主人公の前に初期で現れて圧倒的な強さを見せつけて終盤で味方になってすごくかっこよくなる悪役になります『リメイク』   作:??????

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第3話

「さて、一通りの議題は片付いけたことだし本題に入ろう」

 

「柊家について……ですね」

 

「柊家の問題は大きく分けて二つあります。一つは、跡継ぎの問題。もう一つは、柊緋色の問題です」

 

「緋色の小僧はいまだ足取りがつかめずか?」

 

夜桜の眼光が萩野が貫く。萩野は冷や汗をかきながら、言い訳を並べる。

 

「ええ、何しろ神出鬼没なものでして。捕捉した時には時すでに遅く…」

 

「ハッ萩野家の当主が聞いてあきれる……たかがガキの一人にここまで振り回されるとはな」

 

安い挑発をする莇を射殺さんばかりににらみつける萩野だが、この場では抑え込んだようで大人しく沈黙を貫いた。

 

「………」

 

「そういった油断はご自身の足元をすくいかねませんよ?」

 

「なに……?」

 

助け舟を出したのは今までほとんど会話に参加していなかった白百合夏葉だった。

 

「カカッ!確かに緋色の小僧は弱冠13歳にして当代最強を噂された男だからな」

 

愉快そうに笑う夜桜森厳に顔をしかめた莇が噛みつく。

 

「あくまで噂!俺ら当主たちに及ぶわけがないでしょう!?」

 

「そうか…当主の中では莇だけは緋色の小僧と対面したことがないのか」

 

「こと魔法技能において、彼はあの年ですでに我々以外では相手ができないであろう実力を持っていたわ」

 

「ッ!それはッ、貴方の娘の元婚約者だからという身内贔屓が入っているのでは?」

 

「まあ、落ち着け莇。議題から逸れておる」

 

緋色が評価されていることが心底気に食わないのかなおも食って掛かる莇を夜桜は諫めた。

 

元はと言えば夜桜が火をつけたようなものなのだが、話が逸れていることも事実である。一同は一端頭を冷やし、再度話し合いを開始した。

 

「前回の会議で跡継ぎは柊雪花の成人を待つという案が出たはずだ」

 

「ああ、それは儂も覚えてはいるがな?そう何年も七星の一席を空席にしておくわけにもいかんだろう?」

 

空菊の言葉に森厳は疑問を返す。

 

「ならばそこの白百合同様、代理として出席させればいいだけの話だ」

 

「12歳の少女を代理にするのか?現実的に考えて無理があるだろ?」

 

「夜桜殿に同意します。空菊殿の意見はいささか無理があるように思われますが」

 

「あら?私はいいと思うわよ?あなたはどう考えているのかしら?」

 

空菊の意見に助け船を出したのは、意外にも藤風だった。意見を肯定したうえで、何かを言おうとしていた莇に視線を向ける。

 

「……女狐め」

 

莇は小声で悪態をついた。うまく、この場を丸め込み自分の息のかかったものを柊家の一時的な代理に仕立て上げようと画策していた莇にとってこの流れは最悪なものだった。莇自身、最年少で当主の座に就いた経歴があり、14のころには当主の代理としてこの場にいたこともある。幼さを理由に雪花の当主代理を否定することはできないのである。

 

(さとりか、この女!)

 

「空菊の意見を一概に否定しようとは思わない…が、やはりまだ幼いと言わざる負えないと思うがな」

 

苦虫をかみしめたように、発言する莇にはこれが精一杯の抵抗だった。

 

「———では私の方から代替案を出しましょう」

 

「ほぉ?」

 

今まで黙り込んでいた白百合の発言に、夜桜は興味深そうに目を細めた。

 

「生き残った唯一の柊の使用人。聞けば彼は柊家の分家の出身だというではありませんか」

 

「彼女が代理を務められる年になるまで、彼を代理にすればいいと?そういいたいのか?」

 

ニコニコと笑みを浮かべる夏葉と無表情の空菊の視線が交錯する。そのどちらも目は笑っていなかった。

 

「はい、空菊さんいう通りです。一応は、柊の血を引いているのですから」

 

「おい!まて!柊家の分家?そんなものの存在初めて聞いたぞ!?」

 

「あら、勉強不足ね。今は存在していないけれど200年前ぐらいまでは存在していたわ」

 

動揺をあらわにする莇に冷ややかに解説する藤風。しかし、彼女もまた多くの疑問を覚えていた。

 

「白百合夏葉さん…公式な記録では200年前に分家は取り潰されていると記憶しているのだけど…なぜ彼が分家の人間だと?」

 

「取り潰しになったとはいえ、皆殺しにしたわけではありません。片田舎でひっそりと暮らしていたのが、彼の先祖なんですよ」

 

「証拠は?」

 

「お爺様が確かめました」

 

「「ッ…!?」」

 

「カカッ、なるほど…天聖のやつが確かめたのか。これ以上ない証拠だな」

 

「なるほど、今年になって床に臥せることが多くなったのは魔力を過剰に使ったからか」

 

「相変わらず、予想外の手を打ってくるわね」

 

莇と萩野は驚愕で固まり、夜桜と藤風、そして空菊は納得の色を示した。

 

「いいだろう、決を採る。白百合の案を支持するものは挙手を」

 

莇、白百合以外の人間が挙手する。莇は下を向いたまま、沈黙を貫いている。

 

「莇、反論を聞こう。何に問題を見出している」

 

「くッ!すべてだ!今は存在しない分家を持ち出して、代理に据えるだと?そんなことしていいわけないだろ!!」

 

「だが、薄まっているとはいえ、血を引くものが存在している以上他の家が出しゃばる理由はない。七星に不平等はあってはならない。だからこそ、柊と藤風の婚約を認めた時もある程度の制限を設けたのだ」

 

「グッ…」

 

「そもそも、五対一だ。これ以上の反論がないのであれば、この議題は終了とする」

 

淡淡と告げる空菊と冷や汗と青筋を立てている莇の構図は両者の力の関係性を表しているともいえた。それを見て、白百合は口角を上げる。

 

(やはり、今代の莇家当主は歴代の中でも最低ですね。所詮は魔法の技量のみで成り上がった男。それも、大海を知らずに吠えているカエル以下……やはり脅威となるのは空菊家と夜桜家ですね。…藤風家は立ち位置も特殊ですし、今は捨て置いてもいいでしょう)

 

頭の中で素早く各家を評価。計算する白百合を夜桜森厳は口角を上げて眺めていた。その計算高さと思考を巡らせている顔がどうにもかつてのライバルである白百合天聖を想起させたのだ。

 

「では———「し、失礼します!!!!」…なんだ?」

 

議会を勧めようとした瞬間の乱入者に視線が集まる。本来であれば、即刻首になりかねない愚行であるが、緊急時の報告に用いられる赤い腕章を見て、七星の当主たちは乱入者の次の言葉を待った。

 

「わ、私、い、いえ自分は日本魔法軍特殊隠密部隊所属の花山大尉であります!萩野様より頼まれていた人物を捕捉しました!」

 

「見つけたのかっ!彼は今どこにいる!!!!」

 

「対象は現在たった一人で第四研究所を襲撃しています!!!」

 

「夜桜殿!現在動かせる部隊は?」

 

「好きに動かせるのは第三だけだ」

 

「では、第三を向かわせてください!そこに柊緋色がいます!!!」

 

呆気にとられるもの、冷静に現状認識を行うもの、指示を飛ばすもの、魔法軍に回線をつなぐもの様々な者がいるが皆一様に余裕がなかった。そんな中、白百合夏葉だけが————嗤っていた。

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