
「しかし、初心者の服とは、本当にそのままだな、村人とそうかわらん」
「初心者が村人より良いの着てたら変ですよ、先輩」
「む、ミィ君か、すまない、待たせたか?」
「いえ、私も先ほど設定を終えた所です、それより先輩、補給を済ませたら早速」
「あぁ、だが先に防御を学んでも構わないか? どうにも盾が落ち着かなくてな」
「普段持ってる人が居ませんからね、わかりました、気の済むまで、付き合います」
「すまない、だが感謝する」
補給、と言ってもポーションのみ、どの程度ダメージが入るかも未知数ならばなるべく敵が居て、ミィ君が暇しない程度の場所を探さなくてはな
「ふむ、ここならば遮蔽物も少なく、適度に相手が居るな」
「はい、では先輩」
「あぁ、戦闘開始だ」
山岳地帯、点在する岩山、少なくとも奇襲は空からのみ、地面は平坦、これ程練習のしやすい所もない、早速出てきたアルマジロの様なモンスターの突進を受け、横に流す、盾で一瞬視界が悪くなり、受け流した先でアルマジロのボウリングが開始された、これはやってしまったな、敵が増えた
「む、すまない、敵は3体に増えた、上手く出来るかわからないが、1体に攻撃を集中してくれ、分散させると面倒だろう」
「そうですね、では、ファイアボール!」
「後ろのミィ君と、HPの減ったアルマジロの前からは少し外れて、こうか」
時間差で襲うアルマジロを流し、受けて、ミィ君の邪魔にならぬ様に、ミィ君が魔法を当てやすい様に調節をしていく、3体が減っては増え、減っては増えを繰り返し、気付けば1時間、ミィ君は途中から私が渡した短刀で切りつけたりしていたが、それでもミィ君には一度もダメージを負わせていない、だがヒヤリとした場面は幾つかあった、要修行…む
「絶対防御にジャイアントキリング…か」
「ジャイアントキリングは私も出ました、しかし絶対防御…ですか?」
「あぁ、取得条件は自分で攻撃行為を行わず、1時間耐えること、なるほど、短刀をミィ君に渡して正解だったな、効果はVIT2倍だそうだ、初期値でも216、ジャイアントキリングで倍なら432、しかしAGIが40、調節が必要だな」
「4倍…ですか、ならば安心ですね、流石に最初のエリアにそれ以上の攻撃を行えるモンスターが居れば、ゲームバランスが可笑しくなってしまいますから」
「確かにそうだな、これなら私にポーションは不要だな、ミィ君に渡したいのだが」
「いえ、先輩が守ってくれるので、大丈夫です」
「む、そう言われては、自信が無いが、可能な限り守らせて貰おう」
それからは特に変わりが無いが、AGIの倍加に伴い速さに振り回された、だが感覚は掴んだ、これならば絶対と言い切れそうだ
「先輩、かなり器用なことしますよね」
「む、そうか?」
先ほどの状況ならば、目の前から来た攻撃を弾き、カバームーブで背後からミィ君を狙った攻撃を防御、更にカバームーブを行い、3体目の攻撃を防ぐ、そして4体目はミィ君の魔法が直撃して消えた、これは器用なことだろうか?
「…無自覚ですか」
「防御以外…考えてはいないだけなのだがな」
なぜか、ミィ君に呆れられてしまった…なぜだ