気弱な同僚の護衛役 作:名無しの盾役好き
それはそれとして可能な限り甘くするけどね!?
皆さんこの調子の方がニヤニヤ出来るんですかねぇ…
気まずい、気まずいのだが、なまじコンビネーションだけは無意識でもやってしまう、そして戦闘が終われば気まずい雰囲気がまた!
「せ…先輩」
「な…なんだね、ミィ君」
「そ…そろそろ…よ…呼び…なんでもありません!」
なんでもない…か、流石にそこまで言われれば気付くのだが、仕方ない、年長者の余裕、なけなしを振り絞るか
「行くぞ、ミィ」
「ッ! はい!」
ちなみに、たまたま遠くからこれを見たシンはミザリーとマルクスに合流した時「作戦完了」とだけ言った、それを聞いた2人はやりきった顔をしていたのだとか
そして2人はすれ違うパーティを殲滅しながら、装備の効果がどの程度か検証、サポート系を色々やった結果
「付与魔法はともかく、カバームーブもか、かなり距離が伸びた」
「はい、これなら先輩も戦えますね」
「あぁ、盾魔法ありきだった物が、そうではなくなった、カバームーブとカバーでの防御範囲はかなりのものだ、それに、ミィの火力補助も出来る様になった、良いイベントだ」
「…はい」
助け助けられるのがここまで良いものだとは思わなかった、ミィがゲームに誘わなければ、この様なことを考えもしなかったし、愛そうと思える人も、出来なかっただろう、感謝しか…出来ないな
「そうだ、このイベントが終わったら、どこかに出掛けないか」
「えっ…それって」
「…デート、と言うものだ、今まで休日と言えばゲームばかりだっただろう、たまにはこう言うのもどうかと思ったのだが…」
「行かせて下さい!」
「そ…そうか、こちらで色々考えておくので、気になる所や行きたい所などがあれば言ってくれ、全力を尽くす」
ちなみにこの「全力を尽くす」なのだが、新卒だったミィがこの言葉を最初に聞いた時は、炎上が秒読みだった時で、それをシルトは火消しに成功、かなり重厚な契約となり、たまに社長に呼び出されて飲みに付き合う程度には仲が良くなったらしい、その人の全力…それも自分の為、ミィが燃え上がらない筈が無く
「炎帝! 炎帝! 炎帝!」
「「「ぎゃぁぁああっ!?」」」
運悪く出会したプレイヤーは近付く間も無く、哀れ爆発四散、代わりにミィは落ち着いた
「ふぅ、すみません、落ち着きました」
「いや、適度なストレスの発散は健康の為だからな…どうした?」
「………いいえ、なんでも」
またなにか…してしまっただろうか、なにか話題を変えねば、そう言えば!
「先ほどミィが倒したプレイヤーから、イベントのヒントの様な書物が手に入った、ありがとう」
「ッ! いいえ! それほどでも!」
おぉ、どうやら正解を引けた様だな、さて、それはさておき本の内容だが
「うぅむ、無垢なる者よ、掲げぬ者よ、王道より外れし者よ、魔を祓いて守護の力を示さん」
「無垢、掲げぬ、王道から外れる、要領が掴めませんね」
「あぁ、だが守護の力を示さん、これは防御力を示せ、とのことだろう、ボスモンスターと耐久勝負になるが」
「考えるまでもありません、先輩が認められる、それは喜ばしい事ですから」
「そうか、何時もすまない、ところで、呼び方なのだが」
「えっ…あっ…その、もう少し…じ…時間を」
「い…いや、そこまで迫っている訳では、ミィの気が向いた時で良い、無理をする必要は…」
「む…無理じゃありません! い…今、呼びますから、し…しし…しる…ッ!」
ガサガサッ!
「………ミィ、付与魔法を頼む」
「は…はひ、付与《STR》」
「無粋な者共よ、わかっているな、生きて帰れると思うな、これはーーー」
ーーー確定事項だ
一瞬で終わらせた、ミィが名前を呼ぶ、先輩呼びではなく、名前でだ、ただ呼んでくれるだけで嬉しいのだ、その可能性を邪魔すると言うのであれば、容赦など、慈悲など、一片足りとてありはしない
ちなみに後ろのミィは、自分の事で怒ってくれたと思い、戦闘終了まで悶絶、その姿を見せたくない一心も加わり、敵プレイヤーからはソロだと思われていたなど、ミィは知る由もなく、それを知らせることも、シルトはしなかった
「………ミィ、あまり急ぐこともない、急いだことで成功した試しなど、少ししかないのだから」
優しい手が頭を撫でる、ミィはそれに充足感と、情けなさが込み上げた、自分はこの強さに、優しさに甘えているだけなのだと、そう思った瞬間から、ミィは小さな覚悟を炎と燃やし、シルトを見つめ
「私はこれから、貴方をシルトと呼びます」
「そうか」
また、シルトはミィの頭を撫でた、もしシンやマルクス、ミザリーが居たのなら、「このイベントでの一番の収穫は、ギルドの戦力増強ではなく、この2人の仲が飛躍的に進歩したことだ」と言ったかもしれない
まあそれはイベント終了後の2人を見て、他のギルドメンバー予定のプレイヤー達と同じ事を思い、皆揃ってブラックコーヒーを飲み交わすことになるのだが、その時になっても2人は首を傾げるだけである