気弱な同僚の護衛役 作:名無しの盾役好き
あっ、記念すべき10話です、ようやっと2桁ですよ
さて、スパルタの王に勝利したは良いのだが、どうやら道を間違えた様だな、平原が地獄絵図となっていた
「まさか、ここまでプレイヤーが1ヶ所に集中するとは」
「まずいですね、シルト、メダルを全て、一時的に預けます、だから」
「いや、無い、ミィはそこで私の支援を、私はーーー」
ーーー絶対に退かない
飛んでくる魔法を、ミィに向かうものと、貫通効果のあるもの以外をその身で受ける、ある程度前に進み、その場で歩みを止める
「遠からん者は音に聞け! 近くば寄って目にも見よ! 我が城塞は最硬の護りであると証明する! 行くぞ
「付与《STR》《VIT》」
「彼の王よ、我が力にて、存分に護り給え」
殺到する魔法、弓、それらをHP、MPの消費が一時的に消えた盾魔法の無限起動で相殺、寄ってきたプレイヤー達を余った盾魔法のシールドアタックで蹴散らす、そして私の戦いを見ているミィの後ろから迫る不埒者はーーー
「限定展開ーーー
ミィの後ろに城壁を築き上げ、その城壁でのシールドアタックを実行、圧死させる
「我が後ろ、土足で進めると思うな」
尚も挑んでくるプレイヤー達を葬る、維持限界など無い、集中切れなど以ての外、何時間にも渡るプレイヤーの大群を無傷で凌ぐ、途中名の知れた中堅プレイヤーさえも盾魔法を掻い潜った者は居らず、ミィを狙う輩など城壁を破れもしない、次第に数は減り、夜になった頃には全員が居なくなった、城壁の展開以外は最小限の起動なので、消費は実質ゼロ、無血での勝利となった
「どうだ、ミィ、私は君の城壁で在り続けられるだろうか」
「貴方でなければ、私は死んでいます、きっとそれは、メイプルでも無理な話です、貴方はもっと、誇るべきだ」
「………私は君の隣に立てない、前に立つしか出来ない、城壁であることしか、きっと出来ぬのであろう、だが私が君を護る間、絶対に君を傷付けはしない」
「では…貴方は…シルトは傷付かない…と?」
「あぁ、君を護りきれば、私は傷付きはしない、どんな状況であろうと、どんな逆境であろうと、私は倒れない」
「では、貴方が盾であるなら、私は矛として在る、シルトのスキルは盾です、しかし同時に王でもある、私は炎帝と言うスキルがある、ならば並び立つことは可能な筈です、貴方が絶対に護る盾であるなら、私は絶対に倒す矛となる」
「なるほど、矛盾とはお互いが競うからこそ、だが競わず、お互いの為にあるのならば」
ーーーそれは、最強となる
「誓おう、私シルトは、炎帝ミィの盾であり、王である」
「誓おう、私ミィは、守護王シルトの矛であり、帝である」
「「今一度
お互いの手を握り、お互いの目を見る、笑顔があった、優しい笑顔だ、私はーーー笑えているだろうか
「えぇ、素敵な笑顔です」
「そうか、ならばいい」
今まで以上の感情で、今まで以上の感覚で、数百メートルは知覚出来る様になっていた、恐らく現実でも可能なのだろう、時たまに顔を出していた才能らしき物が、一気に溢れだした、一気に開化した形だ、ミィがこのゲームに誘わなければ、たった一人の女性を愛そうと、護ろうと思わなければ、こうはならなかっただろう、ならばミィは私にとってのーーー
「さあ、行こうかミィ、拠点を探さなければならない」
「なら、もう1回
「なるほど、目立つが、まあ良いか、そうするとしようか、
平原に白亜の城を作る、内装も展開時に細部を調節したので、毛布などは無いが、隙間の無いものとなっており、それを私とミィを中心に作り上げた
「全て盾魔法で構築した、突破にはかなりの時間、かなりの威力を必要としよう、だが私は次の攻撃の前に展開し直すだけだ」
私はそこで座り、夜が明けるのを待つことにした、すると私の背にミィがもたれ掛かり、寝始めた
「まったく、夜を徹した護りとなりそうだ」
無邪気な寝顔を見れないのは残念だが、彼女が安心して寝ていられる空間を維持し続けると考えれば、成る程これ以上の名誉など、彼女の一生を護ること以外に他ならない、そしてそれは彼女の一生を護る上での通過点、果たせずなにが城壁か、なにが守護王か、彼の王も自らを盾とし、妻を護り抜いたではないか、彼の王とは一槍交えた身、そしてその生きざまを心に誓った、ならば一夜ごとき、凌ぎきって見せよう、だからーーー
「お休み、ミィ」
私はミィの熱を感じながら、城壁外へと感覚を伸ばし続けた、不埒者の悉くを、城に辿り着く前に倒す為にーーー