気弱な同僚の護衛役 作:名無しの盾役好き
新年一発目はもう既に投下済みですが、ネタとして出してはないので、ご容赦ください。
最近は充実してきた様に思える、留学時代以外は特に周りと接点のない日々だったが、やはり美月のお陰か、ゲームに誘ってくれなければ、私は未だに以前までの生活を何気なく送っていたことだろう…ならばここは時期的にもアレしかあるまい
「と言うわけで、初詣に行こうか」
「えぇっと、すみません、唐突にその話を振られて私はどうしたらいいでしょうか、いや…初詣には行きますが」
顔を赤く染めた美月を連れて近くの神社に行く、道中の学生達や家族連れなどを眺めながら歩く道は…普段ならば深夜などに歩かない私達には…別の世界に来たのではないかと錯覚させた
「しかし…案外学生が多いな」
「そうですね、近くは楓達の学校がありますから、そのせいかと…後は神社くらいならと思う方も多いのもあるのかもしれません」
「そうだな、普段であれば止める親も、初詣を深夜に行うのであれば、家族連れも視野に入れて許可を出している可能性が高いな」
「あれ? 十司郎さんだ」
「え? ホントだ、美月さんも居る」
「その声は、楓に理沙か、明けましておめでとう、2人共」
「明けましておめでとう、今年もよろしく頼む」
「「明けましておめでとうございます」」
「君達も神社か?」
「はい、理沙となら大丈夫かって、お母さんが」
「私も楓が居るなら大丈夫かーって感じです」
「そうか、なら…」
「そうですね」
「あはは、まあ…保護者同伴みたいになりますよねー」
「心配であることに代わりはないからな」
道中の暗がりもあるし、この辺りはあまり出ないが、不審者などには気を付ける必要はあるからな
「そー言えば、うちのお父さんは28日まで仕事でしたけど、お二人は?」
「私達か? そうだな、社長がやるべき事を早々に終わらせろ…と言ってな、24日には年末休みに入っていたのだ」
「まあ…お陰で25日には一緒に出掛けることが出来た」
「美月さん、それって」
「わかった、話す…話すから余り寄らないでくれ」
理沙からの圧に耐えかねた美月が話す、楓は楽しそうにしているが…どうかしたのだろうか?
「あぁ…いえ、なんか…理沙と毎年神社に来てますけど、今年はちょっと違うので…楽しくなっちゃって」
「そうか…そうだな、私も初詣は1人で来ていたからな、楓の気持ちは多少ならばわかるな」
「そうですね、何時もと違うんですけど、何時もより安心するなって思います」
「あぁ、歩いている場所が違う気さえしてくるが…そこは気分的な問題だろうな」
「あー、確かにそれはありますね」
そうこうしている内に神社に到着したのだが…例年とは違い小規模だが縁日の様になっていた、特になにかあった訳ではないだろうが
「…何時もと…違いましたね」
「…そう…だな」
「確か例年は無かった筈では?」
「あー、多分アレじゃないですかね?」
ー【新春記念! 最優秀カップル決定戦!】ー
「なるほど、そう言う催しが…いや待て、どうしてそうなる」
「いや…だってアレ狙ってますよ? 司会見てくださいよ」
「………社長」
「あ…あはは」
舞台の上で社長が周りの参拝者を相手に催しの進行をしていた、社長権限でもなく、普通に気紛れで企画したのだろうな…だが…うっ…目が合ってしまった…あれは
「『ここで新たな参加者を2組見つけたぞ! さあ! 舞台に上がってくるといい!』」
明らかに名指しだ、しかも2組と言うことは
「巻き込まれた」
「すまない、理沙…楓」
「あ…あはは」
私達は呼ばれるがままに舞台に立った、ならば普通にやろう…すくなくとも私はそうしよう
「「社長…明けましておめでとうございます」」
「うむ、明けましておめでとう、楓に理沙もな」
「「明けましておめでとうございます」」
「うむ、挨拶も済んだな、では企画をコレで確認してくれ」
私達は言われるがままにペア用の仕切りのある机の前に座らされ、手元には予め作っておいたであろう企画書が…どこまで入念にやっていたのやら
「理解したな? では一問からだ! お互いが好きな物を答えろ! あぁ…言っておくが人物ではないからな」
「好きな物…ふむ」
「そうですね…では」
「あー、これで」
「じゃあこれ!」
「書けたか、ならば答えを順番に聞いていこうか」
「私は紅茶だ」
「か…可愛いもの」
「えっと…ゲーム…です」
「甘いもの!」
「おっ、全員正解だ、次々行くぞ!」
それから問題が出される毎に私達は正解していき、美月と理沙が顔を赤くしていくのだが…最後の問題が出された
「では最後だ! お互いが一番大事にしているもの! ただし物体に限る!」
「ふむ」
「あー、これは」
「えー、やらなきゃダメ?」
「自信あるよ!」
これは…2人が耐えられるのか?
「書けたか…さあ…答えを言って貰おうか!」
「私は美月が一番大切だ」
「わ…私は…十司郎さんが…一番…大切…です」
「か…楓が一番大切かなぁ…って」
「理沙が一番大切だよ!」
「………あー、人以外と言い忘れたな…すまん」
「「それを早く言って!」」
「だがまあ…どうせ正解するだろうからな、これにて終了! 独走トップだぞ! まあここまで極まったカップル? もそういまい」
「あ…あぁぁぁああっ!! そう言えばこれカップル企画じゃん!」
「カッ…プル? 私と理沙が? ーーーーッ!!」
「やはりこうなったか」
「う…うぅ」
「わはははっ! このまま企画が終了したら景品を渡すからな! まあ参加賞…は不必要か、これを持っていけ」
「? これは」
「ふふん、名付けて! 縁固めのお守りだ! これからも良きパートナーとして精進するといい!」
「それ私達にしてどーするの!?」
「あ…あわわっ」
「普通に友人関係を固めれば良いではないか」
『違う…そうじゃない!』と言えたら、どれだけ楽だったのだろうか…この2人は
「えぇ…そ…そっち?」
「えぇっと、理沙は…いや? 私と…仲を固めるの」
「言い方ァッ! いや全然OKだけども!」
大変だな…理沙も、しかしこればかりは混乱した楓の勝利…か
「それでは帰って良いぞ!」
あ…嵐が過ぎ去った
「あー、お参りしたら…帰ろうか」
「そう…ですね」
私達はその後、お互いの無病息災を願ってから帰った、ちなみに新年一発目の社内紙にて社長企画の行事が書かれており、楽しそうに逃げる社長と、顔を真っ赤にしながら混乱した様子で追いかける美月を見たのだが…怪我はないように止めておいた