タイトル通り?
とあるスレットのお題より

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意中の人が自分の愛を受け入れてくれないことを愚痴っているカーマちゃんとその話に耳を傾けている小太郎くん(お題原文を少しアレンジ)

「なんなんですかあの人は!?」

 

 カルデアのレクリエーションルームの個室に、二つの人影があった。

 片割れはジョッキになみなみと注がれた液体を一気に飲み乾し、もう一人はなぜここに自身がいるのかと思いながら対面に座っていた。

 

「カーマ殿。 サーバントであり、さらには神霊の身であるあなたとはいえパラケルスス殿が生成したサーヴァントでも酔えるお酒を一気はどうかと……」

 

「はぁ!? こんなの飲んでないとやってられないでしょう!」

 

 そう言って、床に置いてあった『鯖殺し』と葛飾北斎に依頼したという達筆な筆文字が大きく目にはいる酒瓶を持ち上げて、手元のジョッキに勢いよく注いだ。

 

「はぁ……」

 

 その光景を見ながら、風魔小太郎は湯呑に手を付け、少し冷めてしまった緑茶を口に運んだ。

 ジョッキを飲み乾すと、カーマの口から機関銃のごとく言葉があふれ出し始めた。

 

「大体なんですかあの人は!? 私が思い通りの愛を上げると言っているのに、それは解釈違いだーとかなんとか言って逃げ出すんですよ!? 意味が分かりません!?」

 

「はぁ」

 

「私の愛が受け入れられないならまだわかるんですよ、そうなれば受け入れるまで対応を変えるだけですから。 それなのに解釈違い!? そんなこと言われたのは今まで初めてですよ!」

 

 飲み乾した酒が全身に……否、霊基全体に回ったのかカーマの顔をは赤く染まり、誰が見ても酔っぱらいだと判断するに難くない状態となったカーマはジョッキを勢いよくテーブルに叩きつけた。

 

「私……嫌われてるんでしょうか?」

 

 赤い顔のカーマ口からそのような言葉がこぼれた。

 だがしかしその言葉は即座に否定する。

 

 様々な存在にありとあらゆる姿、姿勢、印象を持ってどんな存在であろうとも愛することができる。

 それが愛の女神、カーマという存在である。

 

 ゆえに、対象が自信を愛しているのかということは容易に判断ができる。

 

「あの人は、私を愛しているんです……」

 

 人を思い出す。

 人は、平凡であり凡人である。

 己が軽く小突けば容易く死に、特異点に放り込めばサーヴァントの手を借りなければ生き抜くことすら厳しいというひ弱な存在である。

 

 しかし、それでもなお前へと歩もうとするものでもある。

 

 カーマは問うたことがある。

 

――私の愛におぼれて楽になりませんか?

 

 己が存在意義である言葉でもあるが、この場合は慈悲の言葉でもあった。

 だが人はこう答えた。

 

――それもいいかもしれない、けど……自分は止まりたくないだと

 

 疲れる生き方だと思った。

 何もかも捨て去り、自身におぼれれば何の苦痛も快楽もないだろうに、この人は自ら苦痛に飛び込もうと言っているのだ。

 疲れる生き方だ。

 再度そう思う。

 

 そして同時にこうも思った。

 

――この人が、根を上げるのはいつなのだろうかと

 

 この時、口角が上がっていたことを覚えている。

 この先の苦難は必ず人を傷つけ、誘惑し、死に至らしめるだろう。

 

 なら、自身はその時まで共にあるだけでいい。

 今すぐではないのがいささか煩わしいが、こういうのもたまにはいいだろう。

 その時までゆっくり、じっくりと待つだけ……そのはずだった。

 

 そのはずだったのだ。

 

「そのはず……だったんですけどねぇ……」

 

 人は、あきらめなかった。

 人は、止まらなかった。

 人は、いまだ歩んでいる。

 

 その道筋を、その生きざまを今もなお、まじかで見続けている。

 そしていつの間にか、愛の神は人に続いてしまっていた。

 与える側から、欲する側になってしまっていたのだと、ある日、そう自覚した。

 

「なら……」

 

 己は愛の神である。

 ならば、人一人から愛を奪うなど容易いことだ。

 そうして自覚したその日に、人へと突撃した。

 そしてこうなった。

 

 顔を真っ赤にしながら、涙目になりながら、道中に見つけた小太郎を捕まえ個室に引きずり込みやけ酒をしているのだった。

 

 これを片割れである者(殺生院キアラ)が見ればどう思うだろうか、「おやまぁ……!」と頬を赤らめて悶えるだろうか?、だが、その存在は今この部屋にはいない。

 

「スゥ……スゥ……」

 

 いつの間にかカーマは規則正しい寝息を立てながら、眠ってしまっていた。

 

「眠られましたか」

 

 カーマの絡み酒を忍びの忍耐力を持ってじっと聞いていた小太郎は、酒瓶をかたずけながら扉へ声をかけた。

 

()殿()、もういいですよ」

 

 そう言うと、レクリエーションルームの扉が開き驚いた表情で一人の人がやってくる。

 いつから? と問う人へ小太郎はこう答えた。

 

「カーマ殿が僕をここへ連れ込んで酒盛りする前からですよ」

 

 かなわないなぁと人は頬を赤らめながら酔いつぶれたカーマをやさしく背負うと、小太郎に礼を言って、部屋から出ていった。

 

 

「ふぅ」

 

 片づけをしながら、風魔子太郎はこう願う。

 

 

 

  ――どうか、主の道筋に愛の祝福があることを……

 

 

 


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