ロムに憑依しちゃった話。(仮)   作:ほのりん

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さいかい。

 結局、風邪は今までの分を回復するように、3日間治らなかった。

 熱は初日に終わったものの、その後の倦怠感だったり、時々頭痛だったり、風邪の症状が纏めて来たのではないかと思うほどであった。食欲は、魔力消費がなかったからなかった。これは今後、溢れた魔力を別の器へ移し携帯するという活用方法を考える必要があるかもしれない。前の私では足りないことはあっても溢れることなんてなくて考え付かなかったことだが……その分今の時代が平和だということだろう。それと魔力の保有容量が少ないせい。

 

 ともかく回復した私は、修行を再開する、と何故かミナちゃんの執務室にいた彼に言ったのだが。

 

「バカかっ!」

「……いたい」

 

 ぽかっと拳を上から振り下ろされた。なかなか強い。帽子の上からでも痛かった。

 それから「お前さん、全然反省してないのな!」と言いながら怒りをぶつけるようにぐしゃぐしゃと撫でられた。見ていなくても分かる。私の髪はぼさぼさになった。なんてことしてくれてるんだ。せっかく整え……櫛通しただけだった。簡単に直る範囲だった。特にそこまで怒りを感じることでもなかった。

 それとここにはミナちゃんがいるのに、素に戻っていいの? まあ彼は別にそれを見せたところで失うものはないのか。

 ところで反省してない、とは? 

 

「あのな、お前さんは昨日まで風邪で寝込んでただろ。修行で無茶し続けたせいで。なのにまた何も考えずに行く気か?」

「……うん」

「そこは否定してくれよ……」

 

 別に今度からはもう少し……そう、毎回ラムちゃんに会えばいいんだよね? それだけでいいと思うんだけど。

 

「それで十分じゃないから、こうして俺は教祖様と話し合いをしていたんだ。お願いだから察してくれ」

「……ごめんね?」

 

 謝罪の気持ちが1mmも込められてない言葉を言って、そして何を話し合っていたのか聞く。

 

「まず今までのやり方を変えましょう、と話していました。そしてひとまず期間に関してはこのような形になりましたが──」

 

 そこから説明されたことを纏めると、平日修行して土日は帰ってゆっくりしてろ、との話でした。会社員かな。

 

「強くなる方法も特定の場所で鍛えるだけでなく、クエストの達成や図書室での勉強などを合わせてしましょうか」

「……クエスト、してもいいの?」

「ええ。思えば、今まで過保護になっていたのかも知れませんね」

 

 祝、クエストを受けることを許された。これで正々堂々とロムとして仕事ができるようです。

 

「それとモンスターだけじゃ経験が偏るだろ。俺もある程度は戦えるから、パワーではなくテクニックで戦って技術力を高めるとか、そういうのも出来ると思うぞ」

「……そういえば?」

「お前さん、俺が戦えること忘れてたのか……」

 

 だって普段守られる側じゃない、あなた。

 

「とにかくそういう風に、今までの山籠もりでのモンスター討伐だけでなく、他の経験も積んでいこうって話だ。多分お前さんの対人戦の経験は、この前のだけだろ?」

「……うん、そうだね」

 

 今の私だけで言うなら、まだネプギアとユニどころかラムちゃんとも戦ったことがないから、対人戦はあれが初。

 ……能力に関しては引き継げなかったけど、見聞きして体験してきた経験値や知識は記憶がある限り失われないからね。

 

「そんな感じで用意するから、三日後ぐらいに始めようか。その間はラム様とクエストにでも行っててくれ」

「……ラムちゃんも?」

 

 それはちょっと……私がラムちゃんへ……他の誰かに見せられる力は現状では限られてるのに。

 

「ああ。そんなに強くなりたいって言うなら、どうせならラム様も巻き込め。でなきゃお前さんだけがどんどん強くなっていくだろう?」

「……そうだね」

 

 ラムちゃんが強くなってくれるのはいいけど、私のスピードに合わせられないから置いていったんだけどね。

 ……まあいいか。この際だから普通の女神候補生との力量差を確かめるために、一度ラムちゃんとクエスト行ってみよう。

 

 

 

 というわけでラムちゃんにクエストに行かないか誘ってみたところ、

 

「ロムちゃんと!? いきたいいきたい!」

 

 大喜びされました。そんなにクエストに行きたかったのか訊いてみたら「だってロムちゃんとだから!」と言われました。……まあそこまで喜んでもらえるなら、これからも誘ってもいいかな。

 

 そういうわけで今回はギルドからではなく、教会を通してクエストを受けようとしたんだけど、ここで一つ驚きの知らせが。

 なんと私とラムちゃん、揃って冒険者ランクが上がってました。受けてないのになぜ? とミナちゃんに訊いたところ、私達の実力に合わせたのだとか。そういうわけで最低のEから二つ上のCランクにランクアップ。受けられるクエストの中には危険種討伐クエストも入るようになった。

 ……というわけで、早速討伐クエストに行ってみることに。今回のお相手は……誰にしようね? 

 

「ラムちゃんは、なにがいい……?」

「うーんとね……これがいいわ!」

 

 そう指差したのは……え、エンシェントドラゴン? ネコリスとかテリストとか、同じドラゴン系のリザードでもなくて? 

 

「だいじょーぶよ! わたしとロムちゃんのふたりなら、さいきょーだから!」

「……うん、そうだね」

 

 まあもしものときは私が前に出ればいいか。

 

 

 

 そんなこんなでクエストを受けて、エンシェントドラゴンとかを(主にラムちゃんを強化して)倒していたら、なんだかんだいつの間にか三日間が経っていた。

 事前にミナちゃんから言われていた、ある用意をして部屋で待っていたら、彼が迎えに来た。

 

「おはようございます。お二人とも、準備はよろしいでしょうか?」

「……ばっちり、一週間分」

「ちゃんとお泊りセットを用意したわ!」

「それはよかった。では参りましょうか。あちらまでは私がお送りしますので」

 

 彼に連れられて、私達は一週間戻ってこない部屋を後にした。

 これから何をするのか。それは私もラムちゃんも聞いていない。ただある場所を用意したから、ひとまず一週間そこで過ごせとのこと。一体どこなのか、どういうところなのかは教えてもらっていないけれど、衣食住に関しては既に整っているようだ。

 

 そういうわけでさらばルウィー教会、一週間ぐらい行ってきます。

 そう思いながら、普通にミナちゃんに「いってきます」と挨拶して彼が運転する車に乗り込んだ。三人で乗るには大きくて広い車だけど、そのほとんどが荷物で埋まっているから狭いように感じる。

 

「目的地までだいぶかかりますので、その間どのように過ごされていても構いませんよ」

 

 その言葉に返事して、私達は持ってきた携帯ゲーム機で遊んだり、彼も巻き込んでしりとりしてみたり、寝たり、と過ごした。

 

 

 

 そして朝がお昼になって午後になるくらいの時間が過ぎた頃、私達は何故かプラネテューヌの領土にある、ある小さな町に足を踏み入れていた。

 目の前にあるのは何かの施設なのか、平屋の多目的ホールみたいな建物。此処で一体私達は何をしろと? 

 

「ここはこれから一週間、皆様が過ごす拠点となっております。普段はこの地域の交流に使われているのですが、今回は特別に一週間貸切にしていただきました」

 

 あぁなるほど、つまりここが寝床になるわけか。……ところで皆様って? 

 

「それは中にお入りいただければ分かるかと」

 

 そう言う彼は、これから起きること……もしくは私達の反応が楽しみらしい。そんな驚くようなことがあるのだろうか、と思いながら中に入って、ラムちゃんは彼の想像通りらしい反応をした。

 

「あっ、ラムちゃん、ロムちゃん、ひさしぶり!」

「ようやく揃ったわね」

「ネプギアにユニちゃん!? どーして二人がここにいるの?」

 

 驚き、嬉しそうにしながらも二人に質問するラムちゃん。そんな三人の久しぶりの再会を見ながら、私は私で三人から離れ、車から荷物を下ろしていた彼に訊く。

 

「……これって?」

「まともな寝床で仲間と修行しろって話だ」

「……ラムちゃんならまだ分かる。けど何故あの二人も?」

「仲間、だろ。まさかお前さん、一人で守護女神様方を助けるじゃないよな?」

「……そうしたら後が大変だから、四人でやるよ」

「なら仲間だ。それにいざ助けに行くとき、お前さん以外が使い物にならないなんてこと、あってほしくないだろ?」

 

 そう言いながら私に荷物を渡す。どうやら私にも運ばせる気らしい。まあいいけど。

 

「あっ、お手伝いします!」

「アタシも手伝います!」

 

 私が見た目だけなら大きい荷物を持っていると、中で話していた二人が気付いて手伝いを申し出た。それに続いてラムちゃんも、と。

 それに対し彼は「いえ、女神候補生様に荷物を運ばせるなど、教会職員として情けないことはできません」と断ったんだけど……ねえ、私は? 

 

「でもロムちゃんは……?」

「これは無茶をして周りに余計な心配をかけた罰ですから」

 

 と、ネプギアの疑問に答えた彼だけど、それは建前で、本当は……

 

「だから俺にとってお前さんは女神候補生(上司)って感じがしないって言っただろ?」

 

 そういうことらしいです。

 確かに魂に関してはそうだとは思うけど、肉体に関しては女神そのものなんだけど……まあいいか。

 

 ともかくこれから一週間、四人の女神候補生による、所謂合宿が始まります。




彼女の歩く速度は早い。走っているかと思うほどに。
だからこそ時折休憩するように速度を落とさなくては、また倒れていただろう。
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